12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 16:28:15.10 ID:t0zmuEc4O
キョン「朝比奈さんが倒れただと!?」
ハルヒ「そんな…みくるちゃんまで…どうして」
ハルヒの動揺が大きい
…長門に続いて朝比奈さんまでもが倒れたわけだからな…無理もない
古泉「幸い…と言っていいものかわかりませんが…命に別状はないそうです」
キョン「…そうか」
だが何故だ?…あのときの誘拐事件や長門のときとは違い、ハルヒは知っていた
なのに何故こんなことが起きたんだ…
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 16:47:18.85 ID:t0zmuEc4O
古泉「…気をつけて下さい」
キョン「…ああ」
古泉「順番からいって次に狙われるのは僕かあなたになる可能性が高い」
…確かにな。朝比奈さんが狙われることは正直想定外だった
いや、油断していたと言うべきか
古泉「我々機関は朝比奈さんの護衛を怠らなかった…」
キョン「…なのに…何故こんなことに…」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 17:09:08.47 ID:t0zmuEc4O
ハルヒ「ちょっと!何をこそこそ話してんのよ!」
キョン「いや、何でもない…すまんな」
ハルヒ「それで…みくるちゃんの入院してる病院は何処だかわかるの古泉くん?」
古泉「…ええ。僕の知り合いの方が運営している系列の病院です」
要するに『機関』の関係する病院なわけだ。俺も世話になったこともある。信頼していいだろう
ハルヒ「キョンも入院してたことがあるあの病院ね」
古泉「はい。僕には専門的な事は言えませんが…信頼出来る方たちです」
ハルヒ「…うん。それはわかるけど……」
ハルヒの不安を取り除くまでには至らないわけだな…当たり前か
俺だって何がなんだかわからずに混乱しているんだ
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 17:35:06.24 ID:t0zmuEc4O
ハルヒ「有希にも連絡してみたんだけど、まだ具合がよくないらしいの」
回復に時間はかかるが心配はいらないと長門は言っていた
だからってそうですかと心配しない何てことにはならないが
ハルヒ「あの娘…ひとり暮らしだから何かと大変だと思うの…」
いっこうに回復しない長門を自分が泊まり込んで面倒をみると言っていた矢先にこれだからな
キョン「ハルヒ、お前は予定通りに長門の面倒をみてやってくれ」
ハルヒ「…うん。有希もみくるちゃんも心配だもんね…」
古泉「朝比奈さんの事は専門家と僕たちにお任せ下さい」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 17:56:13.12 ID:t0zmuEc4O
キョン「…古泉」
古泉「…ええ。その話はまた改めて」
ハルヒ「あの娘、ちゃんとしたもの食べてないかもしれないから買い物してから行くことにするわ」
キョン「お前の気合いの入った料理を食べれば長門ならすぐに良くなるさ」
ハルヒ「有希もみくるちゃんもあたしにとっては…そうね…妹みたいなものだから」
ハルヒにとって、もはやSOS団はなくてはならない存在なのだろう
それは俺も同じことだが
古泉「では、長門さんの事は涼宮さんにお任せして僕たちは病院に向かいましょう」
ハルヒ「みくるちゃんが大丈夫かちゃんとあたしにも連絡してよね」
キョン「わかっている。お前が心配している事もちゃんと伝えるさ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 18:20:10.88 ID:t0zmuEc4O
キョン「長門の困った姿が目に浮かぶな」
古泉「ええ。涼宮さんは長門さんに対しては特にお優しいですからね」
確かにハルヒは長門にだけは甘いような気がするな
キョン「まあ、あいつに任せておけばどんな病気だってたちどころに逃げ出すだろうさ」
古泉「正確には病気ではありませんけどね。でも同意しますよ」クスッ
キョン「それで…さっきの続きだが…」
古泉「…確か…藤原と言いましたか…彼が関係しているようです」
キョン「やっぱりあいつか…」
俺の脳裏にいけすかない顔が思い浮かんだ
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 18:42:09.96 ID:t0zmuEc4O
ハルヒ「大体、有希はカレーとかレトルトばかり食べてるから一向に良くならないのよ」
長門「…必要な栄養は充分とって…」
ハルヒ「量だけの問題じゃないわよ?まあ、あたしに任せて有希はゆっくりと寝てなさい」
長門「………」パクパク
ハルヒ「食欲はあるようで安心したわ。でも治るまではあたしがついていてあげるから」
長門「大丈夫だから…」
ハルヒ「いいの!あたしがそうしたいからそうするだけなんだから」
ハルヒ「迷惑だって言っても帰らないからね!どうしても帰ってほしいならとっとと治しちゃいなさい!」
長門「…ありがとう」ボソッ
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 19:01:12.20 ID:t0zmuEc4O
藤原「次は…涼宮かそれともあいつか…」
橘「どちらが先でも構わないわ。でもやらないといけないの」
藤原「まったく…結果が同じなら過程はどうでもいいとはいえ…」
橘「あたしに愚痴られても困ります。そう決まっているんだからしょうがないでしょ」
藤原「…やれやれ」
橘「あ!…ちょっとあの人に似てるわね」クスクス
藤原「…冗談じゃない」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 19:19:53.18 ID:t0zmuEc4O
キョン「朝比奈さん!起きていて大丈夫なんですか?」
みくる「ありがとうキョン君。それに古泉くんも」
予想していたよりもずっと元気そうで安心した
古泉「涼宮さんも大変心配なさってましたよ。それに長門さんも」
みくる「みんなに心配かけちゃいましたね…」
キョン「構いませんよ。いや、むしろ朝比奈さんの事ならいくらでも心配しますとも」
みくる「キョン君ったら」クスクス
良かった…本当に元気そうで。ハルヒにも連絡してやらないとな
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 19:37:20.79 ID:t0zmuEc4O
ハルヒ「良かった…有希が良くなったら一緒にお見舞いに行くからってみくるちゃんに言っておいて」
キョン「ああ。長門も大丈夫そうだしこれで一安心だな」
ハルヒ「まったく…二人ともSOS団としての自覚が足りないのよね!」
ハルヒがらしさを取り戻したのが何より二人が大丈夫な事を物語っているだろう
キョン「長門に嫌がられないようにほどほどにしとけよ」
ハルヒ「何よそれ!大体あんたはいつも一言多いのよ!それにね―――」
藪蛇だったな。だがまあ…いつものハルヒに俺は安心していた
…これを油断だと言うのは厳しすぎると俺は思うが
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 20:21:15.14 ID:t0zmuEc4O
みくる「涼宮さんどうでしたか?」
キョン「本当に心配してましたからね。戻ったら覚悟した方がいいかもしれませんよ?」クスッ
みくる「脅かさないで下さいよキョン君」クスクス
キョン「安心したんですよ俺もハルヒも」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 20:49:01.58 ID:t0zmuEc4O
キョン「詳しく聞かせてもらっても構いませんか朝比奈さん」
みくる「はい。昨日の帰りのことなんですけど」
古泉「長門さんのお見舞いからの帰り…ですね」
みくる「ええ。七時をちょっと過ぎたぐらいだったと思います」
七時ちょい過ぎ…別れてすぐだな
くそっ!なら俺もまだ近くにいたのかもしれなかったのに
言いようのない怒りが起こる。…今更言っても意味はないのはわかっているのに
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 21:09:23.01 ID:t0zmuEc4O
コンコン
控え目なノックの音に朝比奈さんがこたえる
みくる「はい。どうぞー!」
ガチャ
キョン「お前たち!」
何でこいつらがここにいる!?朝比奈さんの護衛をしている機関の人間は何をしているんだ!!
藤原「…ふん。あんたと古泉一樹だけか」
橘「涼宮さんがいないのは都合がいいわ」
キョン「…よくも俺たちの前に顔を出せたものだな」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 21:52:47.71 ID:t0zmuEc4O
橘「あなたが怒っている理由は想像がつきます」
キョン「なら!」
橘「でもね…そこの朝比奈みくるさん…それに古泉さん。本当に信じてもいいのかしら?」
またその話か!俺は朝比奈さんも古泉も信じている。SOS団は俺にとっても特別なものだからな
キョン「…お前らの何を信じろと言うんだ」
藤原「くっくっく…」
橘「藤原くん!!……ごめんなさいね」
…どうする?ここでこいつらをふん縛っちまうか
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 22:42:21.78 ID:t0zmuEc4O
橘「あなたはきっとこう説明されたと思うの」
橘「あたしと藤原くんが朝比奈みくるさんを襲ったと」
キョン「事実その通りなんだろう?何がおかしい」
橘「…あなたに信じてもらうのは難しいことだけど…」
藤原「あんたは騙されてるんだよ…そこの朝比奈みくると古泉一樹にな」
みくる「キョン君!その人たちの話は聞かないで!」
…朝比奈さん?
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 23:12:45.29 ID:t0zmuEc4O
キョン「朝比奈さんどうしたんですか?心配しなくてもこいつらの言うことなんか――」
橘「…朝比奈みくるさん」
みくる「………」
何だ?何かがおかしいぞ?
橘「あなたの体に何か傷の痕でもありますか?」
キョン「何を言って――」
藤原「ここは古泉一樹の一派の病院なんだろ?」
キョン「…それが何だ?」
藤原「…そういうことさ」
珍しく真面目な顔で話していたかと思うとすぐに俺人を見下した顔に変わりやがった
…だが、何だ?この嫌な感じは
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 23:24:01.84 ID:t0zmuEc4O
キョン「何がそういうことなんだ」
ちょっと…いや、かなりムカついていた俺の声が病室に響く
藤原「だからそこの朝比奈みくるに外傷が有るのかと聞いているんだ」
キョン「…?……朝比奈さん?」
みくる「それは…」
橘「あたしたちに襲われたのよね朝比奈さん?」
何だ?何が言いたいんだこいつらは
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 23:43:33.50 ID:t0zmuEc4O
古泉「ここは病室ですよ、お静かに」
藤原「くっくっく…何を焦ることがあるんだ?」
…そうだ。いったい朝比奈さんも古泉も何を焦っているんだ
橘「…確かにあなたに朝比奈みくるさんの体を調べることは出来ないでしょうしね」
キョン「な!…当たり前だ!大体俺が朝比奈さんの何を調べるって言うんだ」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 00:04:48.57 ID:3YWpuurvO
橘「だから、あたしたちが朝比奈みくるさんを襲ったのなら何かしらの傷があってもおかしくないでしょう?」
藤原「そして診察したこの病院は古泉一樹の息のかかる勢力だ」
キョン「…あの時みたいに無傷でもおかしくはないだろう」
橘「…そうね。でも」
何だ?何なんだ!?…俺は何を考えているんだ
やめろ!こいつらの言葉に耳を貸す必要などない!!
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 00:17:55.86 ID:3YWpuurvO
橘「あたしたち―――」
キョン「やめろ!」
みくる「キョン君…」
何を迷う必要がある?今まで俺は何を見てきたんだ。誰と一緒にここまで来たんだ
藤原「だから言っただろ。こいつに話しても無駄だとな」
橘「…後ひとつだけ聞いて」
キョン「…何だ?」
橘「長門有希さん。彼女も朝比奈みくるさんや古泉さんと同じなのよ」
キョン「…ここは病院だ。今日は帰ってくれ」
今の俺にはこれだけを言うのが精一杯の事だった…情けねえ
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 00:30:10.01 ID:3YWpuurvO
それから俺は…朝比奈さんとも古泉ともその話について触れることはなかった
聞けば疑うことになるようで聞けなかった…いや、違うな
信じていたかったんだ。お互いにな
機関の人に家まで送ってもらった俺は…やっぱり考えることをやめることは出来なかった
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 00:46:42.96 ID:3YWpuurvO
…朝比奈さんに外傷云々はまあいい
何故あいつらが朝比奈さんの病室まで来れたのか
あいつらが来てからの朝比奈さんと古泉の様子がおかしかったこと
それに…長門のこと
キョン「くそっ!…最低じゃないか俺は」
疑っているんじゃない。疑問なだけだ…
そう自分に必死に言い聞かせる姿はさぞや滑稽なものにうつるんだろうな
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 00:59:44.19 ID:3YWpuurvO
キョン「長門に…いや、ハルヒにか…」
長門にかければそれは疑うことに繋がる
だが、ハルヒに様子を伺うだけなら…
キョン「言い訳だよな…やっぱり」
なに、ちょっと様子を伺うだけだ
長門が気になるのは本当の事だしな
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 01:33:31.32 ID:3YWpuurvO
キョン「ハルヒ。どうだ?長門の様子は」
ハルヒ「今は眠っているわよ。どうしたのよ?何かあったの?」
ハルヒに病院での出来事を話すわけにはいかない
キョン「いや…お前がやたらと張りきっていたから長門は大丈夫かな…とな」
ハルヒ「ほお〜。そんなに気になるなら今度あんたが病気になったらあたしがつきっきりで看病してあげるわ」
キョン「あ〜えーと…だな…」
ハルヒに変わった様子はなかった
俺は…信じるべき者たちを信じて眠りにつくことにした
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 01:46:08.54 ID:3YWpuurvO
夢を見た気がする
ハルヒと…佐々木のだな…
そう言えば今日の事に佐々木は関わっているんだろうか?
橘京子と藤原だけの事であってほしい
…ん?長門に周防九陽
朝比奈さんに藤原
古泉に橘京子…
…なら俺は何だ?
ただの…普通の高校生なのはわかる
だが、ハルヒと共に俺は鍵だと古泉も長門も朝比奈さんも言う
なら佐々木にも鍵となる奴がいるのか?
それとも…俺は佐々木を知っている。もちろん佐々木も俺を
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 06:16:15.61 ID:3YWpuurvO
ハルヒ「ふっふっふ…よくもあたしの前に顔を出せたものね」
キョン「しょうがないだろう。お前の前の席なんだから」
ハルヒ「今日は一日中あたしの元気をわけてあげるから」クスクス
…授業中、後ろからえたいのしれない威圧感のようなものを感じながらもいつもの平和な時間に少し心が和む
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 08:25:51.69 ID:3YWpuurvO
ハルヒによると、長門は随分と良くはなっているらしいのだが大事をとって今日も休ませたそうだ
あの雪山での一件以来本当に長門には甘いと言うか優しいと言うか…いや、最初からだったか?
朝比奈さんもまだ退院はしていないし今日もお見舞い組と看病組に分かれるんだろうな
…長門は女の子なわけだからハルヒが行って泊まり込むのが利に叶っているわけだ
長門にとってはどうなのかはわからんが
だが…人の優しさに触れるのは良いことだと俺は思う
それこそが長門に必要な事だと思えるからだ
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 08:45:46.96 ID:3YWpuurvO
古泉「あの様子だと朝比奈さんも直に退院出来ると思いますよ」
ハルヒ「まったく…まあ、有希とみくるちゃんが戻ってSOS団が勢揃いしたらまた忙しくなるから!」
勘弁してくれ…俺はいつもの嬉しい杞憂な時間に浸っていたわけだが
キョン「今日はちょっと用事があってな。すまんが朝比奈さんの見舞いは任せてもいいか?」
古泉「…ええ…構いませんよ」
ハルヒ「ちょっとキョン!みくるちゃんのお見舞いに行かないなんて本当に大事な用事なんでしょうね?」
キョン「ああ…すまないな」
ハルヒ「…まあいいけどさ。…あんた…大丈夫なの?」
キョン「…何がだ?」
ハルヒ「…ううん。いいわ」
流石にこいつに隠し事は難しいな。…古泉は薄々わかっているようだしな
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 09:18:52.59 ID:3YWpuurvO
キョン「いきなり呼び出してすまなかったな」
佐々木「なに、気にすることはないさ。僕も君に会えることは悪くは思わない」
俺のいきなりの呼び出しにも佐々木は心よく応じてくれた
ひょっとしたら誰か一緒にいるかもと思っていたんだが佐々木はひとりだった
キョン「何故いきなり呼び出したのか見当はついているのか?」
佐々木「さて…どうだろうね」クスクス
こいつと探り合いをしても敵わないことは中学の頃から重々承知している
キョン「単刀直入に聞く。今回の事にお前は関わっているのか?佐々木…」
佐々木「………」
頼む…関わっていないと答えてくれ
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 09:52:30.10 ID:3YWpuurvO
佐々木「僕は直接は関わっていない。だがまったくの無関係かと言えばそうではないだろうね」
キョン「それは…例の力が云々のことか?」
佐々木「うん。橘さんたちがやっている…やろうとしている事を僕は知らないんだ」
キョン「今もお前はあいつらを信用しているのか?」
佐々木「前にも言った通りに彼女らとの付き合いはそう深いものとは言えないと思うよ」
キョン「俺にとっては最早SOS団はなくてはならない存在となっている」
佐々木「僕も橘さんたちがそういう存在になってほしいと思っているんだよ。君の意には添わないのだろうけどね」
こいつにはこいつの付き合いがあるのは当たり前だ。口出しは出来ないのかもしれない
俺は佐々木がどういう奴かはわかっているつもりだ
とにかく今回の事に関わっていないだけでも良かったと思おう
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 10:04:08.85 ID:3YWpuurvO
橘京子たちの言葉を本当だと想定するなら…
長門が倒れたこと
朝比奈さんが襲われたこと
古泉の病院の手配
これらが全てウソになるのか?
やっぱりまるでわからん。何の意味があるんだそれらに
いや、疑うな…疑うな……長門には何度助けられた
朝比奈さんには…お互い様なところもあるが何より癒されているしな
古泉は…本当の古泉とはどんなものなのだろうか
だが、一度だけ機関を裏切ってもいい…あれは本当の古泉の言葉だと俺は思う
143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 10:26:54.96 ID:3YWpuurvO
さて、どうする…
このまま流れに身をまかせるか…
自ら選択をするか
元々俺は…少し離れたところからの傍観者を望んでいたはずだ
面白いことに少しだけ関われたらいい…そう考えていたはずだ
だが…出会ってしまった
涼宮ハルヒに…
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 10:48:30.16 ID:3YWpuurvO
最初はみんな違ったんだ
古泉は使命
朝比奈さんは指令
長門は存在そのものが
だが今は違う
それぞれが自らの意思でハルヒと関わっている
あいつを大切だと考えている
なら俺は…
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 11:13:01.92 ID:3YWpuurvO
集まってもらってすまないな。だが、俺から呼び出したのは初めてなんだ。一度ぐらいかまわないだろ?
橘「あたしは全然かまわないわよ。むしろ話をする機会をくれて嬉しいくらいです」
藤原「話してどうなるとも思えんがな」
古泉「…僕はあなたを信頼しています。その気持ちに嘘はありません」
キョン「俺は…ハルヒを大切に思う」
橘「え?…いきなり告白タイム?あたしたちに?」
キョン「じゃなくてだな…長門や朝比奈さん…それに古泉。お前の事も大切に思っている」
古泉「まさかあなたからそんな言葉を聞けるとは…正直嬉しく思います」クスッ
藤原「くだらない友情ごっこなら自分たちだけでやってくれ」
キョン「お前はどうなんだ?」
藤原「何がだ?」
キョン「佐々木はお前の事も大切だと言っていたぞ」
藤原「………」
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 11:45:44.17 ID:3YWpuurvO
橘「あたしは佐々木さんの事はひとりの友人としても大切に思っているわ」
キョン「そうか。なら何故ハルヒの力を佐々木に渡そうとするんだ?」
橘「それは…佐々木さんなら大丈夫だと思うから…」
橘「自分の望むように世界を変えてしまえる力。普通の人がそんな力を手に入れたらきっと自分の為にそれを使うでしょうね」
橘「けど佐々木さんはそんなことはしない。あたしにはわかるの。理由はわかるからとしか言えません」
キョン「多分…古泉がいろいろとわかってしまうと言った事と同じなんだろうな」
古泉「…おそらくは。本当に理由はないんです。ただわかるとしか」
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 12:12:35.41 ID:3YWpuurvO
キョン「確かに佐々木がそんな力を持ったところで自分の為に使うとは思えない」
橘「ならやっぱり佐々木さんに――」
キョン「だが佐々木はその力の存在に気付いてしまっている」
橘「それが何か?だって、あなたも認めたじゃないですか。佐々木さんなら悪用しないって」
キョン「俺たちはハルヒと…その奇行に付き合ってきた」
橘「だから!…佐々木さんならそんな苦労もしなくて済むじゃないですか」
キョン「俺は長門の事もずっと見てきた」
長門「………」
キョン「違うんだよ。…人間はそんなふざけた力の存在には耐えられないんだ」
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 12:39:41.02 ID:3YWpuurvO
橘「…言ってる意味がよくわかりません」
古泉「普通の人間なら…自身の為に力を使うでしょうね」
キョン「ああ。それが身の周りの事だけに終わるか…自分の正義や信念を世界に押し付けるまでになるかはわからないがな」
古泉「そして…いずれは神の力が自身を孤独にするでしょう」
橘「だから佐々木さんならそんな風には使わないでしょ?」
キョン「佐々木は人間なんだよ。神じゃないんだ」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 12:58:15.19 ID:3YWpuurvO
古泉「どんなに出来た人間であっても人には知られたくない感情のひとつやふたつはあるものです」
キョン「佐々木が望まなくても…思ってしまうだけでそれは叶ってしまうかもしれない」
橘「………」
キョン「ある時疑問に思うだろう。自分にとって大切な人たちは本当に自分の意思で自分と居てくれているのかとな」
古泉「…そうなってしまったらおしまいです。誰も信用出来なくなります。いや、自分が信用出来なくなる…ですかね」
キョン「お前たちは佐々木にそんな思いをさせるつもりか?」
橘「それは…」
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 13:10:06.33 ID:3YWpuurvO
橘「でも…それなら涼宮さんだって同じことじゃないですか」
キョン「あいつは自分にそんな力があることは知らない。それに…」
長門「彼女は孤独にはならない」
橘「もし、何かの手違いで知ってしまえばどうするんです」
キョン「考えていたんだ」
橘「…何をですか?」
キョン「お前さんと古泉。朝比奈さんと藤原。長門と周防…そしてハルヒと佐々木」
橘「対になる存在と言えるでしょうね。それが何か?」
キョン「俺だけが対になる存在がいないんだ」
橘「それは…涼宮さんにとっても佐々木さんにとってもあなたが鍵だから…」
166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 13:16:01.20 ID:3YWpuurvO
キョン「おかしな力の出処は知らない。だが…きっかけは俺らしい」
みくる「ジョン・スミスでしたね…確か」
キョン「そうです。俺だけがハルヒに選ばれたらしい」
長門「彼だけが涼宮ハルヒの力に変えられることのない…唯一の存在」
171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 13:29:43.52 ID:3YWpuurvO
橘「でも!…それなら佐々木さんもきっとあなたを…」
キョン「時間は流れているんだ。佐々木は…自分にも自分の時間があると言った」
古泉「そしてあなたたちが大切だと話したわけですね」
橘「…つまり、あなたは佐々木さんではなく涼宮さんを選ぶと?」
キョン「俺は今SOS団の一員なんだ」
キョン「朝比奈さんや藤原と違って俺には未来の事はわからない」
キョン「だが…今の積み重ねがこれからを創っていくんだ」
長門「わたしもそれを選んだ」
古泉「人間ならそうあるべきです。未来の為に今を頑張る。過去を学ぶ。過去を悔いても未来に繋げる」
キョン「お前たちが佐々木を大切に思い信頼してるように、俺たちはハルヒを信頼している」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 13:43:18.05 ID:3YWpuurvO
橘「…結果、沢山の人が涼宮さんにふり回されているわ」
キョン「だが、現実として今がある」
古泉「森さんや新川さんも涼宮さんの事をひとりの知った少女として気にいっていると言っていましたよ」
橘「だけど…」
藤原「そこまでだ橘」
橘「藤原くん…」
藤原「言っただろ?こいつらと話しても無駄だと」
古泉「…わかってはもらえませんか」
藤原「そうじゃない」
キョン「なら」
藤原「同じ事なんだよ佐々木だろうが涼宮だろうがな」
橘「それならやっぱり過去に戻って佐々木さんに」
藤原「わざわざ佐々木にそんな重荷を背負わせる必要はない」
橘「藤原くん…」
藤原「言っただろ?同じだと。こいつらと僕たちはな」
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 13:56:43.92 ID:3YWpuurvO
古泉「あなたたちが佐々木さんを守るのも…」
みくる「あたしたちが涼宮さんを守るのも…」
長門「そして彼は今を選んだ」
キョン「すまんが…俺たちにまかせてくれんか」
キョン「もしハルヒのバカがおかしな世界に変えちまっても俺が元に戻してみせる」
長門「事実、彼はそうしてきた。わたしは彼を信頼している」
橘「確かに話すだけ時間の無駄だわね」クスッ
橘「正直言ってあたしはあなたのことを深くは知りません」
橘「だから…あなたを信じる佐々木さんを信じることにします」
キョン「俺には何の特別な力もないが…決めたんだ」
九曜「―――あなたは――――特別―――――――――――――」
みくる「そうですよキョン君。力とか関係なくあなたはあたしたちにとって大切な人です」
184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 14:09:47.60 ID:3YWpuurvO
キョン「ひとつ聞いてもいいですか?」
みくる「はい?何でしょうか」
キョン「朝比奈さんに古泉、それに長門も。あいつらが言っていた嘘ってのはいったい」
みくる「あ…ええと…その…ごめんなさい!」
古泉「すみませんでした。心からお詫び致します」
長門「ごめんなさい」
キョン「つまり…嘘ってのは本当なわけですね?」
みくる「はい。本当に嘘をついて…ってわかりにくいですね」
キョン「ははは…そうですね。…聞かせてもらえませんか?」
みくる「あ、はい」
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 14:15:29.20 ID:3YWpuurvO
古泉「簡単に話すとあなたを取られるわけにはいかなかったと言うことです」
みくる「つまり、キョン君が佐々木さんを…彼女たちを選ばないように嘘をつきました」
キョン「俺があいつらを信用しないようにあいつらの悪行をでっちあげたと…」
みくる「やってはいけないことです。それはキョン君を信用してない事になりますから…」
古泉「佐々木さんの人柄を考えるとどうにも不利に思えまして…あなたにも涼宮さんにも彼女たちにも失礼なことをしてしまいました」
キョン「長門もか?」
みくる「あ、いえ…長門さんは少し違うんです」
188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 14:22:37.97 ID:3YWpuurvO
長門「わたしは…涼宮ハルヒの優しさに甘えただけ。ごめんなさい」
キョン「ん?どういうことだ?」
みくる「つまり、長門さんは結果的にはあたしたちに協力する形になりましたけど」
古泉「言葉の通りです。人として人に甘えたくなったわけです」クスッ
長門「彼女はとても優しかった。わたしにはそれが嬉しかった」
キョン「ふふっ…そうか」
長門「怒らないの?」
キョン「俺も何度もお前たちを疑ったしな。お互いさまだ。それに」
キョン「人間は神じゃないからな。つまずいては起き上がるの繰り返し…そういうもんだろ」
190 名前: ◆sidjwLpFhI [] 投稿日:2009/05/06(水) 14:29:28.42 ID:3YWpuurvO
ハルヒ「有希もみくるちゃんも無事に復帰したことだし今日から我がSOS団は活動を再開します」
キョン「で…何をするつもりなんだ?」
ハルヒ「ふふーん♪聞いて驚きなさい♪それは―――――」
高校生活もSOS団もいつまでも続けられるものではないだろう
だが俺は…ハルヒや長門に古泉…そしていつかは自分の世界に変えるであろう朝比奈さんと今を生きている
ずっとハルヒとバカをやってるのも悪くはないかなとも思える
それは自分で決めたこと…自分が望んだことだから
ハルヒ「ちょっと聞いてるの!?このバカキョン!!」
…やれやれ
おわり
192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 14:35:07.94 ID:3YWpuurvO
実はほぼ即興でしたwwwwwだから引き延ばしに必死な内容だし夢オチ並の無理矢理な終わらせかたにしちまったよwww