1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:05:52.82 ID:lZm79PP70
長門「まじ、だりぃわ」
古泉「そうですか」
長門「涼宮うぜぇし」
古泉「そうですか」
長門「お前は、いいともに出てる客かよ」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:07:06.80 ID:lZm79PP70
長門「普段は制限されてて、本音とか喋れねーし」
古泉「そうですか」
長門「でも、何故かお前の前だと制御されねーの」
古泉「そうですか」
長門「なんでって父上に聞いたらさ」
古泉「ええ」
長門「『多分、古泉くん超能力者だから、色々狂っちゃってるんじゃないのかな(笑)』だとよ」
古泉「そうですか」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:08:20.38 ID:lZm79PP70
長門「(笑)じゃねーだろ、(笑)じゃ」
古泉「そうですか」
長門「全然、笑えねーだろ」
古泉「そうですか」
長門「何、お前、それしか喋れねーの?」
古泉「そういうわけではないのですが」
長門「じゃあ、何だよ」
古泉「普段、喋りたくもないのに、喋っているので、せめて今くらいは黙りたいです」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:09:33.25 ID:lZm79PP70
長門「何だよ、それ」
古泉「いえ、なんだよ、と言われましても……」
長門「お前はいつでも喋れるかもしれんが、私には今しか無いんだぞ?」
古泉「そうですか」
長門「家に帰ったら嫌でも黙れるだろうがよ!!!」
ハルヒ「こんにっちわー! ん? まだみくるちゃん来てないの?」
古泉「涼宮さん、こんにちは。朝比奈さんは、未だいらしていませんよ」
長門「…………」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:11:00.79 ID:lZm79PP70
ハルヒ「そう……。みくるちゃんと、ビラ配りに行こうかと思ってたんだけどなー」
古泉「彼は、どうなさったんですか?」
ハルヒ「ああ、キョンは掃除当番よ。サボらないで、ちゃんとやるなんて、律儀な男よね」
古泉「はは、そうですね」
ハルヒ「んー、どうしようかしら、……有希、一緒に行く?」
長門「…………」
ハルヒ「でもなあ、有希を危険な目に晒すわけにはいかないわよね」
長門「…………」
ハルヒ「楽しそうに読書してるし、やっぱりみくるちゃんと一緒に行くわ」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:12:13.68 ID:lZm79PP70
ハルヒ「それじゃ、私、みくるちゃん迎えに行って来るわね」
古泉「分かりました。気を付けて」
長門「…………行ったか」
古泉「そうですね」
長門「一瞬、息が止まったかと思ったぞ」
古泉「そのまま止まっても宜しかったのに」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:13:26.55 ID:lZm79PP70
長門「そんなに私が嫌いか」
古泉「いえ、そういうわけでは」
長門「私がお前で、お前が私だったら良かったのに」
古泉「は?」
長門「だって、お前は喋るのが嫌なんだろ。そしたら、私の位置は適任だし……。
私は喋りたいから、お前の位置が適任」
古泉「そうですか」
長門「なんだよ、その馬鹿にした目は」
古泉「いえ、別に」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:14:39.27 ID:lZm79PP70
長門「三年間楽しみにしてたんだぞ」
古泉「はあ」
長門「お母さんと一緒、とか、日本語であそぼ、とかすげー見てさ」
古泉「そうですか」
長門「あー、こんな風に話すのか、とか、こんな風に挨拶するのか、とか」
古泉「そうですか」
長門「実際は、どれも殆ど使う必要が無かったけど」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:15:51.74 ID:lZm79PP70
長門「最初、涼宮が部室に来たときさ」
古泉「ええ」
長門「めっちゃ高いテンションで『いらっしゃーい』って言ってやろうと思ったわけ」
古泉「三枝ですか」
長門「でも、できねーの。声がでねーの」
古泉「そうですか」
長門「哀しかったね、驚愕したよ。うなずくしかできねーの」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:17:06.46 ID:lZm79PP70
長門「そんなことってあるか? だったら、最初から言えよ。
お前は無口キャラだから、って言えよ。そしたら、済む話だろ」
古泉「そうですね」
長門「三年間も、あんなに夢見てたのが、馬鹿みたいじゃねーか」
古泉「そうですね」
長門「それで、やっと喋れたと思ったら、相手はお前で相槌は虚ろ」
古泉「そうですね」
長門「もう、いっそジャンクになりたい……」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:18:26.27 ID:lZm79PP70
長門「朝倉を消すんじゃなくて、朝倉に消されれば良かった」
古泉「そうですか」
長門「お前と喋ってても、非生産的だよな」
古泉「ええ」
長門「でも、喋らなきゃ気が済まないんだよ。迷惑かけて、ごめんね」
古泉「全くですね」
キョン「ちわー……って、二人だけか」
古泉「こんにちは」
長門「…………」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:19:41.28 ID:lZm79PP70
キョン「ハルヒはどうした? やけに、高いテンションだったが」
古泉「朝比奈さんと、ビラ配りに」
キョン「あいつは、また朝比奈さんを巻き込んで……」
古泉「まあ、すぐに戻ってくるでしょう」
キョン「そうだな。教師に止められるだろうしな」
長門「…………」
キョン「長門は、何を読んでるんだ?」
長門「本」
キョン「そ、そうか。面白いか?」
長門「ユニーク」
キョン「そうか…………」
長門「そう」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:20:59.09 ID:lZm79PP70
長門「…………」
古泉「オセロでも、やりますか」
キョン「お、そうだな」
・
・
・
ハルヒ「もー、なんなのよ、あの教師たちは!」
みくる「ふぇぇ」
古泉「おかえりなさい」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:22:12.06 ID:lZm79PP70
キョン「止められたのか。まあ、当たり前だがな」
ハルヒ「なんでよ! 私はただ部員勧誘をしただけよ!」
キョン「メイド姿で部員勧誘をする馬鹿がどこに居る」
ハルヒ「ここに居るじゃない!」
キョン「はあ」
長門「…………」
古泉「長門さん、まさか、羨ましいとか思ってます?」(ぼそ)
長門「!!」
古泉「ぷ」
みくる「ふぇぇ? な、何のお話ですかぁ? 古泉くんと、長門さん……」
古泉「いえ、読んでる本は面白いですか、と聞いていただけです」
みくる「そ、そうですかぁ」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:23:25.22 ID:lZm79PP70
ハルヒ「それじゃ、皆、気を付けて帰るのよ! ほら、みくるちゃんにキョン、行くわよ!」
みくる「ふぇぇ、だ、抱きつかないでぇぇ」
キョン「こら、ハルヒ。朝比奈さんが困ってるだろ。じゃあな、古泉に長門」
古泉「ええ、さようなら」
長門「…………」
長門「さっきのあれは何だよ」
古泉「何ですか」
長門「羨ましいとか思ってます、ってやつだよ」
古泉「ああ。いえ、あなたが、あまりにも凝視してるものですから」
長門「ふーん」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:24:37.90 ID:lZm79PP70
古泉「あの時の、あなたの驚いた顔と言ったら……」
長門「ぷ、とか言ってたな、お前」
古泉「……なんで、笑ってるんですか」
長門「は?」
古泉「あなたのことだから、てっきり怒るとばかり思ってたのに」
長門「なんでだよ」
古泉「なんでって……」
長門「いままで相槌に『そうですね』とか『そうですか』とか素っ気無い返事ばっかりしてた奴が、
ちょっかいみたいなの出してきて、しかも、今は逆に、私が相槌を打つ立場みたいになってたぞ」
古泉「…………」
長門「少しは生産的になったなと思って、笑ってたんだよ。じゃあ、私、こっちだから」
古泉「…………」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:25:53.90 ID:lZm79PP70
古泉「…………」
森「どうしたの、古泉。浮かない顔してるわよ?」
古泉「いえ、別に」
森「……そう」
古泉「喋るのって、煩わしいです」
森「古泉?」
古泉「僕は、そう思えていますよね?」
森「…………」
古泉「僕は、任務だから仕方なくあの場に居るだけで、本心から楽しんでいるわけじゃない」
森「…………」
古泉「僕が楽しそうにしてても、それはそういう演技をしているだけで……」
森「そうね、そうよ。分かってるわ、ちゃんと」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:27:07.13 ID:lZm79PP70
長門「けーいけんちー、じょうしょーう、みててー」
古泉「…………」
長門「ん。お前が、昼休みに部室に来るなんて、珍しいな」
古泉「…………」
長門「何か、あったのか?」
古泉「別に」
女子1「古泉くん、どこ行ったのかなー?」
女子2「お弁当食べてもらおうと思ったのにぃ」
長門「モテモテだな、一樹くん」
古泉「…………」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:28:20.68 ID:lZm79PP70
長門「弁当くらい一緒に食べてやれよ」
古泉「嫌です」
長門「でも、ここに居ても、私から延々と会話を振られる刑に処されるぞ?」
古泉「あの女子達と一緒に食べるよりは、随分マシです」
長門「ふーん」
古泉「…………」
長門「でも、お前、昨日までは、女子たちに弁当貰って食ってたくせに」
古泉「見てらしたんですか」
長門「いや、ってか、長門さん宇宙人だから、何でも分かるよ」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:29:39.27 ID:lZm79PP70
古泉「もう、愛想笑いするのも疲れてきたんです。それだけです」
長門「ふーん。で、ご飯は?」
古泉「要りません」
長門「成長盛りなのに、要らないなんてことはないだろ」
古泉「食欲が、ありません」
長門「放課後絶対腹減るぞ?」
古泉「大丈夫です。僕は少し寝るので、返事が無くても気にしないで下さい」
長門「それは、私に独り言を延々と喋ってろ、ってことか」
古泉「どうせ、普段からそんな感じじゃないですか」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:30:52.39 ID:lZm79PP70
長門「お前がちゃんとした返事をしてくれれば、
普段のあれは、独り言じゃなくてちゃんとした会話になってる筈なんだけどな」
古泉「…………」
長門「本当に寝たのか……」
古泉「…………」
長門「……じゃあ、独り言でも言うか」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:33:53.26 ID:lZm79PP70
長門「お前は、うっとおしいとしか思ってないのかもしれないけど、
私は純粋に羨ましいよ、あの女子二人が」
古泉「…………」
長門「格好良いと思う人に弁当を作ってやって、受け取ってもらえただけで喜んで、
騒いだりして、その日一日浮かれたりとかするのは、私には許されてないから」
古泉「…………」
長門「たったそれだけのことで、っていっても本人たちにとっては、たったそれだけのこと、
じゃないんだろうけど、でも、何気ない日常の一コマに一喜一憂出来るのが、すごく羨ましい」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:36:16.22 ID:lZm79PP70
長門「お前、昨日からかってきたじゃん。キョンと涼宮の会話を凝視する私に、
『羨ましいんですか』って言ってきたじゃん」
古泉「…………」
長門「その通りだよ。羨ましかった。喉から手が出るくらいに羨ましかった」
古泉「…………」
長門「涼宮のこと、うざいとか言ってたけど、本当はそんなこと思ってない。
ただの嫉妬なんだ。……滅茶苦茶な行動をすることが許されて、
そして、それをやんわり咎める人が居る。そんな涼宮が、羨ましかった」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:40:28.95 ID:lZm79PP70
長門「もし私がお前の立場に立ったら、こんなことは思わないかもしれない。
愛想笑いとかきついな、って思うだろうし、言葉も大嫌いになるかもしれない」
長門「でも、愛想笑いも、言葉の使用も殆ど許されていない長門有希としては、
古泉一樹の立ち位置は、とても輝いてみえるよ」
長門「私も、しょうもない一言に愛想笑いをしてみたい。馬鹿みたいなことで笑い転げたり、
他愛のない世間話をしたり、自由に言葉を使いたい」
長門「……普通の女の子になりたかった」
キーンコーンカーンコーン
長門「予鈴……もう、そんな時間か。ってか、結局こいつずっと寝てたな……」
古泉「…………」
長門「ほら、もう、予鈴鳴ったぞ。授業はじまるから起きろ」
古泉「…………」
長門「私、次移動教室で急がないといけないから、もう行くからな。
ちゃんと起こしたからな。放課後、ぐちぐち言うなよ。じゃあ」
古泉「…………」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:42:44.96 ID:lZm79PP70
古泉「…………」
古泉「……僕は、何も聞いてない」
古泉「……僕は、何も……」
古泉「…………」
・
・
・
古泉「こんにちは」
ハルヒ「こんにちわ! ねえ、有希知らない?」
古泉「いえ、知りませんが……どうかしたんですか?」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:45:27.30 ID:lZm79PP70
ハルヒ「そう……ううん、別に何もないんだけどさ、有希のクラスってもう終わってるのよ。
それなのに、まだ来てないなんておかしいじゃない? あの子、いつも一番乗りだし……」
古泉「コンピ研に出向いているのでは?」
ハルヒ「居なかったわ。部長が有希を隠し持ってる様子もなかったし」
キョン「図書館にでも行ったんだろうさ。ハルヒ、考えすぎだ」
ハルヒ「でも……」
古泉「もし、五時になっても部活に来ないようでしたら、探しに行きましょう」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:47:44.10 ID:lZm79PP70
みくる「こ、こんにちわぁ」
ハルヒ「あ、みくるちゃん、有希見なかった?」
みくる「見てないですけど……どうかしたんですかぁ?」
ハルヒ「ううん、まだ何かあったってわけじゃないんだけど……」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:49:24.83 ID:lZm79PP70
ハルヒ「あと、五分で五時になるわね……」
みくる「どうしたんでしょうかぁ」
キョン「流石に、心配になってきたな」
古泉「…………」
ハルヒ「やっぱり、もう探しに行きましょう!」
長門「…………」
ハルヒ「有希! ……どうしたの、その怪我」
長門「転倒した」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:51:31.03 ID:lZm79PP70
ハルヒ「でも、ほっぺただけ怪我するなんて……」
長門「…………」
ハルヒ「保健室には行ったの?」
長門「かすり傷だから、大丈夫」
みくる「でも、黴菌が入ったら大変ですよぅ……」
ハルヒ「そうよ! 保健室に行ってきた方が……」
長門「保健室の教員は、今日出張で居ない」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:55:00.74 ID:lZm79PP70
長門「本当に、かすり傷だから大丈夫。命に別状は無い」
ハルヒ「そう? そこまで言うなら、いいけど……」
みくる「あ、私、絆創膏持ってますよ。はい、長門さん」
長門「この程度の傷は、絆創膏を使用しない方が、治癒は早い」
キョン「…………」
古泉「…………」
ハルヒ「それじゃあ、有希も来たことだし、本日の部活はここまでにしましょう!
家に帰ったら、ちゃんと消毒するのよ? いい?」
長門「…………」こくん
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:57:01.60 ID:lZm79PP70
ハルヒ「それじゃ、古泉くん、ちゃんと有希を見送るのよ!」
古泉「ええ、長門さんが転びそうになっても、きちんと助けます」
キョン「長門も、そう何度も転ばんだろうがな」
みくる「それじゃあ、気をつけてくださいねぇ」
長門「…………」
古泉「それ、本当に転んだんですか」
長門「そうだよ。びっくりした。まさか、あんなところにバナナの皮があるとは」
古泉「嘘吐いてませんか」
長門「ぷ」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 15:59:05.10 ID:lZm79PP70
古泉「何で笑うんですか。僕は真面目に聞いているんです」
長門「ふーん」
古泉「何ですか、その態度は」
長門「あんなに関心無さげだったのに、ここまで心配してくれるとはなぁ、と思って」
古泉「別に、あなたの心配をしてるわけじゃありません。
ただ、あなたが部活に遅れたことによって、涼宮さんの精神は大きく乱されました。
閉鎖空間が発生しなかったのがおかしいくらいです」
長門「つまり、私じゃなくて、涼宮の心配をしていると?」
古泉「そういうことです」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:02:46.23 ID:lZm79PP70
長門「だったら、お前の懸念するようなことは何もないよ。明日はちゃんと時間通りに来る。
二度も、バナナの皮で転んだりはしないだろうしな」
古泉「…………」
長門「何だよ、その沈黙は」
古泉「仮にバナナの皮に転んだとしても、かすり傷程度なら、簡単に治癒出来るでしょう?」
長門「…………」
古泉「そもそも、あなたがバナナの皮に転ぶことが有りえない」
長門「…………」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:06:11.01 ID:lZm79PP70
長門「お前ってそういうところあるよな。推理癖、って言うの? コナンくんみたいなさ」
古泉「結構、核心をついている推理だと思うんですがね」
長門「いや、全く思わないな。それじゃ、私こっちだから」
古泉「待って下さい。もう少し話をしましょう」
長門「普段はそんなこと言わないのに、今日はやけに大胆ですね、一樹くん」
古泉「茶化そうとしたって無駄です」
長門「……別に、私は話したっていいけどさ、古泉くんは良いのかなー?」
古泉「何ですか」
長門「ここまで来ちゃうと、もう古泉くん言い訳出来なくなると思うんだよね」
古泉「…………」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:09:43.05 ID:lZm79PP70
長門「僕が普段笑ってるのも、任務だからしょうがなく、とか思ってるんだろ」
古泉「…………」
長門「涼宮や朝比奈やキョンに笑いかけてるのも、心の底から笑ってるわけじゃなくて、
任務だからしょうがなく笑いかけてるだけなんだろ」
古泉「…………」
長門「弁当を作ってくれた女子たちに対しても、だ。
涼宮の望むイメージを気にしなければ、すぐに蹴散らすことが出来るのに、と考えてる」
古泉「…………」
長門「お前は、全部を涼宮のせいにして、そして自分は被害者面しようとしている。
いいさいいさ、別にそれを咎めようと思ってるわけじゃない。
お前は可哀想な被害者だよ、戦いたくもないのに戦って、欲しくもないのに力を授かって」
古泉「…………」
長門「いいか。お前が今やろうとしていることは、任務外の行動だ」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:12:28.86 ID:lZm79PP70
長門「もし、これ以上私に何か深く問い続けるんなら、お前はもう被害者面は出来ない」
古泉「…………」
長門「もっとも、問い続けられても困るんだけどな。
私が持ってる真実は、バナナの皮に転んだ、というそれだけのことなのに、
お前は信じないだろ? どうどうめぐりだ」
古泉「…………」
長門「分かったら、この手を離してくれないか」
古泉「…………」
長門「ん。それじゃ、また明日ねー」
古泉「…………」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:14:51.77 ID:lZm79PP70
古泉「…………」
古泉(……全部、長門さんの言う通りだ……)
古泉(僕は、被害者面をして……)
キョン「よお、古泉」
古泉「…………」
キョン「ちょっと、話したいことがあってな。待ち伏せさせて貰ったぞ」
古泉「…………」
キョン「言っておくけど、俺の行為を咎める権利を、お前は持ってないからな。
お前も前に似たようなことを、俺にしたしな」
古泉「別に咎めたりはしませんよ」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:18:20.64 ID:lZm79PP70
キョン「それで、話なんだが……長門のことなんだ」
古泉「ええ」
キョン「おかしいと思わないか、あの怪我」
古泉「本人は、転んだと仰っていましたが」
キョン「有り得ないだろ。長門が転ぶか?」
古泉「分かりませんよ。転ぶかもしれません」
キョン「俺は、もっと別の何かだと思うんだが……」
古泉「それじゃあ、何だって言うんですか」
キョン「喧嘩、とかな」
古泉「喧嘩ですか?」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:22:38.81 ID:lZm79PP70
古泉「僕には、転ぶよりも、長門さんが喧嘩する方が有り得ないことだと思うのですが」
キョン「勿論、長門から吹っ掛けた喧嘩は有り得ないだろう。
だが、仮に長門が吹っ掛けられた側だったとしたら?」
古泉「それにしたって、どうして長門さんが……」
キョン「SOS団の行動を良く思ってない輩は沢山居るからな。
……一番大人しそうな長門が狙われるのは、おかしな話じゃない」
古泉「…………」
キョン「まあ、全部仮の話だけどな。とりあえず、お前に言っておこうと思ったんだ。
もし、長門が暴力を振るわれてるところを見たら、助けてやってくれ」
古泉「わざわざ、それを仰りに来たんですか」
キョン「ああ」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:25:00.57 ID:lZm79PP70
古泉「そんなことわざわざ言われなくても、長門さんが暴力を振るわれて居たら僕は」
キョン「助けるか?」
古泉「勿論です」
キョン「そうかい。まあ、いいさ。とにかく、そういうわけだから」
古泉「……助けないと思ったんですか?」
キョン「…………」
古泉「僕が、長門さんを助けないと思ったんですね?」
キョン「別に、そういうわけじゃない。ただ、なんとなく、な」
古泉「…………」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:27:11.55 ID:lZm79PP70
古泉(…………彼には、ああ言ったけれど……)
古泉(もし、仮に長門さんが暴力を振るわれているところを見たら、僕は助けるだろうか)
古泉(助けたとして、きっと言い訳をする筈だ)
長門『お前は可哀想な被害者だよ』
古泉(………僕が、求めているのは同情なのか?)
古泉(そもそも、僕は何かを求めているのか?)
古泉(わからない……わからない……)
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:30:07.54 ID:lZm79PP70
女子1「古泉くーん、あれ? 今日も居ないのかな?」
女子2「昨日も、昼休みすぐに居なくなったよね?」
女子1「うー、お弁当作ってきたのにー……」
女子2「トイレに行ってるだけかもよ? すぐに戻ってくるって!」
女子1「古泉くんは、トイレなんか行かないもん!」
女子2「あはは、そっか」
古泉(…………彼女たちから逃げるのは、被害者面をしたいからなのだろうか……)
古泉(僕は、本当は疎ましいとは思っていないのかも……)
古泉(予防線が欲しいだけで……)
古泉「こんにちは……あれ」
古泉「いつもなら、長門さんが居るのに……」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:33:49.65 ID:lZm79PP70
古泉「おかしい……昼休みに、長門さんが居ないなんて……」
キョン『SOS団の行動を良く思ってない輩は沢山居るからな。
……一番大人しそうな長門が狙われるのは、おかしな話じゃない』
古泉「……まさか、本当に……」
古泉(そうだとして、助けに行ってどうかなるんだろうか……)
古泉(長門さんは、宇宙人だし、僕なんかが探しに行かなくても……)
古泉(…………)
古泉(……でも、長門さんは、普通の女の子になりたいって言ってた……)
古泉(…………もし、長門さんが普通の女の子だったら、僕は……)
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:36:56.99 ID:lZm79PP70
・
・
・
長門「こんにちは、一樹くん」
古泉「こんにちは」
長門「ちゃんと時間通りに来ただろ? 遅れてないだろ?」
古泉「そうですね」
長門「ったく、昨日は本当にアクシデントがあっただけなんだからな」
古泉「でも……」
古泉(……昼休み、ここに居なかったじゃないですか、なんて僕に聞く権利があるのか)
古泉(捜しに行かなかったくせに……)
古泉(結局、ずっと捜しに行かずに、ここでぼーっとしてたくせに……)
長門「何だよ」
古泉「いえ、別に……」
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:40:13.98 ID:lZm79PP70
ハルヒ「こんにちは!」
古泉「こんにちは、涼宮さん。上機嫌ですね」
ハルヒ「ふふん。みくるちゃんに着せる新しい衣装を買ったのよ!
それに、今日はちゃんと有希も遅れずに来てるしね!」
有希「…………」
キョン「おい、朝比奈さんに何を着せるつもりだ」
ハルヒ「内緒よ、内緒。見るまでのお楽しみ!」
キョン「……袋から少し出ているそれは、もしかして鞭じゃないのか?」
古泉「ははは」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:43:50.42 ID:lZm79PP70
ハルヒ「今度は、有希にも、何か買ってあげるからね!」
キョン「長門まで巻き込むな!」
ハルヒ「何よ! 団長は私なんだから、あんたみたいなただの団員に発言権は無いわよ!
ねー、有希。有希だって、洋服着たいわよねー…………ん? 有希、ここ青痣になってるわよ」
長門「ぶつけた」
ハルヒ「本当に? 痛そうだわ……。ってか、有希、昨日から怪我してばっかりじゃない?」
長門「花粉症」
ハルヒ「そうなの? それで、視界が定まらないの?」
長門「そう」
ハルヒ「花粉症って大変なのね……」
キョン「…………」
古泉「…………」
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:46:09.02 ID:lZm79PP70
ハルヒ「それじゃ、みくるちゃんの女王様姿も見れたことだし、今日の活動はここまでよ!」
みくる「ふぇぇええ」
ハルヒ「私とみくるちゃんは後から帰るから、三人は先に帰ってて良いわよ!
有希が転ばないように、ちゃんと見張っておいてね! それじゃ!」
キョン「ご愁傷様です、朝比奈さん」
古泉「さようなら」
長門「…………」
キョン「時に、長門さん」
長門「何」
キョン「宇宙人というのは、花粉症になるものなのか?」
長門「種類によっては」
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:52:43.90 ID:lZm79PP70
キョン「その割には、目も鼻も赤くないが……」
長門「外部から見て分かるほどの症状は出ない」
キョン「そうかい。それじゃ、今も辛くて辛くて堪らないのかい」
長門「そう」
古泉「…………」
キョン「長門、何か隠して無いか?」
長門「何か、とは」
キョン「いやな、お前がそう簡単に怪我をしたりするとは思えないんだ」
長門「…………」
キョン「仮に怪我をしたとしても、お前ならすぐに治せるだろ、情報操作とやらで」
長門「こんなことにいちいち情報操作は使わない」
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:54:56.75 ID:lZm79PP70
キョン「そりゃ、そうだろうが……」
長門「信じて」
キョン「そうは言われても……」
長門「信じて」
古泉「…………」
キョン「分かった。とりあえず、今は信じる。だが、何かあったら言えよ?」
長門「…………」こくり
キョン「それじゃ、俺はこっちだから。古泉、長門を頼むな」
古泉「ええ、分かりました」
長門「…………」
キョン「それじゃあな、長門。花粉症対策には、甜茶とか言うお茶が利くらしいぞ」
長門「頭に入れておく」
130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 16:58:35.99 ID:lZm79PP70
長門「心配性が多いな、SOS団は」
古泉「…………」
長門「はは、何も言わないか」
古泉「…………」
長門「ごめんね、ずっと迷惑だったよな」
古泉「…………」
長門「もう、お前に話しかけるのも今日で終わりにする」
古泉「…………」
長門「昨日は、お前の気持ちも考えないで、色々言っちゃってごめんね」
古泉「…………」
長門「本当は、あんなこと思ってなかったし、言うつもりもなかった。
ただ、あまりにもしつこかったから、ちょっと勘に障っただけで……。
お前は、すごい頑張ってると思うよ」
古泉「…………」
長門「それじゃ、私はこっちだから。じゃあね」
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:00:23.99 ID:lZm79PP70
古泉(……結局、何も言えなかった……)
古泉(曖昧な相槌さえ打てなかった…………)
古泉(長門さんは、ああ言ったけど、僕は全然頑張っていない……)
古泉(頑張っていないことに気付いているのに、頑張ろうとすらしない)
古泉「…………馬鹿みたいだ」
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:05:13.07 ID:lZm79PP70
古泉「…………」
女子1「うー、窓の外を見てるだけなのに、凄い絵になってる!」
女子3「あんたは本当に古泉くんが好きなのね」
女子1「3ちゃんも、古泉くんのこと格好良いって言ってたじゃん!」
女子3「格好良いとは思うけどね」
古泉「…………」
古泉(今日も、昼休みは部室に行くか……)
古泉(今日は、長門さん居るかな……)
古泉「ん……?」
古泉(あれは、長門さんと、……男が三人?)
古泉(…………一体……)
キーンコーンカーンコーン
古泉(……今から授業がはじまるのに、一体どこに……)
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:08:51.50 ID:lZm79PP70
中野「というわけで、Xにここの式を代入して求める」
古泉(……もう、五分経った……)
古泉(…………まさか………)
古泉(あの男子三人に、長門さんは……)
古泉(…………痣、痛そうだった)
古泉(頬のかすり傷も、痛々しかった……)
長門『ごめんね、ずっと迷惑だったよな』
古泉(…………違う……)
古泉(僕は、迷惑になんて思っていなかった……)
古泉(僕は……………)
古泉「すみません、先生。トイレに行ってきてもいいですか」
中野「お、珍しいな。急いで帰って来いよ」
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:11:52.07 ID:lZm79PP70
古泉「確か、体育倉庫の中に入っていった筈……」
男子1「ムカつくんだよ、おめぇ!」
男子2「大人しいくせに、しゃしゃってんじゃねぇぞ!」
長門「…………」
男子3「おい、顔はやめとけよ。涼宮にバレるだろ」
男子1「別に、殴ろうが何しようが、元々殴られたような顔してるんだから、良いだろ」
古泉(居た……!)
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:13:57.65 ID:lZm79PP70
古泉(相手は三人、しかもバットを持ってる……)
古泉(僕が、出て行ったところで、どうにもならないかもしれない)
男子1「おい、何か喋れよ!」
長門「…………」
男子2「無理だよ、1。だって、こいつ、言語障害だもん。何も喋れねーって」
男子3「おい、そんな本当のこと言ってやるなよ!」
男子1「ぎゃはははは! 言語障害だけじゃなくて、顔の筋肉も未発達だよなァ!」
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:18:45.78 ID:lZm79PP70
男子1「俺の彼女が、愛想良くお前に話しかけてやった時も、お前は無愛想だったもんなァ!」ドガッ
長門「…………」
男子1「痛覚もおかしいのかァ? 呻きもしねぇじゃねェか。つまんねー」
男子2「たすけて、とかも言わねぇしな! こいつ、人間じゃねーよ」
長門「…………」
男子3「おー、怖怖。何考えてるのか分かんない目で、睨まれたあ!」
男子1「睨まれた? こいつ、睨んだのか? 顔の筋肉未発達なのに?」
男子2「お前、それ貴重だって! カメラか何かに撮っておけば良かったのに」
長門「…………」
古泉(…………本当は、笑いたかった筈だ……)
古泉(話しかけられた時に、長門さんは本当は笑って答えたかった筈……)
古泉(でも、出来なかった。制御をされているから……それなのに……)
古泉(それなのに、こいつらは……!!!)
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:22:01.23 ID:lZm79PP70
男子1「長門さァん。呻き方を教えてあげるよォ。感謝しろよナ」
男子2「流石にバットで殴られたら、お前も堪ったもんじゃねぇだろ」
男子3「ぎゃはははははは!!!」
長門「…………」
古泉「そこまでですよ!」
男子1「ん? なんだァ? ……お前、古泉じゃねェか」
長門「!!」
男子1「おうおう、優等生はちゃんと授業に出てろよ。先生が泣いてるぞォ?」
男子2「くきゃきゃ。そこまでですよ、だとよ」
男子3「そこまでなのは、明らかにお前だろ!!!」ドガッ
古泉「うっ…………」
男子2「弱っ、女の子の長門ですら、呻き声を上げなかったのに!!!」
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:27:26.99 ID:lZm79PP70
男子3「馬鹿。女の子じゃねぇだろ。こいつは、人間ですらない」
男子2「そうだったぁ。あはははははは」
古泉「うるさい!!!」
長門「…………」
古泉「長門さんは、ちゃんと人間だ!! お前らに何が分かる!
顔の筋肉も自由に動かせて、言葉を自由に操ることも出来るお前らに、何が分かる!
長門さんは、誰よりも触れ合いを求めていたのに、それなのに、それを言うことが出来なかった。
それを伝えることが出来なかった。その苦しさを、ちゃんと分かってるのかよ!」
男子2「……ぷ、何こいつ」
男子3「お前らにっ何が分かるっ、だってよ! ぐはははは」
男子1「おいおい。マジかよォ。女子どもが騒いでる『古泉くん』ってのは、こんな奴だったのかよ」
男子2「ぼこしてやろーぜ! その綺麗な顔を、ぶっ潰してやるよ!」
男子3「おい、あんまりすると涼宮がうるせぇから、ほどほどにしろよ」
167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:32:53.06 ID:lZm79PP70
長門「古泉一樹、何故……」
古泉「長門さん、仰ってたじゃないですか。普通の女の子になりたい、って……。
あんなこと言われて、そしてこんな場面を見て、無視出来るわけないじゃないですか。
……僕、本当は嬉しかったんです。楽しかったんです。
SOS団での活動を、楽しく思っていました。……そんな自分に気付きたくありませんでした」
長門「…………」
古泉「長門さんに言われて、やっと向き合うことが出来たんです。
僕は被害者ぶってるだけでした。長門さんの言うとおりです。
……長門さんとの会話も、本当は楽しかったですよ」
男子1「なァに、ごちゃごちゃ喋ってるのかなァ?」
長門「駄目……あなたは逃げて……」
古泉「普通の女の子だったら、こういう場合は黙って守られておくものですよ」
男子2「格好付けたこと言ってるけど、おめぇ弱いじゃん!!!」
男子3「折角良い雰囲気だったのに、そんな本当のこと言ってやるなよ、2!」
男子2・3「ぎゃははははは」
173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:36:57.83 ID:lZm79PP70
男子1「それじゃあ、遠慮なくボコらせてもらおうかねぇ、古泉くん?」
ハルヒ「そこまでよ!!!」
男子2「な……涼宮、なんで……」
体育教師「コラ、お前ら何してるんだ!」
男子3「げっ、ゴリまで……」
体育教師「お前ら三人ともこっち来い」
男子1「せ、先生、僕たち遊んでただけで……」
体育教師「お前の右手に握ってあるバットは何だ?」
男子1「そ、それは……」
体育教師「こいつらは俺が説教するから、お前らは授業に戻れ」
涼宮「分かりました。それじゃ、古泉くん、有希、授業に戻るわよ!」
古泉「…………」
182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:43:23.12 ID:lZm79PP70
ハルヒ「ひゃー、あの三人、きっと相当ボコされるわよ。ゴリだもの。
でも、当然よねぇ。有希をいじめてたんだもの!」
古泉「どうして、ここが分かったんですか?」
ハルヒ「古泉くんが走っていくのが、丁度見えたのよ。
私の授業、いま丁度自習だったから、何かなって思って捜してたら、
男子三人と古泉くんと有希が居て、あんなことになってたから……」
長門「…………」
ハルヒ「とりあえず、私一人じゃ太刀打ちは出来ないと思ったから、ゴリを連れて来たの!
ごめんね、遅くなって。怪我してない?」
古泉「僕は大したことありませんが、長門さんが……」
長門「損傷は少ない」
ハルヒ「駄目よ! ちゃんと保健室に行かなきゃ! 今日は出張じゃないでしょ」
長門「…………」
古泉「保健室には、僕と長門さんが二人で行きますよ。ちゃんと送ります。
涼宮さんは、教室に戻られて下さい。彼も心配しているでしょうから」
ハルヒ「キョンなら、ぐーすか寝てたけど……ま、そうね。じゃ、任せたわよ!」
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:45:53.93 ID:lZm79PP70
長門「待って、涼宮ハルヒ」
ハルヒ「ん?」
長門「……ありがとう」
古泉「…………」
ハルヒ「団長が団員を守るのは、当たり前でしょ?
今度また何かあったら、ちゃんと言うのよ? 有希は、可愛い可愛い団員なんだからね!」
長門「分かった」
古泉「…………」
長門「…………」
古泉「…………」
長門「まさか、お前が助けに来るとは思わなかった……」
古泉「僕も、自分が助けに行くとは思いませんでした」
188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:49:48.12 ID:lZm79PP70
長門「ふ、お前凄かったな。長門さんの苦しみが分かるのか! とか言って」
古泉「…………」
長門「ごめん、茶化すことじゃなかった。だから、そんな目で見るなよ」
古泉「なんで、情報操作をしなかったんですか」
長門「…………」
古泉「情報操作をしていれば、一発だったでしょう」
長門「…………普通の女の子だったら、情報操作とか出来ないじゃんか」
古泉「…………」
長門「殴られるのとかも、殴られっぱなしだろ? だから、ちょっと甘んじてみた」
古泉「…………」
長門「でも、殴られても普通の女の子じゃなかったなー。呻き声一つ上げなかったもん。
というか、制御されてて上げれなかったんだけどねー」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:53:33.03 ID:lZm79PP70
長門「だから、その……嬉しかったよ。お前が、色々言ってくれて」
古泉「そうですか」
長門「涼宮にも、感謝が言えて良かった」
古泉「そうですね」
長門「お前も、ありがとう。格好良かったよ、一樹くーん」
古泉「そういうの、やめませんか」
長門「…………」
古泉「僕、長門さんとお友達になりたいです。ただの、茶化し相手とかじゃなくて……。
お友達になりたいです」
長門「…………」
古泉「駄目ですか?」
191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/11(水) 17:56:08.56 ID:lZm79PP70
長門「……よろしく、古泉くん」
古泉「ええ、よろしくお願いします」
長門「……なんだか、照れくさいな」
古泉「そうですね。いざ、友達と定義すると……」
長門「友達って何を喋るんだろうな」
古泉「率直に、いま思ってることを喋れば良いんじゃないでしょうか」
長門「そうか……」
古泉「ええ……」
長門「まじ疲れた」
古泉「そうですか」
(完)