1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:13:24.19 ID:W8pK0w+C0
キョン「ああ、親父の仕事の都合でな。数日後には出発だそうだ」
古泉「またずいぶんと急な話ですね……してどちらの方へ?」
キョン「何でもカナダだそうだ」
みくる「カ、カナダですかぁ!?」
キョン「ええ。短い間……でもないですが今までお世話になりました」
長門「……」
ハルヒ「……」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:15:27.93 ID:W8pK0w+C0
――出発当日 空港――
古泉「それではお元気で」
キョン「お前もな」
みくる「む、むこうに行ってもがんばってくださいね」
キョン「はい。今までありがとうございました」
長門「またすぐ会える」
キョン「ああ、だといいがな」
ハルヒ「……」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:17:40.55 ID:W8pK0w+C0
ハルヒ「キョン」
キョン「ん?」
ハルヒ「……これ」
キョン「これは……手紙か?」
ハルヒ「まだ見ちゃダメよ! 見ちゃダメなんだからね!」
キョン「分かった分かった」
ハルヒ「むこうに行ってから読みなさいよね! じゃないと死刑よ!」
キョン「ああ」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:20:01.96 ID:W8pK0w+C0
――飛行機 機内――
キョン「離陸まではまだ時間があるか」
キョン「……」スッ
キョン「見るなとは言われたが――非常に気になって仕方がない」
キョン「まあ今読んでもいいだろ」ペラッ
――キョンへ。まったく、我がSOS団の雑用係のくせに突然転校だなんて! 団員としての心構えがなってないわよ!――
キョン「はは……」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:22:15.35 ID:W8pK0w+C0
――まあそのことはこの際置いといて。アンタにずっと言いたかったこと、そしてどうしても言えなかったことを今伝えたいと思います――
キョン「ん?」
――アタシはあんたのことが好き。大好き。世界で一番アンタのことを愛してる――
キョン「!」
――アンタのことを考えると夜も眠れないくらいに好き。でもどうしても伝えられなかった――
キョン「……」
キョン「……ハルヒ」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:25:04.95 ID:W8pK0w+C0
キョン「……」
キョン「……俺は」
キョン「ハルヒ……くそっ」トントン
キョン「なんだよ親父、今それどころじゃ――」
キョン「…………なんですと!?」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:27:18.22 ID:W8pK0w+C0
キィィィィン……
古泉「行ってしまわれましたね」
みくる「……はい」
長門「……」
ハルヒ「……」
みくる「す、涼宮さん――その、キョンくんはいなくなっちゃいましたけど、えっと、元気出してくださいね?」
ハルヒ「な、何言ってんのよみくるちゃん! むしろアイツがいなくなってせいせいしたわ!」
長門(素直じゃない)
古泉「まあまあ、彼のことですから突然帰ってきたりするかもしれませんよ」
ハルヒ「フン! 帰ってきてほしいだなんてこれっぽっちも思わないわね!」
キョン「悪かったな」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:29:38.29 ID:W8pK0w+C0
ハルヒ「!」
みくる「!」
古泉「!」
長門「……」
ハルヒ「な――なんでアンタがここにいるのよ!」
キョン「あー、親父の転勤が急に取りやめになったそうでな。急いで飛行機から降りてきたわけだ」
古泉「それはそれは……」
みくる「ふぇぇ〜」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:32:06.05 ID:W8pK0w+C0
ハルヒ「! ――アンタ、さっきの手紙……も、もう読んじゃった?」
キョン「え?」
ハルヒ「もう読んじゃったのかって聞いてんのよ! 答えなさいよ!」
キョン(こ、これは……正直に読んだというべきなのか……! いやしかしっ)
ハルヒ「どっちなのよ! ま、まさかアンタ!」
キョン(こ、ここはとりあえず……!)
キョン「いやまだだ!まだ読んでないぞハルヒ!ほれ、ちゃんとここに!」
ハルヒ「まだなの!? だったら返しなさい!」バッ
キョン「あっ」
ハルヒ(よ、よかったぁ〜……! とりあえずアタシの純情は守られたわ……)
古泉「……」
長門「……」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:34:30.76 ID:W8pK0w+C0
――翌日 部室――
長門「涼宮ハルヒはあなたと離れたくないと強く願った。そのため転勤が中止となった」
キョン「やっぱりか。長門、お前ひょっとして」
長門「予測はしていた」
古泉「ふふっ、何はともあれよかったじゃないですか。あなただって転校するのは嫌だったのでしょう?」
キョン「……まあな」
みくる「わ、わたしはキョンくんが戻ってきてくれてとっても嬉しいですよ!」
キョン「朝比奈さん……ありがとうございます」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:36:57.98 ID:W8pK0w+C0
古泉「それよりも」
キョン「ん?」
古泉「気になるのはあの手紙のことですね。本当はお読みになられたのでしょう?」
キョン「!」
長門「あなたが嘘をついていたことは一目瞭然。気づかなかったのは涼宮ハルヒぐらいのもの」
みくる「えっ、えっ、あ、あれって嘘だったんですかぁ?」
長門「……訂正する」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:39:40.37 ID:W8pK0w+C0
古泉「とにかく、あなたが読んでないとおっしゃられた際にそれまで拡大を続けていた閉鎖空間が突然消滅するに至りました。機関としてもあの手紙は見逃せません」
キョン「む、むぅ。その、実はだな……かくかくしかじか」
古泉「なるほど、最後の最後に手紙で告白ですか……いかにも彼女らしい」
長門「手紙が読まれていないと思ったことで閉鎖空間が消滅したことにも納得がいく」
キョン「そうなのか?」
みくる「もぅっ、キョンくんは鈍感ですねぇ! 涼宮さんはもう会えないと思ったからこそ想いを打ち明けることができたんですよぉ?」
キョン「な、なるほど」
みくる「だいたいキョンくんはあんなにあからさまな涼宮さんの気持ちに今まで気づいていなかったんですよね!?」
キョン「え、ええ。まあ」
古泉「……やれやれ。鈍感亀の如し、と言ったところでしょうか」
長門「女の敵」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:42:22.66 ID:W8pK0w+C0
古泉「さて、少々特殊な形とはいえようやくあなたも涼宮さんの気持ちに気づくに至った訳です」
キョン「……あぁ」
古泉「そこで、です。あなた自身の気持ちはどうなのですか?」
キョン「俺自身の……?」
長門「涼宮ハルヒが恋愛感情を打ち明けるに至ったのもあなたがいなくなると思ったから。今後涼宮ハルヒ自身からあなたに告白するということはまずありえない」
古泉「そういうことです。あなたが彼女のことをどう思っているのか。いずれにせよ行動を起こすのであればあなたの方から起こさざるを得ないでしょう」
キョン「……」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:45:07.22 ID:W8pK0w+C0
キョン「俺がハルヒのことをどう思っているのか……実のところ自分でも良く分からん」
キョン「だが……気になる存在であるのは事実だ」
古泉「んっふ。それではとりあえずデートにでも誘ってみるのはいかがでしょう?」
キョン「デート!?」
古泉「ええ。休日のひと時を二人きりで楽しく過ごす。そうすればあなた自身の彼女への気持ちも明らかになるかもしれませんよ?」
長門「あなたから誘われれば涼宮ハルヒは必ず同意する」
みくる「そうですよキョンくん! 涼宮さんもきっと喜びます!」
キョン「朝比奈さんまで――分かりました。とりあえず遊びに誘うだけなら……」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:47:29.69 ID:W8pK0w+C0
バタン!
ハルヒ「ヤーホゥ! みんなそろってるー!」
古泉「これはこれは、おはようございます」
みくる「お、おはようございますぅ」
長門「……」
ハルヒ「全員いるわね、感心感心! ――キョン!」
キョン「あぁ」
ハルヒ「昨日はよくも大騒ぎさせてくれたわね! アンタは今まで以上に我がSOS団の雑用係として馬車馬のごとく尽くすよーに!」
キョン「へいへい…………所でだ、ハルヒ」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:50:08.86 ID:W8pK0w+C0
ハルヒ「何よ?」
キョン「あー、あのだな……その、今週の日曜日は空いてるか?」
ハルヒ「……? 特に予定はないけど」
キョン「もしだぞ? もしよかったらだな、俺とふ、二人きりで遊びに行くなんてのはどうだ?」
ハルヒ「……なな、何よそれ! まさかデ、デートにでも誘ってるつもり!?」
キョン「デートか……そのまさかだ」
ハルヒ「……! ///」カァァ
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:52:56.37 ID:W8pK0w+C0
ハルヒ「……いいわよ」
キョン「え?」
ハルヒ「行ってあげてもいいって言ってんのよ! 団員の休日における私生活を管理するのも団長の務めですからね!」
ハルヒ「でもあくまでそれだけなんだからね! べ、別にアンタなんかと、その……デ、デートしたいとかそんなんじゃないんだからね!」
キョン「あ、あぁ、もちろん分かってるさ」
古泉(素直じゃありませんね。その仮面は既にシースルーだというのに)
長門(ツンデレテンプレきたこれ)
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:55:53.94 ID:W8pK0w+C0
――日曜 いつもの場所――
キョン「よう」
ハルヒ「相変わらずおっそいわねアンタは! どんだけ待たせんのよ!」
キョン「待ち合わせ時間の10分前なんだがな……まあいい、行くか」
みくる「だ、大丈夫なんですかぁ!? こんなに近くに隠れてて見つかりませんかぁ!?」ヒョコ
長門「問題ない。涼宮ハルヒは有機生命体の概念で言うところの内心バクバク状態。そして鈍感王子の彼。気づかれることはありえない」ヒョコ
古泉「そういうことです。では尾行を開始するとしましょうか」ヒョコ
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 21:59:19.05 ID:W8pK0w+C0
――遊園地――
ハルヒ「遊園地ねぇ。来たのは小学生のとき以来かしら」
キョン「俺も久々だ。まぁデートの定番スポットではあるだろ」
ハルヒ「……! デ、デートなら確かにそうなのかも知れないわね!」
キョン「……? これはデートじゃないのか?」
ハルヒ「――っ! と、とにかくさっさと行くわよ!」
キョン「ちょ、待てよ!」
古泉「いきなり飛ばしてますね、彼」
長門「相手の気持ちが既に分かっている事から多少うわついた心理状態にある。そのためによる無意識的な言動の可能性が高い」
みくる「最後のアレってものまねのつもりですかね?」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:01:41.26 ID:W8pK0w+C0
ハルヒ「遊園地といえばまずはジェットコースターよね!」
キョン「マジでか。俺はあんまり得意じゃないんだが」
ハルヒ「乗るっていったら乗るのよ! しかもラッキーなことに一番前じゃないの!」
キョン「仕方ない……覚悟を決めるか」
長門「じぇっとこーすたー? これは何?」
古泉「何と言いますか、まぁスリルを楽しむ乗り物です」
みくる「まぁ一度乗れば分かりますよぉ。ほら動き出しますよ!」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:05:17.76 ID:W8pK0w+C0
ガタンガタンガタンガタン……
キョン「なぁハルヒ」
ハルヒ「何よ?」
キョン「やっぱり怖い」
ハルヒ「アンタそれでも男ぉ!? 情けないこと言ってんじゃないわよ!」
キョン「というわけでだ、手、握らせてくれ」ギュ
ハルヒ「……! なな何してん」
ガタン! ゴォォォォォォ……!
ハルヒ「キャァァァァァァーーー……!」
キョン「ぬぉぉぉぉぉぉーーー……!」
みくる「キャァァァァァーーー♪」
古泉「ふんもぉぉぉぉぉーーー……!」
長門「」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:09:39.02 ID:W8pK0w+C0
キョン「いやぁ予想以上だったな」
ハルヒ「まだ心臓がバクバク言ってるわ……」
キョン「何だ、やっぱりハルヒも怖かったんじゃないか」
ハルヒ「違うわよ! ア、アンタのせい」
キョン「ん?」
ハルヒ「……何でもないわ。次行くわよ次!」
みくる「楽しかったですねぇ♪」
古泉「ぼ、僕はもう遠慮したいですね……今にも吐きそうですよ……」
長門「有機生命体の思考が理解出来ないなぜ自らスリルなどと言うものを求めるのか
そもそもスリル即ち危険信号というものは自らを守ろうとする自己防衛本能から生ずるものであってこれを無視して危険に身を投じるというのは即ち危険が危なく危ないが危険で危険が危なく危なあぶあぶあばばばばばばばば」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:13:13.07 ID:W8pK0w+C0
ハルヒ「次はこれかしらね!」
キョン「コーヒーカップか。まぁこれならばのんびりと……」
ハルヒ「甘いわねキョン! これこそはどんな絶叫マシーンをも上回る遊園地最強かつ最凶の乗り物なのよ!」
長門「こーひーかっぷ?」
みくる「はい♪ この真ん中のハンドルを回すとカップの回る速度が早くなるんですよぉ」
古泉「僕には嫌な予感しかしませんが気のせいでしょうか」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:15:50.93 ID:W8pK0w+C0
グルグルグル……
キョン「ハルヒ! お前回しすぎじゃないのか!」
ハルヒ「いーのいーの! これがコーヒーカップの醍醐味なんだから!」
キョン「やれやれ……しょうがないな」ギュ
ハルヒ「っ! キョ、キョン! なな何アンタだだだ抱きついててて」
キョン「遠心力で今にも飛ばされそうだからな……緊急避難だ」
キィィィィィン――!
みくる「そーれ♪ そーれ♪ 秘技禁則事項回しぃ〜♪」
古泉「ととと飛ぶぅ吹っ飛ばされるぅぅぅぅぅぉぉぁぁぁぁぁぁ…………!」
長門「」ブクブク
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:19:25.55 ID:W8pK0w+C0
キョン「さてと、そろそろ昼飯の時間だな」
ハルヒ「ええ……そうね……」ドキドキ
キョン「どうしたハルヒ。さっきまであんなにはしゃいでたのに」
ハルヒ「誰のせいよ誰の……」ドキドキ
みくる「お二人とも早く起きないと涼宮さんたち行っちゃいますよぉ〜?」
古泉「こ、今度ばかりは死を覚悟しましたよ……」
長門「あ、朝比奈、み、みくるをて、てて敵性とははは判だンウオェェ!」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:23:22.25 ID:W8pK0w+C0
――レストラン――
キョン「何でも好きなもん頼めよ、ハルヒ」
ハルヒ「言われなくてもそーするわよ! あと当然朝遅かったアンタのおごりね!」
キョン「ははっ、勿論だ。まさか可愛いお姫様に払わせたりするもんか」
ハルヒ「っ……! かっ、可愛いってアンタ!」
キョン「もちろんお前のことだ、可愛いハルヒ」
ハルヒ「〜〜〜! ///」カァァァァ
長門「どりんくばー?」
古泉「決まった料金を払えば飲み放題になるサービスのことです」
長門「!」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:27:11.61 ID:W8pK0w+C0
ハルヒ「ちょ、ちょっとお手洗いに行ってくるわ!」タッタッタ……
キョン(ハルヒのやつ、あんなに顔真赤にしちまって)
キョン(可愛いとこあるじゃないか)ククッ
古泉「普段の彼からは想像もつかない言動ですね」
みくる「あまりに今までがアレだったせいで加減がわかんないんですかねぇ」
店員「お客様、いくらご自由にとは言いましても既に店内のドリンクの在庫が切れてしまいまして……」
長門「私は客。早急に更なるおかわりを要求する」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:30:02.35 ID:W8pK0w+C0
――女子トイレ――
ハルヒ「……うぅ、まだドキドキしてるわ……」ドキドキ
ハルヒ(それにしても今日のキョンはおかしい……いくらなんでも積極的過ぎる)
ハルヒ(いえ、そもそもこの前デートに誘われたのだって――)
ハルヒ(――! まさか手紙! そ、そうよきっとそうよ! だったらもうキョンの気持ちを確かめるしか……)
ハルヒ(でも、もし違ったら……)
ハルヒ(……)
ハルヒ「……もう、アタシの心臓がドキドキで破裂したら弁償してもらうんだからね!」ドキドキ
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:33:24.96 ID:W8pK0w+C0
キョン「さて、食べ終わったしそろそろ行くか」
ハルヒ「……ええ」
キョン「どうしたハルヒ、さっきから元気がないな」
キョン「俺はいつもの元気なお前が好きなんだがな」
ハルヒ「う……」ドキッ
ハルヒ(やっぱりおかしい……このままモヤモヤしてるのは嫌……)
古泉「おそらく園内中のドリンクが飲まれてしまったのではないでしょうか」
みくる「お店の人泣いてましたもんねぇ」
長門「腹ン中がパンパンだぜ」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:36:13.22 ID:W8pK0w+C0
――――……
キョン「そろそろ閉園時間だから次が最後だな。ハルヒ、何に乗りたい?」
ハルヒ「……あれ」
キョン「観覧車か。よし、乗るか」
古泉「シメは観覧車ですか。定番ですね」
みくる「ここの観覧車はかなり大きいですねぇ。一周するのに時間がかかりそうです」
長門「……」ブルッ
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:39:29.58 ID:W8pK0w+C0
ハルヒ「……」
キョン「結構高いところまで行くんだな。いい景色だ」
ハルヒ「……ねえキョン」
キョン「ん?」
古泉「長門さん? なにやら酷くプルプルされているようですが」
長門「下腹部に未曾有のレベルのTUNAMIが押し寄せてきている」プルプル
みくる「つまりはオシッコがしたいってことですねぇ♪」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:43:15.94 ID:W8pK0w+C0
ハルヒ「アンタさ、その――ホントは手紙、読んだ……?」
キョン「!」
ハルヒ「やっぱり――おかしいとは思ってたのよ。明らかにいつものアンタじゃなかったしね」
キョン「その……すまん」
ハルヒ「ううん、いいの。こんなコトでもないときっとアタシは想いを伝えられなかった。心のどこかでこうなることを望んでたのかもね……」
キョン「……」
長門「もはやダムは決壊寸前。窓から放尿する」プルプル
古泉「本気ですか!? 下から見られてしまうかもしれませんよ!?」
長門「観覧車が最も高い位置に達したときに全てを解き放つ。この高さなら下からは見えない」プルプル
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:46:46.70 ID:W8pK0w+C0
ハルヒ「……ねえキョン」
ハルヒ「アタシの気持ちはあの手紙の通りよ。アンタが好き。どうしていいか分かんないくらい」
ハルヒ「アンタはどうなの……?」
キョン(俺の気持ち、俺の答え――あの日からずっと考えていた)
キョン(そして見つかった? いや見つかったなんてわけじゃない)
キョン(……最初から分かっていた。最初から答えは出ていたんだ)
キョン(子供じみた意地やら気恥ずかしさやらで――直視しなかっただけだ)
長門「目標地点まであとわずか。発射スタンバイ」スルッ
みくる「古泉くん見ちゃだめぇ〜!」
ガッシ! ボカッ!
古泉「オウフッ!」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:50:20.12 ID:W8pK0w+C0
キョン「ハルヒ」
ハルヒ「……うん」
キョン「ありがとうな」
ハルヒ「え……?」
キョン「俺をSOS団に誘ってくれてありがとう。毎日なんだかんだと――そりゃ面倒なこともあるが――面白いことに巻き込んでくれてありがとう」
キョン「野球大会や合宿、映画撮影なんかにも参加させてくれてありがとう。寝てるときにカーディガンをかけたり傘に入れたりしてくれてありがとう」
キョン「手紙をくれてありがとう。今日一緒に来てくれてありがとう。気持ちを伝えてくれてありがとう」
キョン「そして」
キョン「俺のことを好きになってくれてありがとう」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:52:43.24 ID:W8pK0w+C0
キョン「お前がしてくれたことのおかげで俺の毎日はとても愉快なものになった」
キョン「俺はこんな性格だからな。自分から何かしよう、何か起こそうだなんて思うことはまずない」
キョン「はは……俺はお前に与えられてばっかりだ」
キョン「いいかげんに俺からもお返しをするときだよな」
キョン「……ハルヒ」
ハルヒ「……」
キョン「俺はお前が好きだ。大好きだ。お前を愛させてほしい。ずっとそばにいさせてほしい」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:55:08.25 ID:W8pK0w+C0
ハルヒ「……」ポロッ
キョン「ハルヒ?」
ハルヒ「……よ、よかった、よかったよぉぉ」ポロポロ
ハルヒ「も、もし、だ、だめだったら、もう、もうキョンとはいっしょにい、いられないとおもって……ひぐっ」ポロポロ
キョン「大丈夫だ、俺はずっといっしょにいる」ギュ
ハルヒ「ぐすっ……ぜ、ぜったいよ、ぜったいなんだからね」ポロポロ
キョン「ああ、約束する」
ハルヒ「うぅぅ……うれしいよぉ……うれしいよぉ……うえぇぇぇ」ポロポロ
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 22:58:30.79 ID:W8pK0w+C0
キョン「落ち着いたか?」
ハルヒ「……ええ。恥ずかしいとこ見せちゃったわね」
キョン「いや。可愛かったぞ」
ハルヒ「ま、またアンタはそうやってすぐ調子に乗るんだから……!」
キョン「……ははっ」
ハルヒ「ふふっ」
キョン「ん――見てみろハルヒ。虹だ」
ハルヒ「ホント――綺麗ね。でも今日雨なんか降ってなかったのに……」
長門「溜まりに溜まった私の中のよからぬものが排出された。今この瞬間、気持ちいいという感情を理解した」
みくる「露出&放尿プレイでまた人間へと一歩前進! やったねゆきちゃん!」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 23:02:43.25 ID:W8pK0w+C0
ハルヒ「ねえキョン」
キョン「ん?」
ハルヒ「もうどっか行っちゃやだよ?」
キョン「ああ」
ハルヒ「また転校なんて言い出しちゃダメなんだからね?」
キョン「今度は親父と喧嘩してでも転校なんて止めさせてみせるさ」
ハルヒ「……よし♪」
ハルヒ「もうすぐ一番下ね――――ねぇ、もう一周このままでいさせて……」ギュッ
古泉「どうやら降りずにもう一周するようですね」
みくる「あ、目が覚めたんですね。じゃあ私たちもこのままもう一周しちゃいましょうか」
長門「…………第二波」ブルッ
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 23:06:10.45 ID:W8pK0w+C0
古泉「結局長門さんは再びトップオブザワールドですか。僕も再度気絶させられてしまいましたし」
みくる「でもでも、長門さんが作った虹のおかげでキョンくんたちもいいムードになったみたいですし」
長門「いい事をした後は気持ちがいい」
ハルヒ「さあって! また明日からもSOS団を世界に知らしめるべく大いに活動していくわよ!」
キョン「一日中遊んだにも関わらず元気が有り余ってるなお前は」
ハルヒ「雑用係の分際でごちゃごちゃ言わないの! …………それに元気な方が好きって言ったのはアンタじゃない」ボソッ
キョン「え? 最後の方がよく聞き取れなかったんだが」
ハルヒ「なんでもないわよ! それよりキョン、出口まで競争よ! 負けた方がジュースおごりね! ヨーイドン!」ダッ
キョン「あっ、おい! ……やれやれ、やっぱりお前はそうでなくっちゃあな」
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 23:11:29.25 ID:W8pK0w+C0
みくる「それにしても涼宮さん幸せそうですね〜」
長門「彼の方も同様」
古泉「めでたしめでたし、といったところですね」
ハルヒ「キョン!」クルッ
キョン「?」
ハルヒ「もうゼッタイゼッタイ離さないんだからね!」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/09(土) 23:14:10.89 ID:W8pK0w+C0
とりあえずこれで終わりです
拙い作品でしたが少しでも楽しんでいただけたなら幸いです
ここまで読んでいただきどうもありがとうございました