1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 02:06:23.96 ID:EIuMT9yp0
「日本語という分類における擬音表現は素晴らしい」
「落ち着く音だと思いませんか。」
「…同意する。」
「虹がでないかな…。」
「現在の気象条件では難しい。」
「おや、そうなんですか?」
「そう。」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 02:08:44.93 ID:EIuMT9yp0
「雪の降る音はしんしん、でしたっけ。」
「そう。雪同士が摩擦する際に発する微細な音。」
「微細、ですか…」
「人間の生活音の中では捉えるのが厳しいレベル」
「……今なら聞こえるでしょうか?」
「…可能性はある。」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 02:10:21.17 ID:EIuMT9yp0
「古泉くんっ、きたわよ!はいこれ、お土産の林檎!」
「おや、直々のお出まし、光栄の至りです。」
「なんか厭味臭い言い方だな。」
「そんな風に言わないでくださいよ。」
「あら?まだお花新しいのね。」
「昨日は朝比奈さんが訪ねてきてくださって。」
「みくるちゃんが?!もうっ、こっちにきたら連絡しなさいっていったのにっ。」
「朝比奈さんも大学の用事で少し寄られただけみたいですし。
なによりもお二人は昨日デートだったとか風のうわさでききましたよ。」
「ちょっ…古泉ッ。おまっ。」
「もう、古泉君ってば、団長をからかうものじゃないわ!」
「ふふっ、そんなつもりでいったわけじゃないですよ。」
「まったく。お前の口調で言われるとイヤミにしか聞こえん。」
「ごちそうさまです。」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 02:14:00.07 ID:EIuMT9yp0
「せっかくですから林檎剥きましょうか。」
「無理はよくない。」
「習うより慣れろというではありませんか。僕、上手だったんですよ。」
「…私がやる。手を切るのが関の山。」
「おや、それならばうさぎさんにしてもらいましょうか。」
「うさぎさん…。」
「できませんか?」
「できないことはない。」
「さすがですね。ではお願いします。」
「これはうさぎさん林檎というよりは、一刀彫り…」
「貴方の作った兎を参考にした。文句は言わせない。」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 02:17:15.32 ID:EIuMT9yp0
「こんにちわ、古泉君。」
「朝比奈さん。来てくださったんですね。」
「うふふ、そうなの。今日は長門さんは…」
「ミモザ…ですね」
「えっ?」
「花。ミモザでしょう?いい香りだ。さすがの僕でも覚えます。」
「そう、大正解ですよ。うふふ、あまりにもきれいだったから。」
「よかった。間違っていたら恥をかくところでした。」
「長門さんがきたら、お茶をいれましょうね。」
「時間、平気なんですか?」
「これもお仕事ですから。」
「なるほど。……朝比奈さんは任務でしか僕のところにきてくれないと。」
「あっ、ふぇっ、でもっ、古泉君のところにお仕事だからよったってわけじゃ…!」
「冗談です。」
「もぉぉっ…!」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 02:27:50.54 ID:EIuMT9yp0
「…以上が今週の報告。頭に叩き込めた?」
「なんとか。お手数をかけます、森さん。」
「いいのよ。不自由はない?」
「ええ、おかげさまで。」
「…調子は。」
「すこぶる良好です。」
「なにあったら言いなさい。」
「ありがとうございます。でも大丈夫ですから。」
「ならいいの。今度は新川がくるわ。」
「お気づかいなくとお伝えください。」
「貴方もね。…それじゃ、帰るわ。」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 02:30:20.94 ID:EIuMT9yp0
「………冷えるなぁ。桜は咲いてるはずなのに。」
「……閉鎖空間が…。」
「……また、喧嘩でもしてるんですかね。」
「…お熱いことですね。」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 02:42:07.07 ID:EIuMT9yp0
「本が読みたいです。」
「…本。」
「本が読みたいです。ミステリーでもSFでもいいです。
いっそファンタジーでも学園ロマンスでもいいです。
本読ませてください、本!」
「ボードゲームではだめ?」
「………貴方に勝てるわけないじゃないですか。
ああ、そういえば谷川流は新刊を出したんでしょうか。
もう新刊が出るっていって…ふふ、ずっと楽しみにしてたのにな…。」
「……これ。」
「…なんだか、つぶつぶですね。これは?」
「読めない?」
「あいにく。」
「…なら私が読む。」
「読み聞かせですか。」
「そう」
「まるで子供のようですね。」
「私もあなたもまだ子供。」
「そういえばあなたはまだ5歳でしたっけ。」
「女性に年齢の話はタブー。」
「誰にそんなこと聞いたんですか…。」
「朝比奈みくる。」
「……察しました。内緒にしておいてください。」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 02:46:08.51 ID:EIuMT9yp0
「それじゃ帰るわね、古泉君!あったかくしなさいよ!」
「了解しました。」
「来週こそは不思議探索に行くんだから医者蹴倒してでも外出許可をもぎ取りなさい!団長命令よ!」
「ええ。団長のおっしゃる通り、善処しますよ。」
「それじゃ帰るわ!有希によろしくね!ほら、キョンいくわよ!」
「またな。古泉。」
「お二人とも、お気をつけて。」
「…花が増えている。涼宮ハルヒが?」
「ええ、入れ違いですね。幸せそうでしたよ。」
「手をつないで帰るのを見た。」
「そう…ですか。うらやましい事ですね。ぜひ仲良くしていただきたいものです。」
「…そういいつつ物に当たるのはよくない。」
「…これは失礼しました。ちょうどよく手元にあったもので。」
「まくらを修復する。」
「申し訳ないです。……あと、…その花、なんですか?」
「ガーベラとかすみ草。」
「……このクチナシの匂いはどこからするんだろう。」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 02:49:10.47 ID:EIuMT9yp0
「ねえちゃん、本よんでくれよ!」
「今日は外国の話がいいわ。」
「…すっかり人気者ですね。」
「子供が聞くには難解なものを選んでいたつもり。」
「それがうけたのかもしれませんよ。知っていますか?あなた、子供たちに物知りのお姉ちゃんと言われているんですよ」
「…ユニーク。」
「僕も楽しみです。」
「……もの好き。」
「そう思うならぜひ続きをお願いしたいですね。」
「兄ちゃん、姉ちゃんが帰ってからもわけの分かんないこというんだぜー!」
「犯人がどう消えたか話してて消灯の時看護婦さんに叱られてたんだ!」
「あれはっ…!ナイショだっていったでしょう。」
「…どちらが子供。」
「あっちーっ!」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 02:57:26.64 ID:EIuMT9yp0
「無様なところをみせました。」
「いい。…ずいぶん仲良くなったようで、よかった。」
「おかげ様で、たまに訪ねてきてくれるんですよ。貴方目当てのようですが。」
「…そう。」
「このあいだはお母様と一緒にきて美味しいクッキーをいただきまして…。」
「……それは…。」
「食べちゃいました。あはっ。って、なんで抓るんですか!いたいですよ!」
「問答無用。これはクリリンの分。」
「ひっ!ちょっ?! アッー?!」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 03:05:06.98 ID:EIuMT9yp0
「それじゃ、有希、帰るわ。」
「そう。」
「古泉君も風邪なんかひいちゃだめよ。不思議探索に行けなくなったら罰金よ!」
「ええ、もちろん。涼宮さんこそ、気をつけて。」
「…20回」
「長門さん?」
「不思議探索の計画を涼宮ハルヒが口にした回数」
「…ああ、もうそんなになったんですね。」
「実行された数は、ゼロ。」
「…長らくの片思いが実った後の蜜月、とでもいいましょうか。」
「…そう。」
「ならば、他に目がいかなくなるなんて当たり前ですよ。」
「…そう。」
「だから、いいんです。気にしないで、待ちましょう。」
「貴方がそれでいいのなら。」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 03:12:11.55 ID:EIuMT9yp0
(いやだ、こっちにくるな。あぁ、眩しい。眩しい…!)
(いやだ、いたい、世界が、ああ、いやだ…!)
「……起きて。包帯をかえる。」
「…ッ、う、っ……あ、眠って…いたんですか…僕…。」
「泣いて、いたの?」
「……すみません、包帯、びしょびしょですね。」
「……これは汗のせい。こまめに取り換えることにする」
「ありがとうございます。…外は、どうですか。」
「窓をあける?」
「貴方が熱いでしょう。」
「問題ない。」
「………ああ、夕立ちの匂いがする。」
「土の匂い。」
「アスファルトでは感じない匂いですね。」
「嫌いではない。」
「僕もですよ。こうなってからは特にね。」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 03:20:24.73 ID:EIuMT9yp0
「……そうですか、あの二人がついに一線を。」
「ええ。これで何かしら動きがでるでしょう。」
「…もう少しかもしれませんね、森さん。」
「お役御免まで、ですか?」
「ええ。…いろいろ予測はたっていますが。」
「そうなればいいですね。」
「少女は大人にならずにはいられない。そんな夏が終わったんです。」
「どこの純文学ですか。」
「この間長門さんに読んでいただきました。」
「あのTFEIには読むものをもう少し考えてもらいなさい。」
「彼女のチョイスはなかなか楽しいですよ?」
「…ごちそうさまですね。では私は帰ります。」
「……そろそろ秋か…。どおりで金木犀の香りがするはずだ。」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 03:24:59.89 ID:EIuMT9yp0
「…彼女が案外常識人だなんていわなければよかったと今更ながらにおもいます。」
「なぜ?」
「…彼女に奇跡を願ってもらうためには常識は邪魔でしょう。」
「…それは…。」
「…僕の目を治してくださいって。医者に無理だと断言されたら、あとは神頼みくらいかと。」
「今でも願ってもらうことはできる。」
「…彼女が心から願っていれば、今頃僕は目が見えているとおもいませんか?」
「……。」
「貴方でも返答に困ることがあるんですね。」
「最近は、特に。」
「そういうの、嫌いじゃありませんよ。…それに彼女が、普通の女の子だというのも。」
「……普通、だから?」
「普通だから、人の不幸よりも自分の恋に浮かれます。恋におぼれます。」
「それはいいこと?」
「もちろん。それが人間ですよ。仕方がありません。彼女に人間らしさを求めてきた僕らなのですから。」
(僕だって、少しは浮かれたりするのだから彼女を責めることはできない。)
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 03:26:52.22 ID:EIuMT9yp0
「長門さん。もう読み聞かせをしなくても平気ですよ。」
「……そう。」
「それなりに読めるようになったんです。まるでパズル気分ですよ。」
「…そう。」
「貴方にはたくさんお世話になってしまいました。」
「気にしていない。」
「今度お礼をしなければいけませんね。」
「いらない。」
「…カレー食べにいきませんか?外出許可をとりますから。」
「食べる。」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 03:32:03.63 ID:EIuMT9yp0
「……長門さん?」
「…長門さん、いらっしゃらないんですか?」
「……」
「そう、ですよね…。」
(なんでこんなに閉鎖空間ができるんだろう。)
(彼とうまくいっていると聞いているのに。)
(…なんでだろう。)
(幸せじゃないのかな。)
(僕はこんなに…)
「よく、わからないや。……あ、焼き芋の匂い。」
「買ってきた。」
「わぁっ?!」
「ユニーク。」
「…いつからいたんですか。」
「さっき。」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 03:36:45.76 ID:EIuMT9yp0
「そろそろ一年になる。」
「そうですね。すっかり外も寒くなりました。」
「不自由はなくなった?」
「おかげ様でこの部屋の中程度なら。」
「…そう。」
「目が見えない時よりも、ずっといろいろ感じます。におい、おと、あとは気配。…あ、あなたは特例です。」
「…雪のふる音は聞こえた?」
「いいえ、まだ。」
「…カレーを食べにいくにもいい季節。」
「ええ、そうですね。…すみません、ずっといけなくて。」
「いい。…そのかわり。」
「おでんを追加するではいかがですか。表に屋台がきていましたね。」
「話が早くてありがたい。」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 03:39:58.57 ID:EIuMT9yp0
(なんだろう。トントン音がする。)
(キツツキ?……いや、違う。もっと…)
「……これ。」
「…これ?………の…きょ…うが…く……ああ。」
「谷川流の新刊。」
「ついに出たんですね。…というか、点字にしてくださったんですか?」
「専用プログラムをダウンロードした。」
「…嬉しいです。大変だったでしょう?」
「カレー、おおもりで。ココイチは不可。」
「…谷口さんを泣かせて出入り禁になったのは聞きました。
まぁ、了解しましたよ。森さんに相談してみましょう。」
「期待している。」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 03:47:35.27 ID:EIuMT9yp0
「…・あ、また閉鎖空間。」
(…今日にはいって三度目だ。なんでだろう。最近森さんたちもこないし…ずっとこうしてる場合じゃ…。)
「……閉鎖空間がここまで広がれば、ここからでも…たしかここに窓が…」
「あっ」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 03:59:11.03 ID:EIuMT9yp0
「窓から落ちそうになるなんて、うかつ。」
「落ちてないんだからそんなに怒らないでいいじゃないですか。」
「だめ。反省するべき。」
「すいません。」
「声が小さい。もっと大きな声で。」
「…すいません。」
「ぜんぜん気持ちがつたわってこない。」
「すいませんってば!」
「はい、今貴方はしんだ。うかつな貴方はしんだ。」
「…そういうのどこから拾ってくるんですか。」
「禁則事項です。」
「また朝比奈さんか!
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 04:05:59.70 ID:EIuMT9yp0
「…長門さん。」
「何?」
「雪が降りそうですね。」
「そう。」
「…楽しみです。」
「私も。」
「長門さん。」
「…何?」
「雪がふったら、雪の音を一緒にききませんか。」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 04:13:47.54 ID:EIuMT9yp0
「朝比奈みくる。」
「貴方もわかってるんでしょう、長門さん。」
「…死は遠からず訪れる。」
「その時に、どうなるかも…わかっていますか?」
「わかっている。」
「……そうですか。もう少しです。」
「わかっている。だから、そばにいる。」
「わかりました。…お願いします。彼が未来を決めるわけじゃない。でも…。」
「わかっている。一人にしない。」
「安心しました。一時はどうしようかとおもったんです。」
「…でも、そのかわりあなたを一人にした。貴方は私たちを…。」
「それは買いかぶりです。私は私の目的のために動いています。」
「…そう。」
「信じてくれるだけで、充分です。…うふふ。」
「なぜ笑うの?」
「私たち、ずいぶん遠回りをして友達になれましたね。」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 04:23:12.66 ID:EIuMT9yp0
「今日はどこにいっていたんですか?」
「どこ、とは?」
「…あっ、いいえ、長門さんにも用事はありますよね。すみません。」
「いい。…それよりも。」
「つべたっ?!手、どこに!どこにっ!」
「胸板。」
「冷たい以前の問題ですっ!ちょ、はなしてくださいっ!」
「カレーの分の利子。」
「ほっぺもだめですっ!」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 04:27:47.60 ID:EIuMT9yp0
「それでは、今日は帰ります。」
「新川さん、わざわざありがとうございます。」
「いいえ、では温かくなさってください。」
「…では。」
(これだけ寒ければそろそろ雪がふるだろう。)
(長門さんが来たら、雪だるまをつくってもらおう。)
(本も読める。四季も、夜も昼も感じる。何も変わらない。)
(…全部、長門さんやみんなのおかげだ。)
(きっと、目が見えていたころからずっと僕は、不幸じゃない。だから…)
「あっ…!」
(涼宮さんが、悲しんでいる。涼宮さんが泣いてる。)
(ああ、あなたも亡くしたのですね、体の一部を。)
(痛いんですね、苦しいのですね。)
(灰色の世界さえも見えないんですね。)
(…閉鎖空間が恐ろしい勢いで広がっている…。)
(あ、のみこ ま れ)
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 04:31:10.34 ID:EIuMT9yp0
(……体が、痛い。)
(雷の音がする。閉鎖空間が割れてる。)
(…ああ、そういえば何もしないうちから吹っ飛ばされたんだっけ。)
(やっぱり目が見えないのに戦うなんてできなかったな。)
(…全部、終わったはず。なんか、静か、だな。)
(……何の、おとも、しない…耳が痛い…)
(…?あ……ほっぺ、つめたい…)
(これは、雨…?いや、違う、おとが…しない?)
(…違う。なにか…)
(さらさら…?しゃりしゃり……いや、これは…)
(「しんしん」だ)
「雪の、ふる音…」
「そう。」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 04:54:40.51 ID:EIuMT9yp0
「…外傷は軽いようで安心した。」
「おかげさまで。」
「…そう。…端的にいう。」
「ーさんが死んだんですね。」
「事故。寄り代を亡くした涼宮ハルヒの能力もなくなった。」
「ええ、それもわかっています。」
「……貴方はどうするの?」
「決まっています。…行きましょうと、あなたをお誘いします。」
「…いいの?」
「雪の降る音は……本当の無音の時しか聞こえないのですから。
ならば、いましかないでしょう。」
「…気障。」
「貴方が最初に教えてくれたことですよ?長門さん。」
「そう。」
「どうでしょう?」
「・・・このまま涼宮ハルヒが情報操作を繰り返せば情報世界が再構成される可能性がある。
その場合あなたと約束したカレーとおでんと明石焼きが反故になる。」
「さりげなく増えていませんか」
「だから同行する。異論は認めない。」
「…左様ですか。…ならば…。………あ。」
「手をひく。貴方は耳を澄ましていればいい。そのうち朝比奈みくるが合流する。」
「……それはつまり…」
「黙って。…一緒に私もきくから。」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 04:56:14.57 ID:EIuMT9yp0
「…………長門さん。」
「何?」
「雪って本当にしんしん降るんですね。」
「…そう。」
-終-
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 05:14:46.61 ID:EIuMT9yp0
土砂降りの中思い立ち初めてのスレたてをしました。
長い時間お付き合いありがとうございました。
長古は俺のジャスティス。
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/26(日) 11:20:53.72 ID:EIuMT9yp0
起きたらまだあってびっくりした。
俺も長門と古泉のペアは大好物なので、コメディは書けそうもないけど
また何か古泉と長門で思いついたら書こうとおもいます。