1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 11:13:02.16 ID:pVaZd6+e0
長門「・・・」
今文芸部室で読書をしている私は北高に通うごく普通の女子高生。
強いて違うところをあげるとすれば情報統合思念体より作られた、
対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースというところ。
名前は長門有希。
そんなわけで涼宮ハルヒを監視するために、文芸部室に来た。
『ガララララ・・・』
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 11:18:35.25 ID:pVaZd6+e0
来た。重要人物である「涼宮ハルヒ」が。
あくまで私はクールに対応する。本に目を通しているふりをして横目でちらりとドアを見つめる。
そこに立っていたのは涼宮ハルヒ・・・ではなかった。
・・・眼にエラーが蓄積しているのだろうか。読書による披露であろうか。
私には、ドアに立っている人物の状態を判断できない。
まず、涼宮ハルヒではなかった。性別すら違っている。この星でいう「男」だ。
そしてその男はじっとこちらを見ている。何かを望むかのように。
こちらの反応を伺っているのだろうか。無言だ。
しかしなぜ、彼は全裸なのだろうか。文芸部室は浴室ではないはず。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 11:24:52.17 ID:pVaZd6+e0
何分経っただろうか。実際には1〜2分程度なのだろう、しかし私には2時間ぐらい経っているような気がする。
互いに無言である。こちらから声をかけた方が良いのだろうか。
私は首を動かし、ドアへと向けた。
やはり、目の前には全裸の男が立っている。しかも、普通に立っているわけではなくポーズを取っていた。
過去のデータより照合。ミケランジェロが作ったとされるダビデ像さながらのポーズ。
彼は私に何を伝えたいのだろうか。私にはわからない。これがこの星のコミュニケーションなのだろうか。
いや、過去にはこんなことはなかったはず。3年前には無かった。
最近の流行だろうか。いや、常日頃から情報を収集しているがこんな流行は聞いたことがない。
では、彼独自のファッションなのだろうか。声をかけてみないことには何ともいえない。
「・・・あn」
「すまん、使用中だったか?」
空気の読めない人とはこういう人のことだろうか。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 11:28:38.70 ID:pVaZd6+e0
しかも彼は「使用中か」といってきた。かれこれ3分は経っている。
3分経ってもここに私がいるという事実を把握できなかったのか。
「ここは文芸部室」
「あぁ、知ってる」
ではなぜ彼は全裸なのだろう。問い合わせたい。
情報統合思念体関係なく、個人として問い合わせたい。
「・・・なぜ、裸なの」
「ははっ」
彼は笑っただけだ。それ以上何も口に出すことはなかった。
この笑った様子だけで「察してほしい」といったような空気を出すのはなぜ?
どこかしら彼は誇らしげな顔をしている。全裸でいることが当たり前かのように。
・・・非常に、興味を持ってきた。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 11:32:30.85 ID:pVaZd6+e0
「名前は」
「俺か?あー、みんなは俺を『キョン』って言ってる」
!?
彼は確かに『キョン』と言った。彼がキョン?
思い出してきた。3年前に接触したときの彼と同じ顔立ち。間違いなく本人だ。
3年も同じ家にいながら忘れてしまった。滅多にあの部屋には立ち寄れなかったから。
「・・・そう」
「なあ、ここはとある部室に使いたいんだが、おまえ一人か?」
来た。ここは文芸部室兼SOS団に生まれ変わる。その瞬間が来たのだ。
「かまわない」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 11:37:58.88 ID:pVaZd6+e0
「そ、そうか!おーい、涼宮」
ようやく重要人物と接触できそうになった。長い道のりだった。
廊下の奥からぺたぺたと裸足で走ってくる音が聞こえてくる。
・・・裸足?訂正する。靴音・・・訂正、やはり裸足の音だ。
「でかしたわ、キョン!」
「元々文芸部室だが、部屋を貸してくれるそうだ」
「ふーん、なかなかいい部屋じゃない」
この星の人間はなぜ全裸になりたがるのだろうか。
私の目の前には何も身に付けていない、生まれたままの姿の涼宮ハルヒが立っていた。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 11:44:05.64 ID:pVaZd6+e0
「・・・」
「そういえば名前聞いてなかったな。なんて言うんだ?」
なぜだろう。安易に名前を教えてはいけない気がする。情報統合思念体からの指示?
違う。これは長門有希の本能?しかし、名前を教えなければ次の段階に進めない。
「・・・長門有希」
「長門か。こいつは涼宮ハルヒだ」
「よろしくね!有希」
あまり馴れ馴れしくしてもらいたくない。
「部室は確保したが、部員が足りないぞ」
「大丈夫よ!有希も加えればあと2人よ!」
私の意志関係無しに部員としてカウントされている。
おかしい。情報統合思念体の指示で部員になることは決定事項なのに、不本意に感じた。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 11:50:28.11 ID:pVaZd6+e0
「ところで、この部活の名前決まったのか?」
「悩んだけど、2秒くらいで決まったわ」
それは悩んだといえない。
「SOS団よ!」
ここまでシナリオ通り。『世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団』の略字。
「えすおーえすだん?どういう意味だ?」
「『素っ裸を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団』よ」
エラーが発生。シナリオのルートが180度ずれている。
「いいなそれ!」
彼は肯定的だった。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 11:58:39.24 ID:pVaZd6+e0
「キョン、あたしはほかの部員を捜してくるわ!あんたは必要な書類を用意しておきなさい!」
涼宮ハルヒは再び全裸のまま廊下へ飛び出していった。だれか止めてほしい。
「しかし長門、本当にこの部室借りてよかったのか?」
今更何を。
「かまわない」
本心としては譲りたくない。この神聖な文芸部室が汚されるのは腹立たしい。
しかしシナリオを進める上では仕方がないこと。仕方がない。
「しかし、いろんな本があるな」
文芸部室といわれるぐらいだから当然。私が集めた本が50冊程度はある。
「お、世界遺産の本なんてあるのか!ちょっと読んでいいか?」
「いい」
非常識な彼にも芸術を感じる部分があるようだ。少し見直した。
「やっぱ、ダビデはいい筋肉持ってるよなぁ!」
全言撤回する。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 12:33:23.59 ID:pVaZd6+e0
そうだ。彼に渡すべき物を渡さなくてはならなかった。
私は本棚から一冊の本を取り出し、しおりを挟んだ。
『スッ』
「なんだ?」
「読んで」
「何々・・・『雪国』?興味ないから読まんな」
こめかみのあたりがきりきりする。これが『怒り』という感情だろうか。
「もっとさ、アグレッシブな本ないか?」
理解に苦しむ。
「あ、刃牙あんじゃん!長門これ貸してくれないか?」
該当の本を部室に置いた記憶がない。おそらく涼宮ハルヒが作り出した物。
「いい。このしおりを使って・・・」
「しおり?すぐ読むからいらないよ」
「・・・」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 12:37:36.64 ID:pVaZd6+e0
なんとか彼にしおりを渡すことができた。
しかし今の様子を見ると来てくれない可能性が高い。普通に口伝えすればよかったと後悔する。
しばらくして再び廊下からぺたぺたと裸足で走ってくる音が聞こえる。
それともう一つの靴音。重要な鍵となる人物であろう。
・・・これだけは望みたい。まともな人が来ることを。
『ガラララ!!』
「キョン!捕まえて来たわよ!」
「ふえぇ!な、なんでみなさん裸なんですか!?」
私を仲間に加えないでほしい。
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 12:44:26.39 ID:pVaZd6+e0
「涼宮。このおっぱいは誰だ」
ためらいもなく人のことをおっぱいと呼びつけた。彼の脳の構造を知りたい。
「2年の教室でボーッとしてたから捕まえてきたのよ」
「ひぇぇ・・・」
「2年!?俺らの先輩だったのか・・・」
身体的には確かにかなりの発育であるが、顔立ちは中学生レベル。いわゆる童顔といわれるタイプ。
「ほら!自己紹介して!」
「はい!!あ、朝比奈みくるです・・・」
「ん?おっぱいみるく?」
誰か彼を黙らせて。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 12:48:35.71 ID:pVaZd6+e0
「みくるちゃんはSOS団に入ってくれるわよね!?」
「ふぇ?えすおーえすだん?」
真名を聞いたら朝比奈みくるは卒倒するだろう。
「『素っ裸を(ry』です」
今に彼女が倒れる。朝比奈みくるはまだ正常な人間だから倒れた瞬間床を少し柔らかくしてあげることにする。
「す・・・」
す?
「すてきな部活ですね!だからみなさん裸だったんですね?」
もうやだこの星。
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 12:55:47.51 ID:pVaZd6+e0
こうして朝比奈みくるが加わり、SOS団は不本意ながら活動を始めた。
「ねえ有希は全裸にならないの」
断固拒否する。
「・・・ならなくていい」
「まあまあ涼宮。全裸は強制させるものじゃない」
「・・・そうね、徐々に慣れていくでしょ」
慣れたくない。
「お茶がはいりましたよ〜」
すっかり適応している。全裸でお茶を持ってこられても困る。
それにしても部室の奥にあるふりふりの服は何に使われるのだろう。
メイド服と呼ばれる、女性の給仕係が着る服だというのは文献で見たことはある。
しかし、このSOS団にとっては豚に真珠、猫に小判。
一度も袖に通されることのないまま段ボールの中へ眠る運命をたどりそう。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 13:02:45.33 ID:pVaZd6+e0
服を着ている私が悪者のような空気がしてならない。非常に居心地が悪い。
私は部室を去るべく本を閉じた。
「「「!」」」
みんなが私の方を見る。
「部活終了か」
なぜ?私が本を閉じるのが合図なのだろうか。迷惑この上ない。
「帰りましょ」
どうやって帰るつもり。さすがに服は着ていくのだろう。
と、思っていた私が悪かった。まだまだ勉強不足だった。必要のない勉強だけど。
彼女たちは全裸のまま部室をあとにした。時期的にはまだ寒いのか、涼宮ハルヒはマフラーを巻いていた。
何かがおかしいと気づかないのだろうか。
周りの生徒がじろじろと涼宮ハルヒ達を見ている。当たり前だ。
猥褻物陳列罪で捕まればいいのに。
「有希ー!帰るわよ!!」
なぜ呼びかけた。私にまで視線が集まってくる。涼宮ハルヒ達はKYと呼ばれる存在だろう。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 13:09:32.91 ID:pVaZd6+e0
この星では当たり前の光景なのか。
全裸の男女3人が横一列に歩いている。
私はその後ろを歩いている。正確には歩かされている。
もうそろそろ自分の家への分岐点になる。そこまでは我慢する。
「・・・それじゃ」
やっと涼宮ハルヒ達と分かれることができた。
「キョン、最近物騒だから、有希みたいなかわいいのが襲われたら大変よね」
なかなかうれしいことを言ってくれる。
「だからキョン、有希ん家までボディガードしなさい」
来なくていい。むしろあなたたちが物騒だ。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 13:14:53.61 ID:pVaZd6+e0
「ココが有希の家か。いいアパートだな」
「そう」
ついでだから彼には部屋にあがってもらおう。どうせしおりを読んでいないだろうし。
・・・やはりやめた。全裸の男を部屋に連れ込むのはよろしくない。
普段から全裸の彼とどこで話をすれば不自然ではないのか。
「・・・話がある」
「なんだ?でもここだと人気が多いから、長門の部屋にあがらせてもらっていいか?」
なぜ自然に私の部屋に入ろうとしたのだろうか。
「あー、でも近所に変な噂されたら大変だよな」
すでに噂されていると思う。『全裸の男と話している』というレッテルが貼られてしまった。
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 13:21:04.09 ID:pVaZd6+e0
仕方がない、近所の公園で済ませよう。
彼を連れて近所の公園へやってきた。砂場で遊んでいた子供達が一斉に泣き出した。
「長門、もっと笑顔になればいいんだよ」
きっとあなたのせいで子供達は泣いた。その笑顔が神経を逆なでさせる。
「で、話ってなんだ?」
腹をくくって、私は彼にすべてを伝えた。
「へぇ、涼宮が神ねぇ・・・」
あまり驚かない。普段から全裸の彼には常識の範囲内だったのだろうか。
「で、おまえが宇宙人か。どうりで・・・いや、なんでもない」
何を言いかけたのだろうか。その後の言葉を知りたい。
何かブツブツ言っていたので集音機能を使って聞いてみた。
『だから裸に興味がないのか・・・そうかそうか・・・』
宇宙人だから全裸に興味がないとはどういう公式でなりたっているのか。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 13:28:19.58 ID:pVaZd6+e0
とりあえず彼には帰ってもらった。なぜ日本の警察は動かないのだろう。
いろいろと精神的にも疲れた。普段は疲労など起こらない体なのに、不思議だ。
『ピンポーン』
突如、インターホンが鳴った。私が玄関へ向かい、モニターを見つめた。
そこにいたのは朝倉涼子だった。
「はいって」
『お邪魔します』
がちゃり、とドアの開く音がして、朝倉涼子が入ってきた。
彼女は蒼い顔をしている。髪の色に匹敵するほどに。
「長門さん、どういうことなの?」
なにが?ちゃんとした日本語で伝えてもらいたい。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 13:35:45.67 ID:pVaZd6+e0
「涼宮ハルヒたちよ!なんで全裸なの!?」
こっちが聞きたい。
「びっくりしたわよ、自己紹介の時、何言ったと思う?」
『ただの人間には興味ありません。この中で全裸、素っ裸、ヌーディストがいたら私のところへ来なさい!』
「って言ったのよ」
自ら変態だと認めていることになる。
「もちろんクラスのみんなが黙ったわよ」
「でも一人だけ、目を輝かせていた人がいたのよ」
容易に想像できた。
「キョンってあだ名の人。彼も全裸だったのよ!?ありえないわよ」
普通に全裸で入室を許可する担任もどうかと思う。
「ねえ長門さん、あれが重要人物なの?」
「情報統合思念体の指示は絶対。あの涼宮ハルヒがターゲット・・・のはず」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 13:48:07.24 ID:pVaZd6+e0
しばらくした後朝倉涼子は帰って行った。
結局はしばらく様子を見るで合致した。
次の日。
これほどまでに学校までの道のりがいやだと感じたことはなかった。
足取りが重い。
「おはよう、有希!」
この声は。朝一番出会いたくない人物に出会ってしまった。
「元気ないわね!元気出していきましょ!」
なぜ全裸でそこまで元気になれるかが理解しがたい。
「これでも飲んで元気出しなさい!」
そういって彼女は小瓶を私に渡し、先に行ってしまった。
彼女が渡してくれた小瓶を見る。『とうがらしドリンク』と書かれている。
汗をかかせて服を脱がすという算段だろうか。
・・・情報の連結解除を開始する。
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 13:58:20.79 ID:pVaZd6+e0
放課後。集まってほしくない人たちが文芸部室に集まってしまった。
「部員を勧誘しましょう!」
「どうやってだ」
「ビラを配るのよビラを!」
まっとうな考え方だ。でも全裸で配るのだろうか。
「みくるちゃん!このバニースーツを着なさい!」
「ひぇぇ!は、恥ずかしいですぅ!!」
全裸が恥ずかしくないのにバニースーツが恥ずかしいというのが理解できない。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 14:03:18.62 ID:pVaZd6+e0
結局朝比奈みくるはいやいやバニースーツを着させられ、校門でビラ配りをしていた。
しかしおかしい。誰も止めに来ない。
たまたま通りがかった学校の教師に尋ねてみた。
「あ?涼宮達がバニースーツでビラ配り?」
「そう」
「いいんじゃないのか?全裸よりマシだろ」
基準がわからない。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 14:12:04.92 ID:pVaZd6+e0
彼女たちは止められることなく、ビラを配り終えたようだ。
「結果が楽しみね!」
「あ、キョンくん、着替えるので退室してもらっていいですか?」
「あぁ、わかりました」
普段から全裸なのになぜ恥じらうのだろうか。
「有希はいつまで経っても脱がないわね」
関わらないでほしい。後生だから。
「ふふっ、裸の良さがまだわからないんですよぉ」
なぜこの未来人は上から目線なのだろう。服を着ているのが非常識みたいないいかたをする。
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 14:18:58.05 ID:pVaZd6+e0
別の日。
部活動の途中(何もしていないが)、彼が用事があると言って帰って行った。
それど同時に不穏な空気を感じる。
「みくるちゃん、プロテイン入りのお茶まだ?」
「今お持ちしま〜す」
涼宮ハルヒは今度筋肉美に目覚めた様子。徐々に無駄な肉が落ちていくのがわかる。
「べ、別にキョンのために鍛えてるんじゃないんだからねっ」
これが噂のツンデレというものだろうか。全くかわいげが感じられない。
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 14:24:12.33 ID:pVaZd6+e0
こんにちは。朝倉涼子です。
いつまで経っても涼宮ハルヒが服を着ないからいらだってきちゃった☆
だから、涼宮ハルヒの鍵であるキョンくんを教室の呼び出してやったわ!
彼が服を着れば自ずと涼宮さんも服を着るはず・・・そうよね!
こっそりと下駄箱に封筒を入れておいたから、いくら鈍感な彼でも気づくはずよ!
それにしても、少し早く来過ぎちゃったかしら。暇ね。
「あら?」
誰の机か忘れたけど、少女漫画なんかおいてあるわ。暇だし読んじゃお。
『先輩の下駄箱にラブレター入れたの・・・放課後校舎裏に来てくれるかな?』
『大丈夫よ!あんたかわいいから告白したら絶対OKしてくれるって!』
こ、告白!?まさか私とんでもない手段を使っちゃったりして・・・!
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 14:31:40.02 ID:pVaZd6+e0
『ガラガラ・・・』
来ちゃった!!
「おまえか」
やっぱり全裸なのね。目のやり場に困るじゃないの!
「そ、意外でしょ」
「特に」
えぇー!!?すごい返信に困る反応しないでよ!
「ちょ、ちょっと聞きたいことがあるの」
「なんだ?全裸の良さか?そうだな、まずは開放感というのがあっt」
「聞いてないから!こっちの話をゆっくり聞いていってね!」
なんでそんな小動物みたいな目でをするのよ。そんなにしゃべりたかったの!?
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 14:37:39.83 ID:pVaZd6+e0
「人間は、よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいい』って言うよね?」
「あぁ、そうだな。俺も最初は全裸を拒んでいたが、いざやってみるとなかなかよくてn」
「聞いてないから!」
話が進まない!なににつけても全裸の話をしてくるのキョンくんは!
「たとえ話なんだけど・・・ってもう面倒くさい!」
「朝倉?」
「あなたに服を着せて涼宮ハルヒの出方を見る」
「冗談はやめろぉぉぉぉぉ!!うわぁぁぁぁぁ!!!」
そこまで拒まなくても!?
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 14:43:54.32 ID:pVaZd6+e0
「マジ危ないって!それが本物の服じゃなかったとしてもビビるって!だから、よせ!」
服に対して異常なまでの拒否反応・・・。
「私には有機生命体・・・というかあなたたちの全裸という概念がよく理解できないけど」
「だから、全裸になることによってだな?気持ちを落ち着かせt」
駄目だ、『全裸』という単語にことごとく反応してるわ彼。もう病気としか思えない。
絡まなければよかった。今更だけど。
「俺らが全裸でもいいじゃないか。いいからその服を置け!」
「うん、それ無理」
もう引き返せない・・・。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 14:49:40.21 ID:pVaZd6+e0
「だって、あなたたちといるとき目のやり場に困るんだもの。無駄なの」
こうなったら強硬手段よ!
(呪文詠唱中)
「うわ!教室がいつの間にか洋服屋に!?」
「この教室は私の情報制御下にある。脱出路は封鎖した。今この教室はファッションセンターしまむらよ」
「し、しまむらだと!?」
立ち寄ったことのある洋服屋がしまむらぐらいだから、許してね。
「何者なんだ?おまえは」
ただのファッションセンターしまむらの従業員よ。
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 14:58:25.19 ID:pVaZd6+e0
「くっ、捕まるものか!」
ちょこまかと逃げないで!ナニかが揺れて気が散るから!
あ、そうか。ここは私の情報制御下だから、制御すればいいんだ。
「うお!か、体が動かん!俺の全裸を持ってしても動かん!」
「全裸は関係ないと思うけど、最初からこうしておけばよかった」
「な、なにくそ!」
な、なんでそこが動くのよ!ていうか変態!なに一部だけ天を仰がせているのよ!
「あなたが服を着れば必ず涼宮ハルヒは何らかのアクションを起こす。多分、まともな学校生活を送ってくれるはず」
「さ、させんぞ!」
なんでそんなに全裸に固執するのかしら?ホント理解できないから困る。
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 15:10:43.13 ID:pVaZd6+e0
「じゃ、服を着て!」
『ドガーン!!』
「一つ一つのプログラムが甘い」
「長門さん!?」
「おお、長門!助けてくれ!」
しまった!私はあくまで長門さんのバックアップだからかなうはず無い!
でもここは私の制御下、ま、負けないもん!
「邪魔する気!?」
「いや、手伝う」
え?
「な、長門?」
こ、これは好都合かも?
「あなたが服を着ていないからこうなる」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 15:15:45.96 ID:pVaZd6+e0
「じゃあ服を着せちゃいましょう♪」
「マジでやめろ!」
なぜ彼はここまで服を着るのをいやがるのだろうか。理由があるはず。
「朝倉涼子、待って」
「なに?長門さん」
「彼に、話がある」
朝倉涼子は何かを察したように、行動を取りやめてくれた。これで話がしやすくなる。
「なぜ、服を着ない?」
「・・・俺はある日から服を着なくなった。それは3年前だ」
私が作り出された年だ。幼少期の涼宮ハルヒと接触したあと、なにが起きた?
「俺が服を着ていたばかりに、あんな思いをさせちまって・・・」
彼は非常に残念そうな顔をする。過去に相当心にダメージを与える事態が起きた模様。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 15:25:24.68 ID:pVaZd6+e0
「あれは俺が中学生だったころ、同級生の女と仲良くなってな」
「きつい性格で、俺をこき使ってたんだけど、どこかほっとけなくてな」
今の涼宮ハルヒに近い。彼は彼女のような人間性に弱いと判断。
「それで、ある日そいつと河原近くで遊んでいたら、運悪くそいつが足をすべらしてな」
「川へ、落っちまったんだ」
「ドジな子ねぇ」
「朝倉、ちょっと黙ってくれないか?」
朝倉涼子、あなたもKYと判断。情報連結解除を申請する。
「ちょ!?長門さん冗談よ冗談!!」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 15:32:59.91 ID:pVaZd6+e0
「それで、俺もパニックになっちゃったんだが、なんとか助けないと行けないと思って」
「服を着たまま、川に飛び込んだんだ」
『だ、大丈夫か!?』
『あぷっ・・・!た、たすk・・・っ!』
「俺は別に水泳が得意な方じゃなかったんだが、いくらか自信はあった」
「でもな、着ていた服が水を吸っちゃって、重くなるんだよな」
その情報は確か。入水自殺をして失敗しても服が邪魔で泳げなくおぼれる人がいると聞く。
「俺もあいつもしばらくもがいていたんだが、しばらくしたら気づいた近所の人たちが助けてくれたよ」
「その後、同級生は遠くへ行っちまってな・・・」
「それで、俺気づいたんだ。服なんか最初から無ければ助けられたのに。って」
彼の精神状態が不安定になっている。これが有機生命体の『悲しみ』という概念・・・。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 15:41:19.91 ID:pVaZd6+e0
「その、彼女も残念だったのね」
「ん、なにがだ?」
「え、だって溺れて、有機生命体でいう『死』という状態になったんでしょ?」
「なにを言ってるんだ?そいつは遠くへ引っ越したんだよ」
そういうことか。
「なぁんだ」
「勝手に殺すなよ。ただ、そいつの顔も今はすっかり忘れちまったけどな」
・・・。
川に近づきさえしなければ別に服を着ていてもかまわない気がするのは、気のせいだろうか。
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 15:52:36.61 ID:pVaZd6+e0
「まあ、別にそんな話どうでもいいわ」
「どうでもいいだと!?」
「さっさと服着ちゃいましょう」
「いやだぁぁぁぁぁ!!!」
朝倉涼子の情報連結解除、開始。
『さらさらさら・・・』
「ちょ、ちょっと長門さん!?どうしてこんなことするの?」
「彼の心の治療は強制的に服を着せただけでは直らない。また涼宮ハルヒも同じ」
そもそも彼が服を着たとした場合、涼宮ハルヒがなんらかの形で暴走すると予想される。
「あーあ、やっぱり長門さんもそっちの方だったかぁ」
朝倉涼子、訂正を要求する。私は仲間になった覚えはない。
「キョンくん、涼宮さんとお幸せにね」
「まかせろ、全校生徒見事に全裸にしてみせる!」
「そんながんばりはいらないn」
『さらさらさら・・・』
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 15:59:01.96 ID:pVaZd6+e0
「やれやれ、やっと終わったか」
朝倉涼子を消してしまったが、今になって後悔し始めていた。
しかし、情報改変をして今の状況を改善しようとしても決してうまくいかない。
彼や、涼宮ハルヒの精神を根本的に直していかないと、正常な学校生活は送れない。
なかなか、この星の人間もおもしろい。これが情報統合思念体の指示なのか。
「あ」
「どうした、長門」
「眼鏡の構成を忘れた」
「なに言ってんだ。元からかけてるぞ」
うっかり。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 16:05:24.45 ID:pVaZd6+e0
『ガララララ』
「うぃーす、WAWAWA忘れ物〜」
彼は確か谷口という人間。このクラスに所属し、彼との同級生。
「キョンか、まだ裸でいたのか」
「あぁ」
普通に接している。もうこのクラスの人間は駄目だ。
「あ?そいつは長門有希か?布教か?ほどほどにしとけよ」
変な勘違いをされている。
「ま、ごゆっくり〜」
ゆっくりしている場合ではない。このままでは谷口にいらぬ誤解を与えてしまう。
「長門」
「まかせて、情報操作は得意」
パーソナルネーム、谷口の情報連結解除を申請する。
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 16:12:22.50 ID:pVaZd6+e0
別の日。
あのあと朝倉涼子は海外へ引っ越したと言うことにしておいた。
その日。放課後いつものようにSOS団の不本意な活動が始まった。
彼は、妹を迎えに行くといって部活には不参加。おかげで涼宮ハルヒは不機嫌である。
「ところで、涼宮さんはなんで全裸に目覚めたんですか?」
「いやー実はね、3年前に川へ行ったら溺れちゃって!服が邪魔で泳げなかったのよ」
・・・その話どこかで聞き覚えがある。
「ふぇぇ、大変でしたねぇ」
「同級生の男が助けようとしてくれたんだけど、そいつも服着て飛び込んだから泳げなくてねぇ」
「結局近所の人が助けてくれたのよ。それで、あのとき服着てなければ泳げたのになーって思って」
そうか。わかったことが一つある。この星の人間は基本的にバカなのだろう。
─ 完 ─
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 16:27:44.95 ID:pVaZd6+e0
11時から始めたから実に5時間。お昼ご飯あったけど。
会社休みで暇だから書いたものの、なんだこれ。
古泉?誰ですかそれ?