古泉「僕はSOS団に必要なのでしょうか?」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:10:29.26 ID:G0nMSUGC0

昨日書き溜めてる間に落ちたからもう一回。少し期待してくれてた人も居るみたいだったので。
テキストは出来上がってるから今度は大丈夫です。それでは始めます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

いつもの微笑み君のまま、隣にいる古泉がこんなことを言ってきた。

SOS団活動後のいつもの帰り道でのことである。メンバーは、先頭にハルヒと朝比奈さん、すぐ後ろに長門、
少し後ろに俺と古泉といういつも通りの列で歩いている。

古泉の話題としては珍しい話だったので少し驚いたものの、コイツのことだからどうせまた演説を始めるのだ
ろうと思い、俺はチラッと視線を送るのみの反応をして続きを促した。

古泉「最近ふと思ったのですよ。長門さんと朝比奈さんはそれぞれの持つ属性がSOS団の活動、もとより
涼宮さんを取り巻く物語に影響を及ぼしています。人外の力で事件を解決に導いたり、時間移動によって歴史の
整合性を保ったりね。あなたに関しては言うまでもありません。しかし僕にはそれがないのですよ。」

時間移動が歴史の整合性を保つってのはすんなりと納得できなかったが深く考えたくは無いので放棄して答えた。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:12:01.85 ID:G0nMSUGC0

「お前だって何かと事が起こる度に活躍してるじゃないか。雪山の山荘の時みたいに頭を使ったり、カマドウマ
に赤玉を投げつけたり。機関にも世話になってる。それにお前があの巨人を倒さないと世界がおかしくなっちま
うんだろ?」

古泉「そうです。神人は倒さなければなりません。これは我々にとって確固たる事実です。しかしそれは僕が
SOS団に所属しなくても可能なことなんですよ。」

古泉「あなたの主観によると僕は事件の解決に貢献しているようですが、それらは全て決め手にはなっていません。
先ほどの二つにしても、長門さんがいなければ僕はなにもできていませんでしたよ。それに、あなたと涼宮さんが
閉鎖空間から帰ってきて以来最大の事件、あの件に関して僕は完全に蚊帳の外です。聞かされなければ知ること
すらできませんでした。」

・・・

「しかしハルヒはお前を気にいっているだろう。」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:12:32.15 ID:G0nMSUGC0

これこそが真理だ。古泉はハルヒがそう望んだからこの三人が揃ったのだと言った。ならコイツがSOS団に居る
理由としてそれ以上のものはないだろう。

古泉「恐縮ですが、そのようです。しかしそれはこの主体性のないキャラクターに向けられているように思えるんです。」

「思い過ごしだ。」

どうしたんだコイツは?いつもの整った微笑も今はアイロニーにまみれている様に見える。最近は減ったらしいバイトが
恋しいのだろうか。あれは慣れればいいストレス解消になりそうだからなぁ。

などと不謹慎なことを考えていると古泉が前を向いたまま


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:13:08.36 ID:G0nMSUGC0

古泉「以前にも言いましたが僕は入団当初とは比べ物にならないほどこの集団に愛着が湧いています。だからこそなので
しょう。自分がここに存在する基盤であるはずの属性が活動に影響を及ぼさないことが悔しいのですよ。」

まったく表情を変えずにつぶやくように言った。

古泉「”超能力者”古泉一樹として、僕がSOS団に参加する日は来るのでしょうか・・・」

三学期の終業式も間近に迫ったある日のことだった。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:14:30.70 ID:G0nMSUGC0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜古泉一樹の羨望〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ここ数日ハルヒの様子が少しおかしい。バレンタインの時とはまた少し違う・・・単純に体調が悪いように見える。とは言え、
ごく稀に苦虫を噛んだ様な表情を見せるだけなのだが。

ハルヒ「じゃ、私は先に部室に行ってるから!あんたもさっさと来なさいよ!」

今はそうでもないようだ。俺は投げやりに手で合図して教室の掃除に取り掛かった。

谷口「しっかし涼宮はこのクソ寒いのに相変わらずだなぁ。」

国木田「だよねぇ。あれだけ元気だと彼女は風邪なんかも引かないんだろうねぇ」

やはりこいつらにはハルヒの微妙な変化は感じ取れないらしい。それが解る俺は喜ぶべきなのだろうか?いや。ないね。

谷口が寒い寒いと言って働かないので先月知った弱みをついて発破かけてやるとする。

「そういや谷口。お前先月振られた元彼女とはそれっきりなのか?」


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:16:03.90 ID:G0nMSUGC0

谷口のテンションが目に見えて変わった。悪い方に。

国木田「キョンも気になるかい?僕もなんだよ。話を聞いていた限り、かなり変わった娘だったみたいだしね。」

おい谷口。隅っこばかりモゾモゾ掃いてないで働け。

谷口「うるせぇよ。お前もちょっとは気ぃつかえ!」

そろそろ傷も癒えて奮起の燃料にできるようになってると思ったもんでね。

谷口「でも確かに変ではあったかもな。最後も『あんたじゃなかった』みたいなこと言われてそれっきりだからな・・・」

初耳だ。それは確かに堪えるだろうな。もうそっとしておいてやるか。

谷口「それにもう顔もよくおもいだせねぇんだよなぁ」

それはそれは余程ショックだったんだろう。結局谷口は更に使えないまま掃除が終わり、俺は部室に向かう。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:17:12.13 ID:G0nMSUGC0

古泉「やあ奇遇ですね。このまま部室へ行くのなら同行させてもらいますが?」

「ああ。」

この前俺に妙な心情吐露をして以来同じようなことは無かったが、なんとなく気にはかけていた。

阪中「あ・・・古泉君とキョン君。こんにちは。」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:20:18.17 ID:G0nMSUGC0

曲がり角から阪中が出てきた。俺と阪中は同じクラスだが、今は短縮授業だしお互い目立つタイプではないから
今日は初めて会った感覚だ。しかし・・・

古泉「こんにちは阪中さん。ルソー氏はお元気ですか?」

どちらも親しさは変わらないなら普通同じクラスの俺が先に呼ばれるもんじゃないか?しかもなんだ。あの犬っころの
事件の時は「古泉さん」じゃなかったか?

阪中「うん。元気なのね。お母さんもみんなのこと好きみたいだし、ルソーも喜ぶと思うからまたみんなで遊びに来てね。」

古泉の方を見て話している。俺には目が輝いているようにすら見えるが。

古泉「ええ喜んで。ではまた。」

阪中はヒラヒラと手を振っている。憮然と歩いていると階段を上り終えて部室が見えたところで古泉が言った。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:21:52.66 ID:G0nMSUGC0

古泉「よろしければ今晩、お時間頂けませんでしょうか?」

それはいいがなぜだ?

古泉「お連れしたいところがあるのですよ。少し帰りは遅くなるかもしれません。」

昨年の五月の事を思い出して暗澹とした気分になったが、こいつが言うからには重要なことなのだろう。

「・・・わかった」

部室のドアを開けると他の三人は既に揃っていた。

みくる「あ、ふたりともこんにちわ。今お茶を淹れますねー」

いつものように満面の笑顔で迎えてくれる朝比奈さんと同じく、長門もいつものように石像と化していた。

長門「・・・」

ちらりとこちらに目を向けて直ぐに戻す。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:26:24.13 ID:G0nMSUGC0

ハルヒ「よし、全員揃ったわね!それでは本日の活動を開始するわよ!」

と言ってパソコンに向かう。活動ってなんだよ?などという無粋なツッコミ封印して久しい俺だ。何も言わずに古泉と
昨日の将棋の続きをはじめた。

当然の如く俺の勝利で将棋を終えた頃、編み物をしていた朝比奈さんが口を開いた。

みくる「涼宮さん?具合が悪いんですかぁ?」

朝比奈さんが心配そうにハルヒにそう聞いていた。

ハルヒ「ううん。平気よ。ただ最近たまーにだけど体がムズムズするっていうか・・・違和感があるのよねー。まっ風邪の
一種かなんかでしょ。」

楽観的な口調でそう言う。大して気にしていないようだった。最近見せる変な顔はそのためだったのか。

そしてまたいつも通りの活動を終え下校する。今日は列に若干変化がある。俺と古泉の間に長門がいた。一応だが先刻の
ハルヒの言っていたことについて聞いてみようと思ったからだ。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:31:07.08 ID:G0nMSUGC0

「涼宮ハルヒの身体情報に特に変化は見られない。生理現象の一種だと推測される。」

そう言ってさっさと前に戻っていってしまった。長門がそう言うのなら間違いないだろうな。今もハルヒは前の方で朝比奈さん
と笑顔で何やら話している。しかし横の優男はそう思わなかったらしい。

「実は今日あなたをお連れしたいと言った事は先程のことと関係があるかも知れないのですよ。」

ますます解らん。こいつは一体俺をどこに連れて行くつもりなんだ?

「ご安心を。あなたにとっても特異の場所ではありませんので。」

「それじゃ一般人からすればかなり特異な場所もかなり含まれてしまうぞ。」

そうかもしれませんね。などと言っていつものように微笑んでいる。

「それでは後ほど、御宅に伺いますので。」

俺たちは各々の家の方へ分かれた。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:36:16.77 ID:G0nMSUGC0

夜も九時になろうと言う頃、インターホンが鳴る。家族には前もってそのころに来訪者があることを告げているので妹が
待ってましたと言わんばかりに玄関へと走っていった。

妹「わぁ古泉くんいらっしゃい!キョンくんキョンくん!古泉くん来たよぉ〜」

などと言ってはしゃいでやがる。谷口や国木田が来た時と反応が違うのは気のせいではないだろう。こんなに無邪気に見える妹でも
やはり顔がいい男がいいのだろうか。言っておくがそいつは許さんぞ。何考えているかわからんし、人の精神世界に入れるような変態だからな。

しかし昼の阪中の件といい妹といい。俺の憂いに比べたら古泉の憂いていることなど俺には理解できんね。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:37:53.68 ID:G0nMSUGC0


家を出て大通りまで二人で歩くと丁度黒いタクシーが停まった。もう何も言うまい。

「少し遠いところなのでね。さ、乗ってください。」

後部座席に乗り込むと運転席に知った顔が居た。

「新川さん。お久しぶりです。この前は本当にありがとうございました。」

「いえいえとんでもない。あの愛らしいお嬢様を守れて私も光栄でごさいます。」

「では行きましょうか。」

車は国道に出て西の方に向かっている。去年とは逆だな。と考えていると。

「今回あなたをお連れする理由ですが、」

前回のような胡乱な長話を聞く気はないぜ。簡潔にな。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:42:46.19 ID:G0nMSUGC0


「ふふ。では簡潔に。今から向かう場所ですが、言うまでも無く閉鎖空間の発生地点です。」

芸の無いやつだ。

「実は最近閉鎖空間の発生頻度が上がりました。同時に空間内に異変が起きたのです。あなたも
今日の・・・いえここ数日の涼宮さんの様子には気づいていますね?」

俺は窓の外を見ている。そろそろ全国的に有名な地方都市に入る。

「その事と閉鎖空間内の以上は関係しているかもしれません。それで、あなたにもその異変を直に
見て頂こうというわけです。」

「俺が見たところで何が出来るわけでもないがな。」

「そうでしょうか?僕は期待していますよ。」

先端に空港もある人口島。そこへ渡る赤い大鉄橋へと車は流れていった。


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 16:54:50.15 ID:G0nMSUGC0

車は鉄橋の横にある船着場の駐車場に停まった。ここから少し歩くらしい。

「直ぐ着きますよ。こちらへ。」

そういって橋の向こうへ歩き出す。

「今から一時間ほど前、閉鎖空間が発生しました。丁度あなたの家をお訪れた頃です。」

「やけに悠長だな。早くあの青白いのを倒さないといけないんじゃなかったか?」

「そうです。新人が”破壊活動をしていると”閉鎖空間の拡大は急速に進みますからね」

「じゃあ今回こうして余裕があるのは・・・」

「その神人に変化があったのです・・・着きました。」


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 17:13:01.97 ID:G0nMSUGC0

俺たちはちょうど鉄橋の真ん中辺りにいた。古泉は立ち止まってその先を見ているが俺には
当然何も感じない。

「では御手を。」

やっぱりか。

仕方なく差し出された手を握り目を閉じる。二回目にして我ながら慣れたものだ。

ふと今まで鳴っていた汽笛が止んだ。

目の前にあの灰色空間が広がっていた。橋の途中だから見えないが恐らくこの人口島を覆っているのだろう。

「これが封絶・・・」

「何か?」

なんでもない聞き流せ。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 17:25:46.10 ID:G0nMSUGC0

「それでは移動しますのでこのまま手を握っていてください。少し怖いかもしれませんが・・・直ぐ済みます。」

何だそれはと聞く前に古泉と俺を赤い球体が覆った。すると浮遊感が俺を襲い、次の瞬間橋を横から
抜け出して海を越え、島にある総合病院の屋上に着地した。

「おまえなぁ。」

俺の抗議の声を無視して赤玉(今は俺もか)は言った。

「ここがご存知の通り、閉鎖空間です。外界から隔絶された・・・因果孤立空間とでもいいましょうか。」

「おい。」

「さてと、それでは本題です。先程この空間は一時間も前に出来たと言いましたが・・・なにか気がつきませんか?」

「神人がいないな。」

「そうです。普通は数分で出てきますからね。しかしいない訳ではないのです。・・・ほら、あそこをご覧ください。」


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 17:44:24.79 ID:G0nMSUGC0

古泉の指した先、片側三車線ある環状道路の脇に人間ほどの大きさの青白い発光体が立っていた。俺たちはいつの間にか元の姿に
戻っている。

「あれがそうなのか。」

「そうです。あれが最近の神人の主な姿です。大きさは若干のブレがありますが基本的に人間と同じくらいです。」

「なぜだ?」

わかりません。と少し困った顔をしている。よく見てみると下には同じようなのが数体いた。しかしサイズの所為なのかいまいち
危機感がない。その時ふと後ろを見ると屋上にも一体居たことに気づいた。

「なんだ?」

神人は破壊行動をとっていない。俺には何かを探しているように見えた。動作は緩慢だがキョロキョロと首に該当する部分を左右に
振っている。

その時、古泉の手が赤く光ったかと思うと高速で神人に向かって振り抜かれ、そこから飛んだ光球が神人に炸裂、姿が霧散した。


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 17:55:50.50 ID:G0nMSUGC0


「この神人達は破壊活動を行いません。今見た通り、何かを探すかのようにフラフラと漂うのみです。しかしかといって放置は
出来ません。神人がいる限り閉鎖空間は拡大しますので。仕方なく今のように心を痛めながらも倒しているのですよ。」

胡散臭い感情を胡散臭い顔で言うな。俺には嬉々としているように見えたぞ。

「本当ですか?」

「冗談だ。」

古泉「良かった。僕に加虐趣味はありませんからね。」

俺は無視して下を見た。遠くで赤い光と青い光がチカチカとぶつかり合っているように見える。

古泉「移動しましょうか。」

またしても俺は肝を冷やした。



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 18:14:08.14 ID:G0nMSUGC0

今度は大学のキャンパス内の建物の屋根に降りた。どうやら私立大学らしい。綺麗な外装をしている。海沿いという立地もいい。
俺がまだ見ぬキャンパスライフに思いを馳せていると古泉が言った。

「あれが先程の戦いですね。」

駐車場らしきスペースの真ん中で光が交叉している。

古泉に思ったことを言ってみた。

「なぁ?思うんだがあそこで戦ってる彼もしくは彼女はやけに接近戦をするんだな。お前はさっきみたいな攻撃だったが。」


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 18:37:05.80 ID:G0nMSUGC0


「我々の能力はあなたが考えているより多岐にわたるのですよ。とは言っても閉鎖空間内限定ですが。例えばこの中では常人より高い
運動能力を発揮できますし、仲間間ではテレパシーも使えます。神人への攻撃も各人の『攻撃のイメージ』を具現化するので個性が出
ます。恐らく彼の『攻撃のイメージ』は肉弾戦のイメージが強いのでしょう。あなたが前回見たときは全員が同じ方法で攻撃して
いましたが、あれは巨大な神人に対して連携の取り易さ、攻防一体性を重視した結果の一種のマニュアルです。」

近くで奮闘している超能力者の性別を知ったわけだがそれはいい。お前は参加しなくていいのか?

「今日はあなたに現状を把握してもらうという役目がありますからね。・・・おや、全て片付いたようです。」

さっきまで戦っていた神人が霧散している。とどめを見たかったのに。

「それではお待ちかね。フィナーレです。」

演技がかった口調で片腕を広げている。その瞬間天蓋が砕け、世界に光が戻った。街の方に観覧車と高級ホテルのイルミネーションが
見える。

ところで古泉。

「はい。」

「どうやって降りるんだ?」

・・・


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 18:52:26.70 ID:G0nMSUGC0


家の前に着くと古泉が言った。

古泉「涼宮さんの言う違和感と神人の変化は発生時期が一致します。無関係だと考える方が難しいでしょう。長門さんがあのように
言ったのは彼女には本当に認識できないからです。閉鎖空間の発生は感知できてもその中で起こっていることは我々にしか解りません。
彼女が何かできるのならあなたと涼宮さんが閉鎖空間に入ったとき、あんな回りくどい方法で連絡を取る必要はないですからね。
ですから明日、長門さんに今日あなたが知ったことを伝えてください。それではまた明日。」

矢継ぎ早に言うと古泉は去って行った。

翌日、教室に入るとハルヒが机に突っ伏していた。

「ようハルヒ。どうした朝っぱらから。」

ハルヒ「るさいわねぇ・・・ちょっと朝からダルくってね。力はいんないのよ。まぁだいぶマシになってきたんだけど。」

「そうか。珍しいこともあったもんだ。」

キッという擬音が聞こえそうなくらい鋭く睨まれた。ふんっと鼻を鳴らして窓の外を見ている。

ハルヒ「なんかね。上手く言えないんだけど変な夢見るのよ。あたしのこと誰かが見てるのにその相手が見えないっていうか・・・」

そうかい。悪いが夢診断は出来ないんでね。それに俺にはお前を観察している人物に現実的な心当たりがいくつもあるから下手なことは言えん。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 19:28:59.31 ID:G0nMSUGC0

ハルヒより先に部室に行くと案の定長門一人しか居なかった。古泉の言うように説明はしておくべきだろう。

「・・・というわけなんだ。」

長門「情報統合思念体もその情報の追加によって涼宮ハルヒの感じる違和感とその事象の関係性を重く見ている。しかし、やはり私の解析能力の
限りにおいて、涼宮ハルヒの身体情報に変化は見られない。」

「そうか・・・まぁ何かわかったら教えてくれよな。」

長門はコクッと頷いて日課に戻った。しばらくして全員が揃うとハルヒはこんなことを言い出した。

ハルヒ「ねぇ!もうテストも終わったことだし明日は休みだから久しぶりにみんなで有希の家で遊ばない?もちろん泊まりで!いいわよねっ?有希?」

コクッ

ハルヒ「みんな?」

みくる「わぁ〜いいですね。あっじゃあ私晩御飯つくりますねっ。」

古泉「真に素晴らしいアイディアですね。しかし僕は今晩急用が入るかもしれませんのでそれまでなら。」

「まぁいいだろ。」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 19:47:08.03 ID:G0nMSUGC0


「決まりね!なんか最近変な夢見るからストレス溜まってたのよね〜今晩は遊びつかれるだろうから大丈夫でしょ。」

「そうなんですかぁ。怖い夢って嫌ですよね。」

古泉の眉が若干動いたのを俺は横目で捕らえた。古泉としては閉鎖空間が出ている時のハルヒを観察すればなにか解ることがあるかもしれないから今日
の提案は好都合だろう。

朝比奈さんにも教えておいた方がいいだろう。そう思った俺は朝比奈さんの水汲みに同伴して事の次第を伝えた。

「そうだったんですか・・・涼宮さん最近たまに様子がおかしかったから心配だったんだけど。じゃあ今日はみんなで楽しんで少しでも楽にして
あげましょうね。」

そう言って微笑む朝比奈さん。あなたはやはり任務に追われてあたふたするよりそういうことのほうが向いてまいます。現に俺は今体が暖まりました。
しかしこの朝比奈さんの反応からすると今回は時間云々とは無関係でいられそうだなと安堵したりもする。

ハルヒが言うには、一度全員自宅に帰って再集合。女子三人は早めに集まって夕食の買い物、俺と古泉は終わったころに呼ばれて荷物持ちだそうだ。
上手いメシが食えそうだからそれくらいは喜んでやってやろうじゃないか。


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 20:03:16.14 ID:G0nMSUGC0


かくしてSOS団の面々は長門宅に転がり込んだ。ハルヒたちはさっそく料理にとりかかる。長門の家はわりと機器が充実してるらしく、オーブンも
あるのだという。パエリアがどうとかいう話が聞こえてきたが、この三人が作るならなんだって極上だろう。テレビでも点けようかとリモコンを探し
ていたらそもそもテレビが無いことを思い出した時、古泉が話しかけてきた。

「実に平和ですね。できればこの平和が長く続けばいいのですが。」

今回の異変を誰よりも感じている古泉にとって不安は尽きないんだろう。

「考えてもわからんならしかたないさ。なるようにしかならんのだからその時に全力で取り組めばいい。」

などと解ったようなことを言っておいたが古泉も同感だったようだ。

「そうですね。僕に出来ることは限られているのですから焦らず待ちましょうか。」

料理ができたようだ。


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 20:10:00.77 ID:G0nMSUGC0


料理を食い終わって、クリスマスから置きっぱなしのツイスターゲームをしたり、夏休みにはよく見えなかった星空を見に行ったりといろいろ遊んで、
交代で風呂に入って後は談笑するムードになっている。古泉の急用とやらは無かったらしくまだ居る。やはりあの空間はハルヒが寝る頃に最も出やすい
のか。

「あ〜今日はいろいろやったわねぇ!やっぱりこうでなくっちゃ。」

なにが”こう”なんだ?

「いろんなことやんなくちゃってことよ!若いんだから何事も経験よ経験。・・・ちょっと眠くなってきちゃった。悪いけど先に寝るわ。有希、
寝室借りていい?」

「・・・かまわない」

今悩んだのか?寝室に興味が湧いちまったじゃねーか。

「ありがと。今日はよく眠れそうだわ。じゃあね〜みんな。ごゆっくり。」

そう言うと廊下の奥へ消えていった。

「ふう。あいつが寝た頃に一度皆で話し合いでもするか?」

全員が頷く。それからほんの数十秒したときだった。


67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 20:18:09.85 ID:G0nMSUGC0


「・・・!」ほかの三人が何かに反応した。

先に口を開いたのは長門だった。

「涼宮ハルヒが通常空間から消失。位相の異なる空間へ転移した模様。」

俺が口を挟む間もなく古泉が。

「北高を中心に半径500メートルほどの閉鎖空間が発生しました。涼宮さんはこの中・・・ですね。」

「ふぁあ・・・」

朝比奈さんはあまりわかってそうにない。空間の発生のみ感知できるのだろうか。

「どうする?行くか?」

「なぜ閉鎖空間に涼宮さんが入ったのか解りませんが、恐らく前回とは違うでしょう。」

だろうな。あいつは今を楽しんでいる。

「ハルヒを探そう。あの中ならあいつの意識があっても夢で済ませられるし古泉がいれば皆で入れる。だろ?」

「可能です。では行きましょう!」



69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 20:24:35.60 ID:G0nMSUGC0


校内は灰色一色だった。去年のこと思いだして俺は場違いな感情を抱いた。なつかしいな・・・と。しかし
今はそれどころじゃない。すでに全員が空間内に居た。

「やはり・・・この中にいますね。場所はわかりませんが。」

長門、わかるか?

「この空間内では私の力は著しく制限される。私にも位置特定ができない。」

「制限だと?」

「この空間に侵入した時点で情報統合思念体との接続が断たれる。私固有の能力もこの空間内では弱まっている。」

一気に不安要素が増したがしかたない。そして校舎に向かって走り出そうとしたとき、校庭に人の姿が見えた。立ったまま
上を見上げているように見えるが遠すぎて解らない。北校のセーラー服を着ているのは色調で解った。

「行こう。」

全員でその人影の元へ向かう。そしてその姿が解る程まで近づいたと同時にそいつはこっちを向いた。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 20:34:52.29 ID:G0nMSUGC0


「お久しぶりね。もうお二人は初めて会うけれど。あ、そうか貴方にとってはこれで三回目、最近も会っているんだった
わね。この私にとっては二回目なんだけど。」

俺はもう完全に硬直していたがなんとか空気を吐きながら音を出す。

「今度こそおかしいだろう。なぜまだ居るんだ、朝倉。」

凍りつくような冷徹な笑みを顔に張り付かせた朝倉涼子がそこに居た。


77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 20:45:52.56 ID:G0nMSUGC0

長門が呟く。

「現在統合思念体の意識は急進派も含めて統率が取れている。あなたを再構成した事実はないはず。」

「なぜ統率が取れているのかしら?」

「雪山での異空間への監禁で別の宇宙意識体が存在する可能性が浮上したため・・・まさか。」

「そう。今の私はその宇宙意識体の端末なの。私はあなたにあの時敗れて構成情報を分解されたわ。宇宙意識体はその情報
の一部を採取し、再構成した。時間は少し掛かったけど先程完了したの。それが私。涼宮さんに接触するためのヒューマノイドイン
ターフェースを造るためのプロトタイプが欲しかったのでしょうね。別の意識体製とはいえ、0から造るよりは効率がいいわ。」

俺は情けないことに今にも倒れそうだった。一度目よりも二度目の経験が尾を引いている。あのナイフの冷たい感触が体を突き抜け
ていた。こいつ自身じゃなくてもまったく同じ外見なんだから仕方ないだろう。

「目的はなんだ?なぜハルヒをここに連れて来た」

「涼宮さんがここに来たのは自分の意思よ?私は何もしていないわ。来るだろうとは予測していたけどまさか最初の発生で来る
とはね。今は邪魔だから寝かせて長門さんの探知にかからないようにしてあるわ。」

じゃあなぜハルヒは・・・


80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 20:57:16.99 ID:G0nMSUGC0


「我々の意識体は涼宮さんの構成情報にあるプログラムを割り込ませたの。そうね。ウィルスのようなものよ。これによって
涼宮さんの能力をコントロールできないかってね。その結果、この空間を発生させることができたの。今がそうよ?この空間は我々
によって手が加えられているの。長門さんの固有能力制限はそのため。ちなみに解除は不可。統合思念体とは異なる概念上に立脚した
プログラムだから。」

今まで沈黙を友としていた古泉が口を開いた。

「なるほど、全て解りました。涼宮さんがここ数日感じていた違和感はそのためだったんですね。自分という存在に割り込まれた
ものを感じとっていたのでしょう。だから閉鎖空間内の神人は何かを探すように徘徊していた・・・自分の中の異物を。」

「あら?人間が感覚できるはずはないのだけど、さすがは涼宮さんね。」

朝倉は終始笑顔だが俺にはその笑顔が一番恐ろしい。

「そうか。あいつは今自分でここに探しに来たわけか。あいつにとっては夢の中で探すようなものだからな。」

「そういうことでしょう。ではあなたの目的は?」

「ねぇ長門さん?私はあの時の判断が間違っているとは思えないの。最も多くの人間が現実を否定したがるのは他人の死。それは
間違いないでしょう?そして観察の結果、涼宮さんもその部類に入ると考えられる。なら彼女の能力を観察するためにはそうするのが
いいのよ。だからこうしてあなたたちをおびき寄せた。」

最初から解っていたがもう嫌な予感しかしない。絶望的な宣言が言い渡されるだろう。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 21:08:37.49 ID:G0nMSUGC0

「あの時と比べて涼宮さんのなかのあなた達の価値は飛躍的に大きくなっている。全員があの時のあなた以上の存在よきっと。
宇宙意識体は反対も賛成もしていないわ。感情に働きかけるアプローチは考えていないのしらね。でも私は人間を観察して感情という
モノに興味を持ったわ。試してみたいの。だから。」

    「あなた達を殺して涼宮ハルヒの出方を見る」

「ふぅ・・・」

後ろで朝比奈さんが倒れたようだ。幸せなことなのだろうか?

「じゃあね。面倒だから構成情報を分解して死体の形に再構成するわ。」

そう言うと前方に手をかざした。終わった・・・と思ったが様子がおかしい。

「あなた、何かした?」

「我々の体表面に対情報操作選択的遮断フィールドを展開した。私の有機情報連結修繕プログラム以外を遮断する。あなたが言った
ことと同じ理由であなたには解除できない。」


84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 21:12:57.82 ID:G0nMSUGC0


「長門っ!?」

長門は膝をついて倒れていた。長門のもとへ駆け寄った。

「この空間内でそれだけの情報操作をしたらそうなるわよね。なにか勝算でもあるの?」

長門は答えない。答えられないのかもしれない。

「まあいいわ。それなら肉体を損傷させるから。同じことよね?」

朝倉が最も近くに居た古泉の方を見た。

「じゃあ、死んで。」

朝倉がグラウンドを蹴って古泉の方へ駆けた。古泉の居る座標目がけてナイフを突き刺す。今度こそ終わった・・・

しかし次の瞬間俺が見た光景は予想だにしないものだった。

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 21:34:54.50 ID:G0nMSUGC0


そこにあったはずの古泉の胴体がない。古泉は体を横に逸らせて避けていた。そして・・・

捩った力を利用して宙に浮いている朝倉の腹部を蹴り飛ばした。
瞬間、古泉の足は赤く発光していてあり得ない勢いで朝倉は地面と水平に吹き飛んだ。

俺はその一連の流れがあまりに衝撃的かつ流麗だったので思考が停止していた。

朝倉が地面についたのは古泉から30メートルは離れた地点だった。

「へぇ、意外ね。この空間限定の超能力者とは聞いていたけど。人間の限界以上の運動能力が発揮できるとはね。」

朝倉に堪えている様子はない。

「神人以外の対象を相手に行使するのは初めてですが。」

「じゃあこれはどう?」


94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 21:35:39.37 ID:G0nMSUGC0


朝倉の掌に空間が凝縮される。アレだ。と俺はとっさに思った。人間の眼には留まらない速さで放たれたそれは古泉の直前で弾ける。

朝倉「遠距離攻撃じゃダメみたいね。」

古泉の前には赤い殻のような物が展開されている。

「じゃあ先にこっちから。」

朝倉がこっちへ駆けてくるのが眼に映るのと同時に視界の隅で古泉が発光した掌をこちらへ振り抜いた。

轟音を上げて朝倉が右へ吹っ飛ぶ。古泉が撃ったそれは迂回して、飛び掛ってくる朝倉を右から強襲していた。古泉が俺たちと吹き飛んだ
朝倉との間に立つ。

「どこまでやれるかわかりませんが・・・僕の全能力をもって相手をしましょう。」

立ち込める煙の中から現れた朝倉の右腕は黒く焦げていた。しかし、

「めんどうね。あなたを先に始末した方がいいみたい。」

そう言って左手を添えると見る見るうちに右腕は元に戻っていった。


97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 21:58:12.64 ID:G0nMSUGC0


次の瞬間朝倉はナイフを構えて古泉に飛び掛った。そのまま横薙ぎに一閃。しかし古泉はまたしてもそれをかわしている。朝倉の腕の振りに
合わせてすり足で後ろを取り、遠心力を殺さずに右肘を朝倉の背中に叩き込む。接触の瞬間に右肘が発光し爆ぜた。朝倉の背中は焼け焦げ、
前から倒れこんだ。

決まったのか・・・?

俺が甘かったようだ。朝倉はすぐさま不自然な起き上がり方をし、古泉に斬りかかる。もう二人の動きは俺の理解を超えていた。ナイフの
きらめきが線を引いている。

朝倉がフッっと身を屈め真下から古泉の顔面を蹴り上げる。古泉は腕を上げて受け、更に発光することでそれを強化していた。しかし、人外の
脚力によって古泉の体は5メートル近く浮き上がった。

朝倉「おわりね。」

と呟いて朝倉は跳ねた。空中で身動きが取れない古泉を串刺しにしようとする。ナイフが体に突き刺さる寸前、古泉は手刀でナイフを叩き
折った。二人が着地する。

「このままじゃ終わらないわね。」

「そのようで。」

「でも超能力者とは言ってもあなたは人間。限界はあるでしょう?私も肉体を持つ以上もちろん限界はあるけど人間と比べるまでもないわ。」

「消耗戦では勝ち目はないでしょうね。」

また二人の影が飛び交う。しかし俺は古泉の戦い方に違和感を覚えた。徹底しきれていないような・・・そんな感じがする。が、そんな考えは直ぐに
吹き飛んだ。


99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 22:07:46.12 ID:G0nMSUGC0


「がはっ!」

朝倉の回し蹴りがノーガードの古泉の右わき腹にめり込んだ。

古泉は数メートル吹っ飛び、起き上がっても片膝をついている。常人なら即死する衝撃を受けられるほどにこの空間内での古泉の肉体は強靭な様だ。
しかし・・・

「思ったより早い限界ね。その力はそんなにもエネルギーを消費するの?」

古泉は答えない・・・

「ま、いいわ。死になさい。」

朝倉がナイフを振り上げた。いつの間に再構成していたのだろうか。しかし次の瞬間。

「・・・間に合いましたね。」


102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 22:19:06.86 ID:G0nMSUGC0

朝倉の背後に光の巨人が立っていた。腕を前で組んで振り上げている。

「なっ・・・」

その腕が振り下ろされた。



105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 22:23:05.85 ID:G0nMSUGC0

朝倉の背後に光の巨人が立っていた。腕を前で組んで振り上げている。

「なっ・・・」

その腕が振り下ろされた。



106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 22:26:45.79 ID:G0nMSUGC0


神人が腕を上げた時すでに朝倉の姿はなかった。しかし爆散した微粒子が薄い朝倉の姿を形作り始める。

「なぜわかったの?この巨人が現れるって。この空間は我々が造った空間。彼女のストレス発散とは無関係よ?」

「これは彼女のストレスの具現ではありませんよ。白血球のようなものです。彼女自身が違和感の原因を感じ取ってこの空間へ来るくらいです、
あなたが妨害した程度ではあの方は目的を諦めません。それなら神人を産み出して代わりにすると考えたんですよ。そして僕にはその確信があった。
なぜかと言われてもわかりませんが。」

「まさか一撃で攻勢情報を全消滅させられるとはね。」

「さすが涼宮さん。といったところでしょうか。」

朝倉の姿が揺らぎ始めた。

神人が腕を上げた時すでに朝倉の姿はなかった。しかし爆散した微粒子が薄い朝倉の姿を形作り始める。

「なぜわかったの?この巨人が現れるって。この空間は我々が造った空間。彼女のストレス発散とは無関係よ?」

「これは彼女のストレスの具現ではありませんよ。白血球のようなものです。彼女自身が違和感の原因を感じ取ってこの空間へ来るくらいです、
あなたが妨害した程度ではあの方は目的を諦めません。それなら神人を産み出して代わりにすると考えたんですよ。そして僕にはその確信があった。
なぜかと言われてもわかりませんが。」

「まさか一撃で攻勢情報を全消滅させられるとはね。」

「さすが涼宮さん。といったところでしょうか。」

朝倉の姿が揺らぎ始めた。


110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 22:37:08.70 ID:G0nMSUGC0


「またダメだったかぁ。悔しいけど仕方ないわね。所詮はプロトタイプか・・・」

自身の性能を嘆いているのだろうか。前回もたしか・・・

「でも『彼女』はこうはいかないわよ?長門さん?一応元姉妹として忠告しておいてあげるわ。もう一人にも伝えておいてね。じゃあね。」

またしても朝倉は微笑みながら消えていった。

神人も不動のまましばらく立っていたがやがて霧散していった。

「なんとか・・・なりましたね。」

笑顔にいつもの冴がないじゃないか?

「ふふっ、いささか疲れました。さてそろそろですね。」

天蓋に亀裂が入り、やがてそれは全体を覆った。



113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 22:44:06.17 ID:G0nMSUGC0


「朝比奈さん?朝比奈さん起きてください。」

「ふ・・ぁ、ふぇっ!」

なんとも可愛らしい声を上げられるものだ。

「あ・・・わたし気を失って・・・あ、でもということは皆さん無事なんですね・・・よかった。」

お役に立てなくてすみません。と、申し訳なさげに目を伏せている。いえいえ。いいんですよあなたはそれで。

「長門ももう大丈夫なのか?」

「平気。統合思念体との再接続も完了した。」

けろりとした顔で横に立っている。

「気になる点も残りましたが・・・ひとまず帰りましょうか。長門さん。涼宮さんはどちらに?」

「閉鎖空間の消滅と同時に私の自宅にもどっている。」

やれやれ。あいつだけ楽なもんだね。



115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 22:49:48.75 ID:G0nMSUGC0


翌朝

「あ、みんなおはよう。よく眠れた?」

俺は一睡も出来なかったよ。殺されかけてすぐにそんな精神状態になれるほど俺の日常は通常のそれから逸脱してない。

「よく眠った。」

「はい。よく眠れましたよ。あっ朝食作らなきゃ。」

古泉はというとまだ眠っているようだ。

「古泉君はいろいろ大変そうだもんね!いいわ!寝かせてあげましょ。」

古泉の苦労はほとんどお前のための苦労だ。知らせてやったほうがいいんじゃないのか?


長門の家を片付けた後俺たちはそれぞれの帰路についた。俺と古泉は同じ道を歩いている。

「今回はお前がいなければどうにもならなかったじゃないか。結局はハルヒの力だとか言うんじゃないぞ?
お前が居なかったら間に合わなかったんだからな。」

「そうですね。僕の力で皆さんを守れたことは素直に嬉しいです。超能力者としてSOS団の窮地を救ったの
ですから満足してもいいのでしょう。」

なんだ。まだ納得いかないのか。


118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 22:57:59.13 ID:G0nMSUGC0


「いえ。ただね。『やはり一人ではどうにもならなかった』ということがなぜか嬉しいんです。長門さんの情報操作遮断
が無ければ力を振るう以前に塵になっていたでしょうし。全員いてこそSOS団なのだなと。誰かが欠ければどうしようも
ないことがあるんだ・・・とね。」

そうかい。ところで古泉。お前あの時本気で戦ってたのか?

「おや、気づいていましたか。正確には力を抜いていたわけではありません。ただ、時間を稼ぐという目的のためには
より良い方法はありました。」

「そうだろうな。足やら手を砕くなり切るなりすれば再構成の時間はもっと稼げただろう。それができるだけの攻撃力は
あったみたいだし。でもしなかった。いや、できなかったんだろ。」

「・・・はい。仮にも人間の姿をしている相手だったので・・・皆さんを確実に守るためにはそうするべきだったのですが。」

「おまえがそんなヤツでよかったよ。命が懸かっているときにまで皮は被れないだろうからな。」

「・・・ありがとうごさいます。」


〜完〜


126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 23:16:40.92 ID:G0nMSUGC0

あとがき

支援してくださった方々ありがとうございます。

新年会のスレを見て古泉を戦わせたくなって書きました。

内容としては原作の憤慨と分裂の間にきれいに収まるように意識したのでキャラ改変や衝撃的な結末にはしませんでした。

阪中が黒幕にしようかなーとかも考えたけど↑の理由で何番煎じかわからないけど朝倉と戦わせた次第です。

最初で最後のSSですがみなさんどうもありがとうございました。


129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2009/01/16(金) 23:20:36.44 ID:G0nMSUGC0

追加

谷口の彼女とか>>122とかは原作読んでないやつに読ませたい
からわざわざ書いたので読んでない人は読んでくれ



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