1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:00:45.63 ID:s1slFrzN0
時の流れというものは案外早いもので
高校入学から早くも1回目の春休みを迎えようとしていたある晴れた日のことである。
波乱万丈な慌ただしい1年間を振り返りながら未来人の淹れたお茶を飲む。
目の前にはテーブルゲームを楽しんでいる超能力者がいて
いつもの位置でパイプイスに座って分厚い本を読んでいる宇宙人がいて
そして、窓辺には不機嫌そうにネットサーフィンしている変態能力者がいる。
この4人に振り回された1年間に安息している暇はなかったが
世界の常識がひっくり返るような非日常体験ができたことにある意味では感謝している。
特にそこでパソコンをしている変態能力者にはな。
だからたまにある一般的日常にホッとしていると、いつもの様に変態能力者が第一声を発するのであった。
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:03:14.45 ID:s1slFrzN0
「ああ!もう!このパソコン重い!なんとかならないかしら!」
またか・・・と思いつつも日常的なトラブルで安堵の溜息をだす。
ああ、そりゃ1年間も変態的な扱い方をしていればそうなることは当然だろう。
なんといっても、例のカマドウマ事件原因や、更に長門に宇宙的情報要素を埋め込まれたパソコンだ。
並みのパソコンじゃとうていできないものを乗りこなして来たある意味ではスーパーパソコンなのだ。
しかし、そのパソコンにも疲労が溜まってきたのだろう。むしろ壊れない方が不自然である。
そうだな・・・お前の事だから変なサイトにアクセスしてウイルスに感染でもしたんじゃないか?
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:06:03.51 ID:s1slFrzN0
「そんなサイトにアクセスしてないわよ。」
そうかい。
だいたいな、お前は乱暴に扱い過ぎなんだよ。
そんな扱い方じゃ、最新のハイスペックパソコンじゃなきゃついていけないぞ。
来年度は部費を新しいパソコン代にまわして、そのパソコンはコンピ研に返す。
もともと強奪同然の行為を犯したわけだからな。
それでいいだろ?
「嫌よ。どうして返さなきゃいけないわけ?」
ノートパソコンが4台もあるからいいじゃないか。
俺の使用してるノートを譲るからいいだろ?
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:09:32.35 ID:s1slFrzN0
「あのね、キョン。団長たる私がヒラの団員と同じノートを使うのはおかしいじゃない。
私がデスクトップを使うからこそ、その存在意義が証明されるってもんよ。
それにあんたのノートを貰ったらあんたの仕事が減るじゃない。」
別にいいじゃないか。
ノートパソコンに“団長専用”って書かれたシールでも貼っておけば、それはそれで特別な価値観が生まれる訳だし
ノートなら持ち運びも簡単。自宅でも作業できるぞ。
たいしてそのノートパソコンも動かしてないし、使用用途はゲームぐらいじゃないか。
だから返してもいいだろ?
すると黙って聞いてたハルヒは眉をピクピク震わせ始め、今にも噴火しそうである。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:12:40.22 ID:s1slFrzN0
「ええい!!うるさーい!!いーい!?私がここに戻ってくる前にパソコンを軽くするのよ!!!
何も変わってなかったらその最新ハイスペックパソコン代を奢りなさいよ!!いいわね!」
と言い残すと不機嫌度MAXの状態で部室から出て行った。
けたたましく鳴るドアの閉まる音が、それを嫌にも伝えている。
古泉が「やってしまいましたね」と言わんばかりににやけ面で肩をすくめている。
肩をすくめたいのは俺のほうだ。
俺は重たい腰をあげて団長席に渋々座るとマウスを手にとった。
やれやれ、どっかの誰かさんのせいで世界の情報改変が行われるのも嫌だし、俺の全財産が空っぽになるのはもっと嫌だからな。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:17:44.61 ID:s1slFrzN0
などと思いつつ、今パソコンの前に座っているのだが・・・
何をすればいいか分からず、ネットからパソコンを軽くするための情報を収集するためにインターネットブラウザを起動した。
一先ず、ツールバーにある検索バーからキーワードを打ち込んでみる。
するとハルヒが打ち込んだであろう検索履歴が表示された。
以下がその一覧である。
「キョン」
「キョン デレ」
「キョン 鈍感」
「キョン エロ」
「キョン 寝顔」
「キョン 画像」
「キョン 動画」
「ハルキョン」
「ポニーテール萌え」
「デートの仕方」
「相性判断」
「告白方法」
「恋愛」
「2ch」
「ジョン・スミス」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:23:01.03 ID:s1slFrzN0
えーと・・・どこから突っ込めばいいんだ?
一先ず冷静になるために呼吸をする。
ふぅ、それでだな・・・何故、俺を調べているんだ?画像に動画、オマケにエロまで。
ヒラ団員の監視をするための一環か?それでも俺だけというのはおかしいぞ。
それも相性判断やらデートの仕方ってなんだよ、おい。
誰かに恋愛感情を抱いているのか?精神病の一種じゃないのか?
などと数々の疑問をぶつけて困惑顔をしていると長門がこちらを見つめてきた。
「パソコンを軽くすることは容易い。私にまかせて。」
と、分厚いを本を閉じてゆっくり立ち上がる。
こんなものを見せたらマズイ!
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:29:18.14 ID:s1slFrzN0
「な、長門。だ、大丈夫だ。俺だってその程度の事はできるぞ。さぁ構わず読書を続けてくれ。」
「・・・そう。」
とそのままパイプイスに座ると、また読書をし始めた。
やれやれ、危なかったぜ。
おい、そこのニヤケ面。こっちを見るな気持ち悪い。
「すみません。冷静なあなたが珍しく動揺しているのでついつい。何かお困りの事でもあったのでしょうか?
僕ならいつでも相談にのりますよ。」
うるさい黙れ。俺は全財産が危機に陥っているんだ。一刻の猶予もないんだ。
お前の相手をしている暇はない。
「あなたのお金がなくなるのはもとより、閉鎖空間の発生はそれ以上に困ります。そうならないように今は作業に専念してください。」
だったら話しかけるなアホが。
と、俺は全財産を救うためにハルヒの履歴を部屋の隅っこにおいてあるダンボールのように放置し、パソコンと睨めっこをしていたが・・・
なぜか自然とそのダンボールを開けていた。
これが好奇心というものか。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:33:12.44 ID:s1slFrzN0
とりあえず、ハルヒが訪問したサイト履歴を表示した。
先ず、一番先に目についた「ハルキョン SS」にアクセスしてみる。
というのもサイト訪問数が一番多いからだ。
1日平均からして20回は訪問している様だ。
奇人変人な団長様が1日に何回もアクセスするようなサイトだから
さぞかし珍妙なサイトだろうと期待していたが・・・
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:37:50.39 ID:s1slFrzN0
えーと、何だこれは。
非常にコメントし辛いぞ。
正直、気持ち悪いというか、恥ずかしいというか、とりあえずこんな文章書く奴は富士山を三往復した後俺に土下座してほしいね。
俺はな、こういうストーリーだったらいいなとか一度も思ったりしてないぞ?いいな?
確かにな、ハルヒが可愛いとか美人だとか萌えだとか、あーもういい。
好き勝手にやってくれ。
なぁ、団長様。
お前は毎日これを見ている様だが俺に一体何を求めているんだ?
恋愛感情のぶつけ合いなら他所でやってくれ。
まぁ、もうちょっと素直になってくれれば俺でも構わないが。
確かに他人から見れば俺ら二人は・・・ええいもういい。
ここのSS群に毒されてしまったじゃないか。
次へいこう次へ。
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:43:13.31 ID:s1slFrzN0
ということで「相性判断サイト」にアクセスした。
そのサイトは姓名から相性判断するらしく生年月日住所などもなく
男女用の姓名入力フォームが奇妙な背景画像の真ん中にポツンと設置してあるだけである。
至ってシンプルでハルヒが好みそうなサイトである。
ということで念の為に、いいか念の為にだぞ?俺は入力フォームへクリックする。
勿論、入力履歴が表示されるわけだが
もう、その履歴なんて言わなくていいよな?
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:48:00.03 ID:s1slFrzN0
さて、気にもなりたくない鑑定結果を見たわけだが・・・
なぁ、嘘だろ管理人?お前は本当に鑑定士か?
相性度120%ってなんだよこれ。
しかもなんだ
“2、3年後にお二人は結婚するでしょう
そして、幸せな生涯を共に歩むでしょう
その生涯は波乱万丈、不思議な体験ができます
どんな困難も貴方のサポートにより乗り越えられるでしょう”
冗談だろ?
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:49:46.87 ID:s1slFrzN0
これでも短くしてるほうだがやっぱり長いかorz
もうちょっと改行します
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 14:54:51.45 ID:s1slFrzN0
いや、待ってくれよ。俺にだって考える時間はあるはずだ。
まだピチピチの高校生だぞ。
まだまだ色んな人と出会うのに、何故ハルヒを選択しなければならんのだ。
ハルヒと結婚・・・まぁ悪くもないが良くもない。
確かにあいつの料理は一流シェフ並だし、家庭的タイプなうえに黙ってれば誰もが頷く美人奥様になれるかも知れない。
しかし傍若無人、猪突猛進な性格ゆえに家庭事情に弊害が起こるかも知れない。
いや、待てよ・・・しかしだな・・・と俺の脳内では賛成派と反対派で議論を繰り広げていた。
議論の決着がつかない故、どうにもできないもどかしさをマウスに込め至る所をクリックする。
何かを見つけてしまった。
こんなシンプルなサイトにとんでもない何かを発見してしまった。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:01:11.36 ID:s1slFrzN0
理人 涼宮ハルヒ
一瞬、思考が停止した。ヒートアップしていた脳内議論は沈静化し現状把握へと全力を注ぎこんでいた。
あのハルヒがこんなサイト作れるはずがない。
それに面倒臭がりでちまちました事を徹底嫌いそうなハルヒがこんなサイト作る余念があるだろうか?
いや、ないだろうな。
どっかの誰かさんが面白半分で作ったのだろう。
念の為、女性に長門有希、男性には古泉一樹で鑑定してみる。
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:02:14.77 ID:s1slFrzN0
しまった・・・管が抜けてたorz
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:07:38.19 ID:s1slFrzN0
404 NotFound
え?そんなわけないだろ。鑑定結果がでないなんて。
もう一度、今度は女性に朝比奈みくる、男性に古泉一樹で鑑定してみる。
404・・・
その後、いろんな組み合わせをしても404エラーだった。
しかし俺とハルヒでは絶対に鑑定結果が表示された。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:16:41.64 ID:s1slFrzN0
待て落ち着け俺。
まだ、きっと他の人の鑑定結果を作成していないのだろう。
ハルヒが作ったと裏付ける決定的な証拠はないじゃないか。
というか鑑定結果の2,3年後に結婚ってなんだ?
年齢を入力した覚えもないし、そもそもそれを入力するためのフォームがない。
まさか・・・この真犯人は朝比奈さん?
いや、待て。朝比奈さんなら必ず「禁則事項です」と書くだろう。
だったら、この件については俺を対象とした情報統合思念体の亜種による心理攻撃として受け止めることにする。
これにて一件落着。
俺はその攻撃を避けるべく、これ以上の閲覧は実生活にも影響をきたすと判断し即行で履歴画面を閉じた。
やれやれだ。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:22:56.61 ID:s1slFrzN0
しかし、俺にも分からない、紙をくしゃくしゃに丸めたサイズの心のモヤが蠢いている。
非常に居心地が悪い。
すぐさま除去せねばと、あるモノを開いた
ブックマーク・・・
何故、自分の首を絞めるこのような行為に至ったのだろう。
誰か俺に三行程度で教えてほしい。
しかしハルヒとはいえ、他人のプライベートを覗いてしまってもいいのか。
でももう、やってしまった事実を変えることなんかできやしない。
恐らく既定事項ってやつだな。
それならおかまいなしにとことんやってやる。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:27:22.36 ID:s1slFrzN0
さて、そのブックマークの中身だが先ほどのSSサイト、
占いサイトを含め数々のサイトを登録してあるようだ。
大雑把なハルヒだが、こまめにサイトのジャンル毎にフォルダ別けしてあるようだ。
SOS団、団長、動画、画像、未解決・謎、秘密・・・
秘密?
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:31:46.61 ID:s1slFrzN0
はて?秘密とは?
やはりあのハルヒでも誰にも悟られてはいけない事があるのか?
普段、気丈に振舞っているようで実は心の奥底にとんでもない傷を負っているとか
家庭内暴力や陰湿的なイジメを日々俺の知らないところで受けているとか。
もし、自殺コミュニティサイトに登録していたら・・・
いやいや、深追いしすぎたな。
ハルヒといえども女子高生。感情の変化が激しい年頃で様々な悩みを持つ時期である。
金銭トラブル、交友関係、成績や進学先、恋愛、その他いろいろ・・・
他人事のように語ってる俺もだがいくつか悩みを抱えている。
ほとんどが団長様によるものだが・・・
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:37:15.65 ID:s1slFrzN0
ま、その悩みも団長様の晴々した笑顔を見ているといつの間にか吹き飛んでいる。
何故だろうな。アイツは変態的な能力を持っているがそれ以外の特別な力がある様な気がする。
まぁ、そんなことたぁどうでもいい。
今は目の前にある秘密フォルダを優先すべきだな。
そこには一つのサイトが登録されていた。
【団長様の活動記録】
なんだこれ?
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:42:05.61 ID:s1slFrzN0
予想斜め上の結果に呆気にとられていた。
不安にかられていた俺が馬鹿だった。
しかし、ハルヒがこんなものを作っていたとは・・・
活動記録ならいちいち秘密にしなくてもいいじゃないのか。
でも秘密というからには隠し事が綴られているのだろう。
活動記録というからには団員の俺でも見る権利はあるはずだよな?
さーて、開いてみるか。
・・・カチ
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:46:56.46 ID:s1slFrzN0
・・・よし、今のは見なかったことにしよう。
ブラウザを閉じよう。
動揺なんてもんはさっきのサイトのおかげで慣れてしまったが、体中から汗が滝のように流れているのはなんとか確認できる。
おかげさまでマウスを握る手は汗でびっしょりだし、プルプルと小刻みに震えてるし、顔面は40℃近くあるんじゃないかと思わせるほどアツイ。
頭から湯気が出そうだ。
こういった事態には呼吸を整える事が大切だったな。
スゥ、ハァー、スゥ、ハァー、スゥ・・・
よし、もう十分だ。
まだ、脳にはエネルギーが届いてないようだが。
えーと、そうだな、何から報告すればいい?
俺の画像が沢山載っていたこと?とんでもない事が書かれていたこと?プロフィール?ブログ紹介?日記?
冷静に、一から説明していこうか。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:53:13.00 ID:s1slFrzN0
まず、ブログの体裁だな。
テンプレートの色はクリームな暖かい黄色基調。
ハルヒの性格や好きな色を表しているようだ。
テンプレートの骨格は白く細いラインで引かれ、各サブコンテンツが右端に設置してある。
メインとなる記事部分は中央に設置してあり、黒色のポップ体のフォントで統一してある。
コンテンツにはアクセス数とリンク集、プロフィール、バナー画像もある。
そして、開いて一番最初に目に入ったブログ紹介文がある。
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:55:42.58 ID:s1slFrzN0
”このブログは、私がキョンを想う日常を綴ったものよ!毎日見に来てくれなかったら死刑だから!”
なんとも恥ずかしい。これが世界中に発信されていると思うと首吊って死にたくなる。
もういい。ツッコミはいれないでおこう。
では、肝心の記事(一部抜粋)に目を通していこうか。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:56:38.47 ID:s1slFrzN0
5月X日
今日は変な夢の中でキョンとキスしたわ。
アイツいきなりやってくるもんだからドキドキして起きちゃったじゃない。
まったく、おかげさまで寝不足よ。
夢の中のアイツはポニーテール萌えって言ってたから、現実のアイツにも確かめてやったわ。
そしたらなに!
ハルヒ、似合ってるぞ
だなんて!!
キャー。恥ずかしい。おかげでお昼までキョンの顔を見れなかったじゃない。
もう・・・キョンのバカ。
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 15:59:24.71 ID:s1slFrzN0
8月X日
古泉君の招待で謎の孤島に行ってきたわ。
孤島行きのフェリーの中でキョンったら寝てたの!
あまりにも可愛かったからついカメラに収めちゃった。
これよ!!
俺の寝顔画像
これで、キョンの寝顔がいつでも見られるわね!
そして、二日目の嵐の日に洞窟で・・・
ああもう!バカキョン!エロキョン!
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:00:52.75 ID:s1slFrzN0
12月X日
今日はキョンにストーブを運ばせたわ。
疲れて寝ちゃったのかしら?
だからね、誰かがカーディガンかけてあったようだけど、その上から私のカーディガンを掛けてあげたのよ。
あまりにも気持ち良さそうに寝てる様だったからキョンの寝顔をずっと見つめてたの。幼いなって。
そしたら、急に起きだしてびっくりしたわよ。
でね、外は雨が降ってたから教員用の傘を借りてきたのよ。
もちろん、何本か傘はあったけど一本しか借りなかったわ。
だってキョンと相合傘できる絶好のチャンスだったもの!
その後はもちろん相合傘で帰ったわ。
どこから見てもラブラブなカップルだったわよ!!
最高の一日だったわ。
それとキョン。
おつかれさま。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:01:54.92 ID:s1slFrzN0
12月21日
階段から転げ落ちたキョンがやっと目を覚ましたわ。
意識不明の重体なんて聞いたから3日間眠れなかったじゃない!
このドジキョン!!
でも・・・アイツという存在が否定されたような三日間で気づいたの。
キョンがいない世界なんて私の存在も否定されたようなもの。
中学時代の孤独感を思い出したわ・・・
怖かった・・・
だから、キョン。
私はずっと傍にいるから、死ぬ時も一緒よ!!
団長命令だからね!
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:03:26.17 ID:s1slFrzN0
>>41
そうでしたか
すみません
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:04:22.85 ID:s1slFrzN0
12月25日
世ではカップルで賑わうクリスマス。
あーあ、いつになったら告白してくれるのかしら?
あたしも雪の降る中を手を握って、一本のロングマフラーでお互いの首を巻いで、大きなクリスマスツリーの見える場所でキスを・・・
なーんて!なーんて!
・・・いけない、私としたことが自我が崩壊してたわ!!
ま、キョンのトナカイ姿を見れたから十分だけどね!
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:05:53.52 ID:s1slFrzN0
2月14日
今日はバレンタイン♪バレンタイン♪
義理ってデカデカ書いて渡しちゃったけど、下のほうに見えないように本命って書いてあるのに気づいたかしら?
ま、あの鈍感には分かるはずないわよね。
あーあ、早くホワイトデーが来ないかしら。
どんなお返しをくれるのか楽しみね!
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:07:45.54 ID:s1slFrzN0
3月13日
明日はとっても楽しみなホワイトデーよ!
あのお馬鹿さんはどんなサプライズをしてくれるのかしら?
期待しておくわ!
そうだ!!
明日はポニーテールで登校しましょっ!
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:09:32.15 ID:s1slFrzN0
ここで更新は途絶えていた。
これらの記事の内容をようやく理解したところで一つ気づいた点がある。
簡潔に言おう。
このサイトは涼宮ハルヒ本人が作成したものだ。
誰かが自作自演して作ることなんて容易なことである。
だが、世界中、いや宇宙中に撒いた一つの塩粒を探すぐらいの捜査規模でもハルヒと俺しか知らない事実がこの記事に隠されていたのだからな。
それは2回目のハルヒによる情報爆発、すなわち俺とハルヒが初めて閉鎖空間に閉じ込められた時の事が書かれているから。
そう、いくら忘れようとしても記憶から消せない恥ずかしい出来事がそこに。
“今日は変な夢の中でキョンとキスしたわ。”
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:11:40.37 ID:s1slFrzN0
ああ、もう堂々とこんな事書かないでくれよ。
アクセス数が少ないのが唯一の救いだ。
というか、更新数とアクセス数(俺の分を抜く)が同じって事はアクセスしてるのはハルヒだけか。
誰もアクセスしないのによく続けていられるな。
これも俺を想って・・・
っておい。何を考えているんだ俺は。
でも、これでハルヒが俺に好意を持っている事は否定できなくなった。
明日からどんな顔してハルヒに接しればいいんだ・・・
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:13:22.40 ID:s1slFrzN0
ん?明日・・・?
明日ってたしかホワイトデーだよな・・・
どんなお返しをすればアイツは喜んでくれるんだろうか。
ハルヒの精神論まで語るアイツならきっと、どうにかしてくれるだろう。
なぁ、古泉。
って・・・あれ?古泉がいないじゃないか。
それに長門や朝比奈さんまで。
一体みんなどこに行ったんだ?
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:14:29.48 ID:s1slFrzN0
ふと、静かに動いている壁掛け時計に目を移す。
とっくに下校時間を過ぎていた。
そうか、パソコンの中から飛び出す情報に時間を忘れていたのか。
やれやれ、今から本命の作業に取り掛からなきゃな。
そういや、ハルヒも戻ってこない。
どうしたんだ?
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:16:37.62 ID:s1slFrzN0
って・・・しまった!なんてことをしてたんだ俺は!!
朝比奈さんの生着替えを見る絶好のチャンスだったのに!!
あー、やってしまった。もう一生見れないかも知れないのに。
はぁ・・・と、パソコンの前で大きな溜息を出す。
それを嘲笑うようにカラスがむなしくカァーカァーと鳴いている。
クビにされた中年サラリーマンの如く肩を落としている自分を、部室に差し込んだ夕焼けがこうこうと背中を照らしている。
もう、何もかもやる気がしない。
パソコンの件はハルヒになんとか言い訳をして、明日取り掛かるか・・・
と、後ろを向いたその時だった。
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:20:19.09 ID:s1slFrzN0
ハルヒが顔を真っ赤にして眉をピクピクさせながら立っていた。
全身の血の気が引いた。
そりゃもう自らがS級のホラー映画のバケモノに遭遇したようだった。
ああ、ヤバイ。これは非常にマズイんじゃないか。
愕然として岩石の様に動かない俺をハルヒは指を指して部室が揺れるくらいに怒鳴った。
「ア、アアアンタ!!!!!ひ、人のプライバシーを覗くなんてサイテーよ!!!」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:21:52.14 ID:s1slFrzN0
放心状態の俺。
口はあんぐり開いていて、言い返す言葉が見つからない。
烈火の如く怒鳴るハルヒ。
鼓膜がはち切れんほどに罵声を浴びせられる。
「バカキョン!!アホキョン!!エロキョン!!」
すると俺は我を取り戻し言い逃れの言葉を思案していたが、現行犯逮捕されてしまった以上それは無理だった。
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:25:00.30 ID:s1slFrzN0
「い、いつから見ていたんだ?」
引き笑いで返す。
「あたしの大切なブログを・・・じゃなくて!団長記録を開いたところからよ!!!
それよりアンタ。他に言う言葉はないの!?」
「ゴ、ゴメン。悪かった。ついつい好奇心が先立ってしまってな、ブレーキが効かなかったんだ。
しかし、今お前"あたしのブログ"って言わなかったか?」
ハルヒはギクッと効果音をだすような姿勢になった。
「そ、そうよ!!文句あんの!!」
やけに威勢が良い。
「お前もよくこんな恥ずかしい事書けるようなったな。俺にとっちゃこれが全世界に発信されると思うと全く迷惑な行為だよ。
それも以前、恋愛感情は精神病の一種って言ってたじゃないか?
そのなんだ、ここに書かれている内容はまさに、その精神病に一種に罹っている重症患者が書いたようなそのものじゃないか。」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:26:33.81 ID:s1slFrzN0
「・・・うあ・・・そ、そうよ!!アンタという悪性のウイルスに感染したのよ!!」
「そりゃ、悪かった。おあいにく様、俺もハルヒウイルスに感染した一人であってだな・・・」
みるみるうちに顔がプチトマトのように染まる俺とハルヒ。
あー恥ずかしい。こんな告白方法は誰一人したことがないだろう。
「う、うるさい!!このバカ!!!もう帰る!!」
ズカズカと音を立てて部室を出る。
やれやれ。今回の後始末はどうにもこうにも上手くいかなさそうだ。
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:28:52.14 ID:s1slFrzN0
自分の鞄を手に取った俺は、疲れ切った表情で部室を後にした。
放課後の活動なので居残り届やらの一通りの手続きを行い、校門を出る。
やっぱり、ハルヒは待っていないか・・・
って、何を期待してるんだ俺は。
残業から帰ってきた夫を妻がエプロン姿で待っているような淡い期待をしていた俺が馬鹿馬鹿しい。
と、一人さびしく校門を出て、夕焼け空から暗みかかっている風景をぼんやり眺めながらハイキングコースを下っていく。
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:31:39.90 ID:s1slFrzN0
今日の事を思い返す。
ハルヒのネットサーフィン、ハルヒのブログ、そして、ハルヒと俺の告白。
今思えば、枕に顔を埋めてバタバタしたいくらいだ。
あの時の俺は混乱していたのだろう。
ハルヒが消失した時以上に。
そういえば、その時の俺は3日間の意識不明状態という設定でハルヒがずっと俺の傍らにいてくれたんだよな。
ブログにもそう書いてあったしな。
なにか恩返しでも必要か?
すると、俺はあることを咄嗟に気づく。
さっきの出来事で忘れてた。明日はホワイトデーだ。
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:36:02.02 ID:s1slFrzN0
いつの間にか自宅に着いていた俺は、今日の疲れを背負った状態でドッサリとベットに倒れこむ。
ボーッと明日の事を考えているとと、携帯電話が鳴りだした。
古泉からだ。
めんどくさそうに俺は携帯の通話ボタンを押す。
「何だ?」
「いきなり何だとは失礼ですね。」
「ああ、そうかい。もしもし、用件はなんですかね?」
「明日のことです。あなたもご存じでしょう?」
「ああ、ホワイトデーね。
機関の方で早速準備に取り掛かってるから、その打ち合わせでもしたいというわけか?」
「ご察しの通りです、と言いたいところですが機関も日頃時間がなく何も準備できてません。困ったものです。」
「その心配は無用だ。とっくに考えてある。」
「それはそれは珍しいですね。どういったものでしょうか?」
「それはお前にも言えない。禁則事項だ。」
朝比奈さんの言葉を借りる。この決め台詞は臨機応変に使えるな。
「とにかく、俺の事は心配しなくていい。今は自分の心配をしてろ。」
「では、それに期待しましょう。僕からは涼宮さんの期待を裏切らないように努力しますので。
ところで、今日は放課後まで居残りになされてたのですか?」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:38:04.30 ID:s1slFrzN0
そうだった。古泉達は先に帰ってたんだ。
しかし、あんな出来事があったなんて恥ずかしくて言えない。ここは嘘をついておこう。
「ああ。全くパソコンの調子を取り戻せなくてな。エラーがたくさん出て解決するのに時間が掛ったんだ。」
「それは大変でしたね。熱中するあなたに誰が話しかけてもう〜んう〜んと頷いてるだけでまともな返事をしてくれないものですから
邪魔するのも悪いとみんな帰りましたよ」
「そうだったのか。ところで朝比奈さんはどこで着替えたんだ?」
「コンピ研の部室を借りて着替えましたよ。」
「それは悪かったな。明日朝比奈さんに謝らないとな。」
「それもそうですが、もっと謝るべき人が近くにいるんじゃないでしょうか?」
「誰だ?」
「フフ。あなたはやはり鈍感ですね。」
いつもいつも遠回しに言うコイツの癖が癪に障る。
「俺にはさっぱり分からんな。」
「そうですか。フフ。おや、もうこんな時間ですね。ではおやすみなさい。」
と、電話を切られた。
最後にチュッっと聞こえたのは幻聴だろうか。
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:43:50.12 ID:s1slFrzN0
さて、明日の事だが朝比奈さんや長門には普通にチョコをあげるとして、問題はアイツだ。
さっき考えた案を脳内シミュレートすると、個人的には何倍ものサプライズだと確信し、早々にベットに潜り込んだ。
明日は早く起きなきゃだな。
不安と安心がよどめく中で俺の目の前は真っ暗になっていった。
そして、時はきた。
朝飯をすっぽかし、不器用な手つきでチョコレートを作り、普段より2時間早く登校する。
いつものハイキングコースは誰一人おらずスズメの鳴く声がするだけで、それがより一層静けさを強調させる。
軽快な足取りでいち早く学校へ到着すると、その足は強制的に部室へ向けられた。
そう、本日のイベントを成功させるために。
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:46:29.72 ID:s1slFrzN0
1時間が過ぎたころ、ようやく準備が整った。
脳内リハーサルをし、一息ついていると部室のドアが開いた。
そこにいたのは読書好きの静かな少女、長門がいた。
「おはよう。長門。」
「・・・おはよう。」
消え入りそうな声で返すと、ツカツカとこっちへやってきた。
「・・・欲しい。」
「ああ、知ってたのか。」
と、俺は今朝作ったチョコを鞄から取り出した。
「いつもお世話になってて悪いな。これはそのお礼だ。こんなぶっきちょなもんだがどうか受け取ってほしい」
「・・・ありがとう。」
と、そのチョコをじっと見つめ受け取った。
ほんのり頬が赤くなってたのは気のせいか。
「じゃあ、これから用があるからお先に。」
「・・・了解。」
相変わらず口数が少ない少女は少しトーンを下げた声で返した。
そんな事を気に留めながら俺は朝比奈さんのクラスへ出向いた。
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:50:29.59 ID:s1slFrzN0
朝比奈さんのクラスでは、何やら騒がしい。
教室の入り口からひょっこり顔を覗かせると、何やら教室の真ん中を取り囲んでいた多数の男子がいた。
ハイエナの餌の様に集られているその中心には朝比奈さんがおどおどと怯えていた。
「僕の愛を受けっとってくださ〜い。」
「いや、俺の愛こそ真実だ!!」
「いやいや、俺の方こそ!!!」
と、男子が朝比奈さんに向けて我が先にとチョコを差し出している。
「ひぇ〜押さないでください〜」
こいつらめ。北高一のアイドルに何をしてやがる。
俺はズカズカと教室へ入り込み、その集団を掻き分けて朝比奈さんへ手をさしのばした。
「朝比奈さん。ついてきてください。」
「キョ、キョン君!!」
と、俺はボディーガードマンの如くその集団を蹴散らし廊下へと避難した。
どうしてこういう時に限って鶴屋さんがいないものか。
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:52:54.51 ID:s1slFrzN0
「大丈夫ですか?怪我はないですか?」
「大丈夫です。おかげで助かりましたぁ〜。」
「ふぅ、良かった。えーと、それでですね、昨日は迷惑をかけてすみませんでした。」
「あ、いいですよ。私はキョン君の邪魔になるのも悪いかと思って。」
なんて優しい人だろう。
「本当にすみませんでした。それとこんなものですが受け取ってください。」
ポケットから一つの小包を取り出す。
「こ、これって・・・」
「日頃のお礼とバレンタインのお返しです。」
「で、でも・・・こんなとこ涼宮さんに見られたら・・・」
「いいですよ。アイツにはそれなりのお返しをするので。」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて。ありがとう、キョン君。」
にこやかに返すその微笑みはまさに天使そのものだった。
それをずっと眺めていたい気分だったがこんなとこいつまでもいると、さっきの集団に何されるか分からない。
「じゃあ、今日は気をつけて。それでは。」
「じゃあね。」
と手を振って俺を見送ってくれた。
俺は早歩きでその場を退き、自分のクラスへ向かった。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 16:56:39.18 ID:s1slFrzN0
その途中、古泉と出くわした。
「おはようございます。」
「おはよう。ところでお前のほうは準備が整っているんだろうな?」
「ええ。ほとんど終えましたよ。今回は機関の協力なしですが。」
「それは楽しみだな。」
「フフ。期待するほどでもありません。ところであなたの準備は?」
「大丈夫。もう万全だ。」
「では、僕からのサポートもいりませんね。」
「そうだな。お前はアイツの期待を裏切らないように頑張ってくれ。」
「分かってます。ではのちほど。」
と、古泉は自分のクラスへ歩いていった。
正直、古泉がどんなプレゼントを用意したか聞きたくなったが、そこは抑えた。
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 17:02:05.93 ID:s1slFrzN0
ホームルーム10分前。
計画通りに事は進んでいる。
俺は、教室前でげんなりしている谷口とそれを励ます国木田に挨拶をし教室へ入った。
谷口が「アイツには渡すべきヤツがいるからいいよな・・・」と呟いたように聞こえたのは気のせいか。
そして、すぐさま目に入ったのはポニーテールをして窓へ顔を傾けて不機嫌そうにしている奴だった。
ポニーテールは好きだが、その様子じゃそれは似合わないな。
そいつは俺に気づかないようだったので話しかけた。
「日記どおりだな。」
そいつは、まだ窓へ向いている。
「う、うるさいわね。こういう日があるからそのためにとっておいたのよ。
そこに突っ立てないで早く自分の席に座りなさい。ホームルームが始まるわよ。」
やれやれ。こんな時ぐらいもう少し愛想よく振舞えばいいのに。
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 17:05:08.61 ID:s1slFrzN0
俺は肩にかけた鞄を机の横に掛けて、雲の流れをのんびり眺めているとハンドボール馬鹿の岡部が今日も元気に教室へ入ってきた。
「じゃあ、ホームルームはじめるぞー!!」
そのどこからともなく湧いてくる元気をちょっぴり分けて欲しいもんだ。
でも今日はちょっといつもと違う。
「えー、今日はみんな知ってのとおり、ホワイトデーだ。しかし、まだこの年になって付き合ったこともない俺にこんな日は必要ない!
よって、今日は男女間のお菓子のやりとりを一切禁止する!もし、これに反した場合は強制的にハンドボール部へ入部して貰う!!」
えっー!とクラスで驚嘆の声が溢れかえる。このえっー!は岡部が年齢=彼女なしへの驚きの声か、それともお菓子が禁止されたことへ嘆き声か
俺にはちっとも分からんが、少し前の俺なら岡部に同情していただろう。
さて、お菓子のやりとりの禁止だが俺にとってはもうその心配はない。
お返しのお菓子なら長門と朝比奈さんにあげたし、今手の中は空っぽだ。
じゃあ、後ろにいる奴の分はどうするんだだって?
それは、昼休みまでの秘密さ。
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 17:07:49.80 ID:s1slFrzN0
ということで、ホームルームを終えて1時限目に入る。
1時限目の教科は俺の大嫌いな数学だ。
教師の説明する声をお経を唱えるように聞き取り、黒板を書く音を木魚を叩くように聞き取っているうちに
朝の疲労がドサリとのしかかり自然と意識を失っていった。
気がつくと時計は12時を指していた。
授業の終わりも始まりも気がつかないなんて相当の眠りだったようだな・・・
って、そんなこと考えてる場合じゃねぇ!!
ハルヒは?ハルヒはいるのか!!?
と、すぐさま後ろを振り向く。
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 17:09:26.43 ID:s1slFrzN0
そろそろ終盤だが定時の犬の散歩時間がきてしまった
見てる人はいないと思うが続きが気になるなら保守でもしてください
15分ぐらいで帰還します
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 17:29:46.41 ID:s1slFrzN0
すまん
犬のうんこが付いて長引いてしまった
今から投下する
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 17:33:03.94 ID:s1slFrzN0
良かった・・・
ハルヒは俺が急に後ろを振り向いたことでひょっとこ顔をしている。
「な、何よ?やっと起きたと思ったらいきなり後ろを向いて。」
「いやぁな、ちょっと急を思い出して。
ところで、これからお前に用件があるんだが、それに付き合ってくれるか?」
ほんのり頬が赤く染まるハルヒ。
「なんであんたの事に付き合わなきゃいけないのよ?団長様のお昼時間を横取りしようなんてあんたも偉くなったものね。
ま、たまにはヒラの団員の言うことも聞いてあげてもいいけど?」
プイっと顔をそむけると、ポニーテールを掻き揚げる。
「そいつは良かった。じゃあ早速だが俺についてきて欲しい。」
と、俺はハルヒの手をとり教室から出る。
「バ、バカ!離しなさいよ!!」
その言葉を無視して終始無言で部室へと駆けた。
教室を出るときに谷口が
「お、ついに始まったか?」とかなんとか言ってたのは気のせいだろう。
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 17:35:44.03 ID:s1slFrzN0
息切れとともに、部室前に着く。
「あんたね、もうちょっとゆっくり走りなさいよ。こけたらどうするの?」
「悪かったな。」
と一言返すと部室へ入った。
「まぁ少し見せたいもんがあるんだ。」
と、団長席に向かうとパソコンを立ち上げた。
「あんた!そういえばパソコン軽くしたの!?どうなの?」
「まぁ見ててくれ。きっと分かるさ」
俺はwebブラウザを起動する。
普段なら登録してあるホームページが表示されるはずだが、今日は表示されない。
それに驚いたのかディスプレイに反射するハルヒの顔は目を丸にして指を指して驚いていた。
「ア、アンタこれって・・・」
「見てのとおり、俺のブログだよ。」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 17:37:34.59 ID:s1slFrzN0
そこの紹介文には
"このブログは団員その一が団長様を想う日常を綴る日記だ。あまり見ないほうがいいぞ"
と書かれている。
ハルヒはその表示された文章を指でなぞり、一つ一つ確認している。
すると
「あわわわわわわわわ・・・バ、バカああああああああ!!なんでこんなもの作ったのよ!!」
「これが、バレンタインのお返しさ。どうだ?びっくりしただろ?」
「ア、アホキョン!!もっとマシなものにしなさいよ!!!こんなものいらないわよ!!」
と、ハルヒはマウスを俺からとるとブックマークをクリックし団長様記録を開いた。
すると管理ページを開き、なにやら編集し始めた。
「ちょっと後ろ向いてなさい!団長命令!」
「へいへい。」
と窓を向く。
何をするんだこいつは。
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 17:39:09.24 ID:s1slFrzN0
俺のサプライズが残念だったことを早速日記にでも書くつもりか?
悪かったな。恋愛経験ゼロの俺はどんな返し方すれば分からなかったんだ。
これでも頑張ったほうなんだぞ?朝早く起きてせっせとこのブログを作って・・・
などと脳内で文句を垂らしていると
「いいわよ。こっち向きなさい。」
と命令してきたので後ろを振り向く。
ハルヒは団長席に座ってディスプレイに指を指していた。
ハルヒの肩から顔を覗かせてそこに目を向ける。
その指の先にはこう書かれていた。
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 17:41:57.85 ID:s1slFrzN0
"このブログは団長様と団員その一の愛し合う日々を綴ったものよ!見てくれなかったら死刑だから!!"
おいおい、これじゃさっきと立場が逆じゃないか。
「キョン!!毎日ここに書きなさい。書かなかったら罰金よ!!」
やれやれ。その100万ワットの笑顔にはいつも負けちまうぜ。
と、俺は朝丁寧に作り上げた自分のブログを開くと管理ページに移動し、作りあげた自分のブログを削除した。
「なぁ、ハルヒ。」
「何よ?」
「日記、二人で一生書いていこうな。」
終
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 17:44:33.17 ID:s1slFrzN0
後日の長門
最近、涼宮ハルヒとキョンの様子がおかしい。
涼宮ハルヒ愛用のパソコンが特異な情報爆発を起こしている。恐らくこれが原因。
確認すべき情報として情報統合思念体の長より了承を得た。
現時刻3月X日12時33分23秒をもって、涼宮ハルヒ愛用のパソコンを起動する。
これより、その原因へアクセスする。
カチッ
「・・・バカップル。」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 17:52:32.93 ID:s1slFrzN0
やっぱり日本語になってないなorz
文才もないし、もう少し訓練してきます
ちなみに、古泉のプレゼントは長門とみくるに
お昼休みに部室へ入らないようにしたことです