沙都子「梨花。羽入さんって新参の癖に調子に乗っていませんこと?」


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トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:魅音「うっそだーwww」

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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 03:25:16.33 ID:W1WqTcXcP

梨花「ボクは生まれたときからずっと羽入と一緒だったのです!
   ボクにとってはお前こそが新参なのです!」

圭一「調子に乗ってるのはお前だよ」

レナ「沙都子ちゃんが、こんなんだから悟史くんも愛想を尽かしたんじゃないのかな?かな?」

魅音「う〜ん、こんなこというなんて沙都子に少しお灸をすえる必要があるかもね」

羽入「みんなでこいつをいじめるのです!」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 03:27:00.77 ID:W1WqTcXcP

体育…。

知恵「はーい。二人組みつくってくださーい」

沙都子「梨花っ、一緒に組みま…」

梨花「羽入、一緒に組みましょ」

羽入「はいなのです。あぅあぅ」

沙都子「えっ…?」

みんなが次々と組を作るなか、
沙都子だけが余ってしまう。

沙都子(いつも梨花と組んでたのに、梨花が羽入さんと組んだから余ってしまいましたわ…)

知恵「全員、組み終わりましたかー?あっ…あら?沙都子さん余ってしまったの?」

沙都子「…は、はい」

知恵「じゃあ先生と組みましょ」

沙都子「……はぃ…。」

この日は、羽入が、学校に来るようになってから初めての体育であった。
沙都子は、この日を境に体育の二人組みで、いつも余ることになるのであった。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 03:39:05.68 ID:W1WqTcXcP

昼食…。

魅音「さあさあ、羽入も机合わせて、みんなとお弁当食べようよ」

羽入「はいなのです。あぅあぅ」

魅音「うーん。こうして羽入の机をあわせると、
   ゴミゴミしてて食べづらくない?」

レナ「たしかに、そういわれてみるとそうかもね」

沙都子「そうでございますか?私は別にそんなこと無いと思いますの」

魅音「あっそうだ。沙都子、あんた抜けて一人でお弁当食べてよ
   そうすれば、五人でお弁当食べれるし」

沙都子「な、なんでですの?」

魅音「だからさあ、六人で机あわせると、
   ゴミゴミしてて食事しづらいんだよ。
   あんたが抜ければ解決するからさ。」

沙都子「何で私が…?嫌ですわっ!それに別に食事しづらくなんてありませんわよ!」

レナ「沙都子ちゃん、お願いだから一人で食べてくれないかな」

圭一「沙都子、あんまりわがまま言うなよ。みんな困ってんだからさ」

梨花「沙都子は早く抜けるのです」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 03:52:32.81 ID:W1WqTcXcP

沙都子「うっ…うぅ…な、なんで皆さんそんなこと言うんですの?」

魅音「もーう、じれったいねえ。」

そう言うと魅音は沙都子の机を持ち上げ離れた場所に移動させた。

魅音「沙都子っ!あんたはここで一人で食べな。
   あんまりみんなに迷惑かけるんじゃないよ!」

羽入「あぅあぅ。沙都子は、みんなに世話を焼かせてまったくダメな奴なのです」

圭一「ったく。そんなんだから、今日の体育のときも一人だけ余ったんだよ」

梨花「嫌われ者の相手をするのも疲れるのです」

レナ「まあまあ、みんな沙都子のことなんか放って置いてお弁当食べようよ。
   今日のレナのお弁当は自信作なんだよっ」

圭一「うわーそいつは楽しみだぜ。」

魅音「じゃあみんな食べよっか。いただきまーす」

魅音に続いてほかの四人もいただきますと声を合わせてから、
五人は楽しく食事を開始した。

沙都子「うっく…ひっく…なっ何で皆さん私だけのけ者にしますの?…うぇっ…うっ…ひっく」

その日から、沙都子は一人で昼食を食べることになった。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 04:05:56.90 ID:W1WqTcXcP

家…。

沙都子「はぁー…ただいまぁ」

梨花「あっ沙都子」

沙都子「梨花ぁ、何で、今日学校のお弁当の時間私だけのけ者にしましたの?
     それに、さっさと一人で下校してっ!何で私を待っていてくださいませんでしたのっ」

梨花「そんなことは、どうでもいいのです。
    それより、悪いけど沙都子にはこの家を出て行ってほしいのです」

沙都子「な、何でですのっ!私、梨花に何かしまして?」

梨花「今日からここにはボクと羽入の二人で住むのです。
   三人では狭いので沙都子には出て行ってほしいのです」

羽入「あぅあ〜ぅ☆」

沙都子「い、嫌ですわっ!おとなしくしますし、
    場所もなるべくとらないようにしますので、どうかおいてくださいましっ!」

梨花「ダメなのですっ!沙都子はさっさと出て行くのです!
   そもそも、沙都子には自分の家があるのだから、そこに住むべきなのです」

沙都子「嫌ですわぁああ…絶対にぃぃ嫌ですわぁぁ…うえぇぁぁあああ」

沙都子は泣き出してしまった。


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 04:18:34.71 ID:W1WqTcXcP

梨花「やれやれ、どうやら、力づくでわからせるしかないようなのです。羽入、やりますよっ!」

羽入「わかりましたのです」

梨花「でりゃっ!」

梨花が沙都子の顔を殴りつけた。

沙都子「うっ!」

羽入「おらぁなのです!」

羽入が沙都子に腹パンをした。

沙都子「ぐぎゅっ!」

梨花「デュクシ!デュクシ!」

沙都子「ぐっ!がびゅっ!ふ、二人ともやめてくださいましっ!やめてくださいましぃぃぃいいい!」

梨花「なら、さっさと出て行くのです!」

羽入「もうおめぇの席はねぇのです!」

沙都子「うっぅぇ…ひっく…うっく…うっ…わかったのですわ…も、もう、出ていきますわぁ…うぅ…うっく…うぇぇ…」

その日から沙都子は実家で一人で暮らすことになった。


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 04:46:03.48 ID:W1WqTcXcP

羽入が学校に来るようになってから、学校で沙都子は孤立していた。
昼食は一人で食べ、休み時間は寝たフリをし、
一日中、誰とも口を聞くことが無い日が続いていた。

昼食…。

沙都子(はぁ…。今日も、私は一人で食べるのですわね)

魅音「おぉい、沙都子ぉ。」

沙都子(…えっ?…い、今私のこと呼んだような?…空耳?)

魅音「沙都子ぉぉ。」

沙都子「は、はいっ!魅音さん!」

沙都子(うれしいっ!久しぶりに魅音さんが話しかけてくださいましたわ)

魅音「沙都子、最近、お弁当一人で食べてるよね?
   またみんなと一緒に食べたい?」

沙都子「い、いいんですの?」

魅音「沙都子がさっ、あたしとレナが作ったお弁当を食べてくれるならいいよ」

沙都子「た、食べますわ!」

魅音「じゃあ、沙都子も机合わせなよ」

沙都子「はいっ」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 04:50:19.94 ID:W1WqTcXcP

レナ「はい。沙都子ちゃん、私と魅ぃちゃんが作ったお弁当だよ。残さず食べてね」

レナが沙都子の机にお弁当箱を置く。

沙都子「れ、レナさん、魅音さんありがとうございます」

沙都子は目に涙を浮かべている。

梨花「あっ沙都子、泣いてるのです?」

沙都子「ちょ、ちょっと、目に涙が入っただけですわ」

魅音「さあ、沙都子食べてみてよ」

沙都子「あっ、はい。いただきますわ」

沙都子が弁当箱のふたを開ける。

沙都子「えっ?……き、きゃぁぁぁあああああああああああ!!」

弁当箱の中には油で揚げたゴキブリがびっしりと入っていた。

魅音「沙都子、別に嫌なら無理して食べなくてもいいよ。
   そのかわり、これからもずっと一人でお弁当を食べることになるけどね」

レナ「沙都子ちゃん、レナがせっかく作ってあげたお弁当残すのかな?かな?」

圭一「沙都子、好き嫌いは良くないぞ」

沙都子「む、無理ですわ…無理ですわぁ!!」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 05:06:31.84 ID:W1WqTcXcP

梨花「沙都子…無理なのですか…。
    もし食べたなら、また一緒に住んでもいいと思ってたのに…」

沙都子「えっ…梨花。ほ、本当ですの?」

魅音「どうすんのー?沙都子ぉ」

沙都子「…た、食べますわ」

レナ「えへへ。さすが沙都子ちゃんだね。
   沙都子ちゃんがレナと魅ぃちゃんが作ったお弁当を、
   残すなんてひどいうことするわけ無いもんね」

沙都子は箸でゴキブリを挟むと、それを自分の口に近づけていく。
沙都子の手が口の直前で止まる。

梨花「…どうしたのですか?早く食べるのです」

沙都子はそのまま動かない。
しだいに、沙都子の目から涙が後から後から溢れてくる。

沙都子「んびゅ…びゅうっ…むっ無理ですっわ…うぅ…ひっく…む、りゅ、無っ理でしゅっ…わぁ」

梨花「なーんだ。無理なのですか。ならもうお前とは住まないのです」

沙都子「うゅゅうっ…うぅぅぅうううう…ぉぉぉおおおおおっ」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 05:19:02.84 ID:W1WqTcXcP

しばらく泣いていた沙都子が、泣きながら、一気にゴキブリを口に含んだ。

沙都子「あみゅっ!…むじゅ、むじゅ、くちゃ、くちゃ、ぐちゃ…んっ…ごきゅりっ!」

そしてそのままゴキブリを飲み込んだ。

レナ「うっ、うっぷ…レ、レナ、トイレっ!」

レナは走って教室を出て行った。

圭一「うわっ…ほ、本当に食いやがった。…流石の俺でもひくぜ」

魅音「どう沙都子?私とレナのお弁当は?おいしい?」

沙都子「うえっ…す、すごく…お、おいしっ…ひゃったっ…でっしゅわっ…ひっく…うぅ…」

沙都子は泣きながらも無理に笑顔を作って魅音に答えた。

魅音「そーかい。なら残さずに食べようね。沙都子」

梨花「沙都子、残さずに食べたらまたボクと一緒に住めるですよ」

沙都子は再び箸で弁当箱の中のゴキブリをつかみ口の中に入れた。

沙都子「みじゅ、むじゅ、むじゅ…んっ…んく…ごきゅ…ぷはぁ」

沙都子はゴキブリを飲み込んだ。
沙都子は、その後もゴキブリを食べ続け、
ついに弁当箱いっぱいのゴキブリを完食した。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 05:30:13.13 ID:W1WqTcXcP

沙都子「ぜ、全部食べましたわぁ!
     これで、明日からまた一緒にお弁当を食べてくださいますよね?
     梨花もまた一緒に住んでくれるんですよね?」

圭一「こいつ…全部食いやがった…。気持ち悪りぃ」

魅音「沙都子〜、まだ、全部じゃないでしょ?
   そこにまだ足が一本残ってるよ」

沙都子「あっ本当ですわね」

沙都子は弁当箱の隅に残っていたゴキブリの足を箸でつかむと、それを食べた。

沙都子「こんどこそ、全部食べましたわよ!」

魅音「よしっ!明日から沙都子も一緒にお弁当を食べていいよ」

梨花「ボクも沙都子と一緒に住むのです」

沙都子「うっうぅぅぅぅううう…ひっく…よかったぁ…うっく…よかったのですわぁ…うぇぇ…」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 05:38:08.63 ID:W1WqTcXcP

魅音「でも、あんなにゴキブリを食べるなんて、もう、あんたは沙都子じゃなくてゴキ子だね。
   だから、あんたとはお弁当を食べてやんないよ。
   私は沙都子とお弁当を食べるといってもゴキ子と食べるとは言ってないからね」

梨花「ボクも沙都子と住むとは言っても、ゴキ子と住むとは言った無いのです。
   だからお前とは住んでやらないのです」

羽入「ゴキ子の席はねぇのです。あぅあぅ」

沙都子「うあぁぁぁんっ!な、なんでですのぉ!嘘つきぃ!嘘つきぃ!うあぁぁぁぁっ!」

魅音「あっはははははは。こいつマジ笑えるよ」

梨花「ははは。本当におかしいのですね」

羽入「あぅあぅ」

                                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                                d⌒) ./| _ノ  __ノ

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 05:59:46.65 ID:W1WqTcXcP

圭一「鉄平の奴!沙都子を虐待しやがってゆるせねえ!
    警察が鉄平を裁けないなら、俺が裁いてやる!!
    だが、あんな奴のために、俺の人生が潰れるのも、
    俺の家族が人殺しの家族と後ろ指を刺されることも真っ平だ!
    だから、俺の仕業だとばれない方法で鉄平を沙都子から引き離してやる!」

そして、圭一は、鉄平を陥れるための綿密な計画を立て、それを実行した。

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 06:23:52.46 ID:W1WqTcXcP

鉄平「刑事さん、だからわしは何も知らんと言うちょるやろ!」

大石「でもね、北条さん犯人はあなた以外考えられないんですよ。
   いい加減に自白したほうが得だと思いますけどねえ」

鉄平「だから、知らんもんは知らんね!」

大石「いいですか?もう一度事件を整理してみましょうか。
   あの日、あなたは、鹿骨鉄道の路線バスに乗っていました。
   そして、あなたが乗車したとき、乗客はあなた意外に三人いましたが、
   三人とも興宮駅のバス停で下車しました。
   そして、バス内にあなたと運転手を乗せてバスはバス停を走り去ったと、
   この三人は証言しています。その後です。事件が起こるのは。
   しばらく走った後バスが電柱に衝突しました。
   事故の知らせを聞いて駆けつけ来た警官が、バスの内部を調べると、
   何か鋭利な刃物で切断さたバスの運転手の首と首のない胴体を発見します。
   このようなことは電柱にぶつかった事故が原因では起こりえません。
   あなたが運転手の首を刃物で切り落とし、それが原因で事故にあったと、
   我々は考えています」

鉄平「だから、わしは、あの日はなぜか眠くて
   バスの中ではずっと寝てしもうたから何も知らんね!それに、わしが犯人とは限らんやろ。
   三人を下ろした後、別の人間がその後乗り込んできて運転手の首を切り落としたかも知れんからね。」

大石「残念ながら、それはありません。興宮駅のバス停から事故現場までの間にバス停はないし、
   あの時、あのバスの後ろにはしばらく前から乗用車がついていたんです。
   その乗用車の運転手の証言によればバスは興宮駅で三人を降ろしてから、
   事故にあうまで、一度も停車していないそうです。」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 06:42:31.46 ID:W1WqTcXcP

鉄平「うーん、そうか。
   なら、その三人が嘘をついてるんやろ。
   そいつらは実は四人組で三人が下車したあとも一人はそのままバスに乗っていた。
   そしてそいつが殺人を実行したのや!」

大石「それも考えがたいですねえ。
   その三人についても我々が念入りに調べたのですが、
   その三人自体に面識はないし、また、運転手を殺すめぼしいメリットも無いんですよ」

鉄平「メリットが無いのもわしも一緒や!あんなバスの運転手に知り合いなんておらんからね!」

大石「えぇ、あなたと運転手に直接的な関係はありません。
   しかしですね。あなた…借金がありましたよね?」

鉄平「は?」

大石「嫌ね、あなたがバスの乗車賃を目当てに強盗を企てるって事も考えられなくはないですよね」

鉄平「なんね!それは!人のことを強盗扱いしよってからに!
   ほんま、調子こいてるとゆるさへんぞ!知らんもんは知らんね!」

大石「まあまあ、落ち着いてください。考えてもみてくださいよ。
    あなたには動機が無くもない。
    なおかつ、運転手が殺害されて時、あのバスは言ってみれば運転手とあなたの二人だけの
    走る密室だったわけですよ。
    犯行が可能なのはあなたしかいなかったわけです。
    いい加減に自白してくださいよ」

鉄平「何度言えばわかるんね!何も知らん!」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 07:02:29.96 ID:W1WqTcXcP

鉄平(しかし、この刑事は、なんでこれほどわしに自白させようと必死なんや?
   刑事の話によれば、確かにわし以外に犯行が可能なようには思えんようだが、
   ここまで自白にこだわるということは、この刑事もまだ犯人がわしだと決めかねてるようやな。
   しかしなんでやろ…?………そうか、わかった。)

鉄平「刑事さん、一つ質問いいか?」

大石「…どうぞ」

鉄平「仮にやで、あくまでも仮にわしが犯人とすると、
   言ったいわしは何で運転手の首を切断したんね?」

大石「…ぐっっ!」

鉄平「ははは、やーっぱり凶器が見つかってないようやね。
   おかしいと思ったんや。何か鋭利な刃物で運転手の首が
   切断されたとは言っても凶器の話がでって来なかったからね。
   どうやら、この事件はさっき刑事さんが言った
   わしにしかできない犯行ではなく、わしにもできない犯行のみたいなようやな。
   いくらわしでも素手で人の首を切ることはできんからな」

大石(くぅっ…こいつ、以外に知恵が回る。我々が凶器の特定ができていないことがばれてしまった。
   犯人は絶対にこいつで間違いない。凶器さえ凶器さえ見つかれば、
   こいつを逮捕できるのにっ!)

鉄平「もうええやろ。じゃっ疑いは晴れたようやしワシは帰るからね」

大石「ちょっちょっと待ってください」

鉄平「なんね?任意やろ?」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 07:07:39.99 ID:W1WqTcXcP

大石「くっ…えぇ、どうぞお帰りください」

鉄平「凶器が発見されたらまた呼んでくれや」

鉄平は取調室から出て行った。

大石(奴が犯人なのは間違いない!後は後は凶器だけなんだ!糞っ!)

ドン!と大石が取調室の机をたたいた。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 07:29:11.27 ID:W1WqTcXcP

圭一(ふふっ…これで、鉄平も逮捕されて沙都子に近づけなくなったはずだぜ。)

レナ「圭一くん、おはようっ。今日はなんだかご機嫌だね」

圭一「おはよう、レナ。ああ、なんだか今日は沙都子も学校に来る様な気がするんだ」

レナ「本当?圭一くん」

圭一「まあ、あくまでもそんな気がするだけだけどな」

しかし、その日、授業が開始される時刻になっても沙都子は登校してこなかった。

休み時間、圭一は沙都子がやってこない理由を考えていた。

圭一(なんで、沙都子は学校に来ないんだ?鉄平は逮捕されなかったのか?
    そんなはずは無い。やつは警察に逮捕されるはずだ。
    それとも病気にでもなったのか?どうしてだ?)

レナ「圭一くん、どうしたの?さっきから難しい顔して。」

圭一「はっ、いやなんで無い。」

レナ「なんでもないならいいけど…。なんか今日は魅ぃちゃんも元気なくて心配…。」

圭一「そういえばそうだな。ちょっと元気付けてみるか。レナ。」

レナ「うん。」

圭一「おーい、魅音どうしたんだ?今日なんか暗いぞ」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 07:51:33.95 ID:W1WqTcXcP

魅音「あぁ、圭ちゃん、レナ。
   あのさあバスの運転手が首を切断されて殺された事件知ってる?」

圭一「…えっ?」

レナ「あぁ、そういえば新聞で読んだよ。
   昨日、興宮で起きた事件だよね。
   こんな身近なところで殺人事件が起きるなんて信じられないよ」

魅音「そうそれそれ。あとで、知恵先生からも話があると思うけど、
    実はさあ、あの事件の被害者の運転手ってさあ、
    今日、沙都子の他に休んだ女の子いるでしょ。
    その子のお父さんなんだよ。
    それで明日、私が生徒代表でその子の家のお葬式に参加することになったんだけど、
     あの子が悲しんでる姿を見たくなくてさ…。それで、今日は沈んでたんだ。
     二人とも心配かけてごめんね」

圭一「うっ…嘘だろ…?」

レナ「どっ、どうしたのっ!圭一くん、顔、真っ青だよ!大丈夫っ!」

魅音「だっ、大丈夫、圭ちゃんっ!」

圭一(お、俺、とんでもないことしちまったよ。
   少しでも自分が疑われない方法で沙都子から、鉄平を引き剥がす。
   鉄平を殺したんじゃ、沙都子を助けようとしていた俺にも疑いがかかるかもしれない。
   そう思ったから、俺は…俺は鉄平を殺すんじゃなくて、自分とは一切関係の無い赤の他人を殺して、
   鉄平を殺人犯に仕立て上げようと思ったんだ。そうすれば沙都子を助けることができるって思った。
   だけど、俺、沙都子を助けるために頭がいっぱいだった!俺がやったことは立派な殺人じゃないかよ!
   しかも、何の罪も無い人を殺しちまった!!俺はっ!俺はぁぁぁぁぁっ!!どうすりゃいいんだっ!!)

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 08:15:06.25 ID:W1WqTcXcP

魅音「もういい!死ぬ!」

圭一「俺も!」

レナ「私も!」

                                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                                d⌒) ./| _ノ  __ノ


80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 09:44:57.17 ID:W1WqTcXcP

梨花の家の沙都子

苦痛とは何か、知っているつもりになってはいないだろうか?
魅音に聞いてみるといい。彼女は知っている。というか知ったつもりになっている。
彼女は幼い頃に背中一面に鬼の入れ墨を強制的に入れられたのだ。
長時間、背中の皮膚に墨を刺していくことによる激痛に耐え、
背中一面に入れ墨を入れ終えてからも、数日間高熱に苦しんだのだそうだ。
魅音はそれが苦痛だという。
結局のところ苦痛というものが何もわかっていないのだ。

レナは魅音よりも少しだけ苦痛を知っている。
彼女はある夏の暑い日の学校のプール倉庫にて悲劇に見舞われた。
彼女が心許せる友人だと信じていた男子生徒たちが、
荒い息吐き、情欲に満ちた表情で代わる代わる彼女の上で腰を振り彼女を犯したのだ。
気が付くと彼女は金属バットで自身を強姦した男子生徒を滅多打ちにし、
学校中のガラスをバットで割って回っていた。
レナが魅音より少しだけ苦痛について理解できているというはこれが理由なのだ。
たとえ、普段は記憶を封印していようとも、時には笑い何不自由なく日常生活を送っていようとも。
レナは苦痛が単なる痛覚ではないことを知っている。
苦痛は肉体への侵害ばかりではなく内へ作用することもあると知っている。
つまり、何かを見ることによって苦痛を覚えることもある。
それがもっとも残酷で、もっとも純粋な苦痛だ。
肉体に対する拷問は痛みが高まると昏睡という逃避があるが、これに逃避など無い。
苦痛を目にし、苦痛を取り入れると、人は苦痛になってしまう。
肉体に寄生した白い蛆虫たちは、肉をむさぼり、成長して腸を満たす、
そしてとうとう、ある朝、咳き込んだ拍子に口からそいつらが飛び出してくる。

やはり彼女たちには苦痛が理解できていない。完全には。レナは少しは知っているのだが。

だが、私は理解している。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/27(土) 09:52:52.95 ID:W1WqTcXcP

私は長いあいだ、苦痛とともに生きてきたのだ。
考えてみればあれが起きたとき、私たちは皆子供だった。
ただの洟垂れ小僧だったのだ。
あの頃の私と現在の私が同一人物だとは信じがたい。
いまでも昭和50年代のあの奇妙な抑圧と秘密とヒステリーの時代をよく思い出す。
現在の私は年に2000万円以上稼ぐ成功者であり、
友人に囲まれ何不自由無く暮らしている。

だが昭和58年のあの夏、レナと魅音そのほかの私たちが、
沙都子と梨花に出会ってから私の人生は何一つうまくいっていないのだ。



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