91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 20:21:41.65 ID:IOoifbwiO
「うっ・・・!?」
光!!
「・・・すぅ〜〜〜」
「はぁ〜〜〜っ!!」
新鮮な空気!!
「戻ってきた・・・地上に・・・!!」
カイジ、生還!!
……思えば長かった。あのエスポワールから今までに潜り抜けた、数々の修羅場。そのどれもが、今この瞬間においては幻のようにさえ思える。
だが、紛れもなく現実なのだ。
奇妙に膨らんだジャケットの内ポケットが、非情にもそれを物語っている。
中身は考えなくてもわかる。
仲間たちから託された、なけなしの80万。現金。それも生!!
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 20:33:01.62 ID:IOoifbwiO
下唇を噛みしめ、しばし感慨に耽る。
……静かだ。
いや、正確には、夏の風物詩であるひぐらしの鳴き声や、微風に煽られ擦れ合う樹木の音が、俺の耳に入っている。
しかし、不思議と不快ではなかった。
田舎の成せる技なのか。都会ではこうはいかない。車のエンジン音、人々の雑踏、工事現場のドリル。……かつて無職であった俺をよく苦しめたものだった。
……しかし、田舎?
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 20:41:27.39 ID:IOoifbwiO
「・・・ば、馬鹿・・・田舎だと・・・!?」
想定外……今ごろ気付くなんて、馬鹿なのか俺は?
今の俺の目的は、手元にあるこの80万を何十倍にも増やすこと。
そのために普通の手段を講ずることは、はっきり言ってできない。出来ればギャンブル・・・裏ルートで一気に儲けられる手段がどうしても欲しいのだ。
それなのに、田舎だと?
馬鹿言うな!! こんな田舎に都合よくギャンブルなんかゴロゴロしてるわけないだろうが!?
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 20:50:03.69 ID:IOoifbwiO
「はぁ〜〜〜・・・まいったな」
面倒くさいが、バスか電車で東京に渡るしかないな。
ていうか、すっかり忘れていたけど……ここどこだ?
できれば東京に近い所であってほしいが……。
「にぱ〜、どちらさまですか?」
ちょうどその時、のろのろと歩きだそうとしていた俺を呼び止める声があった。
振り向くと、そこには蒼い長髪が特徴的な女の子が、にこにこしながら俺の顔を見上げていた。
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 21:02:46.77 ID:IOoifbwiO
「え、あ・・・?」
「突然呼び止めてごめんなさいなのです。でも、見たところお困りのようでしたので、放ってはおけなかったのです」
変わらぬ笑顔をこちらに向けながら、彼女はゆっくりと一歩後退し、俺に会釈する。
「い、いや、いいんだ別に。それにちょうど良かった、ここはどこなんだい?」
「みぃ? ここは古手神社の中庭なのですよ」
「ああ、いやいや、そうじゃなくて! この町の名前だよ、町の!」
「みぃ……町じゃないのですよ。ここは雛見沢村なのです」
「ヒナミ・・・ざわ・・・?」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 21:16:11.23 ID:IOoifbwiO
「岐阜県の県境にひっそりと位置する小さな村ですから、知らないのも無理はないのですよ。でも、知らないのにどうしてここにいるのですか?」
「い、いや・・・ちょっといろいろあって・・・」
正直に言ったところで信じてもらえるのか?
……はぁ、ガキ相手に真面目に考えてどうする。まぁ、子供を脅かす冗談には丁度良いだろうし、正直に話してもいいか。
「実はかくかくしかじかで・・・」
「かくかくうまうまというわけなのですか?」
「そういうことだ」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 21:27:33.63 ID:IOoifbwiO
「…………」
「とにかく、とっとと東京に行かないといけないんでね。出来れば・・・ええと・・・」
「梨花……古手梨花よ」
「リカちゃんか。とにかくバスか電車に乗って東京に行きたいんだ。最寄りのバス亭か駅の場所まで案内してくれないか?」
しかしリカと名乗った女の子は、俯いたまま何かぶつぶつと独り言を漏らし、俺の問い掛けを無視した。
気持ちわりぃ……おい、何とか言えよ。
「……あなたも違うのね」
「あ゙・・・?」
「今までの運命にはけして登場しなかったあなた……もしかしたらと思ったのだけれど、とんだ期待はずれだわ」
ざわ・・・ざわ・・・
予想外・・・まさかの・・・期待はずれ宣言・・・!!
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 21:34:35.99 ID:IOoifbwiO
「て、てめぇクソガキ・・・!!」
「みぃ〜、怖いのです怖いのです〜」
たったった・・・
「お、おい待ちやがれ!!」
期待はずれ・・・期待はずれ・・・期待はずれ・・・
カイジ・・・胸に響く・・・期待はずれ・・・!!
あんな子供にまで馬鹿にされて・・・ちくしょうちくしょうちくしょう!!
逃がしてたまるか!! PTAに刃向かってでも一発なぐ・・・いやビンタしてやる!!
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 21:43:29.38 ID:IOoifbwiO
「はぁ・・・はぁ・・・げほっ、げほぉっ!!」
だがカイジ・・・体力不足・・・!!
「ちょ・・・待てっておい・・・」
「みぃ? 沙都子、沙都子ぉ〜〜〜」
「あら……どうしたんですの〜〜梨花〜〜!!」
な、なんてことだ……思わぬ増援!!
あのクソガキの前方40m先に、不良よろしくショートヘアをパツキンに染めたもう一人のクソガキが待機してやがる!!
ちくしょう、この村にはクソガキしかいねえのか!?
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 21:51:05.39 ID:IOoifbwiO
いろいろあって1時間後
「……あんたはずかしくないんですかぁ? 大の大人が善良な子供を追っかけまわすなんて……」
「反省・・・してます・・・」
「まあ今回は厳重注意ということで済ませますが、今度何かあったら」
「滅相もない・・・! 誓って二度と・・・ありえない・・・!!」
「大石、それくらいにしてあげてくださいなのです」
「……梨花ちゃんに感謝しなさいよ、伊藤開司くん」
「はい・・・」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 21:54:25.73 ID:IOoifbwiO
地平線に消えてゆくパトカーを眺めながら、俺はあまりの悔しさに涙する。
「・・・こんなクソガ・・・子供に・・・大敗・・・!! 屈辱・・・圧倒的屈辱・・・!!」
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 22:01:48.33 ID:IOoifbwiO
ボロ・・・ボロボロ・・・
「……情けない大人ですこと」
「みぃ、負け犬なのです」
クソガ……いや、もうよそう。うっかり口に出たら国家権力が黙っちゃいない。
二人の女の子は、泣き崩れる俺の後ろでなおも心の傷をえぐっている。
もう・・・追いかけません。
もう・・・クソガキとも言わない。
だから止めて・・・止めてください・・・罵詈雑言を・・・止めて・・・
ぐにゃ〜
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 22:38:16.91 ID:IOoifbwiO
「・・・知らない天井だ」
「気がついたのですか?」
「ここは・・・俺はいったい・・・」
「ここは雛見沢の学校なのです。開司はあの後あまりにも泣きすぎて気絶してしまったのですよ」
カイジ不覚・・・幼女を前に・・・醜態晒す・・・!!
「ちくしょう・・・」
ボロ・・・ボロボロ・・・
「……見苦しいからいちいち泣かないでくれる?」
「ずぴぃぃ・・・ぐず・・・す、すまん・・・」
「まったく……とにかく、沙都子に感謝なさいよ。あんたを心配してここまで運ぶように頼んでくれたのはあの娘よ?」
「サトコ・・・あのパツキンが・・・? なんで・・・見ず知らずの俺なんかを・・・?」
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 22:51:13.45 ID:IOoifbwiO
「いきなりぶっ倒れた人間をほっとけるわけないでしょう。それに……」
「それに?」
「……雛見沢の人間は、温かいからね……」
「温かい・・・そうか・・・」
俺は涙を拭い去ると、感激に打ち震える胸を片手で押さえて、リカの肩を掴んだ。
「ありがとう・・・本当に・・・!!」
「……ど、どうしたのよ急に?」
「だって・・・ここまで運んできてくれたんだろ?」
「(正確には引きずってきたんだけど)そうよ。でもそれがいったい……」
「それ・・・普通は出来ないぜ? ましてや変質者みたいな俺を介抱するなんて絶対無理・・・嫌に決まってる。だからお前、それに沙都子だっけ? すげえよ」
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 23:00:22.06 ID:IOoifbwiO
「あなたは……」
「あらあら、もう起きたんですの? あのままずっと寝ていてもよろしかったんですのよ?」
「おんや〜、こいつが沙都子の話してた変質者ぁ〜? たしかにこいつはおっかない顔してるね〜」
「み、みぃちゃん……流石にそれは失礼じゃないかな。かな?」
「この人、汚い顔してますね。葛西みたい」
「葛西さんが泣くぜ、詩音……。それにしても愉快な人だぜ、まさか梨花ちゃんと沙都子を追い回すなんてな!」
リカが何かを口にしようとするが、突如として現れた来訪者にそれを阻まれる。
サトコに……見知らぬ女が三人。それに男が一人。
136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 23:13:57.85 ID:IOoifbwiO
「こいつらは?」
「クラスメートなのです。緑色の髪を後ろで結んでいるのは魅音。結んでないのは詩音。帽子を被ってるのはレナ。男の子は圭一なのです」
「初めまして〜お兄さん。園崎魅音、よろしくね!」
「詩音です。別によろしくするつもりはありませんけど、一応」
「初めまして、竜宮レナです!」
「俺は圭一。よろしく!」
「そしてわたくしが北条沙都子。覚えておくとよろしいですわ、おーほっほ!!」
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 23:23:46.04 ID:IOoifbwiO
「・・・」
「……どうしたのですか、開司?」
「・・・いや、不思議なんだ」
「なにがですの?」
「だってそうだろ? 見ず知らずの人間、しかも人づてに変質者とまで知ってる俺を、なんでこんなに・・・」
「あら、わたくしはカイジさんと遊んでいるつもりですのよ?」
「な、なに・・・?」
「幼女を追いかけ回す大人は初めてじゃないからなぁ……」
「はぅ〜、梨花ちゃん可愛いもん。追いかけ回すのも仕方ないよ〜」
「ま、見たところ悪い人じゃなさそうですしね」
「子供相手に本気になる大人、そんなに嫌いじゃないよ、おじさんはね〜」
「そういうことなのですよ。にぱ〜☆」
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 23:30:35.00 ID:IOoifbwiO
カイジ・・・この時・・・忘れていた何かが芽生える・・・!!
信頼・・・友情・・・慈愛・・・!!
金で繋がれた偽りのそれなどではない・・・本当の優しさを感じる・・・!!
「・・・あったけえ」
ボロボロ・・・
「なんて・・・あったかい・・・!!」
もっと早く出会いたかった、こんな人たちと。
裏切られ、搾取され続けてきた俺でも、こんな奴らと出会えていたなら、あるいは……。
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 23:39:15.69 ID:IOoifbwiO
「はぁ〜〜〜・・・」
俺は今、校庭の隅に座って雑草をむしっている。ミオンいわく、リカを追いかけ回した罰ゲームらしい。
「何してんだ・・・俺・・・?」
ついつい感傷的になってしまって目的を見失っていたが、俺には成すべきことがある。
ジャケットに忍ばせた80万円……こいつは仲間に託された大切な金だ。だが今のところ、こいつを何十倍にも増やす手段は皆目見当もつかない。
だからこそ、さっさと東京に行ってその手段を模索したいのだが。
カイジ・・・痛恨のミス・・・幼女を追いかける・・・!!
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 23:45:38.62 ID:IOoifbwiO
「・・・しかし、仲間か」
正直、何故かあいつらを仲間と呼ぶことに抵抗がある。
何故だ? あいつらは俺を信じてくれた。
だからこそ、チンチロリンのトリックを暴くことができ、今ここで俺が日の目を見ているんだ。
「・・・もやもやする。何かひっかかる。何か・・・出来すぎてないか・・・?」
「お、せいが出るねーお兄さん」
「大丈夫かな。かな?」
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/04(水) 23:50:53.31 ID:IOoifbwiO
こいつら・・・せっかく何か掴みかけたってのに・・・
「・・・おう」
「あるぇ〜? 元気のない返事だね〜」
「おう!!」
「よしよし、けっこうけっこう! これなら大丈夫そうだね……ねえレナ〜?」
「うん、そうだねみぃちゃん☆」
「・・・おい、さっきから何の話してんだ?」
カイジ・・・またも屈辱・・・蚊帳の外・・・!!
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 00:04:44.76 ID:kGNSl7RYO
「ふっふっふ、お兄さん……光栄に思うがいい! 君に我等が部活動への参入を許可しよう!!」
「ぱちぱちぱち〜!」
「・・・あ゙?」
カイジ・・・呆ける・・・状況まったく飲み込めず・・・!!
「・・・まずは説明してくれよ。部活動ってのは、つまり・・・」
「よくぞ訊いてくれた! 我が部は「つまりゲームして楽しもうってことだよ。だよ!」……ちょっとレナぁ〜!!」
「ゲーム? おいおい、学校でそんなことしていいのかよ?」
「先生公認! しかもゲームといっても侮るなかれ! これはいわば戦争! 敗者は勝「つまりビリの人には何かしらの罰ゲームが待ってるってことだよ。だよ!」……だからレナぁ〜!!」
「罰ゲーム・・・へえ、そりゃ面白そうだな? でも本当に俺なんかが参加していいのか?」
「そこに関しては問題なし! みんなが決めたことだからね〜」
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 00:15:24.52 ID:kGNSl7RYO
「ゲーム・・・か」
正直そんなことにうつつを抜かしてたらバチがあたりそうなんだが、まあいいか。
草むしりしている現状こそ、バチがあたって然るべきなんだし。
「い、いやかな。かな?」
「・・・いいぜ、やってやるよ。暇つぶしには丁度いいし」
「やった!」
「ふふ〜ん……さてさて、暇つぶし程度で済むかな〜?」
ざわ・・・ざわ・・・
な・・・なんだ・・・この不安・・・!?
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 00:26:53.52 ID:kGNSl7RYO
「ようやく来ましたわね変質者! コテンパンにしてさしあげますわぁ!!」
「あら、まさか本当に連れてくるなんて。流石はおねえ、やりますね〜」
「まってたぜカイジさん!」
「みぃ〜、賑やかなのはいいことなのですよ。にぱ〜☆」
俺が教室に入るなり、彼女たちは待ってましたとばかりに歓声を上げた。かなり恥ずかしいな……こういうのはあまり慣れていない。
「よ〜し、もう準備は出来てるね」
よく見ると、彼女らは円陣を組んでおり、その中には四つの机をくっつけたテーブルが設置されている。
その上にはカード――おそらくトランプだろう――が置かれていた。
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 00:38:21.85 ID:kGNSl7RYO
「さてと……それじゃあ種目はどうしようか? ここら辺はお兄さんに決めてもらおうかと思ってるんだけど……」
「ぜったいババ抜きがいいですわ!」
「勿論、神経衰弱ですよねぇ」
「レナは七並べがいいけど、ダメかな。かな?」
「男なら大富豪! そうですよねカイジさん!!」
「ボクは渋くインディアンポーカーがいいのですよ」
「……だそうで。どうします〜お兄さん?」
カイジ・・・けっこう悩む・・・その末・・・!!
>>180
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/02/05(木) 00:49:38.72 ID:Qi9XaKWZ0
ポーカー
183 名前:あぶねえ・・・チンチロリンだったら収拾つかないところだった。[] 投稿日:2009/02/05(木) 00:53:52.77 ID:kGNSl7RYO
把握。ルール、Wikipediaで調べてくる。あと寝る。
明日まで残ってたら続ける。残ってたら・・・
284 名前:期待されると、期待はずれだったときがっかりするから期待するな[] 投稿日:2009/02/05(木) 18:42:05.76 ID:kGNSl7RYO
「おいリカちゃん・・・インディアンポーカーなんてマイナーなゲーム知ってんなら、当然普通のポーカーは知ってるよな?」
「(ソースはこち亀なんだけどね)みぃ……たしかにルールはわかるのです。でも……」
「みんな知ってるのですけど、チップになるようなものがないんですのよ」
「インディアンポーカーだったらマッチ棒程度で代用可能なんだけどさ。ポーカーになると平気で青天井賭けるバカがいるからな……」
「なによなによ〜、あたしが悪いっての〜?」
「おねえ以外にどこにそんなバカがいるって言うんですか?」
「し、しぃちゃん容赦ないよ……はぅ……」
288 名前:あと部活終わったばかりで直でネタ打ってるから投下遅いWikipediaも今見てる[] 投稿日:2009/02/05(木) 18:47:31.53 ID:kGNSl7RYO
「チップか・・・たしかにそれは問題だな。ポーカーがやりたかったが、じゃあおとなしく大富豪・・・」
「ちょーっと待ったぁーっ! 閃いちゃったよおじさん……人生ゲームのマネーを使えばいいんだよ!」
「あ、そっか! それなら代用が利くよ!」
「流石は魅音さんですわ〜!」
「お前ら・・・人生ゲームまで学校にもってきてんのか・・・?」
カイジ・・・驚愕する・・・昨今の教育制度の衰退に・・・!!
291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 18:51:51.64 ID:kGNSl7RYO
・・・さておき、それなら話は早い。
別に自慢するわけじゃないが、俺はこれでも無職の時に、数限りなく悪友たちと小銭を賭けてポーカー勝負をしていた。
少なくとも、経験の浅い学生どもに遅れをとるほど下手くそじゃあない・・・!
ククク・・・この勝負、お前らにゃ悪いが俺の一人勝ちってのもありえるぜ・・・!!
「それじゃあお兄さん……スタンダードにクローズド・ポーカーでいいよね?」
「ああ、いいぜ・・・」
・・・ざわ
(・・・あ゙?)
292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 18:54:44.96 ID:kGNSl7RYO
『クローズド・ポーカーでいいよね?』
なんだ・・・このセリフは・・・?
まるでスタッド・ポーカーやフロップ・ポーカーをも知り尽くしてると言わんばかり・・・。
ま、まさか・・・杞憂だ・・・!
こんなド田舎の学生ごときが・・・ありえない・・・!!
296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 19:05:09.93 ID:kGNSl7RYO
――ポーカーには大きく分けて3種類の種目が存在する。
一つはスタッド・ポーカー。
別名オープン・ポーカーとも呼ばれていることから察せられるとおり、これは最初に配られる手札以外は相手に手の内を見せることになる、戦略性の高いゲームとなっている。
もう一つはフロップ・ポーカー。
ごく最近に発生した、新時代のポーカーとも言えるゲームだ。プレイヤーが皆共通して役に迎えるカードを場に出すという、これまた戦略性を問われるルールとなっている。
そして最後がクローズド・ポーカー
日本でごく一般的に行われるポーカーといったらこれだ。手札は一切見せず、いかにカード交換から強い役を導いていくのかがポイントとなる。
スタッド、フロップの存在自体、日本人のほとんどは知らないだろう。それどころか、クローズドのルールすら全てを把握しているかどうか・・・。
だからこそ、俺は確信をもって言える。
こいつらがクローズド・ポーカーに精通している可能性は限りなく低いと!
299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 19:12:17.34 ID:kGNSl7RYO
「そうだ・・・何を恐れるカイジ・・・しかもたかがゲーム・・・負けたところで・・・何も・・・」
「一位以外は全裸」
「そうだ・・・一位以外は全裸・・・一位以外は・・・ぜ・・・んら・・・んら・・・」
・・・な、なんだとっ!?
「バババババカなっ・・・!? ミオン・・・お前今なんて・・・!?」
「あるぇ〜、聞こえなかった? 一位以外はみんな全裸。罰ゲームありって言ったじゃない、お兄さん?」
カイジ・・・想定外・・・まさかの全裸・・・!!
子供の前で全裸は・・・最低・・・後ろ指さされること必至・・・!!
304 名前:カイジだけは国家権力に捕まるからおいしくない[sage] 投稿日:2009/02/05(木) 19:18:58.10 ID:kGNSl7RYO
「そ、それでもだっ・・・!
レナはたしかに言った・・・ビリに何かしらの罰ゲーム・・・こう・・・!!
つまり・・・罰ゲーム・・・全裸はビリの人間一人に然るべき・・・!!
そうだ・・・こんな罰ゲームはなーしっ・・・日本は法治国家だ・・・!!」
「へへへ……カイジさん、そりゃあ違うぜ?」
「な、に?」
「勝者の前では皆等しく敗者……つまりビリってことだ。二位とか三位とか、そんなの一位の人間にとっちゃ最下位とおんなじ……負け犬なのさ!!」
308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 19:25:01.29 ID:kGNSl7RYO
ピシャァーーン!!
カイジ・・・この時電流走る・・・!!
こいつは・・・俺の生き方を否定しやがった・・・!!
俺はいつもそうだった・・・ビリにさえならなきゃいい・・・生き残ればそれでいい・・・いつも・・・二番手三番手・・・!!
・・・くそったれ。
もう止めだ・・・負けるのはもう止め・・・!
こういう時くらい・・・マジで勝たないで・・・どうする!?
312 名前:纏めて打つと失敗して消えたときのショックでちびる・・・[] 投稿日:2009/02/05(木) 19:30:48.97 ID:kGNSl7RYO
「ちっ・・・この罰ゲーム・・・後悔すんのはお前らだぜ・・・?」
「おーほっほっほ、ご心配なさらず! わたくしたちは『一位』しか眼中にないんですのよ!」
「みんな負けた時のことなんて考えてないのですよ」
「梨花ちゃんの全裸……沙都子ちゃんの全裸……はぅ〜〜、おぉぉ持ち帰りぃぃ〜〜〜☆」
「ふふ、おねえの全裸を拝むのが楽しみですね」
「俺としてはメイド服のほうが……えふんえふん、なんでもない」
「へっへっへ、全裸パーティー全裸パーティー……」
こいつら・・・肝がすわってやがるぜ。
だが・・・煮えたぎってきやがった・・・そうじゃねえとつまらねえ・・・!!
316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 19:36:43.62 ID:kGNSl7RYO
『最初はグー……』
右手に全神経を集中させ・・・。
『ジャン……ケン……』
拳を・・・突き出す・・・!!
『ポン!!!!』
「ま、負けた・・・!?」
そ、そんな・・・バカなっ・・・!!
ぐにゃ〜
「最初のディーラーを決めるだけなのに……はぅ……」
320 名前:ポーカーに関して不自然なところがあるかもしれん。あったら指摘してくれ。[] 投稿日:2009/02/05(木) 19:43:57.92 ID:kGNSl7RYO
結局、最初のディーラーは魅音となった。
つまり彼女から時計回りに、レナ、圭一、沙都子、梨花、詩音、俺の順でディーラーが交代されてゆくことになる。ベッドもまた同様だ。
ちなみにそれぞれの所持金は1000万円。まあ多すぎず少なすぎず、妥当なところだろう。
「何回勝負にする、お兄さん?」
「7×5で35回がいいな。アンティ、ワイルドカードは?」
「どっちも無しがいいわね」
「リミット」
「当然無しでしょ」
「お前らは?」
『意義な〜し!』
「オーケィ・・・」
アンティはゲーム開始前の参加料のこと。
リミットはベッドできる上限額。
こいつら・・・やはり青天井で一気に勝負をつける作戦でいく気か?
だとしたら浅はか・・・拍子抜け・・・!
「よし、それじゃあ始めようか、みんな!」
323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 19:50:21.32 ID:kGNSl7RYO
1巡目・ディーラー魅音
カイジ・1000万円
魅音 ・1000万円
詩音 ・1000万円
レナ ・1000万円
圭一 ・1000万円
梨花 ・1000万円
沙都子・1000万円
シュ、シュ、シュ……。
ミオンはこなれた手つきで、各々の前にカードを配ってゆく。
よほど多くのカードゲームに触れてこなければ、到底このような捌き方は出来ないだろう。そう思うと、もしかしたらという疑念が、自然と頭の隅に湧いてきてしまう。
大丈夫だ・・・杞憂・・・これは錯覚・・・!
これくらい、今時の学生なら出来て当たり前・・・!!
325 名前:>>322お前のせいで携帯の画面が唾だらけだ。どうしてくれるっ・・・!![] 投稿日:2009/02/05(木) 19:56:04.97 ID:kGNSl7RYO
――そうこう考えている内にカードは行き渡ってしまったようだ。俺を除いて皆、己の手札を見て一喜一憂している。
さて、俺も確認しよう・・・か・・・っ!?
ハート・8
スペード・8
ダイヤ・8
クラブ・8
ハート・J
カイジ・・・予想外・・・思わぬ好機・・・!!
う、うそだろ・・・いきなりこんな手札・・・あり、かよ・・・?
ボロ・・・ボロボロ・・・!
神さま・・・ありがとう・・・!!
327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 20:00:56.56 ID:kGNSl7RYO
「さて、さっそくベッドタイムと……っ!? ちっ……いきましょうか。まずはおじさんからだね。10万」
さあ・・・どこからでもかかってこい・・・!!
「……コールだよ。だよ」
ククク・・・どうしたどうした・・・?
「同じくコールだぜ……」
・・・ん・・・マジでどうした・・・?
「くっ……コールですわ」
「コールなのですよ」
おいおい・・・熱がねえぞ・・・!?
「ふぅ……わたしはフォルドしときます」
おいこらっ・・・!!
329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 20:09:13.99 ID:kGNSl7RYO
「そ、そりゃねえだろっ・・・シオン・・・それはあんまりだ・・・愚策・・・!! まだカード交換すらしてねえだろうが・・・!!」
俺があまりにも冷め切っている場の空気を盛り上げようと、立ち上がって、フォルドしたシオンに講義する。
「悪いカードでも・・・チャンスは十分・・・カード交換・・・。だがっ!! ここで降りたら、負けしかねえだろうがっ・・・!!」
「熱くなるのはけっこうですけど……」
ざわ・・・ざわ・・・
「自分の心配をしたほうが有意義ではないんですか? ねえ……カイジさん」
こ・・・こいつっ・・・!!
ニヤリと不敵な笑みを浮かべるシオン。そこには、一寸たりとも勝負を棄てた敗者の愁いは窺えない。あるのは勝利を確信した王者の優越ただ一つ!!
「ちっ・・・わかった。そっちがその気なら、俺はこうするまでだ」
バンッ!
「レイズ・・・200万だっ・・・!!」
330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 20:12:23.34 ID:kGNSl7RYO
……しーん。
「・・・お、おい」
「フォルド」
「フォルドだよ」
「フォルドだな」
「フォルドですわ」
「フォルドなのです」
ざわ・・・ざわわ・・・
「バ・・・バカなっ・・・!?」
カイジ絶望・・・まさかの・・・全員フォルド・・・!!
334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 20:27:15.48 ID:kGNSl7RYO
パチパチパチ……。
「はいは〜い、おめでとさん。お兄さんの一人勝ち〜☆」
「ば・・・馬鹿ヤロォーっ!? お前らやる気あんのか!! これじゃ勝負に・・・」
「お兄さんこそやる気あるの?」
「なっ・・・!?」
「さっきから黙って見ていれば……手札を見てすぐさまボロ泣き……敵である詩音に図々しくも説教……そして明らかに不可解な200万ベッド……。
こんだけ気持ち悪い流れじゃ、みんな降りるに決まってるじゃん」
335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 20:28:39.73 ID:kGNSl7RYO
・・・た、たしかに。
「おーほっほっほ! てんで大したことありませんわね、拍子抜けですわ!!」
「みぃ……沙都子、ほんとのこと言っちゃかわいそかわいそなのですよ」
「雑魚なんかにかまってる暇はありませんね……」
「へへへ、カイジさん。この勝負、悪いけど貰いましたよ!」
「ごめんなさい、カイジさん……」
お・・・俺は間違ってた・・・。
こいつら・・・ただの学生なんかじゃない・・・鬼・・・修羅っ・・・!!
浅はかなのは・・・俺だった・・・。
ぐにゃ〜
「ふっふっふ。さて、どう潜り抜けるのかなお兄さん……この逆境を!!」
338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 20:35:07.01 ID:kGNSl7RYO
2巡目・ディーラーレナ
カイジ・1050万円
魅音 ・ 990万円
詩音 ・1000万円
レナ ・ 990万円
圭一 ・ 990万円
梨花 ・ 990万円
沙都子・ 990万円
シュ、シュ、シュ……。
一世一代の剛運が、水泡へと帰した。
まさかの4カード。これを逃したのははっきり言って致命的だ。
勝負……特にギャンブルには目に見えない流れというものがあって、それが俺たちプレイヤーの間で常にうねっている。
そして、その流れがピークに達してなお一カ所に留まることはまずもってない。
失敗した・・・ポーカーフェイスが基本だろうがっ・・・!!
カイジ猛省・・・人前でまさかの・・・ボロ泣き・・・!!
339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 20:42:05.49 ID:kGNSl7RYO
「はぁ〜〜〜・・・」
とりあえず気分を入れ替えていこう。
さてと、今度の手札は・・・。
スペード・4
クラブ・9
クラブ・A
クラブ・K
ハート・2
いきなりブタか・・・しかもバラバラ・・・総替えも視野に含めなきゃいけないような手だ。
「くそ・・・」
「あれ、どうしたんですかカイジさん? もしかしてブタ? な〜んて」
シオンめ・・・こいつ、完全に俺を見くびってやがる・・・!!
しかも何やってんだ俺はっ・・・ポーカーフェイス・・・ポーカーフェイス・・・!!
344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 20:49:23.61 ID:kGNSl7RYO
「それじゃあレナからだね。まずは20万から!」
「へへ、コールだぜ」
「レイズ30万ですわー!」
「飛ばしすぎなのですよ沙都子……コールなのです」
「しかたありませんね、コール」
「・・・コールだ」
くそ・・・正直フォルドしたいが・・・ここは足並みを揃えるべきか・・・。
「あるぇ〜、さっきまでの覇気はどうしちゃったのかな、お兄さ〜ん?」
「うるせえっ・・・とっとコールしやがれ・・!!」
「つれないなぁ……コール!」
「コールだよ〜」
「コールになれ、前原圭一!!」
345 名前:さすがに指が死にそうだ[] 投稿日:2009/02/05(木) 20:56:17.58 ID:kGNSl7RYO
さてと、お待ちかねのカード交換だ。
このゲームはここで勝負が決すると言っても過言ではない・・・少なくとも今の俺にとっちゃ、けっこう重要な局面!!
「どうしようかな……かな……」
レナは机の下でもぞもぞと手を動かしている。よほど手札を見られたくないのだろう。そういえば、他の奴らも机の下に手札を極力隠している。
まったく、そこまで神経質にならなくてもいいものを。
「とりあえず2枚交換だよ、だよ!」
レナは2枚の手札を机の下から取り出し捨て札とすると、すぐさま山札から新たな2枚を引く。
347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 21:03:43.37 ID:kGNSl7RYO
「はぅ……」
どうやらあまり良くないカードだったらしい。表情に陰りが見える。
それに先程のセリフからもそれは容易に察すること出来る。
彼女は「とりあえず」と口にした。それはつまり、どれを捨ててもあまり良い手は来ないという大方の予想から思わず発せられたものだと推察できる。
次のケイイチも2枚交換して終わる。続くサトコは1枚……これは予想した通りだ。さっき一人だけレイズしたのだから、始めから良い手だったに決まっている。
そしてリカは……なるほど、4枚か。俺と同じくブタだったとみえる。
シオンは3枚か。なるほど、もしかしたらワンペアは出来てるかもしれない。
349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 21:10:07.24 ID:kGNSl7RYO
「・・・よし」
俺は2枚……スペードの4とハートの2を捨て、クラブのフラッシュ狙いでいく。
さあ、こいこい・・・こい・・・!!
ダイヤ・9
クラブ・9
クラブ・A
クラブ・K
ハート・Q
ぐっ・・・!!
ワンペア・・・痛い・・・かなり痛い・・・!!
だが、まだまだ序盤。焦ることはない。これから巻き返しを謀ればいい。
「ふふふ、その様子だとダメだったようだね、お兄さん……」
「・・・どうしてそんなことがわかるんだ。もしかしたらとんでもねえ手かもしれないぜ?」
「おじさんの直感はよく当たるんだよね〜。さてと、1枚交換しますか……」
365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 22:08:44.11 ID:kGNSl7RYO
ポーカー編をキングクリムゾンするかどうかを問おう。
@キングクリムゾン発動
Aこのじっくり35巡。
>>375
375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 22:17:58.38 ID:kGNSl7RYO
A
376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 22:21:30.82 ID:kGNSl7RYO
ちっ・・・こいつも良い手か。
いや、待てよ・・・ブラフってのも考えられるんじゃないのか?
そうだ、そもそもそんな簡単に良い手が回るわけがないんだ。こいつが虚勢を張ってる可能性だってある。
にしてもブラフ・・・ブラフか。
・・・よく考えれば、こいつらを欺くことくらい、簡単なんじゃないか?
さっきは油断していたが、今度はそうはいかないだろ。こいつらだってまだ子供なんだ!
「2回目のベッドだね……レナは10万賭けるよ」
やはりレナはよくてワンペアくらいの手だったらしいな。
「なら俺はレイズ20万だ!」
「おーっほっほ、わたくしはレイズ60万ですわ!!」
「なっ、沙都子てめぇ!?」
「……みぃ、残念だけど勝てそうにないのですよ。フォルドなのです」
「そうですね……わたしはコールといきましょうか」
378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 22:25:52.15 ID:kGNSl7RYO
「ちっ・・・なら俺は・・・」
ぐっ・・・大丈夫・・・イケる・・・イケるに決まってる・・・!!
「・・・レイズ、80万だ」
ざわ・・・ざわ・・・
「……へえ。おじさんの読み、ハズれちゃったかな?」
「どうだかな・・・さあ、テメェの番だぜ。コールかレイズか・・・それともフォルドか・・・好きにしな」
「ふん……コール」
「はぅ……コ、コールかな……かな」
「ちっくしょー! フォルドだこのやろー!!」
「……レ、レ」
ん・・・サトコのやつ・・・なぜ言いどもってやがる?
「……うぅ、フォルドですわぁ……」
な・・・なんだとっ・・・!?
381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 22:34:00.05 ID:kGNSl7RYO
カイジ・・・ようやく気付く・・・サトコのブラフに・・・!!
「沙都子はいつも詰めが甘いのですよ」
「うぅ……変質者がまさかあんな弱い……い、いやいや、まさかあんなところで吊り上げでくるなんて思いもしませんでしたわ……」
「はっ……まったくだらしないですねぇ沙都子は。……まぁかく言うわたしもフォルドしますけど」
「・・・チェックだ」
結局フォルドしたのはサトコとケイイチにシオン、それとリカだけか。くそ・・・レナはまだしもミオンにはこんなクソ手通用するわけ……。
384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 22:41:41.25 ID:kGNSl7RYO
「……やれやれ、ちょっと意地はりすぎちゃったな〜」
バラ・・・
スペード・3
ダイヤ・3
スペード・A
クラブ・7
クラブ・10
ま、まさか・・・こいつ、ワンペアだったのか・・・!?
しかも3・・・こ、こいつは・・・!!
「や、やったっ・・・やったぞっ・・・!!」
ギリギリ・・・まさにギリギリのところで勝った・・・!!
俺は9のワンペア・・・ギリギリ・・・ギリギリっ・・・!!
「……何を喜んでるのかな……かな……?」
385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 22:51:07.61 ID:kGNSl7RYO
「あ? はははっ・・・!! 当然だろ・・・俺が勝ったんだか・・・ら・・・」
ダイヤ・5
クラブ・5
ハート・5
ダイヤ・6
スペード・Q
「・・・スリー・・・カードっ・・・!?」
「残念だったね、カイジさん……レナの勝ちだよ、だよ☆」
バ・・・バカなっ・・・!?
ありえない・・・なんで・・・こんなことっ・・・!?
だって俺は・・・推察した・・・!!
明らかにレナは・・・良い手じゃなかった!!
「ククク……迫真の演技だったよレナ〜!」
「やっぱりな……何か仕掛けてくんじゃないかと思ってたぜ」
「恐ろしいですわぁ……」
「みぃ……ボクのほうが名女優なのですよ」
「ちぃ、あの時あれを捨てなければ……」
391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 22:59:31.71 ID:kGNSl7RYO
ダメだ・・・こいつら、俺なんか眼中にない・・・!
初めから、レナの手のひらの上だったなんて・・・あんまりだ・・・あんまり・・・くそ・・・くそっ・・・!!
ぐにゃ〜
どうすればいい?
こいつらを打ち負かすことは並大抵の手段じゃ到底無理・・・ならばイカサマをするか? それこそどうやって!?
即興のイカサマの質なんかタカが知れてる・・・下手すりゃバレてゲームから降ろされる・・・全裸・・・!!
い、いや待てよ?
いざという時は大人の権力を利用すればいいじゃねえか!
そうだ、わざわざ子供の罰ゲームに付き合う必要なんかない・・・適当に理由をつけてグッバイ・・・!!
それが一番・・・!!
392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 23:05:40.11 ID:kGNSl7RYO
カイジ・・・最低・・・人間のクズ・・・!!
「ああ、そういえばお兄さん……逃げようなんて考え、起こさないほうが身のためですよ?」
「・・・な、なんの話だ?」
「おじさんたちはゲームのプロ……いざとなったら6人総出でお兄さんの服をちぎり」
「ち、誓ってありえないっ・・・!! そんな・・・逃げるなんて卑怯な真似・・・するわけが・・・!!」
くそ・・・無理か!!
396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 23:13:13.00 ID:kGNSl7RYO
3巡目・ディーラー圭一2巡目・ディーラーレナ
カイジ・ 970万円
魅音 ・ 910万円
詩音 ・ 940万円
レナ ・1300万円
圭一 ・ 960万円
梨花 ・ 990万円
沙都子・ 930万円
シュ、シュ、シュ……。
今のところレナが頭一つリードしているが、まだ問題にはならないだろう。
そう、本当の問題は俺自身にある。
さすがのカイジも・・・二度続けての驕りには猛省・・・!!
バカだ俺・・・。
402 名前:コピペミス[] 投稿日:2009/02/05(木) 23:24:20.53 ID:kGNSl7RYO
さて、今回の手札は・・・なるほどな。
スペード・A
ダイヤ・Q
クラブ・K
ハート・6
スペード・10
うまい具合にストレートに王手がかかってやがる。これはチャンスと捉えるべきだろう。しかし・・・!!
「ククク……今度は良い手が来たみたいだけど、お兄さ〜ん?」
こいつの勘・・・とんでもないぜ。
「さあな・・・そっちはブタか?」
「さてさて、どうでしょうね」
この飄々とした態度・・・まったく掴み所がない・・・ギャンブラーにとってこれほど厄介な人種はいないだろう・・・!!
403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 23:31:03.82 ID:kGNSl7RYO
「よし、いくぜ……まずは様子見で10万!!」
「先程のような過ちは犯しませんわよ。コールですわ!!」
「そうですね……それじゃあコールなのです」
「同じくコールです」
「・・・コールだ」
「なによ〜、みんなコール? じゃあおじさんも!」
「レナもコールでいいかな。かな」
406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/05(木) 23:40:14.94 ID:kGNSl7RYO
結局、ファーストベッドは圭一がそのままチェックし皆10万円となった。
・・・どうも腑に落ちない。
なんか・・・こう・・・なんとな〜く・・・もやってしてるんだよな・・・?
何か不自然・・・その何かがわからないからもっともやもやしてくるという悪循環・・・!!
「1枚交換っと」
そうだ・・・この瞬間だ・・・!!
「2枚交換ですわ」
こいつら・・・カードを引くときの瞳に迷いがない・・・!!
「1枚交換なのですよ」
おかしい・・・どんな歴戦の戦士でも次に繰り出される攻撃の軌道には神経を張りつめるはずなんだ・・・。
「3枚交換です」
それが・・・こいつらには皆無・・・!!
24 名前:落ちればお前らも諦めるだろうと思ったら・・・なんたる執念[] 投稿日:2009/02/06(金) 18:24:14.05 ID:MSA9CfFUO
セカンドベッドの分しか計算してなかった。
カイジ・ 940万円
魅音 ・ 880万円
詩音 ・ 910万円
レナ ・1470万円
圭一 ・ 940万円
梨花 ・ 960万円
沙都子・ 900万円
「あ……やばっ……!!」
「・・・?」
3枚目のカードを引いたシオンは何故か焦ったような表情を見せる。そんなに引きが悪かったのか?
・・・くそ、何か掴めそうだ・・・なのに・・・まだ・・・届かないっ・・・!!
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 18:30:15.98 ID:MSA9CfFUO
「……ほらほらお兄さん、さっさと交換しちゃいなよ」
「・・・おう、そうだったな」
ミオンに急かされて、俺は思考を中断し、慌ててカードを交換する。捨てるカードはハートの6。当然ストレート狙いだ。
・・・おおっ・・・!?
ハート・J
よしっ・・・よしよしっ・・・!!
いいぞ・・・運がいい・・・これでストレート・・・!!
スペード・10
ハート・J
ダイヤ・Q
クラブ・K
スペード・A
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 18:39:58.37 ID:MSA9CfFUO
こういうポーカーでは、実質上、ストレートとフラッシュが最高手として君臨する・・・。
揃えやすくもあり、かつワンペア、ツーペア、スリーカードといった雑魚を駆逐できるのはおいしい。
これらより強い手・・・フルハウスやフォーカード、ましてやストレートフラッシュなど滅多にお目にかかることはない。
まあ・・・さっきのフォーカードは例外中の例外だが・・・。
続くミオンとレナは双方共に2枚交換する。
とりあえず俺は立ち込める暗雲を無視し、目先の勝負に集中することにした。
「またまた様子見といかせてもらうぜ……10万だ」
「コールですわ〜」
「同じくコールなのですよ」
こいつら・・・こういう時に限って・・・慎重だとっ・・・!?
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 18:43:23.17 ID:MSA9CfFUO
「なかなか揃わないものですね。フォルド」
シオンに至ってはまたフォルド・・・ブラフを立てる気すらねえとは・・・!!
「・・・レイズ、40万だ」
だが・・・ここで一気に吊り上げるわけにはいかない。
悟られないように・・・かつ利益を得られるように・・・
「ククク……みんなビビりだね……レイズ80万!!」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 18:49:29.23 ID:MSA9CfFUO
ざわ・・・ざわ・・・
な、なんだとっ・・・!?
ミオン・・・揃ってんのか・・・こいつ・・・?
さっきと同じブラフか・・・いや、さっきは俺に合わせてコールしてきただけ・・・ならこいつ・・・マジなのか・・・?
少なくともスリーカード以上の役は出来ていると考えるのが自然だ・・・だがストレートまでなら確実に俺の勝利・・・。
問題は・・・フラッシュだが・・・まさか・・・そう簡単に揃うはずがない。
「レナは降参だよ。だよ」
「フォルドだ……おのれ魅音……」
「くぅ〜〜〜、フォルドですわ〜!!」
「フォルドなのですよ……」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 18:53:29.09 ID:MSA9CfFUO
皆次々とフォルドしていきやがる。これじゃあ・・・もうボロ儲けは望めない。
ちくしょう・・・どうする・・・?
ストレートという役にはかなり信頼性があるが・・・かと言って・・・。
「お兄さんもビビってんの? ほらほら、勝負しなよ? もしかしたら勝てるかもよ〜?」
こいつ・・・誘ってやがる・・・ならば!!
「・・・その挑発、乗ってやる」
バンっ・・・!!
「レイズ・・・100万だ」
カイジ・・・賭ける・・・ストレートに・・・!!
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 18:58:46.76 ID:MSA9CfFUO
「ふふん……そうこなくっちゃね。レイズ140万」
「・・・レイズ180万」
「レイズ200万」
「・・・コール」
「チェック」
どくん・・・どくん・・・
大丈夫・・・ストレートだ・・・都合よくフラッシュなんか出るわけない・・・
「……いいこと教えてあげる、お兄さん?」
「・・・なんだ?」
「おじさんはねえ……今お兄さんに情けをかけたんだよ?」
「どういう・・・意味だっ・・・!?」
「つまり……こういうことだよ」
バラ・・・
44 名前:きたぜぬるりと・・・ドラえもん観るから投下ペースが遅れること必至[] 投稿日:2009/02/06(金) 19:07:42.48 ID:MSA9CfFUO
クラブ・2
ハート・2
クラブ・3
ハート・3
スペード・3
「か、かはっ・・・ぎぎっ・・・!?」
そ、そんな・・・フ・・・フルハウスっ・・・!?
「ほんとなら全額レイズだって良かったんだけどね。で、そっちの手は……何よ、ただのストレートじゃないの? な〜んか白けちゃうな〜」
そんなっ・・・!
バカなっ・・・! バカなっ・・・!
なんでこんなことがっ・・・・・・!
なんでこんな・・・・・・
あってはならないことがっ・・・・・・!
こんな理不尽なことが、
オレの身ばかりにっ・・・・・・・・・!
どうして・・・
なんで・・・こんな・・・
こんな・・・・・・・・・
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 19:13:13.24 ID:MSA9CfFUO
4巡目・ディーラー沙都子
カイジ・ 730万円
魅音 ・1220万円
詩音 ・ 900万円
レナ ・1460万円
圭一 ・ 920万円
梨花 ・ 940万円
沙都子・ 880万円
「手堅く頂戴しますね」
「ぐっ・・・!!」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 19:15:25.00 ID:MSA9CfFUO
5巡目・ディーラー梨花
カイジ・ 670万円
魅音 ・1200万円
詩音 ・1050万円
レナ ・1400万円
圭一 ・ 900万円
梨花 ・ 920万円
沙都子・ 860万円
「かわいそかわいそなのです☆」
「がっ・・・!?」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 19:17:15.46 ID:MSA9CfFUO
6巡目・ディーラー詩音
カイジ・ 570万円
魅音 ・1140万円
詩音 ・1050万円
レナ ・1340万円
圭一 ・ 880万円
梨花 ・1180万円
沙都子・ 840万円
「フォ・・・フォルドだ・・・」
「おーっほっほっほ! ようやくわたくしの時代がやってまいりましたわ!!」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 19:26:12.50 ID:MSA9CfFUO
7巡目・ディーラーカイジ
カイジ・ 550万円
魅音 ・1120万円
詩音 ・1050万円
レナ ・1270万円
圭一 ・ 860万円
梨花 ・1180万円
沙都子・ 970万円
シュ、シュ、シュ……。
あ・・・ありのまま・・・今起こった事を話すぜ・・・!
『いつのまにか1000万の内およそ半分をかっさらわれていた』
な・・・何を言っているのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった・・・
頭がどうにかなりそうだった・・・イカサマだとか剛運だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ・・・
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 19:36:31.19 ID:MSA9CfFUO
なんてことだ・・・一周もしない内にもう半額・・・!
ふざけてる・・・ことごとく計略が崩れるなんて・・・ありえない・・・!!
俺がクズ手の時は嬉々としてレイズしてきやがる・・・
かと思えば、良い手が来ると手のひらを返したように熱気が引く・・・
そして乗ってくる奴は往々にして俺の役よりも強い・・・
バカなっ・・・チンチロリンの時と同じじゃねえか・・・!?
イカサマか・・・だが・・・確信はできない・・・くそっ・・・トリックが見つからないと話にならん・・・
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 19:41:23.18 ID:MSA9CfFUO
シュ、シュ、シュ・・・
ヒントらしき事象は見つけてるんだ・・・ミオンの剛勘・・・ここに何か秘密があるに違いない・・・!!
シュ、シュ、シ・・・
バラァッ!
「う、うおっ・・・!?」
「ちょっとカイジさん……しっかりしてくださいよね、まったく……」
くそっ・・・なんでこんな・・・くそっ・・・くそっ・・・!!
ぐにゃ〜
カイジ屈辱・・・手をすべらせ・・・舞い散るトランプ・・・!!
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 19:44:12.63 ID:MSA9CfFUO
・・・ん?
ピシャァーーーン!!
そこで閃くっ・・・!カイジの奇策っ・・・!
自らの耳を切断し・・・血をトランプに付着させる荒業っ・・・
筆舌に尽くしがたい痛みと恐れを乗り越え・・・
悪魔(部活メンバー)から一勝を・・・!
67 名前:ハハッ。冗談だよ、ハハッ![] 投稿日:2009/02/06(金) 19:49:46.50 ID:MSA9CfFUO
・・・ん?
ピシャァーーーン!!
カイジ・・・この時電流走るっ・・・!!
ま・・・まさかこれは・・・!?
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 19:51:39.58 ID:MSA9CfFUO
やれやれ……とんでもない素人ですね。
――園崎詩音は、カイジのあまりの醜態から目を逸らし、深く溜め息をつく。
いくらわたしたちが、カードの傷で数字とマークを自在に把握できるといっても、これほど勝負に負けるものなのかしら?
それに……おねえがせっかくぽろぽろこぼしてくれてるヒントや、わたしと沙都子のさっきの失言にもまったく気付かないようだし……。
まったく、これじゃあ沙都子に悪い影響を与えてしまいそうですね。
「こんな大人になんてなりたくありませんわー」なんて言い出したら……嗚呼、ニートはいけませんよ沙都子!!
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 19:57:04.45 ID:MSA9CfFUO
「・・・待たせたな」
まったく、ようやく全員に配り終えましたか。
……ふぅん。
クラブ・10
クラブ・K
クラブ・2
クラブ・7
スペード・4
対してカイジさんの手札は……。
ハート・5
ダイヤ・3
クラブ・Q
スペード・A
ハート・7
あははは、ぜ〜んぜん運がないですねぇカイジさん!!
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 20:03:15.65 ID:MSA9CfFUO
ふふ、さてと……そろそろカイジさんを舞台から引きずり下ろす頃合いですかね。
おねえはカイジさんに情けをかけたけど……わたしは違います。
卑怯な手を使っている罪悪感なんてっ……!!
ましてや部活初心者だからといって手加減する気もっ……!!
毛頭……手ほどもありませんっ……!!
――11時に続くっ・・・ドラえもんに刮目・・・!!
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 23:13:38.40 ID:MSA9CfFUO
ドラえもんってさ、いいよね。
なんか夢があってさ……俺、この歳になっても未だに鉄人兵団観ると泣くんだ……。
ふふっ……笑っちまうよな……。
だけどさ……みんなにも、かけがえのないものってあるだろ?
それが、俺はたまたま……ドラえもんだっただけさ……。
いくら声優が棒読みでも、キー坊がサイヤ人になっても……。
俺はドラえもんを……。
……さあ、寝ようか。
125 名前:ハハッ。冗談だよ、ハッ![] 投稿日:2009/02/06(金) 23:21:13.59 ID:MSA9CfFUO
「・・・10万から」
「おじさんも10万でいいよ〜」
「じゃあレナもコールかな。かな」
「コールコールコール!!」
「圭一さん、やかましいですわよ……コールですわ」
「圭一がうるさいのはいつものことなのですよ。コールなのです」
ふん……まあ次にフラッシュが来るとは限りませんし……。
「わたしもコールです」
これが妥当でしょう。わたしは75%以上の確率で勝つ勝負しかしない主義なんですが……今回はカイジさんを潰しにいかなければならないので仕方ありません。
130 名前:……ほ、ほんとは保守してもらって感謝して……な、なんでもないわよっ、バカ![] 投稿日:2009/02/06(金) 23:28:51.58 ID:MSA9CfFUO
「・・・・・・」
くく……ふふふ……。
ハート・5
ハート・K
ハート・Q
ハート・7
スペード・A
あーっはっはっは!!
くぅ〜……ひひひひっ……!!
最高っ……!!
ほんと最高ですよカイジさん!! あんたほんとに運無いっ!!
さて、他は……やっぱり素早く引いていくからわかりませんね。まあ仕方ありませんか。どれどれ、わたしも……スペードの4を捨てて……。
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 23:32:13.77 ID:MSA9CfFUO
クラブ・4
き……ききき……。
きたっ……!!
きたっ……きたっ……きたきたきたきたきたぁっ……!!
クラブ・10
クラブ・K
クラブ・2
クラブ・7
クラブ・4
あぁ〜〜〜ん、もう幸せ!!
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 23:39:33.67 ID:MSA9CfFUO
……でも……うふふ……わたしの幸せはこれだけでは終わりませんよ……。
カイジさん……あなたの勝負に対する傾向を、わたしは熟知していますっ……!!
あなたはこれまでワンペアの時には必ずブラフを立てているんですよね……間抜けもいいところですよねぇ……手札が丸見えなのにも気付かずにっ……!!
つまりあなた……このベッド……わたしが吊り上げたら真っ先に乗ってくるんでしょう? 違います?
違いませんよねぇ〜〜あっはははは!!
それにあなた……「今までフォルドしつづけてきたシオンのことだから大した手でもないはず」……そう思うんでしょう?
うふふ、浅はかっ……浅はか浅はかっ……!!
そんなことだからわたしたちの策略にも気付けないんですよ!
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 23:42:40.74 ID:MSA9CfFUO
「さて・・・ベッドするか・・・」
さあ……さっさと虚勢でもなんでも張りなさい。
息の音……止めてあげるから!!
143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 23:45:15.24 ID:MSA9CfFUO
「・・・550万だ」
151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 23:48:54.63 ID:MSA9CfFUO
ざわ・・・
ざわ・・・
ざわ・・・
「……は?」
「ひっ……!?」
「ふっ……」
「へ〜」
「ほぉ……」
「……」
……ぷ……ぷぷ……ククク……。
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/06(金) 23:54:07.12 ID:MSA9CfFUO
いぃぃひひひひっ……!!
あっははははは……ふふふ……ヒャァッハハハハハハハハハハハハハっ……!!
けけ、くけけ、クケケケケケケケケケケッ!!!!
乱心っ……!!
カイジさんったら、乱心しちゃった……!!
ほんとバカ……
あんた真正っ……新生っ……神聖っ……ドバカっ……!!!!
169 名前:俺もカイジとひぐらし見たことないから気にするなって[] 投稿日:2009/02/07(土) 00:01:04.50 ID:rzGkchHtO
「……どういうつもり、お兄さん?」
「敵に手の内を明かすつもりはねえぜ・・・」
もう丸見えなんですってば、お・ば・か・さ・ん・☆
「……そう。ならいいけどね。おじさんは怖いからパスするよ」
あら、おねえったら珍しい……ワンペアも揃わなかったのね。
「レナ……今回は流そうかな。かな」
「なんか不気味だぜ……フォルド」
「カイジさん、考え直してくださいまし……何もこんなところ勝負を捨てなくても」
「ククク・・・サトコ、俺はマジだぜ・・・?」
「……とにかくフォルドしますわ」
「みぃ……ボクも降りますのです」
178 名前:トリップ見た目がウザいから嫌いだ…… ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 00:11:24.50 ID:rzGkchHtO
何よ……みんなこんなのにビビってんの?
それに沙都子……あんた、カイジさんカイジさんって、あの男気に入ってるようだけど……わたしは認めないっ……!!
「……ふふ」
潰して……やるっ……!!
「コールしますよ、わたしは。いえ……それだけじゃあつまらないですね……」
181 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 00:19:33.29 ID:rzGkchHtO
「ここはフェアーに……わたしも全額賭けますよ。ふふっ……!!」
ざわ・・・ざわ・・・
「・・・おいおい、俺は550万が限界だぜ?」
「かまいませんよ。そちらは550万で、こちらは1050万。ああ、なんてわたしって淑女なんでしょう」
嗚呼……屈辱に震えるカイジさんの姿が目に浮かびます……。
「……シオン。ほんとにいいんだね? 言ったからには取り消しは効かないよ?」
「だぜ・・・? 俺はやめておいたほうがいいと思うが・・・」
「部活初心者であるカイジさんにはこれくらいのハンデがあってもいいでしょう? 女に二言はありませんよ」
188 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 00:24:23.49 ID:rzGkchHtO
どうせ勝ちは決まってるんです・・・どうということはありません。
「・・・なら止めはしねえよ。だが・・・後悔はするなよ・・・?」
「さぁて……それはあなたのほうじゃないんですか、カイジさん?」
ああもう、笑いたいっ……おなかを抱えて爆笑したいよぅ……ククク……。
「・・・時にシオン。イカサマってのは卑怯なのかな?」
193 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 00:32:07.47 ID:rzGkchHtO
「……はぁ? なんですか……藪から棒に?」
「なぁに・・・ちょっと・・・お前さんの見解を聞きたくてな・・・」
「どうしてですか?」
「俺は・・・今まで数え切れないほどのイカサマを重ねてきた。
運動会では腹を壊したふりをして徒競走をすっとばし・・・
パチンコでは平気で磁石を使う始末・・・!!
俺は・・・それらを卑怯な行いだと思ってる・・・
では・・・他人はどうだ・・・?
俺は他人の意見を訊いたことがない・・・
だから・・・今訊きたい・・・お前はどうなんだ・・・シオン?
201 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 00:41:49.95 ID:rzGkchHtO
「……何を言うかと思えば。くだらない」
ついつい、美しい仮面の下に隠していた醜い邪笑を露出してしまう。
だが、それももう気になりはしない。
冥土の土産に聞かせてあげましょう、思う存分ね。
「卑怯じゃありませんよ。
誰かに感づかれなければ、それは決して露呈することのない……自分の中だけに秘め置かれる人生の一部分でしかないんです。
他人から見て卑怯だと思われなければいいのか? 罪悪感はないのか?
そうですよ。自分さえよければいいんです。罪悪感なんてありません。
他人からも自分からも卑怯じゃないと認識されたとき!
それはまごうことなき正義なのです!!」
ふっ……我ながら素晴らしい屁理屈ですね……。
207 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 00:49:51.59 ID:rzGkchHtO
「・・・はは。それを聞いて安心したぜ」
「……さっきからいちいち癪にさわる言い方をしますね。いったい何が言いたいんですか?」
「・・・ク・・・クク・・・お前の息の音を止める・・・この手段を正当化する・・・いわば・・・保険だよ・・・」
「はっ……何血迷ったことを……」
ぶったおす? そんなクズ手で?
笑わせるな!!
「みんなも聞いたな? シオンは今イカサマは正義だと明言した!! だろ?」
214 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 00:56:10.44 ID:rzGkchHtO
「うん、たしかに言ったね!」
「ああ、はっきりとな」
「言ってしまいましたわ」
「みぃ……言っちゃったのですよ。にぱ〜☆」
「ひっひっひっ! ああ、たしかに言った言った!!」
……な、なんですか……この空気は……?
「ちょ、ちょっとみんな……?」
「シオン・・・さあ、勝負しようぜ・・・?」
215 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 00:57:31.82 ID:rzGkchHtO
俺の手は・・・これだっ・・・!!!!
222 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 01:01:15.16 ID:rzGkchHtO
スペード・5
スペード・K
スペード・Q
スペード・7
スペード・A
228 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 01:06:08.03 ID:rzGkchHtO
「はい?」
……ちょっと冷静になりましょう、詩音。
わたしの役はこれ。
クラブ・10
クラブ・K
クラブ・2
クラブ・7
クラブ・4
で、あいつのが。
スペード・5
スペード・K
スペード・Q
スペード・7
スペード・A
うん。ギリギリわたしの負けだよね。
233 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 01:10:11.10 ID:rzGkchHtO
ああ、問題はそこじゃないよね?
なんでカイジさんがフラッシュ?
だってカイジさんの手は
ハート・5
ハート・K
ハート・Q
ハート・7
スペード・A
だったじゃない?
なんで?
なんでなんで?
なんでなんでなんで?
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
241 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 01:15:10.02 ID:rzGkchHtO
「なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな!!!!
カイジぃぃぃ、あんたの手はハートの5、ハートのK、ハートのQ、ハートの7、スペードのA!!!!
こうだったでしょうが!!
どこっ……どこなのっ!!!!
どこでカードをすり替えたのよぉぉ〜〜〜…………!?」
243 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 01:19:24.05 ID:rzGkchHtO
「すり替えた・・・?
ククク・・・まるでわかっちゃいないな・・・
だから・・・シオン・・・
テメェは俺なんかに搾取されるんだっ・・・!!」
「んなこたぁ訊いてねえんだよっ!!
トリックよっ……トリックだけ!!
わたしが訊きたいのはあんたの仕出かしたイカサマの仕組みだけなのよ!!」
248 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 01:26:31.54 ID:rzGkchHtO
「ねえシオ〜ン……地がめちゃくちゃ出てるよ? 少し抑えなって……」
「いつものねえねえじゃありませんわーーー!! ふえ〜ん!!」
「詩音は怖い子怖い子なのですよ。にぱ〜☆」
「ぐっ……ご、ごめんなさい……わたしとしたことがつい……」
「にしても詩音、まだわからないのか?」
「……どういうことなの? それにみんなはこのイカサマのこと知ってたの?」
「レナはちょっと怪しいかな〜とは思ったけど、トリックはしぃちゃんと同じでわからないよ……はぅ」
「ククク……それじゃあ頭の悪い妹君にタネ明かしといきましょうかね、お兄さん?」
「ああ・・・そうだな」
403 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 18:55:33.52 ID:rzGkchHtO
「お前らの不正に気付いたのは、ほんとについさっきのことだよ。カードの表側にある僅かな傷・・・これでお前らは俺の手札を把握していたってわけだろ?」
「……ご名答です。でも、いったいどのタイミングで……」
「俺が無様にカードをこぼしたあの瞬間だよ。あの時、カードを照らす光の角度が微妙にずれたんだ。
今まで正面側からしか見ることの出来なかったカードを横やら下やらいろんな角度から見てみると、面白いことに皆特徴的な傷跡がついてるじゃねえか。
ククク・・・盲点だった・・・すっかりしてやられたよ」
420 名前:せっかく保守してくれたし、風呂までは頑張る ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 19:23:11.62 ID:rzGkchHtO
カイジさんは忍び笑いを漏らすと、わたしたちの顔をじろりと見渡す。
「とんでもねえ悪ガキだな、テメェら・・・」
「はっはっは! まあ、そこは多目に見てよお兄さん! 相手は子供なんだしハンデは必要でしょ〜?」
「へっ・・・言いやがるぜ・・・」
なるほど……カイジさんがカードの傷に気付いていたっていうのはわかりました。
でも、それだけじゃ納得出来ないことがあります。
432 名前:まじかよ? いいのか、中途半端に終わるぞ? ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 19:39:41.12 ID:rzGkchHtO
「どうして不正に気付いた時点で、そのことを指摘しようとしなかったんですか?」
「・・・はじめに頭を過ぎったのはそれだった。だが不正を暴いたところで何になる?
ここは俺だけ完璧にアウェイ・・・下手したら白をきられるのがオチだ・・・!!
だから・・・俺は逆転の策謀を企てた。
このイカサマを過信する人間を騙す・・・いわばイカサマ返しっ・・・!!」
「イカサマ……」
「返しっ……!?」
圭一さんと沙都子が息を呑む音がはっきりと聞こえました。彼らもカイジさんの作戦に驚嘆しているようですね。
440 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 19:47:06.10 ID:rzGkchHtO
「・・・まずはじめに・・・俺はこの傷の付き方と・・・マークと数字の法則性に着目した・・・
その結果・・・あの短時間でわかったことが一つだけあった・・・!!」
「……と、言いますと?」
「このカード・・・今時のトランプには珍しいことに、上と下がはっきりとわかる模様が表面に印刷されていてな・・・
数あるカードに数ある傷・・・だが・・・何も不規則に傷がついてるってわけじゃあなかった・・・
カードの四隅・・・そこには1枚につき、必ず一カ所にだけ傷がついていたっ・・・!!
そう・・・裏面のマークがクラブなら右上・・・ダイヤなら左上・・・そういった具合にな・・・」
444 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 19:51:10.27 ID:rzGkchHtO
そこまで……感づいていたなんて……。
「数字の法則性について掴みきれなかったとはいえ・・・お前らに反撃する要素としてはこれで十分だった・・・
ああ・・・ところでシオン・・・」
バラッ
┌―┐
┌―┐|
┌―┐|┘
┌―┐|┘
┌―┐|┘
| |┘
└―┘
「スペードを示す傷はどこについてるんだっけ?」
「……左下の角……この部分ですね」
┌―┐
┌―┐|
┌―┐|┘
┌―┐|┘
┌―┐|┘
| |┘
〇―┘
445 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 19:55:18.68 ID:rzGkchHtO
「そのとおりだ・・・そして・・・ハートはその線対称の位置・・・ここだ」
┌―┐
┌―┐|
┌―┐|〇
┌―┐|〇
┌―┐|〇
| |〇
└―〇
「カードを手に持つようなスタイルでは・・・このように左下か右下が隠れてしまうのが普通だ。
ここまでは、お前らのイカサマにとってはどうでもいいことだろう・・・一カ所が見えないなら他の三カ所を見てマークを判断するだけだ」
449 名前:ずれてるが気にするな ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 20:04:11.07 ID:rzGkchHtO
「だが・・・その見えなくなるというところがこのイカサマのミソだった・・・
俺はカードを拾い集める際、スペードのカードだけにある細工を施したんだよ・・・」
……ま、まさか。
「当然傷を消すなんてことは出来ない・・・だが、加えることは簡単だ・・・
俺はスペードのカードの表面・・・その右下に傷を爪でつけた。
そう・・・ハートのカードを示すかのようにな・・・」
454 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 20:15:33.78 ID:rzGkchHtO
「この回のディーラーは奇しくも俺だった・・・
シャッフルは最初だけ程よくスペードが手札に混ざるように調節する・・・
必ず俺からカード交換が始まるのだから、お前に配る手札の調節も大体は可能・・・
カード交換の際には、スペードが丁度俺だけに固まってくるようにも細工可能・・・十分に・・・!!」
「馬鹿な……だからといってわたしがそんなイカサマに気付かないわけがないでしょう!? だってスペードに2つ傷がついてたら誰だって……」
「気付くと思うか? お前らはこの傷のイカサマを常日頃から行ってきたらしい・・・だからこそ傷のイカサマには無関心・・・!!
お前は間抜けにも堂々と見せつけている俺の手札だけに集中し、自分や山札のカードには一切関心を向けなかった・・・そうだろ?」
456 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 20:23:04.70 ID:rzGkchHtO
「だから……だからどうしたってのっ……!?
あんたのカードはみんな……みんなスペードっ……!!
つまり2つ……みんな2つ傷がついてんの!!
左下が見えなくなる? ばっかじゃないの!? 一番手前のカードは左下、右下、両方見えてんじゃないのよ!!」
「ククク・・・そうか・・・まだわからないか・・・
まあ・・・それも当然か・・・
何せ・・・机に置いたままで説明しちまったからな・・・
それじゃあ・・・よく見てろよ・・・」
461 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 20:32:13.92 ID:rzGkchHtO
「あっ……!!」
……そうか……そうだったのね。
「・・・手に持つとはっきりわかる。大体は指で右下の部分も隠れてしまうんだ。俺は上手いこと・・・お前側から見て手前のカードの右下の傷だけ隠すような持ち方で、勝負をした……つまり」
「つまり……なるほどね。
手前だけスペード、あとハートに見えるってわけ、か……。
はっ……馬鹿馬鹿しい……こんな馬鹿馬鹿しい手で……わたしは負けたっていうの?」
わたしが……。
わたしが、こんな子供騙しに欺かれるなんてぇ……。
466 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 20:45:01.47 ID:rzGkchHtO
「・・・だが・・・このイカサマが成立するのには、もう一つだけ条件が必要だった」
「……もう一つ? なんなんですかそれは?」
「俺がカードを拾い集めている時に、細工をしたってことが悟られないことだ。
まず・・・お前らのリーダーであるミオンは確実に気付くだろう・・・よって奴のフォルドは必至・・・罠には嵌められない。
そして俺の正面側にいるケイイチやサトコも嵌めるのは難しいと思った・・・じっと手札を見られると、それだけフォルドされる確率が上がっちまう。
つまりイカサマ返しの対象となるのはレナ、リカ、そしてシオンの3人となるわけだが・・・
俺はとある行動から・・・シオン。お前が確実に騙されることを確信したんだ」
470 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 20:57:36.15 ID:rzGkchHtO
「な、何を……」
「シオン・・・お前、俺がカードをこぼした時に目を背けたよな?
ククク・・・ありえないんだよ・・・そんなこと・・・
隣のプレイヤーがカードをこぼして・・・それを拾う・・・その動作を気にしないだと?
とんでもない愚行っ・・・!!
しゃがんだ瞬間に何かするかも・・・そういった些細な気がかりすらもないなんて・・・!!
他の奴らは全員俺を警戒していたっていうのにっ・・・!!
だから・・・確信・・・
お前は・・・油断しているとっ・・・!!」
474 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 21:06:00.55 ID:rzGkchHtO
「ぐっ……ぐぐぐっ……!!」
全てはわたし自身の怠慢から生じた結果だったなんて。
しかしなんていう洞察力なのよ。あのたったの数十秒間で、事態が大きく揺れ動いていたなんて!
「ま……まあ仕方ありませんね……負けは負けですし、ここは素直に」
「ああ、きっちり1050万・・・支払ってもらおうか」
…………ほぇ?
480 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 21:16:30.88 ID:rzGkchHtO
「……い、いやいや、ちょっと待ってちょっと待って……そ、それ本気で言ってるんですか?」
「はぁ? おいおい・・・当たり前だろうが?
お前は勝負の前にたしかに言った・・・
フェアーに・・・全額を賭けるとっ……!!
まさか・・・今更・・・?
こともあろうに臆したなんて言わねえよなぁ・・・?」
「ち、違います! あ、あれは言葉の綾……そう言葉の綾です!!
そもそもおかしいじゃないですか……そっちが550万なのに対して、こっちは1050万っ……!!
ぜ〜んぜんフェアーじゃないでしょう!?」
486 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 21:24:00.64 ID:rzGkchHtO
「そうですっ……そうなんですっ……!!
そもそもこの勝負自体がダメっ……フェアーじゃなかった!!
カイジさんはイカサマをっ……!!」
「みぃ。でもシオンはイカサマは正義だと言ったはずなのですよ?」
「がっ……!?」
「それにしぃちゃん……レナたちだってカイジさんに不利な条件を強いてきたんだからおあいこさまじゃないのかな。かな?」
「ぎっ……!?
いや、いやいやでもでもっ……!!
わたしのベッドは550万……カイジさんと同じ550万っ……!!
これだけは……譲れませんよっ……!!」
492 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 21:33:21.15 ID:rzGkchHtO
「シオン……見苦しいよあんた……」
ざわ・・・ざわ・・・
「お、おねえっ……!?」
「天才よ……シオン……見苦しさの天才っ……!!
でもダメっ……!!
あんたは逃げられない……そう」
きっちり……全裸っ……!!
499 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 21:39:13.74 ID:rzGkchHtO
「カモーン、富田&村岡率いる精鋭部隊!! 詩音を丁重に別室へお連れしてちょうだい!!」
「イエッサーッ!!」
「アイアイサーッ!!」
わらわら・・・わらわら・・・
こ、こいつら……窓やら天井やら……いつの間にっ……!?
「沙都子ちゃんの全裸っ……!!」
「梨花ちゃんの全裸っ……!!」
『全裸っ……全裸っ……全裸っ……!!!!!!』
504 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 21:44:24.91 ID:rzGkchHtO
「きゃあぁ〜〜〜っ……!!
ダメよっ、ダメっ!! 許されない、バクチなんてものがそもそも!!
日本は法治国家よ、その法でバクチは禁止されてるの! 故に無効っ!!
きれいさっぱり無効っ……!!
な〜しっ……な〜しっ…………〜しっ……っ……」
「・・・・・・」
512 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 21:51:00.95 ID:rzGkchHtO
「もはや・・・戦争かっ・・・!!」
もう・・・引き返すことは出来ない・・・あんなもの見せられたら尚更っ・・・!!
ゾンビ・・・奴らの目は全裸に目の眩んだゾンビだっ・・・!!
もし俺が負けたら・・・奴らは迷うことなく俺を・・・
袋叩きっ・・・!!!!
男の全裸は・・・見るに耐えない・・・汚物なのだからっ・・・!!
518 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 21:58:17.72 ID:rzGkchHtO
「男の方って本当に下衆ですわね」
「薄汚いけだものなのですよ。にぱ〜☆」
「……圭一くん」
「な、なんで俺を見つめるんだよレナ!!」
「いやいや、おじさんにはよ〜くわかるよ。君たち男の邪心がね!!」
・・・勝負はまだまだ序盤。
ここからだ・・・ここから俺の反撃っ・・・!!
カイジの戦いは、まだまだ続く!!
完
527 名前:第2部予告 ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 22:07:51.75 ID:rzGkchHtO
「俺の背後に立つなっ……!!」
突如として月より飛来したエヴァ6号機が雛見沢を焼き尽くす・・・
「僕が新世界の神になる!!」
と誓うヤムチャ。
「僕は妹に恋をする……」
ジャイアンも誓う。
そして・・・
復活する魔王バラモス・・・!!
「ゾンビじゃないよ」
物語は怒涛のクライマックスへ・・・!!
雛見沢黙示録カイジ、続く!!
545 名前:もちつけ、風呂だ ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/07(土) 22:55:35.48 ID:rzGkchHtO
次スレは15日には立てたいが、今日はもう・・・逆転裁判3やらせてくれ・・・
1 名前: ◆c8rnFlSqPI [sage] 投稿日:2009/02/16(月) 00:10:11.96 ID:VsMlPvV5O
ジャイ子「お兄ちゃん!!」
ジャイアン「ジャイ子っ……!? 無事で良かった!!」
ゴゴゴ・・・
ジャイ子「きゃあっ……!!」
ジャイアン「くっ……ヤムチャめ……まさかエヴァ6号機をっ……!?」
ウオォォン・・・!!
ヤムチャ「ふははははは……
見ろっ……!!
そしておののけっ……!!
これが貴様らがバカにした……俺の力だっ……!!」
カイジ「雛見沢村?・・・」
2 名前: ◆c8rnFlSqPI [sage] 投稿日:2009/02/16(月) 00:12:52.37 ID:VsMlPvV5O
開司「はっ・・・!?」
魅音「どうしたの?」
開司「いや・・・一瞬白昼夢を見ていた・・・すまない」
3 名前: ◆c8rnFlSqPI [sage] 投稿日:2009/02/16(月) 00:14:21.13 ID:VsMlPvV5O
前回までのあらすじ
地下王国から一時的に開放されたカイジは帝愛痛恨の嫌がらせで東京都ではなく岐阜県で開放される。
↓
何とかして東京に行きたいカイジと偶然出会ったリカ。今までのループで初めて会う人物だったが、普段のカイジはヘタレなので戦力外通知される。
↓
幼女に小馬鹿にされてキレたカイジはリカを追い回して大石にパクられる。
↓
散々な結果で泣き疲れて気絶したカイジはサトコの手によって学校まで引きずられ、そこで魅音達と合流。
↓
部活メンバーに入ることになったカイジは流されるままに脱衣ポーカーを行うことになる。
↓
詩音、カイジに敗れ全裸決定。
4 名前: ◆c8rnFlSqPI [sage] 投稿日:2009/02/16(月) 00:16:09.27 ID:VsMlPvV5O
14巡目・ディーラー魅音
開司 ・1510万円
魅音 ・1450万円
レナ ・1460万円
圭一 ・ 680万円
沙都子・ 200万円
梨花 ・1700万円
詩音 ・脱落
沙都子「そ、そんなバカな……ですわぁ……」
詩音退場後、終始当たりを引くことの出来なかった沙都子、ここに来て決死の決断……全額を賭けるが、梨花のフルハウスに敢え無く敗退する。
沙都子「り、梨花ぁ〜……」
沙都子が情けを乞うかのごとく梨花を涙目で見つめるが、それ対して彼女はただやんわりと微笑み返すだけである。
梨花「みぃ……勝負の世界は非情なのですよ、沙都子」
5 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:17:56.43 ID:VsMlPvV5O
魅音「それでは富田&岡村率いる精鋭部隊、カモーン!!!!」
サァと青ざめた沙都子の顔は、間髪入れずに響き渡った魅音の号令と共に、どこからともなく溢れ出てきた生徒たちの群れの中へ、瞬く間に飲み込まれていった。
沙都子「いぃぃやぁぁっ!? 放してくださいましぃぃ〜〜っ!!」
入江「さ、沙都子ちゃんの太ももテラやわらかス……」
6 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:19:44.61 ID:VsMlPvV5O
沙都子の必死の抵抗も虚しく、誰かの不気味な一言を最後に、彼女は別室へと流されていった。
開司「・・・あ、あの男は・・・?」
梨花「入江。入江恭介なのです。普段は診療所に努めるお医者さんなのですが、どうやら沙都子の気配を察してふらふらと集ってきたみたいなのです」
マジで奇人変態しかいないのか? 開司はますますこの村に対する猜疑心を深めていった。
7 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:22:11.64 ID:VsMlPvV5O
ともかく沙都子を首尾よく排除し、続く15、16、17巡目。今度はいずれも圭一に運が回らなかった。
ストレートに魅音のフラッシュで返され、またスリーカードに開司のストレートで返されるという不運が祟り、この回、18巡目――。
圭一「ぐっ……まさかこんな序盤で……」
ぎりりと歯を食いしばる彼の前には、先程まで高く積み上げられていた札束は既になかった。
レナ「ご、ごめんね圭一くん……」
代わりにレナの眼前に聳え立つ、福沢諭吉のエベレスト山脈。そう、この回、レナのストレート勝ちであった。
8 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:23:43.96 ID:VsMlPvV5O
圭一「くぅ〜、参った参った……だけどレナなら勝ちを譲ってやってもいいかな……」
レナ「は、はぅ〜……」
ポゥと紅葉を散りばめたかのように真っ赤に染まるレナの頬。へいへいお熱いこってと魅音がチャチャを入れると、2人はそれきり俯いて何も喋らなくなった。
梨花「……富田、岡村……やりなさい」
富田「イエッサーッ!!」
岡村「アイアイサーッ!!」
わらわらわらわ
ドカっ……!!
バキっ……!!
圭一「ちょ、お前らもうちょっと丁重に……ぐへえっ!?」
富田「うるせぇ!! よくも負けやがったなこのウンコ野郎!!」
岡村「こちとら野郎の裸なんざ求めてねえんだバーロー!!」
入江「そうだそうだ!!」
9 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:25:08.74 ID:VsMlPvV5O
圭一「ちょ、おまっ……!! いつもは先輩先輩言ってるクセにこの薄情……ぐはぁーーーっ!? や、やめてくれぇーーーっ!? 玉は……玉はぁーーーっ……!!」
開司「・・・リカ・・・お、お前・・・」
梨花「さぁ、ゲーム続行なのですよ。にぱー★(ああすっきりした)」
11 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:27:48.19 ID:VsMlPvV5O
20巡目・ディーラーレナ
開司 ・1710万円
魅音 ・1890万円
レナ ・1940万円
圭一 ・脱落
沙都子・脱落
梨花 ・1460万円
詩音 ・脱落
シュ、シュ、シュ・・・
……楽勝ね。
梨花は内心ほくそ笑む。このポーカー、そもそも彼女に限りなく有利なゲームなのだ。その理由は至って簡単である。
梨花「みぃ……ごめんなさい、ちょっとおトイレなのです」
魅音「おうおう、元気にぶりぶ」
レナ「みぃちゃん!!」
開司「いくらなんでも・・・女に下ネタは厳禁っ・・・!!」
12 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:29:41.44 ID:VsMlPvV5O
一同が魅音に白い目を向けるなか、やれやれと梨花は彼女の品の無さに愛想を尽かしながら教室を後にした。
――さて、教室を一旦抜け出して彼女が何をするかと言えば、無論、馬鹿正直に用を足すわけではない。
梨花「羽入……」
トイレの個室に入るやいなや、小声で、誰にも聴こえないようにそう囁くと、幽霊のように薄い人影が、ぼうと梨花の目の前に現れる。
14 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:32:09.30 ID:VsMlPvV5O
羽入「あぅあぅ……どうしたのですか梨花?」
羽入と呼ばれたその人影は、不可解そうに梨花を見やる。梨花はその反応が気に食わなかったのか、憮然としながら彼女を叱咤する。
梨花「どうしたのか、じゃないわよ。あなたさっきからどうして手伝ってくれないの!」
羽入「あ、あぅ……て、手伝うって、何をですか……?」
そう言いながらも、羽入の視線は右往左往とせわしなく動いている。明らかに梨花の言わんとすることを理解している様子だ。それがまた梨花の癪に触る。
15 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:34:57.46 ID:VsMlPvV5O
梨花「ポーカーよポーカー……あなた、参加しないならせめて相手の手札を私に教えるとか……それくらいの気配りも出来ないの?」
羽入「あぅあぅ!? り、梨花、それは卑怯なのです!! いけないことなのです!!」
羽入が慌てて抗議するものの、梨花は顔をしかめながらそれをはねのける。
梨花「卑怯だとかそういう問題じゃないでしょ! 負けたら全裸なのよ、わかってる!?」
羽入「で、でもでも……」
16 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:37:01.21 ID:VsMlPvV5O
梨花「でももへったくれもないわ! いい? もしも私が裸にでもなってみなさい。猫耳ならまだしも、そんな姿になれば後生末代の恥よ!!」
羽入「で、でも圭一はもっと恥ずかしい恰好を……」
梨花「圭一はいいのよ。男と女を一緒にしないでちょうだい」
なんという悪女とでも言いたげに、羽入は梨花に非難の眼差しを向けるが、気にせず彼女は涼しげな顔で話を続ける。
18 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:39:18.01 ID:VsMlPvV5O
梨花「羽入……逆に考えなさい。もしも私が勝てば……つまり魅音を負かせば、滅多に拝めない羞恥に歪んだ彼女の、それはそれは美しい顔を、肢体を、見下ろすことができるのよ?」
羽入「別に興味無いのです……それより梨花……」
本当に興味無さそうにそっぽを向く羽入であったが、何かに気付いたように、今度は梨花の目を真っ直ぐに見据える。
梨花「……何よ、急に改まって」
打って変わって神妙な面持ちとなった羽入に、些か白けながらも梨花は応対する。
19 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:41:15.81 ID:VsMlPvV5O
羽入「開司のこと……梨花はどう思いますか?」
ピクリ、と、梨花の細い眉が一瞬跳ね上がる。
梨花「……別にどうとも。強いて言えば……ただのへたれなんじゃない?」
羽入「嘘なのです。梨花はさっき……期待していたのでしょう?」
梨花「……何をよ」
羽入「『この人なら私たちを救ってくれる』……大なり小なり、そう頭をよぎったはずなのです」
梨花が不愉快そうに眉根を顰める。
梨花「……そんなわけないじゃない」
20 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:44:17.35 ID:VsMlPvV5O
羽入「嘘を吐くのは構わないのです。ですが……赤坂の件を努々忘れないでください。
過度な期待が今の梨花にどれほど負担を架けるのか……自分自身、重々承知しているはずなのです……」
赤坂と聞いた梨花のつぶらな双眸が、微かに愁いの色を讃える。だがそれも刹那に消え、次の瞬間には、代わりに憤怒の炎をその瞳に宿していた。
梨花「あなたに心配される謂れなんかないわ!!
……それよりも今はポーカーよ。言わなくてもわかるわよね、羽入?」
羽入「あ、あぅ〜……」
22 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:46:07.71 ID:VsMlPvV5O
梨花はあたふたとする羽入に背を向け、トイレから逃げるように去っていった。
――胸中の動揺を察せられぬように。
23 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:48:09.17 ID:VsMlPvV5O
梨花「ただいまなのです……」
陰鬱とした気分を抱えたまま、梨花が教室の扉を開け放つと、レナと魅音と開司――三人の取り留めのない談笑が彼女を出迎えた。
レナ「でね、十二指腸がね……」
開司「なるほど・・・トウモロコシというわけか・・・」
魅音「いやいや、あながち黒未亡人という可能性も……んっ? おお、おかえりー梨花ちゃん!」
25 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:51:11.48 ID:VsMlPvV5O
開司「けっこう長かったな・・・」
レナ「カイジさん……それはレディに対して失礼だよ。だよ?」
梨花「……にぱー☆(く、黒未亡人? 十二指腸? 何よ何よ? 何の話してたのよー!?)」
煮え切らないながらも、既に配られてあった自分の手札をポケットから取り出し、ゆっくりと席に着く梨花。
ハート・3
ハート・5
ハート・2
ハート・K
クラブ・7
フラッシュにリーチ。
だからこそ、梨花はこのタイミングで行動を起こした。
27 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:56:07.56 ID:VsMlPvV5O
この回、4分の1の確率でフラッシュが完成する。勝率は極めて高い。一気に勝負をつけるには絶好の機会である。
しかし、それでも不安要素はあった。開司と魅音、2人の存在である。下手に勝負に打って出て、どんな大逆転をされるものか予想がつかない。
しかし梨花には羽入というリーサルウエポンがある。彼女に他のプレイヤーの手札を盗み見てもらえば、勝率は100%。負けはけして無い。
今まで羽入を呼び出さなかった理由は、あまりに勝ちすぎて後半の勝負を敬遠されるのを恐れたためであった。
だが機が熟した今、それを気にする必要はなくなった。
29 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 00:58:48.68 ID:VsMlPvV5O
羽入「あぅ〜……役は今のところ全員揃ってないのです。フルハウス、フラッシュ、ストレート、いずれの気配もないのです」
羽入が梨花の耳元で囁く。
レナ「それじゃ、まずは10万からいくね」
梨花「レイズ20万なのです」
開司「コールだ・・・」
魅音「ならわたしもコールだね」
レナ「コールだよ。だよ」
あっさりと最初は20万で全員チェックする。
少し拍子抜けしながらも、梨花は次のカード交換に備え、身構える。
31 名前: ◆c8rnFlSqPI [] 投稿日:2009/02/16(月) 01:05:50.07 ID:VsMlPvV5O
ようやくスレ立てたのにトラブルが起きた糞が死ね
書き直してくる