1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 17:37:28.39 ID:JjytkIIx0
「…いらっしゃいませー」
やる気のない挨拶がかけられる。それもそのはずだ。
現在の時刻は午前2時。コンビニの店員はアルバイトのみとなる上、めったにお客は来ない時間だ。
アルバイトの身としてみれば、面倒くさい接客なんてないほうがいいに決まっている。
「ゴメンな〜かがみ。パパッと買ってきちゃうからまってて。あっ、何かほしいものある?」
「いいえ、大丈夫ですので気にしないでください。ありがとうございます。」
私は先輩に付き合ってお店に寄ったに過ぎない。正直言ってさっさと帰って眠りにつきたかった。
先輩が買い終えるまでの暇つぶしに店内をブラブラ見ていた。
お菓子コーナーで商品を眺めていたら久しぶりにポッキーを食べたくなってきた。
「…それも一緒にかおうか?ポッキーとか好きなの?」
不意に先輩に声をかけられる。
「いえいえ、ちょこっと見ていただけですから。あー…それじゃあ、お言葉に甘えていいですか?」
先輩に付き合ってこんな時間になってしまったのだ。コレくらい買ってもらってもいいか。そんな風に思った。
「こんなもんでよかったら10個でも20個でも買ってあげるよ。」
そういってうれしそうにポッキーの箱をレジかごの中に入れる先輩。
「それじゃあ、会計済ませてくるよ。」
そういって先輩はレジに向かう。やることもないので先輩の後をくっついていった。
「…合計で1765円です…。」
相変わらず店員はやる気がなさそうだ。いくらアルバイトといえども、もうちょっと明るく接客するべきだろうに。
「あ、ポッキーは別の袋に入れて」
「あぁ、袋いいですよ。シールだけにしてください。」
わざわざポッキー一箱のためにレジ袋はいらないな、と思い店員から直接もらおうと思い言った。
「……え、かがみん?…」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 17:39:50.46 ID:JjytkIIx0
…あ…こなた……」
「何?二人は知り合いなん?」
見詰め合っていた私たちを不思議に思ったであろう先輩が声をかけてきた。
「あ、あぁ。高校生のときに同級生だったんですよ。私たち。」
同級生。本当は親友だったはずなのに…。
「ね、ねーこなた!久しぶりにあったねー!」
「……うん。久しぶり…」
不自然に声が上がっているのが自分でもわかる。最低だとも思った。
「そうなんかぁ。偶然だね。何?高校卒業してからだと5年ぶりくらいかい?」
「そうですね!もう、5年くらいになりますね!それじゃあね!こなた」
「……うん。ありがとうございました…」
こなたとろくに会話もせずに早々に切り上げる。先輩にきづかれるのが無性に嫌だった。
コンビニから出ると外はものすごい冷え込みだった。
「さっむぅー!早く車乗ろう」
リモコンで先輩の車のロックが解除される。
私は一刻でも早くここから立ち去りたい思いでいっぱいだった。
車内は先ほどまでのヒーターのぬくもりが残っていて、あったかかった。
「それじゃあ、家まで送っていくよ」
「はい…ありがとうございます」
なんで、こんなときに再会してしまったのだろう…そんな思いが頭の中を占めていくのだった。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 17:42:10.32 ID:JjytkIIx0
「あの娘とは仲良かったの?」
自宅へ向かう車内で先輩に聞かれた。
答えるのが無性に嫌だった。
「普通に話すくらいでしたねー」
よくもまぁ、こんな嘘がつけるものだ。自分自身に反吐が出る。
「そっか、あんまり明るい感じの娘じゃなさそうだからかがみと仲良かったのかなって気になってさぁ」
「でも、その感じだとグループが違ったんだね」
「……はい。そんなことより、明日、本当に遅め出社でいいんですか?」
もう、コレ以上この話はしたくなかった。無理矢理話題を変える。
「おお、俺の手伝いのせいでこんなに遅くなっちゃったからな。明日は所長に俺から言っておくから」
「11時頃出社してくれればいいよ」
よかった。不自然に思われないですんだらしい。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 17:43:38.07 ID:JjytkIIx0
そんなことを話しているうちに、家の前に到着した。
「まだ、研修期間なのに残業させて悪かったね。それじゃあおやすみ」
「いえいえ、これも勉強のうちですから。おやすみなさい」
車から降りると軽くクラクションを鳴らし先輩の車は闇の中に消えていった。
かばんの中からキーケースを取り出し、玄関の鍵を開ける。
こんな時間ではもう家族は寝てしまっている。私は起こしてしまわないよう静かに自分の部屋へ歩いていった。
部屋に入るとスーツを脱ぎ、メイクを落としパジャマに着替えさっさと寝てしまうことにした。
明かりを消してベットに入る。…寝ようと思うのだがなかなか寝付けない。
「……こなた、傷つけちゃったよなぁ、絶対…。私って最悪だ…」
どうして、こんなに気まずくなってしまったんだろう…。
寝付けない私は、大学時代のことを思い出していた。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 17:45:43.03 ID:JjytkIIx0
「あんた、大学行ったらしっかりしなさいよ!」
高校卒業後、最後の春休み。私たちは思い出つくりにささやかな旅行行っていた
「わかってるよ〜。かがみんは心配性だなぁ〜」
上野。東京住みのみゆきと別れる前に喫茶店に入っていた。
「誰もあんたの事なんか心配してないわよ!私が心配してんのは大学であんたと出会う、まだ見ぬ人たちよ」
明後日、みんな大学の入学式が待っている。こうやって集まれるのもこれが最後となる
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 17:48:14.81 ID:JjytkIIx0
「おねーちゃん、素直じゃないね」
つかさは料理家を目指し、専門学校に通うことになった
「かがみんは相変わらずツンデレだねぇ〜」
こなたは目標もなく、おじさんに進められてとりあえず大学を受験。意外なことに合格した。
「ちょ、お前、大学でもツンデレとか言わないようにしなさいよ…まったく。」
私は弁護士をめざし、大学・法学部へ進学
「みゆきからも何か行ってやんなさいよ」
みゆきは医者を目指し医学部へ進学することになった。
結局、4人全員進学となったわけだ。
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 17:53:17.18 ID:JjytkIIx0
「そうですねぇ。私たち、高校で出会い、大学は別々の道を歩むことになりました。」
「これからは今まで見たいに毎日顔を合わせることも出来なくなってしまうとおもいます。」
「ですが、私たち4人はこれからも、友達でいられるとおもっています。」
「こなたさん。かがみさん。つかささん。今まで本当にありがとうございました!」
「そして…これからもよろしくお願いしますね。」
みゆきの目にはうっすら涙がうかんでいた。
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 17:59:15.25 ID:JjytkIIx0
それ以上誰も言葉を発しなかった。
無言の空間。店内の有線放送だけが聞こえてくる。しかし、気まずさは微塵もない。
心地よい空気に包まれているのを確かに感じた。
いつまでもこうしていたいが、時刻は午後6時。そろそろ解散しなければならない時間となっていた。
「…それではそろそろ出ましょうか。」
「うん。そだね。」
「それじゃぁ、ここは私がおごってあげようじゃないか。」
喫茶店の伝票をてにする。こうすることで少しでも絆を確かなものにしようとする。
いまおもえば、なんて浅はかで、安っぽい行為なんだろうか。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 18:13:37.30 ID:JjytkIIx0
「かがみんはふとっぱらだねぇ〜いろんな意味で」
こなたがいつものように茶化してくる。
「それってどういう意味よ?」
こんなやり取りも今日で最後となる。
会計を済ませ、店の外に出る。
みゆきとはここでお別れとなる。つかさは泣いてしまっていた。
「それでは、みなさん私はここで。また、連絡させていただきますので……」
「ゆきちゃぁん…ま、またぁグズッ…会おうねぇぇ」
「みゆきさん、元気でね!」
「みゆき、またね」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 18:42:13.48 ID:JjytkIIx0
「嫌・・・ここでお別れじゃないです・・・かがみさんも一緒に行きましょう」
そういうとみゆきは私の腕を掴む。
「みゆき…、気持ちはわかるけどそれぞれの道を歩まなくっちゃ」
腕から手を離そうとするがどういうわけか離れない。それどころか、掴む力はドンドン強くなっていく
「み、みゆき?ちょっと、いたいよ?」
ギリギリギリ…洒落にならないくらいの力でつかまれる
みゆきになぜこんな力があるのか?それより、みゆきはどうしてしまったのか?もうわけがわからなかった。
「一緒に…いっしょに…イッショニ……」
「嫌ぁ!離してみゆきっ!こなた!つかさ!助けて!」
二人に助けわ求めて7振り返ったが、そこには誰もいなくなっていた。
「つかさ?こなた?どこ行ったの?」
ギリギリギリギリ…何か機械で腕を挟まれている様な力で握られる。
「嫌ぁぁぁぁ!」
もうだめだと思った
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 18:45:11.27 ID:JjytkIIx0
「そこまでだ!」
だが次の瞬間、通行人の一人がドロップキックでみゆきを吹っ飛ばした。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
この世のものの声とは思えない声で叫ぶみゆき。
こちらを振り返ったその顔は右半分が抉り取られたようなおぞましい物だった
「危なかったな。だがもう大丈夫だ」
その通行人は右手から光の玉を出し、みゆきに向かって放った
「破ぁ!!」
みゆきは光の玉が当たると同時に闇の中に溶けるように消えていった
そして私は気を失ってしまった
「ハッ!」
目を覚ますとそこは病院のベッド上だった
「危なかったな。君はあの日事故に巻き込まれて以来5年間寝たきりだったんだ」
「かわいそうだが、亡くなった君のお友達が君を引き込もうとしていた・・・」
声をかけてくれたのは、会社の先輩と同じ顔をした人だった
実は父の古くからの友人でTさんというらしい。
私のお見舞いに来てすぐ症状に気がついて助けてくれたらしい。
寺生まれはスゴイ、私はこの人と一緒になろうと心から誓った。
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 18:52:12.26 ID:JjytkIIx0
調子に乗ってTさんに出演してもらっちゃいました。
途中で心が折れちゃったんだぜw
シリアス路線で近いうちに完全版書きたいと思うんでそん時はヨロシクです