1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:07:46.52 ID:v+JWHoN1O
ハルヒ「ねぇキョンったら!見てよアイツの格好w だっさw」
キョン「……」
長門「うぅ…」
ハルヒ「見るからに暗そーよね 外出歩いて恥ずかしくないのかしら ギャハハww」パンパン
キョン「おい」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:15:14.15 ID:v+JWHoN1O
ハルヒ「何よ」
バチーン!!
ハルヒ「あっ!?」
キョン「…お前、最低だな」
ハルヒ「え…?」
キョン「今日でお前とはお別れだ。じゃあな、二度とツラ見せるな」
ハルヒ「な、何よ!真面目ぶって!!」
キョン「黙れ」
ハルヒ「……〜ッ!!」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:23:50.20 ID:v+JWHoN1O
ハルヒ「帰る!!!」スタスタスタ
キョン「はぁ…」
長門「あ、あの」
キョン「(さっきの子か…一応謝っとこう) ああ、すみませんでした。ツレが失礼な事を」
長門「別にいい、慣れてる…」
長門「私の方こそ謝罪する。私のせいで彼女と」
キョン「いいんですよあんな奴、むしろ清々しましたよ」
長門「そう…」
キョン「じゃ、俺はこれで失礼します」
長門「あ……」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:29:48.64 ID:v+JWHoN1O
翌日
ハルヒ「……」
キョン「(ツラ見せるなって言っても、後ろの席にいるからどうしようもないな)」
ガラリ
長門「あ、あのぅ」
ハルヒ「…!!!」
キョン「あ」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:38:59.25 ID:v+JWHoN1O
長門「あ、あにょ、ここここのクラスぬぃキョキョキョ…ン君…」
キョン「昨日の子か?同じ学校だったのか」
ハルヒ「……」
キョン「ああ、どうした?」
長門「ぅ… 昨日の、謝罪を」
キョン「はは、まだ気にしてたのか。大丈夫全然気にしてない」
長門「良かった…」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:43:24.57 ID:v+JWHoN1O
キョン「そういえばまだ名前聞いてなかったよな、教えてくれ」
長門「長門有希」
キョン「長門さんか じゃ、これから宜しくな」
長門「////」コクン
ハルヒ「〜ッッ!!!」ガタン
ズカズカズカ
ハルヒ「……」
長門「あ、え?」
バシィン!!
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:55:29.08 ID:v+JWHoN1O
長門「あっ!!」
キョン「お、おま!!」
ザワザワ…
ハルヒ「私の彼氏といちゃついてんじゃないわよ!雌豚!」
キョン「…は!!?」
ハルヒ「あんたみたいな根暗でダサい子が人の男に手を出していいと思ってるの!?」
長門「あ…あ…」
ハルヒ「何よそのまな板みたいな胸!それでも女の子なの!?調子に乗ってるんじゃないw?」
クスクス…
長門「あぁぁぁ…」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:02:27.09 ID:v+JWHoN1O
キョン「おまえら…」
長門「うっ…うっ」
ハルヒ「いい?二度とキョンに近づくんじゃないわよ!あたしのモノなんだから!」
キョン「誰がお前のモノだ!!ふざけるのも大概にしろ!」
キョン「とりあえず教室を出よう長門さん」
長門「……」コクン
ハルヒ「あっ!!ちょっと待ちなさいよキョン!」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 06:37:33.23 ID:E46t5+yDO
長門―じゃない今は有希だな―との初デートが終わった帰り道、ふと見た公園で泣いている女性がいたが、付き添いの女の人もいたたわけで、声をかけるかどうか一時の間迷っていたのだが
みくる「一樹君が…」
恋愛の話ならば立ち入って馬に蹴られるのも馬鹿な話なので触れるまいと思いながら、いそいそと家路に着いた
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 06:48:46.50 ID:E46t5+yDO
翌日学校に行ってみると、教室の前の廊下で涼宮と細身の男とが話をしていた
涼宮の視線が俺をとらえた後、わざとらしい仕草で男に抱きつく
古泉「涼宮さん。急にどうされたのでしょうか?」
涼宮「抱きつきたくなったのよ。悪い?」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 06:59:22.45 ID:E46t5+yDO
俺には関係の無いことだとは思いつつも、涼宮が視線の隅で俺を見ている以上、俺に対する当てつけとなると、これがまた面倒なわけで、その後の発言が無愛想になったところで俺のせいではない
キョン「取り込み中の所すまないが、遅刻になる前に、教室に入りたいから退いてもらえるかな」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 07:35:44.02 ID:E46t5+yDO
休み時間の度に、席を離れてどこかに出かけていく気配を背中で感じつつも、まさにどうでもいいことであり、押し寄せる睡魔との戦いの方が重要であった
結局、午前中は寝て過ごしたわけだが、一度くらいは有希に合いに行けば良かったと考えつつも平穏無事な日であることを疑問に思うこともなく昼休みに入り、そろそろ購買に行けば丁度空き始める時間だなと思いながら顔を上げると有希がいた
有希「お昼」
差し出された手の中には二つの弁当箱があった
有希「あなたの分もある」
有希に礼をいい、食べ始めようとしたころに、涼宮がバタバタと例の男を連れて入ってきた
ニヤニヤして入ってきたのだが、俺の机の上を見てしまったといった表情に変わる
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 07:49:36.60 ID:E46t5+yDO
まあ、そこまではホコリがあがった程度なので問題がなかったわけだが、問題があるのはその後、二人連れの女性が教室に入ってきてからだった
みくる「一樹君…」
今にも泣き出しそうな女性と…ここまで見た時点で昨日公園で見た二人の女性と今教室に入ってきた二人の女性が完全に一致した
みくる「一樹君、まだわたし、あなたを…」
古泉「朝比奈さん、残念ですが、今僕はこちらにいる涼宮さんとお付き合いをしています」
にこやかに返事を返す男が一樹で泣き出しそうな女性が朝比奈さん…と、頭のメモに顔と名前とを書き入れた時点で、それよりは有希の弁当だと思い、有希に笑顔を向ける
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 08:30:32.62 ID:E46t5+yDO
机の横で繰り広げられている喧騒を気づかないようにしながら、有希に、美味しそうだ、唐揚げ好きなんだ、といった会話を行いつつ並べられた唐揚げをひょいと一つ持ち上げた
涼宮「いい加減にしなさいよ。誰かさんとは違って優しい一樹はあたしのものよ」
涼宮は軽く押したつもりだろうが、不意に押された朝比奈さんからすれば軽くはなかったのだろう
その証拠に俺の机と共に倒れ込んだ
倒れ込む瞬間がスローに見えたし、口の前にある唐揚げが所在なさげにしている
有希の顔が俺の瞳に移った瞬間、頭に血が上った
キョン「涼宮、お前…」
左手で涼宮の胸ぐらを掴んだ
131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 08:49:42.52 ID:E46t5+yDO
涼宮と俺の間に左手が差し込まれた
涼宮「ちょっと、離しなさいよ。軽く押しただけじゃない」
古泉「経過がどうであれ女性に対する扱いではありませんね」
差し込まれた左手で俺の胸にぽんぽんとなだめるようにしてくる
にやけ面のままで
鶴屋「みくる、大丈夫?」
声に釣られるように、視線を移すともう一人の女性に助け出されるように起き上がる朝比奈さんと…
有希「保健室」
涼宮をひとにらみした後、左手を離し、朝比奈さんを助けようとしたところで右手の唐揚げを今更のように思い出し、口に入れた
キョン「有希、すまないな。美味しかったぞ」
有希はコクンと頷いた
キョン「つかまってください」
谷口と国木田に机を頼んで保健室に向かった
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 09:07:11.74 ID:E46t5+yDO
保健室に向かうさなかに朝比奈さんが説明してくれたことだが、要約すると、数日前まで、古泉一樹と朝比奈みくるさんは付き合っていて、涼宮が現れた翌日、振られたそうだ
後、反対側で朝比奈さんを支えているのが鶴屋さん
まあ、巻き込まれただけだし、今の俺には有希の方が大事であって、馬に蹴られたくもないわけで
鶴屋「今日のお詫びは後日またするっさー」
保健室から出ようとした俺に声をかけてくれた
キョン「お詫びなら有希にお願いします」
返事も聞かず、保健室から退出し、急いで教室に戻ったけれども、既に有希の姿は無く、自分の教室に戻ったらしく、追いかけようとした所で残念ながらタイムアップのチャイムが鳴り始めた
136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 09:22:54.80 ID:E46t5+yDO
席に戻るときに涼宮が悲しそうな目をしていたが、気づかないようにした
普段であれば昼からの数学は眠りを誘う呪文であるはずが、今日は唐揚げ一つ分しか腹に入っていないので、眠れるわけもなく、些か不真面目ではあるが学生の本分をまっとうする羽目となった
授業が終わり、礼の合図と共に教室を飛び出し有希の教室へと向かう
涼宮が俺に話しかけようとしたような雰囲気がしないでもなかったが
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 09:50:45.27 ID:E46t5+yDO
その日から2ヶ月の間は、特に変わった事もなく、俺は有希と親交を深め、朝比奈さんや鶴屋さん共、友人として親交を深めた
余談ではあるが、鶴屋さんの家はお金持ちらしくあの日のお詫びと言うことで俺と有希を夕食―と言うよりディナー―に招待してくれたはいいが、旨かったよりは肩が凝ったという感想であり、次回があるとするならばテーブルマナーの必要のない所にお願いしたい
あの日より2ヶ月、俺は涼宮と一言も話していないし、当然ながら古泉とも話していない
涼宮の方は何度か俺に話しかけようとしてはいたが、実行に移すこともなく静かなままであった
一つだけ残念に思うべき事として、朝比奈さんは未だに古泉の事を想うようであり、皆で楽しくしているときも、時たま沈む事があり、早く次に進めばとは考えることもあるが、俺が口を挟めるわけでもなく、鶴屋さんのフォローを黙って聞くだけであった
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 10:13:56.92 ID:E46t5+yDO
涼宮「キョン、まだあの暗いのと付き合っているの?」
休み時間に入ると共に、2ヶ月ぶりに俺に対して発せられた言葉が、俺の脳の中で正しく理解されるまでに数秒を必要とした
涼宮「暗いのと付き合っているとあんたまで暗くなるわよ。別れなさいよ。ほら、腐ったリンゴは…」
キョン「誰の事を言っている?」
机を叩いた反動で立ち上がり振り返る
涼宮「顔、怖いわよ」
こいつを殴ったところで俺は法にとらわれるわけがない。満場一致で情状酌量あり、晴れて無罪放免間違いなし、よし、殴ろう
古泉「暴力的なかたですね。前回といい今回といい」
いつ来たのかは定かではないが、古泉によって右拳を包み込むように抑えられている
古泉「学習してください。経過がどうであれ、女性に対する暴力は最低ですよ」
古泉を睨みつけた後、教室をあとにした
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 10:34:43.39 ID:E46t5+yDO
怒りのせいか、涼宮の言葉が脳の中で繰り返し聞こえる
有希「キョン?」
自分でもどこに向かっていたのか定かではないまま、制服を後ろからつままれて、有希の教室を通り過ぎたのに気づいた
有希「泣きそう。大丈夫?」
コクンと傾けた有希の顔を見て落ち着きを取り戻しはじめた
有希「怒っていて、でも、悲しい感じがする」
悲しい?そんなわけが…。
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 10:42:36.34 ID:E46t5+yDO
ああ、そうかもしれない。
一度は好きになった女で、付き合った女だからな
自分に見る目が無かったからとはいえ、まぎれもなく悲しい状況で、同時に怒りを感じずにはいられない発言であったわけで、冷静になってきたところで涼宮の発言を思い出して…
キョン「有希、次の授業サボっていいか?」
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 10:49:13.61 ID:E46t5+yDO
有希「かまわない」
有希を連れ、チャイムの鳴り始めた校内を文芸部の部室へとこつそり歩いていく
涼宮に言われて気づいた
部室に着いたら言おう
キョン「有希、お前が好きだ。付き合ってくれないか?」
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 10:58:00.56 ID:E46t5+yDO
有希に告白をした日の放課後、文芸部の部室で俺たちは初めてのキスをした
少しだけ長いキスをした後、有希の表情が笑顔だった気がした
じっと見つめていると普段の表情の有希に戻った気がした
キョン「さっき笑顔だった?初めて……
162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 11:06:07.18 ID:E46t5+yDO
付き合いだして一週間程過ぎた頃、朝比奈さんは古泉とよりを戻したらしい
出来れば朝比奈さんには目を覚ましてもらいたいところだが、よくよく考えて見ると古泉から直接被害があったわけでもなく、本人次第というところであり、別に悪い事ではないかも知れない
後日、涼宮と別れた理由を古泉に聞いたところ
古泉「あなた方を見て彼女はこう言いました。
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 11:07:19.25 ID:E46t5+yDO
ハルヒ「見てアレ、キモくない?w」
FIN
171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 11:18:14.21 ID:E46t5+yDO
拙い文章に長時間お付き合いいただき、ありがとうございました
前の人の文章からつなげて、キョン―長門を気付かれ、ばらされた時には泣きそうになりました
乗っ取りしてしまったことを>>1及び間に書かれた方、また、それぞれを楽しみにしていた方へお詫びいたします
252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 18:35:53.91 ID:E46t5+yDO
another story
>>162
――――――――――
涼宮「うらやましい」
古泉「2ヶ月ですよ。2ヶ月。セックスどころかキスすらさせていただけませんでした」
ずっと―涼宮と言い合いになったときもずっと―同じようなにやけた顔で言い切った
古泉「少しくらい顔と体がいいからといって、この僕を、あなたの代用として見ているのですよ」
古泉「それならば、みくるの方がマシというものです」
254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 18:43:46.48 ID:E46t5+yDO
古泉「おや、また暴力でしょうか?彼女たちが見ていますよ」
古泉「そうですね…みくる」
にやけ面が朝比奈さんを呼んだ
古泉「彼らに僕たちが仲がいいという証拠を見せたいのですが、いいですよね」
俺がぎりぎり聞き取れる程度の小さい声で、古泉に対して「はい」と返事をした
時間にしてたった二分程度…二分もの長い時間、古泉と朝比奈さんがキスを行い、俺に見せつけた
256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 19:10:05.47 ID:E46t5+yDO
古泉「ふう…『僕たちが仲がいい』のをこれで理解できましたでしょうか?」
古泉がそう言った相手は、俺と―おそらく鶴屋さんにだ
古泉「涼宮さんに気が行ってしまったのは、僕の気の迷いだったのですよ。みくるは僕を見てくれて、涼宮さんはあなたを見ていたわけですから」
古泉「困ったものです。ええ、本当に。涼宮さんは」
にやけ面を崩さないまま話す古泉に、いやな汗が背中を伝う
258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 19:17:00.16 ID:E46t5+yDO
古泉「ああ、涼宮さんだけではなく、鶴屋さんにも、僕たちの仲を認めていただきたいですね。できましたら、あなたの可愛い恋人にも」
にやにやにやにや…
古泉「さて、僕たちは帰るといたしましょうか」
朝比奈さんへ不安そうな表情を向ける鶴屋さんに対し、鶴屋さんの視線に気づかないまま真っ赤な顔で古泉にしがみつく朝比奈さん
259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 19:30:30.46 ID:E46t5+yDO
その翌日から三日間、古泉、朝比奈さん、そして涼宮の姿を見ることができなかった
三日後、顔が腫れている涼宮が登校して来た
有希の悪口を言われた日以降、涼宮とは話していなかったが、流石に気になった
涼宮「キョンには関係がない!ただ…そう、転んだだけ」
涼宮の目から、つうっとこぼれ落ちた―涙
涼宮「キョンが変なことを聞くから、キョンが、キョンが…」
だんだんと小声になっていく涼宮に、だんだんと嫌な予感が膨らんでいく
262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 19:48:41.03 ID:E46t5+yDO
休み時間、教室の入り口から「涼宮」と呼ぶ声が聞こえた
入り口のにやけ面を見、後ろの席を見た
涼宮「はい…」
蚊が飛ぶような声で返事を返す
キョン「涼宮、お前…」
涼宮「キョン!お願いだから話しかけないで。お願い…」
266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 20:06:19.19 ID:E46t5+yDO
鶴屋「古泉くん、みくるを…」
古泉「ああ、そう言えばですね。最近、芸術に目覚めまして、その内の写真。いいと思いませんか?」
古泉「身近にある『美』を切り取るのですよ」
古泉「躍動感のある『美』などは、思わず動画に撮ったりして、出来上がった芸術品は他の方々にも見ていただきたいものです」
古泉「最近はインターネットという便利なものもありますよね」
269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 20:15:55.30 ID:E46t5+yDO
古泉「新しいモデルになっていただける方を募集していまして」
古泉「すぐにとは言いません。締め切りが…そう、一週間です。ご協力いただけませんか?鶴屋さん」
古泉「話は変わりますが、みくるがよく鶴屋さんの事を親友だと言っていました」
古泉「一週間後、良い返事をいただけるようお願いします。それでは、一週間後に。鶴屋さん」
272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 20:37:01.48 ID:E46t5+yDO
キョン「あ、鶴屋さん。お久しぶりです」
話しかけたはいいが、鶴屋さんは暗い表情をしている
キョン「もしかして、朝比奈さんの事ですか?」
鶴屋「キョンくんは鋭いねー。ちょっとだけ困ったことが起こったのさー」
キョン「もしかして、古泉が何か…?」
鶴屋「変に勘ぐるねー。ま、みくるちゃんとの友情の為にどうするかってふかーく考えていただけっさー」
キョン「そうですか…」
鶴屋「キョンくんに会えたから、どうするか決めたにょろ。あたしはみくるを守るっ。キョンくんは彼女を守るっ。約束にょろ」
273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 20:52:28.33 ID:E46t5+yDO
翌日、古泉が休んでいることを知った
しかし、涼宮はあの三日間以降―古泉が休んだ今日も―毎日学校に来ていた
以前のような明るさはなく、ただ死んでいくような目になっていた
キョン「涼宮、古泉は?」
話しかけても反応は無く、瞳は宙を見ていた。いや、何も見ていないのかも知れない
キョン「おい、涼宮。涼宮」
肩を掴み揺さぶってみるが、カクカクとした動きで反応が返ってこない
キョン「おい、涼宮。涼宮。ハルヒ…」
274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 20:58:54.73 ID:E46t5+yDO
ハルヒ「え…。あ…。キョン…。キョン…」
あのハルヒが人目をはばからず泣き始めた
ハルヒ「キョン…。キョン…」
教室内の全員がこちらを見ている
キョン「ハルヒ、つかまれ。立てるか?国木田、すまないがハルヒを保健室に連れていくので先生に言っておいてくれ」
275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 21:08:44.89 ID:E46t5+yDO
保健室のベッドに寝かせたものの、ハルヒは、俺にすがりついて泣いたたままだった
キョン「ハルヒ、落ち着けよ」
キョン「ほら、泣きやめって」
右手でハルヒの左頬をつたう涙を拭う
ハルヒは、はっとした表情を見せた後、表情が―目が―ハルヒから別の人物に変わったようになった
まるで少女が女性になったように…
278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 21:19:31.25 ID:E46t5+yDO
ハルヒ「キョン。あたしの大好きなキョン」
そう囁くと俺にキスをしてきた
有希としたキス―愛を確かめるようなキス―ではなく、愛を貪るかのようなキス
俺の口内をハルヒの舌が、上から下、右から左、歯茎の裏を嘗めるように、唇と歯茎の間を這わすかのように、俺の舌、俺の唾液、唇、歯、頬…
俺の胸位置にあったハルヒの手が動く舌に呼応するかのごとく少しずつ動いていく
281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 21:33:42.53 ID:E46t5+yDO
脳内を直接なめられている、直接かき混ぜられている
ハルヒの左手が頭部を固定する
ハルヒの右足が膝にのってきた
ハルヒの右手が背中を撫でる
カタン
それは小さな音だった
たまたま机に触れ、その衝撃でボールペンが一本だけ落ちた音
でもその小さな音は、俺を現実に引き戻すのに十分な音だった
283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 21:45:12.33 ID:E46t5+yDO
今の自分に気付いた俺は、ハルヒを引き離した
ハルヒ「キョン。キョン?」
キョン「落ち着け、ハルヒ」
ハルヒの目から再び涙がこぼれ始める
キョン「今は寝た方がいい。寝るまで付き合ってやるから」
ハルヒをベッドに寝かせ、ハルヒの左手を包み込んで話しかけた
ハルヒ「キョン…」
眠る前にハルヒが見せた笑顔が、俺が昔好きだった笑顔だ
307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 22:34:11.00 ID:E46t5+yDO
有希「キョン」
後ろから声をかけられて、ハルヒが寝てから時間がかなり経っていたことに気付いた
有希「手」
いまだにハルヒの手を包み込んでいた
有希「朝比奈、鶴屋の両名が欠席」
古泉の欠席を思い出した
まさか…
309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 22:41:22.14 ID:E46t5+yDO
保健室から飛び出した
誰か…誰かあいつの居場所を知らないか?
9組で片っ端から聞いて回る
8組、7組、6組…
有希「待って」
有希「これ」
小さな折り畳まれたメモ用紙
有希「古泉一樹の家」
キョン「すまないな、有希」
311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 22:52:39.70 ID:E46t5+yDO
二時間目の授業開始のチャイムをげた箱で聞き、もどかしく靴に履き替える
走りながら有希からもらったメモに目を通す
有希らしいワープロのような字で住所と地図が書かれている
目的地はすぐに見つかった
チャイムを押す、押す
玄関の扉を開けようとする
苛々しながら横手に回る
大きなガラス戸
こんな天気のいい日にカーテン
体からぶち当たった
312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 23:01:56.70 ID:E46t5+yDO
鶴屋「みくる、お願い、やめてっさ」
古泉「不法侵入ですよ」
古泉の声と鶴屋さんの甘い泣き声が重なる
明るい所から暗い所へと移ったために、最初は目が慣れなかった
ダイニング
ひっくり返された机に白い…机に固定された鶴屋さんと、鶴屋さんに重なる朝比奈さん
気付いたら声をあげていた
手を握り締めていた
そして…
313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 23:09:24.58 ID:E46t5+yDO
意識が戻ると椅子に縛り付けられていた
古泉「相変わらず暴力的ですね。でも、残念ながら僕の方が強かったみたいです」
ガタガタと椅子が揺れるだけで動けなかった
古泉「電話、お借りいたします」
携帯をぴっぴっぴっとじらすかのように操作する
314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 23:16:29.39 ID:E46t5+yDO
コール音
そして…
古泉「いえ、残念ですが、彼は今、電話に出れない状態でして…ええ、迎えに来ていただければと…はい、では」
通話終了の電子音がやけに遠くから聞こえた
古泉「電話、お返しいたします。そのような怖い顔なさらなくても、あなたの想像が正解ですので」
316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 23:27:50.21 ID:E46t5+yDO
古泉「長門さんが来られるまで、少しお話でもしましょうか?」
古泉「あなたが気付いたのが正解だと言っておきましょうか」
古泉「みくる、涼宮、鶴屋、三人とも初めてはいただきました」
にやにやにやにや
古泉「長門さんとは既にされたのでしょう?」
口に貼られたガムテープを噛みきるつもりで、口を開けようとするが全く開こうともしない
古泉「おや、それでは涼宮さんはいかがでした?僕のお下がりですが」
318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 23:39:17.87 ID:E46t5+yDO
ピンポーン
古泉「いらっしゃったようですね」
もう一度、全ての力を振り絞って戒めを解こうとするが、ほどける様子も、王宮にあるような椅子が簡単に壊れる様子も無かった
古泉「考えてみたのですが、もしかしてあなたは不能なのでしょうか?残念ですがそうとしか思えなくなってきました」
319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 23:46:32.49 ID:E46t5+yDO
古泉「さて、長門さん。この錠剤を手を使わず飲み込んでいただけませんか?」
古泉はそう言って、自分の口に錠剤を挟んだ
古泉「たいしたことはありません、単なる催淫剤、媚薬です」
古泉「副作用も少しだけです。多量摂取で誰かに対する依存度が極端に高まるだけです」
古泉「みくるや涼宮のように」
320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 23:55:34.35 ID:E46t5+yDO
神がいるなら、視線でこいつを殺せるようにして欲しい。悪魔だろうが死神だろうが何だって信仰してやる
魂だって捧げてもいい
古泉「長門さん、早くしていただけないでしょうか?」
言いながら、座っている俺の腹を殴る
口の中が少し酸っぱくなった
手を使わずに古泉の口から錠剤を取るということは…
321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 00:04:16.01 ID:ZQVhMTOPO
有希「わかった」
有希「だが、わたしでは届かないので低くして欲しい」
古泉「失礼しました。これでよろしいですかな?お嬢様」
まるで子供を迎えるかのように、芝居がかって中腰になる
有希と古泉の唇が重なる
両手で有希の頭を抑え、長い…
この時俺は何かを叫んでいるようだったが、その声はガムテープによって誰の耳にもきっちりとは届かなかった
322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 00:11:18.87 ID:ZQVhMTOPO
長い時間が過ぎ去った気がした
三年かも知れないし十年かも知れない
長い時間が過ぎて有希と古泉が離れた
有希「のみ…こん…だ」
表情変化の乏しい有希ですら、はっきりとわかる
顔が赤くなり、息は荒くなり、瞳は潤んでいる
有希「キ…キョンを…解放……して」
古泉「いえ、まだこれからです」
328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 00:17:06.39 ID:ZQVhMTOPO
古泉「せめて満足させてもらいたいですね」
古泉「ご存知ですよね?やり方」
古泉「当然今回もですよ。手を使わずにお願いします」
有希「わかっ…た」
有希は古泉に近づきしゃがんで…
329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 00:24:31.87 ID:ZQVhMTOPO
有希「キ…キョン…見ない……で」
じじじじじ
NHKだかYMCAだかのメーカーも敵だ
ジュジュジュ…
濡れた音が続く
有希「あああ…」
330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 00:29:26.88 ID:ZQVhMTOPO
古泉「忘れていました。鶴屋さん用にここにも媚薬を塗っていたのを」
古泉「併用はおやめ下さい。だったとは記憶していますが不可抗力ですよね」
古泉「そもそも彼が飛び込んで来なければ鶴屋さんに使われていたものですから」
はははと嫌な笑い声が聞こえた
332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 00:39:12.67 ID:ZQVhMTOPO
見ると有希が床の上に倒れている
有希「あああ…」
痙攣しているかのように床の上で跳ねている
有希「あああ…」
古泉「少し過剰みたいですので、サービスです」
古泉か有希に触れた瞬間有希の体が大きく跳ね飛ぶ
古泉は何を大袈裟なといったかんじで有希を俺の前まで運んで、有希の頭を俺の股間に置いた
336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 00:48:39.16 ID:ZQVhMTOPO
有希「キョン…キョン」
有希の唾液で制服のズボンの色が変わる
有希「涼宮に負けたくない。鶴屋に取られたくない」
殆ど動かない手や口で少しでも俺に触れようとする
有希「涼宮みたいに手を握り締めて欲しい。鶴屋みたいに相談に乗って欲しい。朝比奈みたいに心配して欲しい」
頬を太ももに擦り付けながら一生懸命、俺に訴えかける
339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 00:56:04.08 ID:ZQVhMTOPO
古泉「美しい愛ですね。でもちゃんと長門さんを見てあげないと駄目じゃないですか」
古泉「肉ですけどね」
古泉の発言と同時に有希が暴れる
気づいてはいけない
見てはいけない
知ってはいけない
警鐘が鳴り響いている
古泉「塗ってあった媚薬、全てなめとっていたのでしょうか?」
343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 01:01:36.45 ID:ZQVhMTOPO
古泉「そろそろイキマスヨ」
古泉「理解してそうにもないですが」
古泉の速度が少しずつ上がっていく
古泉の後ろに人影が…
そして白刃が二回走った
348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 01:04:51.73 ID:ZQVhMTOPO
俺も焦った
一気にラストまで行く予定が…
10分程度休憩もらいます
352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 01:14:57.29 ID:ZQVhMTOPO
白刃の一つは朝比奈さんから、古泉をかばった鶴屋さんのお腹に
もう一つは鶴屋さんのお腹から引き抜かれた包丁が、鶴屋さんの手によって、古泉の首元に
鶴屋さんはお腹から血を流しながら、椅子に縛り付けられた紐を切っていく
右手、右足の紐を切った所で鶴屋さんは倒れ込む
355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 01:23:21.46 ID:ZQVhMTOPO
ガムテープを剥ぎ、左半身が固定されたまま鶴屋さんに問いかける
鶴屋「やく…そ…く」
鶴屋さんは包丁から指紋を拭き取って渡して欲しいと言った
鶴屋「みくる…を……守……る。後は……お願い」
わかったから喋らないでくれよ
鶴屋「キョンくんは………優しいね」
鶴屋「みくる…………これは………………自殺」
自分のお腹にもう一度包丁を刺し、ぐっと引いた
363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 01:31:07.27 ID:ZQVhMTOPO
あれから半年後
涼宮ハルヒ
キョン依存症
朝比奈みくる
古泉一樹依存症、追加投薬にて後に、キョン依存症
長門有希
副作用により、不定期での極度の精液依存症
キョン
上記三名の『飼い主』
365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 01:34:29.55 ID:ZQVhMTOPO
from ハルヒ
to 俺
見てアレ、キモくない?w
another story
FIN
495 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 20:17:36.62 ID:ZQVhMTOPO
閑静な墓地に鶴屋と朝比奈、そして古泉一樹が立っていた
古泉「鶴屋さん、お久しぶりです」
…………………………
……………………
………………
古泉「来年になれば、18歳になりますので結婚ができます」
古泉「貴女は俺の自慢の姉貴ということです」
古泉「又、来ますね。姉さん」
496 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 20:26:47.85 ID:ZQVhMTOPO
俺が覚えている限り、俺が触ったのが、椅子と玄関、有希は何も触れていないはず
朝比奈さんの分はと思ったが、何の影響かは判らないが眠り込んでいるし、起こしたところで答えが得られるとも思えない
考えがまとまると、手に持っているハンカチで『せめて』と思い鶴屋さんの口元の血をぬぐい取り、ポケットの中に押し込んだ
ガラスや机はそのまま、紐だけはポケットに入れ、そして、鶴屋さんを残したまま、朝比奈さんと有希を連れ、去った
有希からハンカチを借りて、椅子、玄関のドアノブ、チャイムを丁寧に拭き取ることも忘れずに
498 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 20:31:38.83 ID:ZQVhMTOPO
一人暮らしをしている有希の部屋まで朝比奈さんを運び込んだまでは良かったが、有希が古泉宅で見せた状態になってしまった
解決策は何となく想像がついた
当然、有希は初めてでは無かったけど、そんなもの男の独りよがりだ
言数の少ない有希が言った独白を聞いて嫌いになれるわけがない
500 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 20:36:47.24 ID:ZQVhMTOPO
翌日、有希と共に鶴屋さんの実家に行って親父さんに説明した
朝比奈さん、古泉、鶴屋さんの事、俺と有希
話しながら俺は泣いていた、隣に座っていた有希も涙を見せた
親父さんは流石だった
最初から最後まで表情を変えなかった
俺が話し終わった後言った「そうか」って言葉が震えてはいた
502 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/05(火) 20:45:15.46 ID:ZQVhMTOPO
連絡先を言い、帰ろうかって所で再び有希が倒れた
何も聞かずに離れを貸してくれた
一時間程後に礼を言いに行ったら聞かれた
有希、朝比奈さんそしてハルヒ
「相手方には言っておく」とは言っていた
財布を取り出し、お金を渡そうとしてきた
受け取る理由が
今居る朝比奈さんと有希の為の取りあえずに
心配してくれて拒否する事もできなかった
そして、「明日も来い」と
203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 09:13:49.17 ID:zP0OMjchO
鶴屋さん、日記を付けていたのですね
次の日、親父さんから「実は君たちが昨日来る前に見つけていてね。その時は読んでいなかったから黙っていたが、キョン君はきみかな?」と言われて、まさか親父さんの口からあだ名がでるとは思わなかった
「本題に入ろう。相手に今回の件を訪ねてみたところ『古泉一樹は生きている。そして、これからも生きている。しかし、貴殿の娘が事故で亡くなったと聞いた。弔問金をお渡ししたいがいつ頃がよろしいか』と返事がかえってきた。どういう事がわかるかね。キョン君」
何も言わなかった
鶴屋さんは、ふむとだけうなづいた
204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 09:19:16.04 ID:zP0OMjchO
「ここからは相談なんだが、キョン君、君が古泉一樹になるつもりは無いかな?」
大人の都合で、何故、あいつにならないといけないのか理解できなかった
「更に、長門さん、あなたは鶴屋家の養女にならないかな?」
意味が解らなかった
何を言いたいのか解らなかった
205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 09:28:42.37 ID:zP0OMjchO
「君にとってのメリットは、そこにいる長門さん、それに朝比奈さんと涼宮さんの三名だ。君が古泉一樹になれば、相手方は君を無碍に扱うことができなくなる」
「長門さんの方は単純だ。君を婿養子にしたい」
理解してしまった以上、こちらに断る理由もなかった
しかし、俺を買いかぶりすぎではないかと思う
「娘の約束。願い。鶴屋の後継者。不足かな」
姿勢を正し礼を言った
「約束して欲しい。娘との約束を守る事、娘を忘れずにいて欲しい。これでも親なのでな」
細かい事は後日ということで、俺たちは有希のマンションに帰った
207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 09:35:35.14 ID:zP0OMjchO
部屋の入り口で朝比奈さんが倒れていた
あの日からずっと眠っていた朝比奈さん
今は視点の定まらない目でずっと「一樹君」と言い続けている
布団に寝かせなおしたはいいが、どうする事もできなかった
有希と交代で付き添ってはみたが無力感でいっぱいになるだけだった
日も落ちてきて、コンビニで夕食でもと思い有希に声をかけ、部屋を出たところで電話が鳴った
208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 09:45:45.55 ID:zP0OMjchO
「キョン君だね。わかるかな」
鶴屋さんからだった
「話はついたよ。君たちの家族にもね。それで住むところだが、数日前まで『きみ』が住んでいた家だよ、古泉一樹君。そうそう、窓が割れていたらしいのでなおしてある」
答えたら今までの俺ではなく、古泉一樹になるのがわかった
少しの沈黙の後、お礼を言った
「あだ名はキョン君だったね。君たちの都合次第だが、明日からでいいかな。涼宮さんの事もあるからね」
俺は問題ないが、朝比奈さんの状態が良くないことを伝えた
「こちらの方でも当たってみる。対応もしやすくなるから、明日、移ってもらいたい」
209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 09:54:15.03 ID:zP0OMjchO
やはりあの薬が良くなかった
有希に使われた二回目の薬は強力ではあったが、まだ普通の範囲内であったらしい
ただ、一度目の錠剤は精神にまで影響がある程の物であったため、緩和されるまでの様子見しかできない
様子見ができる有希とハルヒはまだいい
心配なのは点滴を打たざるを得ない朝比奈さんだった
今は亡き古泉の名前を呼び続けている
一つだけ案が浮かんだ
リスクも少ないと思われるので試してみる価値はある
何もしないよりはいいだろうと
211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 10:01:42.91 ID:zP0OMjchO
朝比奈さんの横に行き、耳元でそっと「僕が誰かわかりますか?」と言ってみた
それまで呆けた状態だったのが、体調の割に力強い声で「一樹君」と言った
その日から少しずつ、体調は戻っていった
体調が戻ってきたからか、時折、「一樹君」と言いながら暴れるようになった
俺が声をかければ鎮まる事もあるし、鎮静剤に頼ることもあった
しばらくして、精神状態はともかく、身体的には医者は不要になった
212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 10:07:20.52 ID:zP0OMjchO
有希が『あの状態』になるのは一日から一週間程度
人に会う時などは、前もって『対策』をおこなっておくと、普通に生活できる
但し、経験則であって、これからもそうであるとは限らない
213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 10:16:11.22 ID:zP0OMjchO
ハルヒは俺が見当たらない時、部屋の隅で俺を呼びながらうずくまって泣いている
常に触りに来るし、情婦の様になる時もある
でも、俺に嫌われたくないらしく、俺の言うことは聞く
命令さえしておけばー例えば「出かけてくるが、掃除をしておいてくれ」と言うと、掃除をしている間は、かなり機嫌がいい様子である
帰宅が遅れ、ハルヒの掃除が終わっていた時は部屋の隅で泣いてはいるが
俺が一緒であれば買い物など外出もできる
一度、お菓子をと思い隣のコーナーへ行き、戻ってくると、泣きそうになっていた
それを見て以来、外出時は手をつなぐようにした
214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 10:21:46.05 ID:zP0OMjchO
朝比奈さんは、『俺』に依存している時と、『以前の古泉』に依存している時があった
そして俺は強引な手段を用いる事を決意した
あの薬を手に入れ、朝比奈さんに飲ませた
それ以降、朝比奈さんは『以前の古泉』を忘れたようになった
「一樹君」と呼ばれるのが嫌で、有希やハルヒを例に出し、「キョンくん」と呼ばせる事に成功した
215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 10:26:48.34 ID:zP0OMjchO
ハルヒと同様に、俺が居れば生活はできる
ハルヒと同じ様に触りに来るし、情婦の様にもなる
しかし、ハルヒと異なり、触るのを止めて欲しいと言っても聞いてはくれない
又、俺が見当たらない時は、その場で倒れ込み、そのまま呆けた様になっている
外出は、ハルヒで学んだとおり、手をつなぐことにした
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 10:35:20.75 ID:zP0OMjchO
それでも落ち着いてきた旨を鶴屋さんに伝えたら、そろそろ有希を正式に養女にしたいと言ってくれた
手続きの前日、
有希「手を握ってくれる、相談にも乗ってくれる、心配してくれる」
有希「でも、わたしは宝石ではない」
キョン「ハルヒや朝比奈さんのように、命令してかまわないと?」
有希「そう」
キョン「ここで全裸になり、自慰をしろと言ったら?」
有希「あなたがそう望むなら」
言いながら有希はするりと服を脱ぐ
有希「あなたが望むなら乱暴にしてくれてかまわない。わたしはあなたのモノ。わたしはあなたに尽くす」
全裸になったところで、俺は「冗談だ」と言って止めた
218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 10:40:05.32 ID:zP0OMjchO
古泉「有希、みくる、準備はできたか?行くぞ。ハルヒ、11時に駅前、それまで留守番、できるな」
返事も聞かず玄関を出る
お供えは何がいいかなと考えていた俺の右手は、ポケットの中の血染めのハンカチに触れていた
あの日から丁度一年後だった
FIN
221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/06(水) 11:05:39.62 ID:zP0OMjchO
アナザー新展開というよりは追加ED風味です
アナザーラストが少しあっさり気味だったのと、追加の冒頭部分で驚かせてみたいと思い後は肉付けで
アナザー自体が前スレで「キャラ壊れすぎ」の発言を受けて、じゃあ壊すよって書いたものです
それに対して、少しでも救いをと壊れたままですがキョンハーレムです
気づいていただければありがたいのですが、最後の方でキョンの性格が少々変わっています