28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/28(火) 19:39:37.61 ID:0A9efqDw0
キョン「そうだな、今日は皆帰っちまったしとりあえず部室にきてもらおうか」
国木田「…うん」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/28(火) 20:04:54.62 ID:0A9efqDw0
キョン「そうだな、じゃあまずはこれを着てみてくれ」
国木田「これは…メイド服…?」
キョン「ああ、朝比奈さんが着てるやつなんだが国木田も似合うんじゃないかと思ってな」
国木田「着なきゃ、ダメ?」
キョン「どうなるかわかってるだろ?」
国木田「わかった…」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/28(火) 20:57:23.75 ID:0A9efqDw0
国木田「ねえキョン、胸のところがぶかぶかだよぉ…」
キョン「い、いや、その、なんだ…すごく似合ってると思うぞ」
国木田「ほ、ほんと?へへ…」
キョン「…なんだかんだでノリノリだな」
国木田「そ、そんなことないよ!しゃ、写真があるから仕方なく…あっ」ぽろり
キョン「!!お、おい、早く、そ、その、前を隠すんだ」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/28(火) 23:13:16.79 ID:0A9efqDw0
国木田(どうしよう、キョンに…その…裸…)
キョン(どうして妙に色気があるんだあいつは…本当に男かよ…)
二人「あ、あのさ…」
国木田「きょ、キョンからいいよ、先に…」
キョン「く、国木田こそ先に言ってくれよ、俺のはたいしたことじゃないんだ」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/28(火) 23:16:39.23 ID:0A9efqDw0
国木田「キョンってさ、今好きな人とかって…いる?」
キョン「好きな人?」
国木田「うん、涼宮さんとか?それても朝比奈さん?もしかして長門さん?ねえ?ねえ?」
キョン「ちょっ、タンマ、身を乗り出しすぎだから落ち着けよ」
国木田「あ…ゴメン、つい…」
キョン「あ、いや謝るようなことじゃないんだから気にするなよ」
キョン(ああもうペースが乱されていく、しかし好きな人、か…)
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/28(火) 23:21:17.44 ID:0A9efqDw0
国木田「そ、それで一体誰なの?やっぱいつも一緒にいるし涼宮さんなのかな?」
キョン「ハルヒか?一緒にいて退屈はしないんだがなんか違うな…」
国木田「それじゃ朝比奈さん?」
キョン「朝比奈さんもあの天使のような微笑は魅力的だし好きだが恋愛感情となるとなんともいえんな」
国木田「わかった、長門さんでしょ?」
キョン「長門もすごくいいやつなんだがあいつは恋愛ッテ」ガラじゃないだろ」
国木田「じゃあまさかの佐々木さん?」
キョン「あいつとはそんなんじゃないってよくしってるだろ?」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/28(火) 23:24:17.52 ID:0A9efqDw0
国木田「それじゃ…うんと…うんと…」
キョン「なあ、そうまでして知りたいのか?」
国木田「うん、すごく知りたい」
キョン「そこまでムキになるなんて珍しいな」
国木田「そ、そうかな…?こういう僕は…嫌?」
キョン「い、嫌なんてことはないぞ?いつもより饒舌だから少し驚いたけどな」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/28(火) 23:49:21.43 ID:0A9efqDw0
国木田「だってキョンさ、高校に入学してからは涼宮さん達とばっかり絡んで僕や谷口は置き去りじゃないか」
キョン「言われてみれば…そうだったかもしれんな」
国木田「僕結構寂しかったんだよ?」
キョン「すまん、疎遠になるつもりはなかったんだが確かに中学時代と比べると会話減ってるもんな」
国木田「だからね、久しぶりにキョンとじっくり話せてうれしいんだよ」
キョン「国木田…」
国木田「その…キッカケは、ね?ちょ、ちょっと恥ずかしいことだったけど…」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 00:01:09.13 ID:cPiYQySa0
キョン(国木田のオナニー思い出しちまった…話題を変えなければ顔を直視できん、よし)
キョン「俺も久しぶりにこんなに生き生きした国木田を見られてうれしいよ」
国木田「ほんと!?うれしいなぁ、へへ…」
キョン「お前本当にかわいいやつだよな」
国木田「えっ?も、もしかしてかわいい、っていったの?」
キョン「ああ、かわいいと思うぞ、ハルヒもそんなこと言ってたっけな」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 00:09:28.83 ID:cPiYQySa0
国木田「そう…涼宮さんが…」
キョン「ああ、あいつ国木田に女装させたいってぼやいてたぜ…まあ俺が一足先に拝んじまったわけだがな、ハハ」
国木田「ねえ、やっぱキョンは涼宮さんのこと好きなんじゃないの?」
キョン「?」
国木田「キョンが僕と部室にきて初めて笑ったのは今だよ?僕と話してて本当に楽しかったの?」
キョン「何言ってるんだよ、楽しくないわけないだろ?俺達は中学時代からの友達じゃないか」
国木田「友達、か…」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 00:19:46.80 ID:cPiYQySa0
キョン「国木田も谷口も大事な友達だし、ハルヒだって大事な友達だ」
国木田「…ねえキョン?今だけは中学時代にもどれないかな?」
キョン「どういうことだ?」
国木田「今は涼宮さんたちのことは忘れて、僕を見てよ」
国木田「せっかくキョンと二人っきりなのに僕の知らないことばっかり…キョンがどこか遠くに行っちゃったみたいで寂しいんだ」
キョン「すまん、キッカケがその、オナニーだったせいで国木田から目をそらしてたのかもしれんな」
国木田「それは忘れてていーの!もう…」
キョン「すまんすまん、ハハ」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 00:27:32.77 ID:cPiYQySa0
国木田「あっ、笑ってくれたぁ」
キョン(こいつこんなにかわいい笑顔だったっけ…?朝比奈さんに勝るとも、って今さっき忘れてって言われたばかりじゃないかまったく)
キョン「ところで国木田には好きな人とかいるのか?」
国木田「えっ?ぼ、僕?」
キョン「教室であんなことしてたくらいだからうちのクラスで間違いないとみた、違うか?」
国木田「えっと…違わないよ」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 00:35:15.44 ID:cPiYQySa0
キョン「わかった、隣の席だし朝倉だろ?」
国木田「キョンじゃ絶対に当てられないと思うなー」
キョン「んー、阪中とか?」
国木田「んーん、違う」
キョン「谷口だったりしてな、ハハ」
国木田「そ、そんなわけないじゃないか!!」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 00:49:25.24 ID:cPiYQySa0
キョン「す、すまん…流石に谷口なわけはないよな」
国木田「そうだよ、まったくキョンってば」
キョン「ふくれっ面もかわいいな」
国木田「え?キョン?」
キョン「何口走ってるんだ俺、心の声が思わず外に、いや落ち着け俺よまず深呼吸だ」
国木田「なんか今のキョン、かわいいね」
キョン「へ?かわいいなんて生まれてこの方言われたことなかったんだが…」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 00:55:49.22 ID:cPiYQySa0
国木田「かわいいよ、いつも見られないキョンだから余計にかわいいや」
キョン「そういって好きな人の話誤魔化すつもりだろ、そうは問屋がおろさない、ってな」
国木田「あ、半分そのつもりだったのに…てへ」
キョン(うちの妹以外がやったら明らかに痛いと思ってたのに様になりすぎてる…)
国木田「じゃあヒントね!」
キョン「ん?おお、よしこい」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 01:18:56.06 ID:cPiYQySa0
国木田「まず僕と同じクラスっていうのはいいよね?」
キョン「ああ」
国木田「実は席も近くなんだ」
キョン「ふむ」
国木田「そしてキョンが予想もしないような人、わかるかな?」
キョン「予想もしない?んーわからん…」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 01:34:09.14 ID:cPiYQySa0
国木田「僕はね、ずっとずっとその人だけを見てきたんだ、叶わぬ恋だってわかってるのにね」
キョン「そんなに好きなのか、相談してくれればよかったのに」
国木田「谷口にはそれはいくらお前でも無理だと思うぜ、ってダメだしされたから僕の心にしまっておこうと思ってキョンには言わなかったんだ」
キョン「ちょっと寂しい気もするが…国木田みたいに整った顔してて性格もいいやつが無理だなんてどんな高嶺の花なんだ?」
国木田「どんなに頑張っても手の届かない人だよ、世界が拒むのさ」
キョン「んー…どんなやつかくらいは教えてくれないか?」
国木田「大人びてて、あ、年寄りくさいのかな?ふふ、あといつも嫌々ながらも最後には一緒になって頑張ってくれてすごく頼りになる人なんだ」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 01:55:18.15 ID:cPiYQySa0
キョン「そいつのこと本当に好きなんだな、なんか輝いててそいつが羨ましいくらいだ」
国木田「…」
キョン「なんでお前が赤くなる」
国木田「僕のこと…どう思ってる?教室でお、オナニーも見られちゃったし嫌いになってたりしない?」
キョン「えらく唐突だな、俺が国木田のことを嫌いになるわけないだろ」
国木田「僕その人のこと考えてその、してたからさ、キョンが考えてる程純粋なんかじゃないんだよ?」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 02:10:21.09 ID:cPiYQySa0
キョン「人間なんだしそんなこともあるだろ、どんなことしてたって国木田は国木田で俺の大事な友達だ」
国木田「キョン…ありがとう…、でもとても撮影までして僕をここに連れてきた人間とは思えない発言だね、ふふ」
キョン「たしかにな、こっそり撮影とかいったい何をやってたんだ俺は」
国木田「実は僕のこと好きなんでしょー」
キョン「な、何言ってるんだ全く…」
国木田「そんあこと言っちゃって、顔赤いよ?」
キョン「ば、馬鹿な、そんなはずがって笑うなっ、見るな!」
国木田(初めて見た、こんなかわいいキョン…もう我慢できない、打ち明けたいよ…)
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 02:15:00.89 ID:cPiYQySa0
国木田「よし、決めた!」
キョン「な、何をだ?」
国木田「今から僕が言うことを真剣に、目をそらさないで聞いて欲しいんだ」
キョン「わかった、準備はオーケーだ」
キョン(教えてくれる気になったのか?聞きたいような聞きたくないような…俺、まさか…いや、まさかな)
国木田「じゃあいい?言うよ?」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 02:19:23.73 ID:cPiYQySa0
キョン(一体なんなんだこの間は、国木田も偉く真剣だし…でもいつも見ないきりっとしたこいつもそれはそれで…って違う違う)
国木田「僕はキョンのことが好きだ」
キョン「なるほど、キョンが好きだったのか…って、え?」
国木田「キョン、君のことが好きなんだ」
キョン「好きって、俺達男で友達でクラスメートで…ええ?」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 02:24:41.97 ID:cPiYQySa0
国木田「中学の入学式で初めて見たときに一瞬で、その…恋におちたんだ」
国木田「そのあとすぐに仲良くなった谷口とキョン、君の話をしたら仲を取り持ってくれてね」
キョン「そんな前からずっと俺を…?」
国木田「うん…谷口も中学のときに打ち明けたら応援してくれて、今でも協力しようと頑張ってくれてて…」
国木田「無理だ、とはいいつつもカマかけてくれたり遊ぶ機会つくってくれたり、お世話になりっぱなし」
キョン「本気、なのか?」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 02:27:09.87 ID:cPiYQySa0
国木田「もちろんだよ、このことで今までの関係が崩れても、もう僕は谷口に甘えっぱなしでもいられないし我慢もできないんだ」
キョン「…」
国木田「やっぱり無理、だよね…ハハ、ごめんねキョン…」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 02:35:47.14 ID:cPiYQySa0
国木田(どうしよう、もう泣きそう…キョンの前で泣くのだけは避けなくちゃ…)
キョン「なあ国木田」
国木田「え?」
次の瞬間感じたのは大きな胸、鼓動、暖かい、愛しの彼の体
壊れそうなくらいに抱きしめられた僕と、慈しむように抱きしめる彼と
世界は僕達ふたりのまわりだけ進むのをやめた
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/10/29(水) 02:43:24.83 ID:cPiYQySa0
国木田「え?キョン?」
キョン「俺みたいなやつを好きっていってくれてありがとうな」
キョン「懐かしいことを思い出したよ、あれは中学に入ったばかりの頃だが実を言うと俺も国木田のことが気になってた」
国木田「…うれしいな」
キョン「だから大人ぶってた俺にしては珍しく積極的に話しかけたりしたし、遊びに行ったりもした…国木田…」
国木田「…」
キョン「思えばあれが俺の初恋だったのかもしれない」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 02:47:10.83 ID:cPiYQySa0
キョン「お前に告白されてやっと気付くことができたよ、俺も国木田のことが、その…す、好きだ」
国木田「ほ、ほんとに?夢じゃないよね?ほんとのほんと?」
キョン「涙目上目遣いで俺の目をのぞきこむな、なんてーか、萌えるっていうのか?」
国木田「キョンのこと考えてお、オナニーしちゃうような人間だけどそれでもいいの?」
キョン「さっきもいっただろ?どんなことをしても国木田は国木田、俺の大事な人だって」
国木田「大事な…人…うれしいよキョン!」
キョン「うわ、倒れる、飛びつくなって」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 02:50:23.05 ID:cPiYQySa0
国木田「じゃあさ、その…好きって証拠にキス、してほしいな…」
キョン(この潤んだ瞳に見つめられて誰が断ることが出来ようか、いや、出来ない、反語)
国木田「やっぱり…嫌?」
キョン「俺、キスとかしたことないけどいいのか?」
国木田「僕だって初めてだよ、ちょっと恥ずかしいね…」
キョン「それじゃ、い、いくぞ?」
国木田「うん…」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 02:54:24.70 ID:cPiYQySa0
谷口「こんなところにいたのか国木田、わざわざGPSで…ってええ!?ご、ごゆっくりぃ…」
二人「ぷっ、あはははははは」
キョン「結局あいつは立役者なのか邪魔者なのかわかんねーな」
国木田「むしろそこがいいところなのかもね」
キョン「今日は帰ろうか、国木田」
国木田「うん!」
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 03:01:01.76 ID:cPiYQySa0
進んだような、進まないような、そんなもどかしい僕達の恋は終わりを告げたのだろうか。
翌日には彼はというと赤い顔をして団長様とこっちを見比べてはため息をつく。
谷口はバツが悪そうにご機嫌とり半分、興味半分で僕に話しかけてくる。
それでも昨日感じた鼓動は今もまだ僕の中に刻み込まれている。
そして網膜に焼きついた、つながっている大きな影と小さな影。
友達以上恋人未満くらいにはなれたんだろう、そう思うと思わず口元が緩む僕を見て彼も微笑む。
さあ今日も一日、いい日になりそうな予感がしてきた。
彼と一緒だったらどんな世界でもやっていける気がする、もちろん谷口もね。
「涼宮さんには負けないからね!」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/10/29(水) 03:08:57.16 ID:cPiYQySa0
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107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 03:12:56.49 ID:cPiYQySa0
乗っ取り、暴走、遅筆、文才無し、読んでくれた方本当にありがとう。
SS初挑戦だから許してね。
セリフのみの文体に限界を感じて妥協したとこは正直スマンカッタ。
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 11:51:46.42 ID:cPiYQySa0
『なあ、あの子可愛くないか?』
『フリフリしてて珍しいかっこしてるよな、似合ってるけど』
『ねえねえ、ゴスロリってやつだよー?かわいいー』
…周りからの好奇の視線が、痛い。
今日は憧れの初デート、彼を驚かそうと女装して行くことに決めた。
今までとは違う、ということを彼に意識させたかった気持ちもある。
「だからって、なんでこんな服…谷口のばか…」
そう、属にいうゴシック衣装に身をつつむ男の娘がひとり、喫茶店にいたわけだ。
一体どこからこんな服を調達してきたのだろうか。
キス直前のシーンを見られてからというものやけに谷口が尽くしてくれるのは有難かった。
しかし『きっと似合うと思うぜ』なんていってこの服を持ってきたときは…流石にちょっぴし引いた。
「はやくきてよぅ、キョン〜」
ほんのりため息をつくと、はしゃぎすぎて1時間前に待ち合わせ場所に着いたことを恨めしく思う。
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 11:57:39.70 ID:cPiYQySa0
カランカラン。
入り口の鈴がなると、珍しく緊張した面持ちの彼が僕を見つけて紅潮する。
「よう、待たせて悪かったな」
「30分前はキョンにしてはすごいほうだと思うよ」
「その、着ていく服とかいろいろ迷っちまってな、どれくらい待った?」
「今来たところだから気にしないで」
「そうか、ならいいんだが…それにしても、なんだ、か、かわいなそのかっこ」
ああーもう、来て早々不意打ちだなんてずるいよキョンは。
思わず赤面して俯く。
通りすがりの人に感想を言われたことも恥ずかしかったが、今キョンにかわいいといってもらえたことのほうが何倍も勝る。
でも…
「…うれしい」
素直にうれしかった、谷口のやつ、やるじゃないか。
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 12:08:54.81 ID:cPiYQySa0
短い沈黙をやぶって彼が言う。
「さて、予定よりも早いけれどどうしようか」
僕は思わず発しそうになった『キョンと一緒にいられることが幸せなんだけどな』、という言葉を飲み込み、
「まずはゆっくりコーヒーでも飲もうよ、まだ今日は長いんだから」
逸る気持ちを抑えながらなんとかこの言葉を搾り出す。
「そうだな、実は国木田には内緒で映画のチケットを予約してあるんだ」
そうか、君も僕にサプライズ用意してくれていたわけか、こういうちょっとした優しさや気配りが出来るところも僕の惚れた人のいいところ。
思わず緩む口元を抑えきれない僕に一言、
「やっぱり笑うとすげーかわいいな」
そんなことをいってはにかむ君のほうがかわいいことには僕しか気付かないだろう。
学校でも翌日は気まずい空気が少しだけ流れはしたが、今は前以上に仲良くなって新しい彼を沢山見つけられた。
そんな発見を重ねていけることの幸せを今まで独占していたのかと思うとちょっとだけ涼宮さんが恨めしい。
でも今の彼は僕だけを見てくれている、その事実だけで十分なのだ。
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 12:18:48.30 ID:cPiYQySa0
突如として、考え事をしながらにやける僕を彼の発した言葉が現実に引き戻す。
「国木田、悪いが俺と席を替わってくれないか?」
「え?うん、いいけど…」
席が替わって少しの間、いまいち納得していない僕に彼が語りかける。
「その、窓越しにだな、ずっと他の男とか通りすがりのやつが国木田を見つめるから、な?」
頭をかきながらそ俯いて一言。
知り合ったばかりの頃はもっと淡白な人間なんだろうと思っていたが、そんなことは決してなかった。
「やきもち焼いてくれたんだ?」
ちょっといじわるな質問かな?どんな反応を見せるか楽しみで仕方ない。
案の定彼は含んでいた水を軽く吹き出してむせた。
激しい席と動揺の後一言だけ
「…ああ」
とつぶやくとそっぽを向いてしまう。
そんな彼を愛おしいと感じてしまうと同時に僕の恋愛感情、愛情、慕情、すべて彼によるものだと改めて思う。
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 12:28:19.74 ID:cPiYQySa0
「さて、そろそろ行くか」
照れ隠しに咳払いを一つすると席から立ち上がり僕を促す。
会計で少しもめたが彼がお札を崩したい、と強く申し出たのを断ることが出来なかった。
よくある初々しいカップルみたいだな、なんて思ったら頬が熱くなる。
「じゃあ映画館に向かおうか?」
「あ、ちょっと待って!」
「ん?どうした?」
とぼけようっていったってそうはいかないんだよ、ふふん。
「手、繋ぎたいな…」
一瞬硬直する彼、そして機械のようにギクシャクと僕に手を差し出す。
これがあの日僕の行為をネタに部室でメイド服を着せた男と同じ人間とは思えない。
それでも、僕を意識してくれているのだと思うと不思議と、渋る彼も面白い。
126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 13:08:38.06 ID:cPiYQySa0
左手はポケットに、右手は僕の手を取って歩き始める彼。
ちゃんと車道側を選ぶあたり勉強してきたのだろうか?
パソコンに向かいあって必死に『初デート マナー』なんて調べてる彼を想像したら思わず吹き出してしまった。
「な、なんだなんだ?」
頭に疑問符を浮かべる彼に元気よく
「なんでもないよっ!」
そういうと彼の手を引いて走り出す。
うん、すごくいい天気。
今日もいい一日になる予感がする。
キョンと二人だけの一日、素晴らしい響きじゃないか。
どんな映画なのかな?
映画見た後は何するのかな?
今日は一日中大丈夫なんだけどな?
いろんな思いが僕の中で飛び交う。
きっとキョンもあれこれ考えているに違いない。
130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 13:35:21.38 ID:cPiYQySa0
考え事をしつつ、談笑しつつ、気付けばあっという間に映画館についていた。
恋人としてみてくれた証であろうか、彼のセレクトした映画は恋愛モノ。
普段なら冗長で見るのも面倒なものなのに、なぜか今日はすんなり見られる。
世界が変わったから、だろうか。
偶然にしろ僕の世界はキョンと谷口によって180度変わった。
役者がキスするシーンを見てあの日のことを思い出す。
このあと僕達もこんなふうになるのかな?
淡い期待を秘めながら彼の横顔を見る。
今日はまだ長い、じっくり攻めよう。
これから国木田とキョンがどうなるのかは二人しかしらない。
131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 13:37:32.55 ID:cPiYQySa0
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138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/10/29(水) 17:36:00.68 ID:cPiYQySa0
ここはどこなんだろうか。
明るくもなく、かといって暗いわけでもない不思議な空間。
腰掛けているのは…大きなベッドか?
シャワーの音が聞こえる。
落ち着け、まず何があったか思いだすんだ。
国木田と映画を見に行ったあとやけに艶っぽくなった国木田にドキドキしつつ歩いてきたんだよな?
で、街中を談笑しながrあふらふらしてたら暗くなってきた。
ここまではオーケイだ。
確かやけにネオンが眩しい方向へ引っ張られてきたのと、すれ違う人の視線だけは覚えているんだが…。
ここはまさか…
「あがったよ、キョン、次どうぞ」
あとはまかせた