4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 12:35:26.13 ID:p1lEfYkaO
深夜。封鎖した文芸部室。
長門「……まるでではなく現状は間違いなくバイオハザード。生物災害状態」
キョン「ん、あぁ、すまん違くてな。そういうゲームがあるんだ。ガンアクションのホラー系。そのシリーズを俺も……いくつか持ってて……それみたいだって……」
キョン「……」
長門「……」
キョン「……すまん。現実逃避してる場合じゃないのは分かってるんだが。目の前の状況が信じられなくてな」
長門「いい。無理もない」
キョン「はは、不思議な事になんてとっくに慣れたと思ってたが、これは……駄目だ、怖くて手が震えちまう」
長門「あなたは心配しなくていい」
キョン「ちくしょう、情けねぇ……くそ、くそ」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 12:39:10.56 ID:p1lEfYkaO
長門「絶対に大丈夫」
キョン「長門……」
長門「前に言ったはず、あなたは私が守る。守りとおしてみせる」
キョン「すまん……ありがとな長門」
そっと握られた手に伝わる長門の温もりのおかげで、俺の震えは納まった。
まいどまいど、長門には助けられっぱなしだな。けど今回ばかりは頼りっきりになる訳にはいかない。
俺にだって出来ることはある。それが解決策に必ず繋がっている。
そうだ、今までだってどうにかなったじゃないか。ハルヒのはた迷惑な力のおかげでイレギュラーなんておてのものだ……
キョン「……」
キョン「……ハルヒ、お前いまどこにいるんだ。ちゃんと生きてるんだろうな?」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 12:42:41.03 ID:p1lEfYkaO
ことの発端がいつなのかはわからない。俺にわかるのは昨日の放課後までは、いつも通りだったということだ。そう、昨日までは。
前日。放課後の教室。
ハルヒ「ふんふんふーんとっ!」
キョン「随分とご機嫌だなハルヒ。臨時収入でもあったのか?」
ハルヒ「む、キョンのわりにはなかなか鋭いわね。そのとおりよ!あたし達SOS団の傑作映画、あれがついに身を結んだ訳」
キョン「映画って、文化祭で上映したあれか?まさかハリウッドからオファーが来たとか言うんじゃないだろうな」
ハルヒ「残念!ハズレよ!そっちも十分に有り得るけど違うわ」
いや、ありえねぇよ。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 12:45:00.44 ID:p1lEfYkaO
ハルヒ「あの時のスポンサーにプラモデル屋があったじゃない?」
キョン「あぁ、あの錆びれ………もとい渋いプラモデル屋か。確かにスポンサーになってもらってたな」
ハルヒ「なんとあのプラモデル屋にマニアが血眼になって捜すような、超プレミアプラモがあったそうなのよ。店長さんが何も知らずに組み立てて、少し値は落ちたみたいだけど、うん百万で欲しいって人が現れたんですって!」
キョン「ほう!そりゃ素直に凄いな」
ハルヒ「でしょ!?いやーあたしもあのプラモデル屋は何か怪しいと思ってたのよ。プラモデルの事はわかんないこど、百万、二百万の品物ならさぞ凄い物なのよねきっと」
キョン「俺も詳しくないからわからんが、まあそうだろうな。……ところでハルヒ、その超プレミア品とお前の懐事情がなんの関係があるんだ?まさか、顔見知りのよしみでおこぼれを貰う、なんて考えてないよな?」
ハルヒ「そこまでがめつくないわよ。そのプラモが世に出るきっかけをつくったのがあの映画であり、あたし達SOS団なのよ!」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 12:47:26.33 ID:p1lEfYkaO
聞けば、その超プレミアプラモは何もしらない店長によって店前のショーウインドーに飾られていたのだそうだ。
そしてそのプラモがちらりとあの映画に映っていた。
それでもって去年の文化祭で映画をみた連中の中にプラモに詳しい奴がいてネットに書き込んだ。
キョン「その情報をみたプラモ好きが、数百枚の札束を携えあのプラモ屋にやってきた訳か」
ハルヒ「えぇ、今日わざわざ店長さんが学校に電話かけてきてね。是非お礼がしたいらしいのよ、もちろんお金なんて貰わないわよ?」
ハルヒ「向こうはそのつもり見たいだったけど。そんでその代わりに次の映画のスポンサーの確約と、そのプレミアプラモを売っちゃう前に見せてもらうことになったのよ」
確約って、映画の続編作ることはもう決まってのか。ん?
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 12:50:19.22 ID:p1lEfYkaO
キョン「お前そのプラモ見に行くのか。以外だなプラモデルに興味があるのか?」
ハルヒ「バカね〜、いい?極めたものってのはジャンル超越した魅力があるの。絵に詳しくない人が美術館の絵画を見て感動するのと一緒よ。プラモに興味はないけど一目見ておきたいと思うのは当然でしょ」
キョン「そんなもんか」
ハルヒ「そうよ。それと見に行くのは、あたし、じゃなくて、あたし達、よ!」
キョン「あたし達?あたし達ってのは誰と誰と誰だ」
ハルヒ「ボケた事言ってるんじゃないわよSOS団みんなに決まってるでしょ!それで見学日は次の日曜日にしたから。それと今日あたしその下見にいってくるから、SOS団は休みにするわ」
キョン「また急だな。つーか下見ってなんだよ。プラモ見に行くだけだろ」
ハルヒ「下見は下見よ、楽しみにしてなさい。それじゃあたしは行くから、キョンはちゃんと部室にいって皆に休みを伝えてから帰る事、いいわね?」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 12:52:00.91 ID:p1lEfYkaO
キョン「そんなのメールでも入れとけばすむだろ」
ハルヒ「なんか今日ケータイの電波悪くて送れないのよ。とにかくあんたが伝えれば問題ないの。はら部室にいく!ほらほら!」
キョン「うあ、押すなこら」
ハルヒ「じゃあねキョン、任したわよ」
キョン「やれやれ……」
キョン「……」
キョン「おい、ハルヒ!」
ハルヒ「んっ、なによ?」
キョン「気をつけていってこい」
ハルヒ「わかってるわよ!」
そう笑顔で返してハルヒは俺の前から姿を消した。
キョン「……さーてと部室に行くか」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 12:54:20.57 ID:p1lEfYkaO
渡り廊下二階。
キョン「あれは……おい!古泉!」
古泉「おや、奇遇ですね」
キョン「毎日同じ場所に向かってるんだ、全然奇遇じゃねーよ」
古泉「そうですか?部室に行く途中であなたとあったのは初めてのような気がしますが」
キョン「そうだったか?」
古泉「えぇ、そうですよ。ところで涼宮さんの姿が見えないようですが、もう部室に?」
キョン「あー、そのことなんだがな。実はハルヒ用があるから帰っちまったんだ。そんでその団長様からの命令で今日はSOS団の活動は休止だ。各自帰宅していいそうだぞ」
古泉「そう……ですか。その用というのは、なんの事か聞いていますか?」
キョン「ああ、文化祭映画でスポンサーをやってくれたプラモ屋に所用だ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 12:55:32.98 ID:p1lEfYkaO
古泉「あぁ、なるほどあのプレミア品関係ですか」
キョン「……なんだ、しってたのか?」
古泉「もちろんです。あのプラモデル屋は涼宮さんが選んだ店ですから、念のため我々は今でも監視を続けています」
キョン「……聞かなきゃよかった。まさか俺の事も監視してるんじゃないだろうな」
古泉「さて?どうでしょうか」
キョン「悪いが、今日はお前とそんな会話を楽しむ気分じゃないし、時間に余裕もない。俺はさっさと部室に行く。団長様のおたっしで、休みを団員に伝えなくちゃならんからな」
古泉「おやおや、仕事熱心ですね。では僕はこのまま帰ることにします。また明日、部室でお会いしましょう」
キョン「あぁ、明日な」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 12:59:20.88 ID:p1lEfYkaO
部室棟、文芸部室。
ガチャ
キョン「っと長門だけか」
長門「………」
キョン「朝比奈さんはまだか。まあいい実はな長門、今日SOS団は休養日になったんだ」
長門「……」
今日「団長様のいつもの気まぐれ……と言う訳でもないか。ハルヒ、用があるらしてな。文化祭のとき作った映画のスポンサーの所にいくそうだ。プラモデル屋のほう」
長門「ヤマツチモデルショップ」
キョン「あぁ確かにそんな名前だったな。超プレミアプラモの見学の下見、だそうだ。下見の意味がわからんがこんな寒い中元気なもんだ、とにかく団長不在で休み。帰っていいそうだぞ」
長門「……そう」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:02:29.29 ID:p1lEfYkaO
古泉には来るとき伝えてきたし、後は朝比奈さんか。
長門「………」
朝比奈さんは今週掃除当番だっけか?なら教室に直接いったほうが早いか……ん?
長門「……」
キョン「長門、帰らないのか?」
長門「………」
キョン「……?」
そんなじっと見つめられてもな……
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:03:26.49 ID:p1lEfYkaO
長門「あなたは」
キョン「……え?」
長門「あなたは?」
キョン「あ、俺が帰らないのかってことか?朝比奈さんに休みを伝えたらな。二年の教室に直接行ってその足で下校だ。長門、お前はどうする?」
長門「……もう少し」
キョン「そうか。けどまあ、ほどほどにしとけよ。もう十二月だし夕方はかなり冷えるからな」
長門「……」コクッ
キョン「戸締まり頼むぞ。また明日な長門」
バタンッ
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:06:33.76 ID:p1lEfYkaO
二年生教室。
キョン「お、いたいた。おーい朝比奈さーん!」
朝比奈「え?あ、キョンくんどうしたんですか?」
鶴屋「おぉキョンくんっ、珍しいねこの教室にくるなんてっ、んん?もしかしてみくるに逢い引きのお誘いにょろ?」
朝比奈「う、えぇ、ああ逢い引き!?」
キョン「違いますよ。(ハルヒがいない今、実に魅力的な提案だ。しかし残念ながら)業務連絡ってところです。朝比奈さん、今日SOS団、ハルヒ不在の為休みになったんです」
朝比奈「え!そうなんですかぁ」
鶴屋「不在って、ハルにゃん体調でも悪いのかいっ?」
キョン「いえ、そんな大層なもんじゃないです。まーたなにか企んでるんですよあいつ。今日はその下見に行ったんです」
朝比奈「そうですか。わかりました。キョンくんわざわざありがとう」
キョン「なんの、これぐらいお安いごようですよ」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:08:34.26 ID:p1lEfYkaO
鶴屋「いやーっ、みくるっ、いい後輩に恵まれたね。こんな献身的な後輩はそこらの部活にいないよっ!」
いや朝比奈さんと鶴屋さんに献身的な後輩なら、腐るほどいそうな気がするが。
鶴屋「あっと!みくる、そう言えばお茶っ葉!」
朝比奈「あ、そっか。どうしよう」
キョン「お茶っ葉?」
朝比奈「うん、実は今日新しいお茶っ葉をたくさん持ってきたの。昨日の放課後、鶴屋さんにお茶っ葉屋さん教えてもらって」
鶴屋「いやー、隠れ専門店なんだけど、みくる着くやいなや、大興奮しちゃてさっ、あれもこれもと大量に買い始めたんだよっ」
朝比奈「だ、だって、あんなに種類があるなんて思わなくて」
キョン「それを今日もってきてるんですか?」
朝比奈「はい。あれです」
キョン「……はぁ、あれはまた、大漁ですね」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:10:20.69 ID:p1lEfYkaO
朝比奈さんの席らしき机には、お茶っ葉の缶で膨らむかわいらしい手提げ袋が掛かっていた。
しかも二つも。
朝比奈「買い過ぎちゃったので、しばらく節約しないといけなくなっちゃいました」
キョン「解りました。俺が部室に持っていっときますよ」
朝比奈「え、そんな、悪いからいいですよ。掃除が終わったら自分で持っていきますから」
キョン「遠慮しないでください。部室には今の所長門がいますが、掃除が終わる頃には誰もいないかもしれませんし、そしたら部室、鍵閉まっちゃってますよ」
キョン「長門が職員室に鍵返しちゃったら、俺達に貸してくれるかわからないですしね」
朝比奈「う〜ん、けどぉ」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:12:14.15 ID:p1lEfYkaO
キョン「ではこうしましょう。俺がお茶っ葉を持っていくかわりに明日、そのお茶っ葉でとびっきりのお茶を入れてください。これでギブアンドテイクですよ」
朝比奈「……キョンくん。うん、ありがとう。それじゃあお願い、しようかな」
キョン「お任せあれ」
朝比奈「あ、じゃちょっとまっててね。今持ってきますから」
キョン「はい」
キョン「………」
鶴屋「ふっふっふっ」
キョン「な、なんすか、鶴屋さん」
鶴屋「ふふふ、いやこの鶴にゃん、キョンくんの対みくる専用交渉術に関心してるのさっ。うん、やっぱりキョンくんは出来た後輩だっ」
キョン「ならよかったですよ」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:14:15.76 ID:p1lEfYkaO
朝比奈「キョンくん、これです。重くないですか?」
キョン「えぇ、たいしたことないですよこれぐらい。それじゃ長門が帰らないうちに、ちゃっちゃと置いてきます」
朝比奈「うん、お願いします」
鶴屋「かんばれー!キョンくんっ」
キョン「ははは、鶴屋さんそんな応援されても、それでは!」
朝比奈「あ、キョンくん」
キョン「ん、はい?なんですか朝比奈さん」
朝比奈「あした絶対、美味しいお茶入れますから」
キョン「楽しみにしてますよ」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:17:54.70 ID:p1lEfYkaO
放課後、部室棟、文芸部室前。
キョン「………まいったな。もういないとは」
まさか、こんなに早く長門が帰ってしまうとは。もう少しと言うから、まだいると思ったんだが。甘かったか。
キョン「しょうがない、職員室に鍵を取りにいくか、急いでいけは長門に追いつけるかもしれないしな」
それにしても、俺は放課後だけで何回、この部室棟の階段を上り下りしてるんだ。鍵を手にいれたら、また来なくちゃならん訳だしな。
キョン「とまぁ、朝比奈さんの為だと思えば、全然苦じゃないが……お?」
グラッ
キョン「地震か」
グラグラ
キョン「ってちょっとまて、かなり強いぞっ、おわっ!?」
ゴロゴロ、ドンッ
キョン「痛っ、な…んだ?どうなった……」
バランス崩して、転がり落ちたのか……やべぇ、頭打った、くらくら……する……
意識が……
キョン「……………」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:23:41.79 ID:p1lEfYkaO
部室棟、封鎖された文芸部室。
キョン「………んぁ?」
キョン「…………」
キョン「あれ?なんで俺、部室に、っつ!!」
頭の痛みのせいで思い出した。そうだった、俺たしか地震のせいで階段から転がり落ちたんだ。
キョン「痛ってー、こぶになってら。あんな豪快に転がってこぶだけなら儲けもんか」
……ちょっとまて、部室にいる意味がわからんな。誰か倒れてる俺を見つけて運んでくれたのか?いや、なら保険室だろ普通。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:24:51.53 ID:p1lEfYkaO
キョン「電気がついてないから暗いな。って今、7時かよ!早く帰らねぇと……」
暗いと言っても真っ暗ではないから回りも見える。だからこれもちらちらと視界には入っていた。
キョン「机に椅子に、ロッカーか、こりぁどうみても地震で倒れたんじゃなくて、ドアを塞ぐ理由で積み重なってるよな」
部室の出入口にバリケードって、俺は夢でも見てるのか?
キョン「はぁ。しゃーない、退かすか」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:27:30.72 ID:p1lEfYkaO
部室棟、一階。
キョン「やれやれ、家に連絡しようとしたら携帯の電波は来てないし、こりゃ叱られるな」
それにしても夜の学校ってのは予想を裏切らず不気味だ。
あの時を思い出すな。薄ぐらくて、誰もいない学校、ハルヒと共に訪れた……
キョン「まさか閉鎖空間の中じゃないだろうな、ん?」
あそこに誰かいる。こんな夜の学校に?って人のこと言えないか、あれ?もしかしてあいつは。
キョン「おい、国木田じゃないか!」
国木田「…」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:29:26.85 ID:p1lEfYkaO
キョン「こんな時間になにしてんだ?とまぁ俺もなんだが。地震のせいで階段から落ちて意識うしなっててな。気がついたら、部室にいたんだ、お前は?」
国木田「……ン」
キョン「国木田?」
国木田「……アア」
キョン「あ、おい!どこ行くんだよ!」
国木田「ア、ア、アア」
キョン「……」
キョン「いっちまった。国木田の奴、夢遊病にでもかかってるのか?」
キョン「……さっさと帰るか」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:33:08.67 ID:p1lEfYkaO
一階、昇降口。
キョン「閉まってるかとおもったけど、ちゃんと開いてるな。よかった、よかった」
外履きに履き変えようと、靴箱に近づく、すると昇降口の脇に見知らぬ女子生徒が倒れていた。
キョン「お、おい!大丈夫か!」
女子生徒「ウゥ……」
キョン「こんな所で倒れてどうかしたのか?具合でも悪いのか?」
女子生徒「……グア、ア」
俯せで唸り声を上げる女子生徒が心配で起き上がらせようとした、その瞬間。
女子生徒「フシャアアアア!!!」
キョン「おわっ!」
キョン「な、なんだ!?」
女子生徒がいきなり噛み付こうしてきやがった。
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:35:02.91 ID:p1lEfYkaO
女子生徒「ウアウ……アア…」
キョン「お、落ち着けよ、別に危害を加えよって訳じゃない!余計なお節介って言うんなら退散する」
女子生徒「………ハァァァ…」
キョン「分かった。帰るから、な?だから迫ってくるな」
なんかこいつ目がいっちまってないか。
キョン「うあ!?」
ドサッ
後ずさっていた俺は何かに躓いた。
キョン「なんなんだよ、ったく」
国木田「ウウ……」
キョン「国木田!?お前、こんな所でなに」
国木田「ウウ……シャアアアア!!」
キョン「痛っ」
あろうことか国木田は、俺の足に噛み付いてきやがった。
キョン「よせ、国木田どうしたんだよ!痛てぇ、離せ!!」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:36:03.02 ID:p1lEfYkaO
国木田「ウウウウッ」
徐々に国木田の歯が食い込んでくる。やばい。このままじゃ食いちぎられる。そう思った俺は、国木田を離そうと手を延ばした。しかし。
キョン「っ!!」
女子生徒「ウウウウ」
こんどは女子生徒が腕に噛み付いてきた。
キョン「なんなんだ、おまえら!?離せ!痛っ!!は、離せよ!!」
振りほどこうするが、どちらも人とは思えない馬鹿力で俺を押さえつけてくる。
キョン「う……あああぁ……お前ら本当に噛みちぎる気かっ!痛てぇ、痛てぇぇ!!!離せぇぇ!」
このままじゃあマジでやばい。なんとかしないと。
A、大声で助けを呼ぶ。
B、渾身の力で二人を振りほどく。
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:46:36.17 ID:p1lEfYkaO
S朝倉「さてみなさんが、選んでくれてる選択肢だけど、一応どちらの選択ルートも用意しているわ」
S朝倉「基本は多数決できめるからね。ちなみに、選択肢を間違えるとバットエンドがまってるから」
S朝倉「ちなみにSはシステムのSです。わからいことはこのシステム朝倉に聞いてね。それでは本編をお楽しみください」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:48:44.37 ID:p1lEfYkaO
【A】
「だ、だれか……」
こんな尋常ではない腕力で押さえつけられていては、とても俺一人では逃れられない。誰かに、誰かに助けを求めなくては。
キョン「誰かっ、助けてくれぇぇ!!」
?「伏せて」
キョン「!」
ドカッ
女子生徒「ヘブッ」
その瞬間、俺の髪を撫でるように掠める強力な蹴りが女子生徒を吹っ飛っとばした。
バキッ
国木田「グガッ」
続いて足に噛み付いていた国木田も顔面を蹴られ真後ろに倒れこむ。
俺は蹴りを入れた者を見て思わず叫んだ。
キョン「長門っ!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:52:08.84 ID:p1lEfYkaO
長門「走れる?」
相変わらずの無表情が俺
に手を延ばしている。
キョン「あぁ、大丈夫だ」
長門「急いで」
見ると、蹴られた二人がよろよろと起き上がりばじめていた。しばらく転げ回ってもおかしくない、痛烈な一撃だったはずなのに。
長門「彼らはこの程度で倒せない。それにこの騒ぎで、他の人達もこちらに気付いた」
ウアアアアア、ガァ、オォォォ
キョン「なんだ……このうめき声は…」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:53:09.40 ID:p1lEfYkaO
長門「すでに学校の中は感染者にうめつくされている」
キョン「感染者?」
長門「後で説明する。今は走って」
そういいながら長門は俺の手をとり、走りだす。
キョン「わかった!」
何が起きているかはわからない。しかし、目の前に長門がいてくれる。
それだけで俺の混乱は消え去っていた。
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:57:08.11 ID:p1lEfYkaO
封鎖した文芸部室。
部室に逃げこんだ俺達は扉の前にバリケードを作った。
キョン「これでとりあえずは安全だろ。長門いったいなにが起きてるんだ?」
長門「現在この周囲一帯は特異ウィルスに感染した者で埋めつくされている。あなたを襲ったのは感染者」
キョン「ウィルスだって?」
長門「そう。極めて危険な能力を持っている。空気感染という急激な感染力もさることながら、もっとも恐ろしいのは一度発症すれば助からないという致死率百パーセントの殺傷力」
キョン「ち、ちょっとまってくれ長門」
長門「加えて、発症してから死にいたるまでの間はウィルスが起こす脳神経への影響から、脳機能に弊害が起き本能的な事しか行動することができなくなる。あなたに噛み付いたのは恐らく食欲にかられた為」
キョン「長門!待てって!!」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 13:58:23.90 ID:p1lEfYkaO
長門「……」
キョン「なんだそりゃ。意味がわからん。冗談にしても笑えない」
長門「………」
キョン「空気感染する致死率百パーのウィルスだって?……なにをんな馬鹿なこと言ってるんだお前は」
長門「信じて」
キョン「うっ……」
長門「私が言ってることは全て真実。現にあなたは先程、知人に襲われている」
キョン「たしかにそうだが。けど、いきなりそんなウィルスが蔓延するなんてありえない。非現実的すぎるだろ!?」
長門「そう。これはこの世界の正しい姿ではない」
キョン「……どういうことだ」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:00:12.43 ID:p1lEfYkaO
長門「時間にして3時間10分前、大規模な時空改変が行われた。ここは改変された世界」
キョン「時空改変?なんだそりゃ、頼むから俺にわかるように説明してくれ」
長門「この世界はある者の意思によって作り替えられた世界」
キョン「作り替えられた?世界がか?」
長門「そう。この世界はあなたが知るものとは似て非なるもの。創造された」
キョン「なんだよそれ、いくらなんでも話がぶっ飛びすぎだろ……」
しかし、長門が今まで俺に嘘をいったことなどない。いつだって正しいのは長門で、あたふたするのが俺だ。
受け入れるしかないのか……。
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:01:47.58 ID:p1lEfYkaO
キョン「じゃあこの、ウィルスが蔓延してるのはどこかの誰かが、造りだしたシチュエーションだってんだな」
長門「そう」
キョン「なら俺が聞きたいのは二つだ。まずこんなB級ホラー映画みたいな設定を造りだしたのはだれだ」
長門「……」
キョン「長門でもわからないのか?」
長門「まだあなたに言うべきことではない。今の私にはそれしか答えることは出来ない」
キョン「……わかった、ならいい。けど次の質問には答えてもらうぜ。世界を元に戻すにはどうしたらいい?」
長門「打開策は一つ。涼宮ハルヒ、彼女を捜しだすこと。そうすれば世界は元に戻る」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:02:46.24 ID:p1lEfYkaO
長門が言うにはそれが唯一の方法らしい。
時空改変が行われた時、俺とハルヒにそれぞれ世界を元に戻す為に必要な情報因子とやらを持たせたのだそうだ。
その因子が抗体の役割も果たしていて俺とハルヒはウィルスに感染しない。
俺とハルヒが一定距離以上近づくと因子が共鳴し、世界を元戻すプログラムが発動する。
ただし俺もハルヒも生きたままでなくてはならない。死んでしまうと、因子が定着できず無散してしまう。
そういうことらしい。
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:04:27.34 ID:p1lEfYkaO
深夜。封鎖した文芸部室。
ブルルルル
キョン「……ん?」
キョン「……時間か」
長門の提案でしばしの仮眠をとっていた俺はケータイアラームのバイブ音で目を覚ました。
キョン「……夢な訳ないか」
時空改変。ウィルス。数々の情報が頭に蘇ってくる。
長門「………」
キョン「……長門もう起きてたのか、おはようさん」
窓の外を見ると何人かの生徒が俳諧している、その足元はふらふらとおぼつかず、唸り声も上げている。感染しているのだろう。
キョン「……まるでバイオハザードだな」
突き付けられている現状は以前、厳しいものだ。
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:22:45.95 ID:p1lEfYkaO
深夜、部室棟一階。
キョン「長門、歩き回って大丈夫なのか?国木田達みたいな感染者がうろついているんだろ?」
長門「いないとは言えない。しかし、行動するには今の時間帯が一番いい」
キョン「なにか理由があるのか?」
長門「感染者は本能によって行動する。つまり理性が効かず欲求に忠実になる」
キョン「……なるほど。それで?」
長門「人間の三大欲求と言われる原始的な欲の一つは睡眠欲」
キョン「なるほど。こんどこそわかった。こんな夜の夜中、丑三つ時になれば睡眠欲にかられて感染者は眠っちまってるんだな」
長門「そう。しかし大多数はそうでも全ての感染者が寝ているとは限らない。出来るだけ音をたてないほうがいい」
キョン「了解。さっさと職員室にいっちまおう」
職員室に行く目的は電話だ。現在、携帯電話は一切使えない。長門が言うには異例な太陽風とかいうのが電波を妨害しているかららしい。
突き詰めればこれも誰かの演出の一つと言うことだろう。
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:24:03.72 ID:p1lEfYkaO
職員室。
キョン「ふう、なんとか誰にも会わなかったな。」
かなり暗いが、明かりをつけて、感染者がよってきてもこまるしな。
キョン「よし、早速電話を使わせてもらおう……って誰に電話するんだ」
キョン「ハルヒに電話をするつもりでここまで来たが、よく考えたらハルヒの携帯だって今は使えないだよな」
長門「かける相手は涼宮ハルヒではなく古泉一樹」
キョン「古泉?」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:26:22.02 ID:p1lEfYkaO
長門「正確には古泉一樹が所属する組織と連絡をとる。あなたが陥っている現状を知れば彼等はあなたを保護してくれる」
長門「それに彼等ならば涼宮ハルヒの居場所を知っている可能性も高い」
キョン「……長門、気になってはいたんだが、お前、情報操作とやらはできないのか、あれを使えばハルヒの居場所なんて一発だろう?いや根本的な問題だって解決できるはずだ」
長門「改変によってこの時空には情報統合思念体が存在しないため、今の私に情報を操作する力はない」
キョン「なんてこった、お前のパトロンが消されちまうような事態なのか」
長門「私も改変によって普通の人間に構成情報を書き換えられたが、身体能力は人間の限界値に設定されている」
キョン「……限界値」
そうか、あの強烈な蹴りは、ぎりぎり人が出来るレベルなのか。
人間ってのは以外とパワフルだな。
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:29:03.77 ID:p1lEfYkaO
長門「……しかし所詮は運動機能が上昇しているにすぎない。私一人の力では」
長門「………私はあなたに謝らなくてはならない」
キョン「いきなりどうした?」
長門「私は先程、あなたを必ず守ると宣言した。しかし、現状私にはあなたを守れる力等ない」
キョン「……」
長門「……だから」
キョン「謝る必要なんてないさ長門」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:30:44.24 ID:p1lEfYkaO
長門「…」
キョン「確かにお前の力をあてにしてなかったって言ったら嘘になる。けどな俺が信頼してるのは情報操作の力とやらじゃなくて長門だ。さっきだってお前は俺を助けてくれたじゃないか」
キョン「協力すればいいんだ。長門、出来る限り俺を助けてくれ。俺も全力で長門をフォローする」
長門「……」
キョン「な?たまには俺にかっこつけさせてくれよ」
長門「わかった。ありがとう」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:33:26.36 ID:p1lEfYkaO
キョン「よし、それじゃ古泉に電話をかけるか、って古泉の携帯だって使えないんじゃないか?」
長門「彼等もこの異常事態には気付いているはず。ならば、主要人物との連絡手段の確保は最優先事項。古泉一樹の携帯電話の番号にかけてみて」
キョン「わかった」
俺は、携帯で確認した古泉の携帯番号を押した。
トゥルルルルル、トゥルルルルル、
キョン「お、呼び出してるぞ」
古泉『はい、もしもしどなたでしょうか?』
キョン「繋がった!古泉、俺だ!」
古泉『あなたでしたか、よかった無事だったんですね』
キョン「あぁ、なんとかな。隣に長門もいる」
古泉『長門さんが?そうですか。なら僕達よりあなたのほうがこの現状に詳しそうですね。いったい何が起きているんですか?各地で暴動が発生しています。いえ暴動の”ようなもの”です、暴れている人達は正気の沙汰とは思えません』
キョン「そのてんに関してはいくつか情報提供できる」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:35:49.40 ID:p1lEfYkaO
俺は古泉に今もっている情報全て、早口で説明した。
古泉『時空改変、ウィルス。なるほど、解りました』
キョン「ずいぶんと手早く理解してくれるな。なにか質問はないのか?こんなぶっ飛んだ設定、漫画でも扱わないぞ」
古泉『いえ、すっきりしたぐらいです。こんな現状、そのような設定でなくては納得できませんからね』
古泉『そして終端も解りやすい。あなたと涼宮さんが生きて再開したとき、世界は元の戻る。よういに想像出来るハッピーエンドじゃないですか』
キョン「お前、こんな事態でよくもそんな軽口が出てくるな」
古泉『身に迫る危機というのには多少耐性があるんですよ。神人との戦闘のおかげです』
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:39:56.62 ID:p1lEfYkaO
古泉『それよりも、今あなたは学校の職員室ですね?すぐに到着しますので待機していてください』
キョン「よくわかったな。そういやお前、今携帯電話か?」
古泉『いえ違います。僕は今、車の中であなたのところに向かっている最中で、つかっているのは無線機です』
古泉『一般的な携帯電話では太陽風の電波妨害を回避することはできないですから、少し特殊な無線機に僕の携帯番号を直結してあります』
古泉『逆探知機もついています。あなたが駄目元でかけてきてくれて助かりました』
キョン「それは俺じゃなくて長門が」
長門「………!」
キョン「長門?」
古泉『……どうかなさいましたか?』
長門「……廊下に」
キョン「ろうか?廊下がどうか………おいおい、なんだありぁ………!?」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:44:07.45 ID:p1lEfYkaO
扉の隙間から見えたのは学生服の男子生徒。しかし正しい人の形をしていない。
異様なのは頭部だ。本来二つの目がついている場所に二つの手首がにょきりと生えている。
そして指の先に計10個の裸の眼球がついているのだ。
指がそれぞれ世話しなく動き、眼球を他方に向けている。
その眼球付きの手首は、頭の左右、耳があるはずの辺りにもついている。
キョン「ば、化け物」
古泉『化け物?いったいなにが』
ガラガラッ
長門「隠れて」
キョン「うおっ」
俺は長門に引っ張られるように、机の後ろに隠れた。
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:46:33.81 ID:p1lEfYkaO
キョン「おいおいおい、長門、なんだあれ!入ってきたぞ!」
長門「おそらく、ウィルスによって遺伝子が刺激され変異した。あの異常な数の視覚器官は、この暗闇に適用しようと進化したものと思われる」
男子生徒「ア、ハラヘッタナ……ア…」
キョン「喋ったぞ!?」
長門「ウィルスの潜伏機関や、発症から知能低下の進行速度、死亡に至るまでは全てに個人差が生じる。あの男子生徒はまだ、思考を言葉にする程度の知能をもっているのだと思われる、しかし、様子から見てもう本能に支配されている」
男子生徒「……アア…ココ……ドコダ?……ハラ……」
キョン「ど、どうする?」
長門「……あの外形から予測すると変異の過程で聴覚器官が乏しくなっているか、もしくは失くなっている。ならば視野に入らなければ見つからない」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:50:05.12 ID:p1lEfYkaO
S朝倉「ふ、不覚、『潜伏機関』ってなによ……。『潜伏期間』の間違いだったわ』
S朝倉「出来れば突っ込まないで!それでは本編再開!」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:53:12.34 ID:p1lEfYkaO
キョン「な、なるほどな。ならこのまま隠れてやり過ごそう、おい古泉、って、きれてる!?」
長門に引っ張られてしゃがんだときか。まあいい、伝える事は伝えたしな。
男子生徒「クイモンハ……ドコダ?……コッチカ……」
長門「移動する」
キョン「おう」
男子生徒「ネェナァ……コッチカ……」
キョン「くそっ、またこっちにきやがった。長門、向こうの影にいくぞ」
長門「……」コクッ
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 14:55:08.91 ID:p1lEfYkaO
男子生徒「……メンドクセェ……コンドハコッチ」
キョン「おい、長門。あいつまたこっちに来てるぞ?本当に見つかってないのか?」
長門「私もあなたも視野には入っていないはず。視覚的には見つかっていない。それでも私達の存在に気付いているという仮定で推測すると視覚だけではなく、嗅覚も異常発達しているのかもしれない」
キョン「俺達を臭いでおってきてるってのか?」
長門「可能性はある」
ならどうするか。あの感染者、さっきからわざわざ出口のほうから周りこんで歩いてきやがるから、こっそり出ていくこともできない。
鈍いようだから、視野に入る覚悟で突っ切るか。
それとももう少し様子をみて、この隠れんぼを続けるか。
いっそ隙をついて倒しちまうっていうのも手だな。
A、完全に見つかる事を覚悟して走る。
B、もう少し様子みる。
C、隙をついて攻撃をしかける。
D、長門に意見を聞く。
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:00:32.93 ID:p1lEfYkaO
【D】
キョン「どうしたもんかな。長門なにかあるか?」
長門「……あの男子生徒はおそらくウィルスと相性がよかったのだ思われる」
キョン「相性がよかったのに、あんな様変わりしたのか?」
長門「相性がいいとは、ウィルスが宿主とするのには都合がいいということ。彼はウィルス起こす影響に過敏に反応する体質を持っていたのだとと仮定すれば、あの尋常ではない変異も納得出来る」
キョン「……不憫だな」
長門「故に、何処がどのように発達しているか解らない。行動は慎重にとったほうがいい」
キョン「そうだな」
長門の助言を心に留め、俺は改めて、これからの行動を考えた。
A、完全に見つかる事を覚悟して走る。
B、もう少し様子みる。
C、隙をついて攻撃をしかける。
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:06:01.91 ID:p1lEfYkaO
【B】
キョン「あいつに関して不確定要素が多すぎる。もうしばらく様子を見よう」
長門「わかった。私もその意見に賛成」
男子「ウア………ア……」
キョン「次は向こうだ、いくぞ」
長門「……」コクッ
そこからまたしばし、俺達のかくれんぼは続いた。
隙あらばこっそり職員室を逃げ出そうかとも考えていたのだが、あの男子生徒、わざとなのか解らないがからなず出口を視野に入れながら移動しやがる。
いいさなら根比べだ。
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:07:31.26 ID:p1lEfYkaO
S朝倉「うぅ、的確に正解が選ばれていくわ。バットエンドルートが無駄に………」
S朝倉「………一人ごとよ。はい!本編再開!!」
131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:10:15.65 ID:p1lEfYkaO
そして根比べに耐え切れなくなったのは奴のほうだった。
男子生徒「アアアア……!!」
ガシャン
突然暴れ始めた男子生徒は、周囲の物を散らかし始めた。
キョン「うえ、なんだあれ……」
男子生徒が振り回しているの二つの腕だけではない。
口先から伸びる異様に長い舌も周囲を薙ぎ倒しているのだ。
一番伸びた時で二メートルはありそうだ。
キョン「あれは危険だな」
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:11:16.32 ID:p1lEfYkaO
男子生徒「モウイイ……クイモンナラ……ホカニ……」
そう呟いて男子生徒はゆっくりと方向転換をして職員室をでていった。
キョン「ひとまず、一難さったか…」
また一難なんてのはゴメン被りたいところだ。
あの男子生徒、でかい音をたてやがって。
キョン「いまので他の感染者が気付いちまったかな」
長門「……」
ウオオオオオ
ハァァァァ
地獄の釜から聞こえてくるような、雄叫び。
長門「……気付いてる」
キョン「だな」
ここは、
A、善は急げだ。さっさと職員室から離れよう。
B、まだ、慎重にだ。そういえば男子生徒はなんて言っていた?
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:15:22.99 ID:p1lEfYkaO
【A】
キョン「もたもたしてたら、感染者達があつまってきちまう。すぐにここから、離れよう」
長門「……」コクッ
古泉はどれぐらいできてくれるんだろうか。また電話したいが、長居をする訳にもいかない。
キョン「とりあえずまた、部室に行こう。職員室に俺達がいないとわかったら、部室に来てくれるか」
ヒュン
ドスッ
長門「!」
キョン「か、かか……」
ゴポッ
職員室から出た瞬間、俺の首を何かが貫いた。
そこから吹き出す生暖かい赤黒い液体。
男子生徒「ヤッパリ……イタ……」
薄れいく意識のなかで目に入ったのは、待ち構えるよう立っていた男子生徒の歪んだ笑顔だった。
【BAT END】
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:19:01.39 ID:p1lEfYkaO
S朝倉「間違えた……、別にバットエンドルートが無駄になるからってわざとじゃないわよ!」
S朝倉「Bね!Bから始めればいいんでしょ!」
S朝倉「……うぅ、ごめん」
173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:26:14.84 ID:p1lEfYkaO
長門「……」
長門が廊下の様子を伺いながらゆっくりと職員室の扉をくぐる。
ヒュン
その途端、聞こえてくる風切り音。
キョン「長門!!」
長門「大丈夫……」
見ると長門は自分の首元まで来ていた細長い物を受け止めていた。
男子生徒「……ヤッパリ……イタ……」
キョン「くっ、こいつ待ち伏せしてやがったのか」
職員室の外には歪んだ笑顔を浮かべる男子生徒が、多数の眼球を俺達に向けていた。
182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:40:10.30 ID:p1lEfYkaO
S朝倉「うぅ、ごめん、なんかいろいろ混乱してるわね」
S朝倉「スレを立てたのとは同一人物ですので」
S朝倉「後、本編も今から再開ね。選択肢【A】から」
S朝倉「つづりの事は………」
S朝倉「……死にたい」
185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:41:07.89 ID:p1lEfYkaO
【A】
キョン「あいつ食い物なら他にあるとかいってたな」
長門「校内で無事なのは私達だけのはず」
キョン「うーむ」
慎重にといっても、長居をする訳にはいかない。
長門「はやくここから離れたほうがいい」
キョン「そうだな、けど慎重にこしたことはない。廊下の様子を探りながらだ」
長門「わかった。なら私が警戒しながら先頭をいく」
キョン「頼む」
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:42:49.85 ID:p1lEfYkaO
長門「……」
長門が廊下の様子を伺いながらゆっくりと職員室の扉をくぐる。
ヒュン
その途端、聞こえてくる風切り音。
キョン「長門!!」
長門「大丈夫……」
見ると長門は自分の首元まで来ていた細長い物を受け止めていた。
男子生徒「……ヤッパリ……イタ……」
キョン「くっ、こいつ待ち伏せしてやがったのか」
職員室の外には歪んだ笑顔を浮かべる男子生徒が、多数の眼球を俺達に向けていた。
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:45:34.04 ID:p1lEfYkaO
男子生徒「アアアアアッ!!」
長門「……っ」
舌を長門に突き付けたまま、男子生徒が長門に組みかかった。
さすがの長門も、あの舌を抑えながらじゃ不利だ。
キョン「おぉぉらぁ!」
男子生徒「クガッ」
長門につかみ掛かる直前に、俺は男子生徒に体当たりをした。
男子生徒が地面に転がる。
キョン「長門!向こうの扉からでるぞ!」
長門「……」コクッ
倒れる男子生徒を相手にせず、俺達はもう一つの扉に走った。
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:47:08.96 ID:p1lEfYkaO
国木田「ウア……ア」
女子生徒「アアアア、エアア」
キョン「な!?」
もう一つの扉に辿りつく寸前で俺は足を止めた。
なんと国木田とあの時の女子生徒を含む数人の感染者が向かっていた扉から職員室に入ってきたのだ。
国木田「ウガァ!」
女子生徒「シャアアア!」
長門「伏せて」
キョン「…っ」
長門の声に俺は反射的に身を屈めた。
バキッ、ドンッ
長門の掌底と裏拳が国木田と女子生徒にヒットする。
191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:49:04.88 ID:p1lEfYkaO
男子生徒「テメェラ、ソレハオレノエサダァァ!!」
叫び声に振り返ると、倒れていた男子生徒が、こっち向かって走ってきていた。
あいつ、走れんのか!?
長門「!!」
長門も男子生徒に気付いたようだが、長門は数人の感染者と対峙している最中なのだ、背後の奴まで相手にはできない。
ましてやあいつは素早く動く長い舌を持ってるんだ。
男子生徒「ウガァァァ!!」
男子生徒は異様な眼球をうごめかせながらこちらに迫ってくる。
これ以上近づけさせる訳にはいかない。
俺がどうにかするしかない!
A、何か投げる物がないか近くの机を見る。
B、付近の壁を探る。
203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 15:58:02.56 ID:p1lEfYkaO
S朝倉「同じ数じゃないの……」
S朝倉「誰かもう一票」
208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 16:00:32.13 ID:p1lEfYkaO
【B】
俺はとっさに壁を探った。幸、目的のものは俺のすぐ近くにあった。
パチッ
スイッチを押したことによって、職員室内の電灯が次々と輝く。
男子生徒「ウギャャャャャャャ!!」
苦しみだす男子生徒。予想通り蛍光灯が眩しいようだ。
男子生徒についてる20の眼球は瞼のついてない丸裸。光を遮る機能なんかついちゃいない。
男子生徒「ギャギャャ!!」ブンッ
ガシャン
ドンッ
キョン「うお!危ね!」
男子生徒が眩しさで暴れ始めた。腕と舌を振り回し、周囲の物を破壊している。
キョン「長門!こっちだ!」
長門「わかった」
出口にはまだ、感染者が数人。俺達はとりあえず距離をとった。
211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 16:02:22.29 ID:p1lEfYkaO
男子生徒「ウアァァァ!!ギャャャ!」
ブンッ、ブンッ
ガシャン、バコッ
キョン「なんか苦しみ方が半端じゃないな……」
長門「……」
男子生徒「ガァァァァァ、アァァ、オワァァァァ」
グチャ、クチャ
キョン「おいおい、あいつの顔が!」
長門「また変異を始めた」
213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 16:03:46.06 ID:p1lEfYkaO
トゥルルル、トゥルルル、
キョン「電話!?ど、どこだ?あった!もしもし!?」
古泉『よかった。まだ無事に職員室にいたんですね』
キョン「古泉か!今こっちは感染者に襲われてて大変なんだ。今どこだ!?」
古泉『学校の門の前に到着したところです。っつ!!』
キョン「古泉!?」
古泉『大丈夫です。こっちも感染者に襲われてる最中でして。向かえに行けそうにもありません。出来ればあなた方からこちらに来て欲しいのですが』
キョン「わかった!今長門とそっちに向かう」
ヒュン
長門「!」
ドンッ
キョン「うあっと!」
長門に突き飛ばされたが、なんとか転ばずに体勢を立て直す。
215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 16:05:41.07 ID:p1lEfYkaO
キョン「………くそっ、なんだあのバケモノは」
バケモノ「……ハァァァァ」
そこには苦しむことも、叫ぶこともやめた、本物の化け物の姿があった。
体格は膨れ上がり、身長はゆうに2メートルはある。制服は殆ど破れていた。
そして足のように太い腕の先には凶悪そうな爪が、裂けた口には無数の針のような歯が。
そしてさらに伸びた舌。
不格好に生えた手首はなく、顔の上部には一つのかい目がついている。
もうあれは人ではない。
バケモノ「……ハァァァァァァァ、ガァァ」
ビュン、
バケモノは驚異的な脚力で、こっちジャンプしてきた。
長門「!」
キョン「くっ!」
俺と長門はそれぞれ左右に転がり、なんとか下敷きは免れる。
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 16:07:56.72 ID:p1lEfYkaO
長門「距離をとって」
キョン「あ、あぁ !」
バケモノを挟んで向こうにいる長門の声。その指示通りバケモノから俺は急いで離れた。
あの舌、もうどれほどの長さなのか検討もつかない。
バケモノ「ウオォォォォォ!」
キョン「………くそっ」
完全に俺と長門は分断されちまった。長門と門に向かわなきゃならんってのに。
どうする?どうする?どうすりゃいい!?
長門「古泉一樹との会話の内容は把握している」
キョン「!」
巨大な咆哮を続けるバケモノの向こうから、小さく澄んだ声が俺の耳に響いてくる。
長門の声だ。
219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 16:10:05.15 ID:p1lEfYkaO
長門「だから」
長門がなにを言わんとしているのか何故かはっきりとわかった。
長門「走って」
なのでそれを聞いた途端に体は動いていた。
俺は近くにある誰もいない出口へ。
逆側を見ると長門も感染者を薙ぎ払いながら近くの出口に走りだしていた。
キョン「……」
長門「……」
出る瞬間、ちょうど同じタイミングで反対の出口から出ようとする長門と目があった。
長門、また必ず会おう。
そして職員室を出た俺と長門は感染者のいない方向にそれぞれ駆け出した。
221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 16:16:31.94 ID:p1lEfYkaO
正門前、車内。
森「……」
キョン「……」
古泉「……」
森「……残念ですがいつまでも、この場所に留まる訳にはいきません」
運転席に座る森さんがエンジンキーに手をかける。
キョン「ま、まってくれ!もうちょっとだけ、絶対くるはずだ。長門がこないはずがない!」
俺が正門についた頃には古泉達を襲っていた感染者達をあらかた倒されていた。
古泉と森さんに経緯を説明すると長門はまだ来ていないという。
そして今、俺が到着してから10分が過ぎようとしていた。
222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 16:18:23.20 ID:p1lEfYkaO
キョン「俺がここまでこれたんだ、長門が、長門がこれないはずない。絶対」
古泉「……森さんあと少し、そうですね後三分待って貰えないでしょうか。それでこなかったら長門さんを置いて、出発してもかまわないですから」
キョン「な!?古泉!」
古泉「あなただって分かっているでしょう?ここにこうして留まっているだけでどれほど危険なことか。あなたは生きて涼宮さんと会わなくてはならない。そうしなくては、世界は元に戻らないんです」
223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 16:20:21.05 ID:p1lEfYkaO
キョン「そうだが…けど!」
古泉「それに、まだ時間はあるんです。信じましょう、長門さんなら必ずきてくれると」
キョン「……くっ」
森「……後、5分待ちましょう」
古泉が言うの正論だ。俺の中に世界を元に戻す力があるのなら、俺には責任がある。ハルヒに会って世界を元に戻す責任が。
けど、俺はどんな状況だろうと長門を見捨てたくなんかない。
キョン「……頼む、長門。早く来てくれ」
224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 16:21:53.64 ID:p1lEfYkaO
ピー、ピー、ピー
突然車内に電子音が響いた。
古泉「無線機……誰かが僕の携帯番号に電話をかけてきたようです」
キョン「……電話…まさか」
古泉が、無線機のスイッチを押すと聞き慣れた声が聞こえてきた。
長門『…もしもし』
長門の声だ!
俺は古泉から送信機を奪う。
キョン「長門!今どこにいるんだ!?早く正門にこい!」
長門『……よかった』
キョン「長門?」
長門『あなたが無事に辿りついていて』
キョン「そうだよ、後はお前だけだ。長門がくればここを離れられる」
長門『……』
長門『私は行くことが出来ない』
232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:00:04.70 ID:p1lEfYkaO
キョン「来れないって、なんでだよ!」
長門『現在、私は事務室から電話をかけている』
事務室……昇降口のすぐ近く。
キョン「もう目と鼻の先じゃないか!なんで来れないんだよ!」
長門『事務室のすぐ外に、いる』
キョン「いる?いるってなにが……」
オォォォォォォ
聞いたことのある獣のような咆哮が車の外、昇降口方面から響いてくる。そして無線の受信からも。
キョン「あの職員室での奴がいるのか……?」
233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:01:30.62 ID:p1lEfYkaO
長門『あの時よりさらに変貌をとげ、すでに人という生物の面影すら失っている』
キョン「外にあいつがいるから身動きできないのか?」
長門『隙をつけば、逃げ出すことは可能。そちらに向かうこともできる』
キョン「なら!」
長門『しかし、追ってくる感染者を止めることはできない。そのままあなたのところにいけば、変異した感染者もついてきてしまう』
キョン「そんな……なら長門が車にのったらすぐに出発すれば」
長門『変異感染者の敏捷性は恐らく、車の初動を勝る。たちまちに追い付かれ車ごとひっくり返される可能性が高い』
そんな、そんな。
長門『だから、あなた達はもう出発して。私の事はいい』
235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:04:58.78 ID:p1lEfYkaO
キョン「長門を置いて出発なんて出来る訳ないだろ!」
長門『何故?』
キョン「何故って、お前が危ないのに見捨てるよいなまねが出来るわけ」
長門『私は大丈夫。一人でならここから逃げ出す手段はある。死ぬ気はない、あなたを可能な限り助けなければならないから。そう約束した』
キョン「長門……」
長門『私と離れるしばしの間にあなたは絶対に死にはしないと、私はあなたを信用している……あなたは?』
キョン『あぁ…あぁ、勿論、信じてるさ。あの長門がやられる訳がないってな』
長門『そう……だったら私は大丈夫』
237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:09:03.98 ID:p1lEfYkaO
キョン「……古泉!俺達はこれからどこに向かうんだ?」
古泉「僕達の……そうですね地方支部のような所でしょうか」
キョン「住所は?」
古泉から聞いた住所を長門に伝える。
キョン「いいか?それが今から俺達が向かう場所だ。あのバケモノから逃げだしたらここにこい。待ってるからな」
長門『……わかった。必ず行く』
キョン「必ずだぜ」
ウオォォォォォォォォォォ
一際でかい咆哮が辺りに響き渡る。
オォォォ。ハァァァァ
それを反応するかのように、校内から次々と感染者が現れ始めた。
森「発進します。掴まってください」
アクセルを目一杯に踏まれた車は、正門を通過し北高を出た。
校舎は次第に見えなくなっていった。
【北高脱出編】完
241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:25:37.32 ID:p1lEfYkaO
S朝倉「残念ながら、支援されても書き溜めていたものはないのよね」
S朝倉「さてどうしたものかしら」
S朝倉「………」
S朝倉「………」
s朝倉「………」
朝倉「あ、あたしのSも無くなっちゃった」
247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:34:10.74 ID:p1lEfYkaO
朝倉「……」
S朝倉「………」
S朝倉「なーてねS復活」
S朝倉「BADEND集でもやろうかな」
250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:43:16.80 ID:p1lEfYkaO
S朝倉「ではまず、最初の選択肢>>43で【B】を選んでいたら。S喜緑さんお願い」
S喜緑「わかりました。因みにSはシーン再生のSです。それではスタート」
251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:46:19.21 ID:p1lEfYkaO
【B】
キョン「このっ」
渾身の力をこめて二人を振りほどこうと俺は暴れた。
国木田「ア……アアアッ!」
女子生徒「ハァァァ!」
しかし、組み敷きられている上に、相手は人とは思えない程の馬鹿力二人だ。俺の抵抗などまるで意味をなさない。
キョン「……く、くそっ」
女子生徒「………ア」
腕に噛み付いていた女子生徒が俺の顔をじっと見つめている。
252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:49:13.82 ID:p1lEfYkaO
キョン「な!?……よ、よせ」
俺は気付いた。女子生徒が見ているのは顔じゃない。
……俺の喉元だ。
女子生徒「シャアアアア!!」
グチャ
キョン「…………ぁ」
組み敷きられている俺に防ぐ術はなかった。
自分の喉元から広がる大量の血の感触。俺の意識は急激に薄れていった。
…………。
【BAD END】
S喜緑「とこんなふうに、呆気なく喉元を食い破られてた訳です」
S喜緑「凄い力だと事前に表記していたので、一人で何とかしようと考える人は少なかったですね」
254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:52:24.18 ID:p1lEfYkaO
S喜緑「続いて、>>101で【A】【C】を選んでいたらです」
S喜緑「二シーン続けてどうぞ」
256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:54:58.41 ID:p1lEfYkaO
【A】
キョン「よし、長門。突っ切るぞ」
長門「危険」
キョン「どっちしろ見つかってるかもしれない、いや見つかってるって考えたほうがいい。だったらこんなかくれんぼは無意味だ。多分、大丈夫さ。あいつ見た感じ鈍そうだし、走ればついてこれない」
長門「……」
キョン「……ここからなら比較的出口近いな。長門、いくならいましかない」
長門「…………わかった」
257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:56:15.14 ID:p1lEfYkaO
キョン「よし、三二一零でいくぞ」
長門「……」コクッ
キョン「三……二……一……」
キョン「零っ!!」
俺と長門は、一気に駆け出した。
男子生徒「……ア」
男子生徒がこっちに気付いた、俺達との距離は約二メートル。離れてはいないが、間には職員机がある。
行ける!
男子生徒「ミツケタ」
ヒュン
長門「!」
ドンッ
キョン「うおっ?」
長門に突き飛ばされ、俺はバランスを崩す。
ドスッ
258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:57:29.84 ID:p1lEfYkaO
キョン「な………!?」
なにが起きたのか、理解できなった。
……ただ、目に映ったのは、何かで胸を貫かれた血まみれの……長門。
キョン「ながとぉぉぉ!!」
貫いていた何かが抜かれると長門はそのまま、人形のように倒れこんだ。
長門「…ガハッ……ガハッ」
口から大量の吐血。胸からはその何倍の量の出血。地面はあっとゆうまに赤黒く染まった。
キョン「長門っ!長門っ!!」
長門「ンッ……ア」
息ができないのか長門は口をパクパクと動かしている。
キョン「長門!すまん、お前、俺を助けようとしてっ」
259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 17:59:15.51 ID:p1lEfYkaO
長門「ッ……ンッ……」フルフル
首を降る長門は俺の腕を掴むと今にも光りを失いそうな目をしっかりと俺にむけたのち、口をゆっくりと動かした。
長門は何度も三つの同じ口の形を規則正しく続ける。
絶えず血があふれでてることなど気にもせず。ただ俺に向かってその言葉を言い続ける。
に、げ、て、
キョン「長門、お前……」
ヒュ
ドスッ
風切り音のあと、俺の胸を何かが貫いた。
抱き抱えていた長門に被さるように俺は倒れる。
痛くて熱かった。しかし、そんなどうでもいい感覚よりも、俺の心は長門に対する謝罪の言葉で埋めつくされていた。
すまん……長門……すま……ん………
…………
【BAD END】
260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 18:01:21.07 ID:p1lEfYkaO
【C】
キョン「長門、協力してなんとかあいつを倒せないか?」
長門「感染者は脳から筋肉細胞への制限が無くなっているため、腕力が一般人より格段に上昇している。組み敷きられたら、私でも脱出できるかわからない。戦闘行為は非常に危険」
キョン「確かに、昇降口で組み敷きられた時は身動きできなかったな」
しかし、あの時は二人掛かりだった。実際、組み敷きられた経験者からいわせてもらうと一人なら、抵抗出来ないことはない。
間羽交い締めにして少し動きを封じることぐらいできる。
キョン「長門、もしあいつの動きを俺が封じられたら、なにか倒せる手段はあるか?」
長門「……あなたが?」
261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 18:02:31.60 ID:p1lEfYkaO
キョン「ああ、羽交い締めにすれば、腕力に差があっても少しの間、無防備にできると思うんだ。その内になにか、的確な攻撃手段がないか?」
長門「……頭部に衝撃を与えれば、感染者といえど脳が揺さぶられ、気を失うと思われる。……しかし、感染者に密着するのはあまりに無謀。私は賛成出来ない」
キョン「確かにな。けど、あいつがもし臭いで俺達に気付いてるのだとしたら、このかくれんぼは無意味だ。走って逃げても臭いで追って来られるかもしれない。だったらここで、奴を倒すしかない。元生徒だとしてもな」
長門「……」
キョン「頼む長門。手伝ってくれ」
長門「………わかった」
262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 18:04:25.55 ID:p1lEfYkaO
キョン「ありがとう。そこの直線に誘いこもう。俺は裏に回る。長門はここから向こうに移動してくれ」
長門「……」コクッ
俺と長門がそれぞれの位置につくと男子生徒は思惑通りの場所を歩きはじめる。
俺が飛び掛かり羽交い締めにして、長門が頭部に強力に一撃を喰らわせる。後はタイミングだ。
男子生徒「……コッチダナ……コッチノホウガ……」
ゆっくりと歩く男子生徒。俺は絶妙なタイミングで飛び掛かかった。
キョン「うおぉぉぉぉ!!」
ガシッ
男子生徒「ンア?……ナ…ンダ」
263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 18:05:41.20 ID:p1lEfYkaO
俺は男子生徒をしっかりと羽交い締めにした。
男子生徒「……ア…アァ!!」
キョン「くっ」
腕力に差を確かに感じる。けど、大丈夫だ。抑えてられる。
キョン「長門!頼む!」
長門「……」コクッ
脱兎のごとく駆け出した長門は勢いを殺すことなく、そのまま男子生徒の頭部へ向けて回し蹴りのモーションに入った。
ヒュン
ドスッ
しかし、長門の回し蹴りが男子生徒に届くことはなかった。
長門「……クハッ……」
蹴りが入り直前、細長い何かが長門の腹部を貫いたのだ。
264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 18:06:25.57 ID:p1lEfYkaO
キョン「……なが……と?」
男子生徒「アァァ」
キョン「ぐあっ!!」
目の前の惨状にあっけを取られた俺は用意に男子生徒に振りほどかれた。
男子生徒「ヘヘ……ヘハ……」
キョン「あ……あ……」
ぶざまにも尻餅をつく俺を見下ろしながら、男子生徒がニヤリと笑う。
その口元からでている薄ピンク色をした二メートルはある細長い舌。尖端が長門の血によって赤黒く染まっている。
ヒュン
ドスッ
キョン「……ア……」
俺はその舌に心臓を貫かれ絶命した。
【BAD END】
266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 18:10:16.67 ID:p1lEfYkaO
S喜緑「はい、続けて二シーン見ていだだきました。どちらのシーンもネックになっているのは、細く長い、殺人舌ですね。もちろんイメージはリッカーです」
S喜緑「鈍そうな外見に騙されていけません。もっともあなた達は長門さんが大好きなので、しっかりとヒントを貰って解答していましたけどね、ふふ」
269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 18:18:05.27 ID:p1lEfYkaO
S喜緑「さて次は>>135で【A】を選んでいたらです。というより間違えたので>>145にあります。そちらをどうぞ」
271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 18:21:34.19 ID:p1lEfYkaO
S喜緑「……こほんっ、>>148でしたね」
S喜緑「これは油断大敵って奴ですね。突然不自然にいなくなった敵に疑問を持たなかったら、喉元ズブリです」
273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 18:27:41.49 ID:p1lEfYkaO
S喜緑「さてラストは>>191で【A】を選んでいたらです」
275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/07(火) 18:34:38.03 ID:p1lEfYkaO
【A】
投げつける物を探し、近くの机に目を向けた。
しかしあるのは、紙やペン、せいぜい置き時計。
キョン「!」
いや、あるぞドでかいのが。
キョン「うおぉぉ!」
俺は机の前にある椅子を持ち上げた。
ヒュン
ドスッ
キョン「っ……ちく……しょう……」
俺が椅子を投げ付けるよりも、男子生徒の舌が俺の胸を貫くほうが僅かに早かった。
自分の体から血液がいっきにながれでていく感覚。そのまま俺の意識は薄れていった。
【BAD END】
S喜緑「なんともマヌケなやられかたですね。椅子を高らかに上げたまま、倒れていったのでしょうか」
S喜緑「選択肢的には壁を探って電灯をつけるのが正解だった訳ですが……いくら眩しいからってあれは苦しみ過ぎですよ」
S喜緑「さてとこれでBADEND集はおしまいです。結局、一回もBADENDルートは選ばれなかったんですよね」