こなた「全く、キョンはツンデレだなぁ」


メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:ルフィォ「ゴムゴムのォ……!!!!!」

ツイート

1 名前: ◆7SHIicilOU [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:10:28.56 ID:89JWAdYE0


記憶している最近物だけでこれだけある
PCが復調したのと規制解除のを良い切りに片っ端から終わらせていこうと思います
下記の表は終わらせるのに時間がかからないもの順です


こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」
キョン「――――さあ、零崎を始めよう」
ハルヒ「キョン! あの澪って子とどういう関係なのよ!?」
キョン「あ……」橘「え? あ……」
長門「…エヴァには私が乗るわ」
梓「眠い……」
.善吉「……で、その哀川潤さんがめだかちゃんに何の用スか?」
キョン「人類最強の請負人?」
九鳳院紫「お前はいま、嘘を付いたな」いーちゃん「……!」
僕等は「USB」と「平塚」に捕われているようです

5 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/27(木) 23:12:47.80 ID:89JWAdYE0


 入学してからすでに二月程度がたち、
色々なことに区切りがついて高校生活にも慣れてきた頃合。
このころには仲良しグループという物も確固とした形で構成され、
休み時間などにはそれぞれが中心人物の机付近に集まるという情景が
度々見られるようになった。

「キョーン」
「…なんだ?」

 それは俺とて例外ではなく、
中学からの友人、高校入ってからの友人の双方を合わせて
小さなグループの一員となっていた。

「さっきの授業なんだけど…」
「また寝てたのか? 俺のノートに期待するとはよっぽどだな、柊の姉には借りんのか?」
「授業を受け持つ先生が違うからやってる単元の順番が違うんだよ…」
「はぁん」

 目の前の同年代なのに少女と形容したくなる長い蒼髪の子、泉こなた。
彼女を中心にした女子四人組に俺は現在+1として編入されている。


6 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:13:39.77 ID:89JWAdYE0


 といっても、男子の友人がいなかったりするわけではなく、
親しい男子も何人かいることはいるのだが。
それはグループとは少し違う感じである、
理由はわからんが少しだけ接し方が冷たいときもあるし。
まぁ基本仲はいいのだが。

「ほらよ」
「やっふー、ありがとうキョン! これで黒井せんせに殴られんですむよ」

 それはよかったな。
だがお前は知ってるだろうか、以前お前が丸写しをした所為で
ノートを貸した俺が酷く怒られたことがあることを、
あの時内容同じなのに評価がお前だけ低いのはそういう理由だったんだぞ。

「あ、そだそだ」
「なんだ?」
「お昼、たまには中庭で食べない? 今日天気いいしさ」
「ん、いいぞ。気分転換だな」
「そ」

 こなたは立ってる状態で座ってる俺とほぼ目線が同じだ。
その身長の低さと真っ青な髪色に驚いて
入学初日に話しかけてしまったのが仲良くなるきっかけ、だったように思う。


9 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/27(木) 23:14:25.18 ID:89JWAdYE0


 とてとて、とあからさまに小さな歩幅で俺の後方に移動する泉。
別にお礼に後ろから抱きしめてくれるわけではなく、
単に俺の後ろの席だというだけだ。
窓際の一番後ろ、それが泉の席。
というわけは俺はその前なので当然窓際後方二番目となる。
中々のポジションだと思うのだが、しかし泉が居眠りと遅刻の常習犯のため、
逆に監視されて俺までしっかりしてないといけないというバットケース。
次の席替えはいつだったっけね?

「…っと、よし終わり!」
「早いな」
「慣れだよ慣れ!」
「慣れるほど人のノートを写すな」

 授業間休みは大して自由度が高くないため、
窓の外を眺めながら次の授業まで待っていようとすると、
思ってたよりも相当早くノートが返却された。
あまり自慢できないことを無い胸を張って言う泉に
嘆息をつきつつ、俺はタイミングよく開いた扉とともに入ってくる教師を見て
素直に黒板に目を向けることにした。

12 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:17:07.35 ID:89JWAdYE0

―――

「やっほキョン」
「ん、おぉ柊か」
「だから名前でいいって、つかさもいるし呼びにくいでしょ?」
「まぁそうだが…」

 昼休み、泉に言われた通り中庭で一人弁当を抱えて待機していた俺。
一番乗りにやってきたのは先にあげた四人組の中で
唯一隣のクラスに所属する柊かがみだった。
前述の会話から察せるように、彼女には姉妹がいる。
というか双子だ。そしてその双子のもう一人が同じクラスの柊つかさとなる。

「しっかしこなたの奴、人を呼んでおいて自分はまだとはね」
「ま、のんびりしようや。その為に中庭にきたんだし」
「はいはい」


13 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:18:36.25 ID:89JWAdYE0


 雑談。
 とりとめない話。

「日焼けするとさ、皮がペリペリって剥けるじゃない」
「あぁ、あるな」
「なんなのかしらねあれ」
「いや、皮以外の何者でもないだろ」
「そうじゃなくて、あの現象よ」
「…さぁ?」

 意味のない会話。
 流れ行く対話。

「インナーイヤホンのさ、パッドあるじゃない」
「ん、あるな」
「なんか勢いよく引っ張ると耳にパッドだけ残らない?」
「いや、ないだろそんなこと。っていうかもっと大事に扱え」
「たまになるのよ」
「知らん」

18 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:34:15.70 ID:89JWAdYE0


 そんな調子で数分話していると、
ようやく泉がのんびりとした歩調で歩いてきた。

「やぁやぁ待たせたね〜」

 待たせたという焦りやすまなさが欠片も感じれない。

「気のせい気のせい」
「嘘こけ」

 へらっと笑いながら俺の隣にどかっと腰を下ろす泉、
そしてそれにあわせて円を描く感じで残り二名も芝生にそっと座る。

「いい天気ですねキョンさん」
「あぁ、晴天って感じだな」

 優雅に微笑み高良みゆきに

「晴れと晴天ってどう違うの?」
「空に浮かんでる雲の割合だ柊」

 ちょっとした疑問に首を傾げる柊つかさ

「だから名前で…」
「すまん、つい」

 これが俺のここしばらくの日常だった。

23 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:45:43.39 ID:89JWAdYE0


 昼にはみんなで飯食って、
放課後や休日にたまに誰かと遊びに行ったり。
逆に家に遊びにこられたり。
そこそこに高校生活をエンジョイしていたし、しているという自覚もあった。
素直に言えば楽しかった。
泉たちはベクトルは違えどみんな可愛かったしな。

「あっ、今日はつかさがお弁当作ったんだね?」
「うんそうだよー」
「いやぁ、手が込んでるからすぐわかったよ〜」
「うっさいわね!」
「まぁまぁお二人とも」

 四人のやりとりを見てるのも愉快だったし、
その中に自分が混ざれているのがすごく幸福に感じれた。
だけど、それも来年になったらクラス替えもあるし、
最後には卒業してばらばらになる。

 この時の俺はそんな当たり前を失念していた。


25 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:46:42.65 ID:89JWAdYE0


―――

「は?」

 入学してからさらにいくらかの期間も経ち、
大した問題もなく俺は毎日を泉たちと過ごしていた。
俺はそれに対する違和感などとうに無くし、それを平然と受け止めていたが。

「いやだからさ、お前は誰と付き合ってるんだ?」

 やっぱり女子の中に一人俺が混じっているのは、
他の男子からしてみれば異質に映るようで。
それが嫉妬や羨望交じりの主観だとしても、
しかし正しい一つの物の見方であることも俺は理解していた。

「付き合うって…、べつにあいつらとは友達だからな」


26 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:47:24.19 ID:89JWAdYE0


 放課後になるなり俺に接近してきて謎の質問を投げかける谷口、
俺の返答に、質問をしてきた谷口は嘆息をつく。
呆れと言うかなんというか、よくわからないため息だ。

「そうだろうとは思ってたがな…」

 後頭部を掻きながら、演出過剰に言う谷口。
そして俺と谷口の会話を聞いてやってくる国木田という友人。

「まぁキョンの好みとは少し違う感じだしね、みんな普通の子だし」
「どういう意味だ国木田」
「そのまんまだよキョン、中学の頃から変わった女性が好きだったみたいだし」
「無茶苦茶を言ってるぞお前、しかも俺はいまだかつて誰かに恋愛感情を抱いたことなどほぼ無い」

 従姉の姉さんが最初で最後だ。
…ちくしょう、思い出したくも無いことを。

「でもよぉキョン、お前はどうだか知らないが。
 対するあいつらはどうだよ? 好意の無い男子を一人グループに入れるか?」
「恋愛と友愛とを混合するな馬鹿者」

 俺は会話をしつつほぼ中身など皆無の鞄を手に取り
二人を無視して扉の方に歩き出す。
こういうとき廊下側だと話しかけられる前に教室から離脱できるから便利だ。


30 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/27(木) 23:52:19.40 ID:89JWAdYE0


 それに、
今日は泉と少し遠出する予定なのだ。
あいつの趣味は特殊だと思うが、
俺だってゲームや漫画くらいは嗜むしべつに否定はしない。
というか結構面白いものが発掘できたりするので悪くない。

「だからお前のそういう曖昧な態度がだな―」
「うるさい」

 さらに続けようとする谷口を制する。
視界の端に蒼く長い髪の毛が入ったからだ。

「お前の妄言には明日にでも聞き流してやるから、今日はこの場にてさらばだ谷口」
「あっこの野郎!」

 喚く馬鹿と肩を竦める国木田を置き、
小走りで泉に近づいて肩を叩く。

「よっす」
「おっキョンさん」
「行くか」
「うぃ」


31 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/27(木) 23:53:11.62 ID:89JWAdYE0


 男女間の友情だとか、そんな陳腐でチープな話。
俺は好きじゃない。
親しくなれば男は女に下心を大なり小なり持つ、
では女は? 俺は過去に女性として存在したことがないのでわからない。
知るかそんなこと、といった感じだ。
興味もないし関心もない、どうでもいい、無関心。
快楽主義、一時的な感情に任せるというと語弊招くかもしれないが、
しかし今のこの愉快な幸福感と充足感とがあればそんな事象など
非常にどうでもいい、歯牙にもかけない些細な問題に過ぎなかったということ。

「どしたのキョン、なんかあった?」
「いや、さっき谷口に変なこと言われてな」
「ふぅん? どんなこと?」
「くだらないことさ」
「ぶー、おしえろよー」
「やなこった」

 それでも俺が口を閉ざしたのは、なぜだろう?
繰り返すことになるが、やっぱり俺自身に自覚が、あったからなのだろう、
いま冷静に分析すればそういうことになると思う。


32 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/27(木) 23:54:10.43 ID:89JWAdYE0


「ちぇ〜」
「お前に言ったところで、へー、で終わるぞ? 多分だが」

 このちっこい泉、多分男女含めていま俺が一番親しい人間であろう。
それに、下心やそれに類する感情があると
俺はあまり考えたくない、考えて、
それが真実だったとき俺はいままでと同じように接せはしない。

「で? 今日はなにを買いに行くんだ?」
「漫画の新刊、かな?」

 かな? って、目的を定めないで行くから
毎度散財する羽目になるんだ。
もしくは必要最低限以外持っていかないという手もある訳で。

「そしたら通販と変わんないじゃん、行って見て触って欲しいものを探さなきゃ!」
「わざわざ欲しいもの作ってまで財布を軽くはしたくないね」
「キョンはまだまだだな〜」
「そうかい」


34 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/27(木) 23:56:01.09 ID:89JWAdYE0


 他愛ない会話。
数秒後にはどんな会話をしていたか忘却してしまいそうな、ありふれた雑談。

「そういや、話は変わるけどさ」

 そんな当たり前の会話に、
 そんな当たり前の会話だからこそ、
 いきなり切り替えられたその方向性、ベクトルに俺は反応し損ねた。

「キョンって好きな人とか居るの?」
「…あ?」

 いまさっき、谷口から受けた追及。
この場で泉とその会話をしたくなくていなしたやり取り。
それをあろうことか泉のほうからふってきた、
多少意味合いは変わるものの、最終的には変わらない。
どうして男女間では恋愛をこじつけないと気がすまないのか。

「キョンってば浮ついた話全然聞かないジャン?
 谷口君みたく彼女欲しーとか言ってるわけでもないしさ、
 こんなに可愛いおなごが近くにいるのに全然普通だしさ」
「戯け」


35 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/27(木) 23:57:05.36 ID:89JWAdYE0


 少し、口調が冷たくなった自分。
たったこれだけのことにも平静を保てないとは、
馬鹿か。

「…もしかして」

 泉はそれを受けて少し顔を伏せる。
嘆息。自分のくだらない思考で他人を傷つけるとはなんたる愚行。
俺は素直に謝ろうと口を開こうとして。

「キョンってホモ?」
「死んでしまえ!」
「あっ、図星!?」
「違うわ! 殊勝な顔でなにを言うかと思えばそれか!?
 ちくしょう、謝ろうとして損した! 俺の気持ちを返せ」
「はい」
「それはただの窒素だ!」

 ただの漫才になった。
なんだこれ?


36 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/27(木) 23:58:39.25 ID:89JWAdYE0


―――

「キョン君! おかえりー!」

 帰宅すると、いきなり腹部に衝撃。
毎度の事なので腹に力入れてるにしても、
後ろに一歩下がってしまう程に全体重を乗せたタックル。
俺が避けたらきっと妹は大変なことになるだろうと
容易に想像ができるため俺は毎日やむかたなしとタックルを受け続けてる。

「ただいま」
「今日のご飯ね! シチューだって!」
「ほぅ」
「ブロッコリーいっぱいだって!」
「…ほぅ」


37 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/27(木) 23:59:30.24 ID:89JWAdYE0


 部屋ついて、制服を脱いで着替える。
結構疲れていたのでそのままベッドに倒れこみたいと思ったが
流石にそれは自重しておく、倒れこめば即爆睡してしまうだろう。
鞄から携帯をとりだす。
メールが二通、柊の姉からと涼宮って奴からだった。

「…涼宮にアドレス教えたっけ?」

 …あぁ、いつだったか部活をつくるとか言って
俺を勧誘してきたときに強制的に知られたんだった。
あの時は拒否したんだったか、
校門での奇行をみて、拒否してよかったと思った。

「んで柊からは…」
「キョン君ご飯!」
「んあ? あぁ、わかったわかった」

 パタンと携帯を閉じてベッドに放り階下に下りる。


41 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/28(金) 00:03:10.92 ID:89JWAdYE0


 それでも一応四時間は寝たし、
顔にはださないようにしていたがやはり鋭い、
というか予測していたんだろうな。
彼女は聡明だ。俺が今日この場で話しかけてくることも
きっと彼女の中ではわかりきっていたことなんだろう、
でなければ話しかけてすぐに本から顔を上げることなんてあるはずがない。
彼女の読書中の集中力は良い意味でも悪い意味でも強い。

 そもそも登校してきて一番に話しかけてこないで
自分の席で読書をしてる時点で、
昨日のあれやこれやを聞いてるとしか思えない。
…ちくしょう、謀られた気分だ。
この場合話が早くて助かる場面だろうのに、
いや、俺としてはあまり他言したくないからやっぱり歓迎するべきでない事態だな。

「…柊から聞いたのか」
「えぇ、昨晩」
「まったく泉思いなのは良いが、少しは俺にも気を使ってもらいたい」
「ふふっ、キョンさんは男性ですから」
「…そういうのなんていうか知ってます?」
「さぁ?」

 軽い笑顔、やりにくい笑顔、文句の一つも言えない。
飲み込まされる微笑、柔和で温和で、まったくもう。

38 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/28(金) 00:00:25.42 ID:zQZk3Fdw0


―――

 どうにも長期的な描写になるとマンネリ的になる翌日という表現、
もう少し表現の多様化を狙いたい書く側としては
少々以上にやっかいなこの存在。
一体どうしたものかと頭を悩ましてみるものの大した効果も無く。
結局は翌日としか表せない本日、
俺は学校に行くかどうかちょっとばっかし悩んだ後に
制服の袖に手を通すことにした。

「行ってきまーす!」

 一足先にでていく妹の声に急かされるように
階段をダッシュで降りて靴を履く俺の心中には
昨日の柊姉からのメールが無意味に重く主張してる。


39 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/28(金) 00:01:07.54 ID:zQZk3Fdw0


 いつもの通学路が不要に重力を増してる気がする。
まぁ気のせいも甚だしいのだが、それでもそう錯覚した、
それはつまり俺の脚が重く、身体が重く、心が想く、のしかかる。

「おはようキョン」
「おっすキョン」
「…うっす」

 教室の扉を開いて、それはさらに悪化する。
俺の席の後ろ、窓際最後尾、泉こなたの席、
それが空席であるという事実。
それが俺の心の嫌なところをほどよく突付きまわす、
非常に不愉快だった。

「ん? …あぁ泉か、また遅刻じゃねぇの?」
「最近はあまりなかったからね」
「そうだな」

 多分、遅刻ではない。そんな確信。
きっとあいつは起きている、
起きている状態で布団に包まっている。
そんなイメージが脳に浮かぶ。

「…はぁ、だから恋愛なんて嫌なんだ」


40 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/28(金) 00:01:50.95 ID:zQZk3Fdw0


 わざと乱暴に自席につき、
鞄をふっくにかけて窓の外を眺める。
話し相手がいない朝の数分間が、非常に長く感じる。
HRまで15分、担任のことを考えるにあと20分程度、
俺はしばらくそのまま空の青さを目に焼き付けていたが、
それにもすぐに飽きてしまい、席の近い高良に声をかけに行った。

「よぉ高良」

 礼儀正しく折り目正しい高翌良、
一限の授業の教科書ノートを既に机の上に置いて
なにやら読書に勤しんでいた。

「あらキョンさん、おはようございます」

 俺が話しかけると高良はすぐに顔を上げて微笑み、
読んでいた本に栞を入れて机にしまう。

「…おはよ」
「なんだか少し眠そうですね?」
「あぁ、昨日寝不足してな」


42 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/28(金) 00:03:57.39 ID:zQZk3Fdw0


「どこまで聞いてます?」
「…一応の流れは把握しています」

 流れ、ねぇ。
それを柊から聞いたってことは
泉は結構詳細に柊に話してくれてしまったようだな。
女として一括りにするのはまた語弊がありそうだが、
こういった込み入った話を平気で友人に暴露するのが女性の性質の悪さだと思う。
そりゃ男だって話すだろう、そりゃ話すよ、一人じゃ辛いから、
だけど話されたほうも連絡網の如く話を回すんじゃねぇ、
なんで胸の内に留めて置けないんだよ。
人の口に戸は立てられぬといっても、しかし限度があるだろ、
だだ漏れは勘弁してくれよ。

「キョンさんは…、その…」

 先ほどまでの笑みがなりを潜める。
少し真剣な表情で、躊躇しながら少しずつ言葉を形作る高良。
…なにやら嫌な予感がする。


43 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/28(金) 00:04:58.88 ID:zQZk3Fdw0


 軽く上気した頬、なにを聞こうとしているのか高良は
まわりを少し見渡して、小さく咳払いをし、
こちらに顔を寄せて小さな声で一言言ってきた。

「キョンさんは同性愛者なんですか?」
「やっぱりかっ!」

 嫌な予感が大当たりした、
ボケの基本の繰り返しギャグか、そうですか。
打ち合わせしてんのかよ。 そこまで泉は話したのか? すげえ余裕じゃねえか、
学校こいよばかやろう


44 名前:こなた「まったく、キョンはツンデレだなぁ」 [sage] 投稿日:2009/08/28(金) 00:06:04.31 ID:zQZk3Fdw0


「本当ですか?」
「当たり前だ!」
「ふぅ、良かったです勘違いで」
「どこをどうしたらそんな勘違いに行き着くのか細かく教えていただきたいね
 場合によっては指導を頼みたいくらいだ」

 芝刈り機がないからホモってレベルの曲解だと思う。
というか大声をだしすぎた、周りが奇異な目でこちらを見てくる。
まぁ高良は人当たりが良くて委員長だからな、
俺が一人で騒いでるように映るかも知れん。
…やだなあそれは、流石に嫌だ。

「いえ、キョンさんの断った台詞が問題ですかね」
「流れって、そこまで伝わってたら本当にだだ漏れじゃねぇか」

 こりゃ柊に文句の一つでも言わなくては気がすまんぞ。
むしろ文句の一つ位で済まされることに感謝感激していただきたい。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/28(金) 02:07:51.54 ID:zQZk3Fdw0


「ではなぜそのようなことを?」

 あのようなこと。
 断った台詞。
 『俺は、恋愛に興味が無いから。正直気持ちには答えられない』
 理由?
 言う必要など無いし、義務もない。
 ただ、義理は、かろうじてあった。

「そのままの意味だよ、友達として仲良くしてる分には楽しい。
 高良とも柊姉妹とも、勿論泉とも、仲の良い友達だ、
 毎日くだらないことを話してるのはこの上なく楽しい。
 愉快だし、痛快だ。だけどそれに恋愛感情をこじつけたくはない、
 俺はそういった感情を抜きにお前達といままで付き合ってきたつもりだし、
 これからもそういった思考や意向や趣向を変えるつもりはない。
 俺は、男女だからってそういったファクター越しにしか
 物事を判断できない人間にはなりたくない。
 だから親友にはなれても恋人にはなれない。いまの所は、な」



ツイート

メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:キョン「憂鬱だ・・・」