1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 00:55:33.58 ID:qOTLcqtdO
やれやれ、また俺のおごりか…。
ハルヒ『当然よ!嫌なら遅刻しないようにすればいいだけの話じゃない』
だから遅刻じゃないと何度言えばわかるんだよ。
一体何分前に来ればお前より先に集合できるんだ。
古泉『ふふ、迎えに行って差し上げればいかがですか?』
ハルヒ『あ、それ名案ね!キョン、明日から私を迎えに来なさいよ。それなら奢りは免れるわよ』
おいおい、勘弁してくれ…。
俺は他人の世話を焼けるほど朝に強くないんでね。
それなら古泉、お前が俺を迎えに来い。そして俺より遅く到着すればこの問題は解決するんだがな。
古泉『ふふ、僕で良ければ喜んでお迎えにあがりましょう』
いや、取り消すよ…そんなに残念そうな顔をするな気色悪い。
長門も『なら私が』って、そういう問題じゃないんだ。
ほら、とっとと行くぞ。俺も腹減ってるんだ。
ウィーン
店員「いらっしゃいま……せ……」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 00:59:54.35 ID:qOTLcqtdO
やぁ店員さん、毎度ご迷惑をおかけしてすみませんね。
と言いつつも今日もまた大声で怒鳴りちらすであろうハルヒを連れて来た俺が言えた立場ではないが。
やれやれ、店員さんの迷惑そうな視線が痛い…。
で、ハルヒ。なんにするんだ?頼むから常識の範囲内にしてくれよ?
ハルヒ『んーとね…じゃあチョコレートファジパフェとチーズケーキと、パスタも食べたいわ』
お前は日本語がわからないのか、はたまた俺の言うことを聞く気がないのかどっちだ?
後者ならば今後のお前への接し方を改めなきゃいかん。
ああ、長門。別に遠慮しろって言ってるわけじゃないからな?
好きなだけ頼めばいいさ。いつも世話になってるお礼だ。
長門『そう』
そう言って長門は次々とメニューを指差す。
ふむ、それにいちいち頷いて甘やかしてる俺が悪いわけじゃない。
長門の高スペックを維持するには必要なエネルギーなんだろうよ。
みくる『わ、私はコーヒーで…』
古泉『僕もそれでお願いします。朝食は済ませてきたので』
遠慮しないでくださいよ、朝比奈さん。あなたのためならば俺の数少ないお札たちも喜んで財布から飛び出すでしょう。
古泉、お前はそれでいい。
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 01:01:34.50 ID:qOTLcqtdO
すみませーん。注文良いですか?
このチョコパフェとチーズケーキ、ナポリタンに、サンドイッチ、カルボナーラピザ、コーヒー3つ、ミックスジュース、それからアップルティーをください。
…やれやれだ。何故いつも全部注文するのが俺なのか。
店員「あの…以上で?」
まるで食べ切れるんですか?とでも言いたげな表情で俺達を見つめる店員。
心配しないで下さい。胃袋が大宇宙な女の子が少なくとも二人は居ますから。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 01:03:11.91 ID:qOTLcqtdO
ハルヒよ、そんなどーでもいいような話に眼を輝かせてないで、早く食え。
長門もだ。ハルヒの空想話に興味あるのはわかるが、早く食べなさい。
長門『わかった』
うん、良い返事だな。よしよし。と頭を撫でてやりたい所だがそうもいかん。
そんな事をしようもんなら目の前に座る鬼姫が眉を吊り上げるのは目に見えてるからな。
ハルヒ『さぁ!くじ引いて!そろそろ行くわよ』
おい、全然食べてないじゃないか…って、言うだけ無駄か。
こいつの気まぐれは今に始まった事じゃないしな。
ん?珍しいな、長門も食べてないじゃないか。
やれやれ…頼むだけ頼んで残すとは。
こいつらは俺の財布をなんだと思っているのだろうか。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 01:04:38.80 ID:qOTLcqtdO
店員「お会計が3260円になります…」
店員さんが哀れみの目で俺を見る。…毎回おごらされてるの見てるから当然か。
すみませんね店員さん、今日は皆食欲なかったみたいで残しちゃったんですよ。
店員「いえ…」
味が悪いとかじゃ全然ないんで。俺はここのお店の味好きですよ。
じゃあ失礼します。また来ますね。
店員「ありがとうございましたぁ…」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 01:07:37.29 ID:qOTLcqtdO
店長「また来たのか、あの男の子」
店員「はい。私…あの人がかわいそう過ぎて…」ポロポロ
店長「そうだな…ちょっと前までは5人くらいで来てたのに」
店員「…あんなに注文して…。きっとあの人にはまだお友達が見えてるんでしょうね」
店長「…うん。次から、あの子が食べた分だけお代頂いたらいいよ」
店員「…わかりました。今日もまた『皆食欲ないから』って言ってましたよ…」
店長「…いつまでも全員分の飲食代なんて、高校生には払えないだろうしな。…席で一人で喋ってるの見て、全員分の料金なんてもらえない」
店員「…そうですね」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 01:12:46.84 ID:qOTLcqtdO
今日は珍しくハルヒとペアか。
どこ行くんだハルヒ?
ハルヒ『そうね…まずはお墓よ!』
はぁ?なんでまたそんな所に…などと聞くまでもない。
お前の頭の中では夏、幽霊、お墓という連想が生まれたんだろう。
ハルヒ『よくわかってるじゃないの!やっと団員としての自覚が出て来たかしら』
そんな自覚はさらさらない。今後出てくる予定もないしな。
罰が当たるぞ、こんな所で遊んでると。
ハルヒ『遊びじゃないわ!探索よ探索!』
谷口「お、キョン。お前も墓参りか…」
谷口?こんな所で会うとは意外だな。
誰か親族の人の墓参りか?
谷口「いや、お前と一緒の奴だよ」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 01:20:03.79 ID:qOTLcqtdO
谷口「ビックリだよな。あんな元気の塊みたいな奴がいきなり居なくなっちまうなんて」
俺と一緒の奴?
あいにく俺は墓参り目的で来てる訳じゃないんだ。
一緒に来てる奴見ればわかるだろ。
谷口「ん?誰かと来てんのか」
見ればわかるだろう。
それこそ元気の塊みたいな奴さ。周りに迷惑かけるくらいにな。
谷口「は…?」
ハルヒ『キョン!早く行くわよ!』
何だよ、なんかおかしい事言ったか?
まぁそういう事だ。じゃあお先にな。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 01:24:07.24 ID:qOTLcqtdO
谷口「…キョン、なんだってんだよ。…ショックでおかしくなっちまったのか」
国木田「あれ、谷口。来てたんだ」
谷口「よう。お前も涼宮の墓参りだろ?」
国木田「うん。さっきキョンとすれ違ったよ。何か独り言言ってたみたいだった…」
谷口「そうか…ちょっと様子がおかしかったんだ。なんか全然悲しそうじゃないっていうか…」
国木田「…独り言も『おい、腕を引っ張るな』とか言ってたし…」
谷口「…心配だな」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 01:30:08.16 ID:qOTLcqtdO
店員「いらっしゃいま…」
キョン「おい、なんで昼飯まで俺の奢りなんだ?」
店員「あの、お客様…」
キョン「あぁ、すみません。5人です」
店員「5人…ですか。畏まりました、ご案内します」
店長「…また来たのか…」
店員「…また一人で話してました。楽しそうに…昼飯も奢りだとかで」
店長「ちゃんと彼が食べた分だけのお代だけ頂くようにな」
店員「わかってます…」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 01:39:35.77 ID:qOTLcqtdO
キョン「すみませんねぇ…連れが食欲ないみたいなんです」
店員「そうなんですかぁ…お会計は800円です」
キョン「え?あの、もっと頼んだ筈なんですが…」
店長「いえいえ。全く手を付けられていないのにお代はいただけません」
キョン「そんな。残したのはこちらの勝手ですから…払いますよ」
店長「良いんですよ。食欲がない時は誰にでもありますから。また是非ご来店下さいね」
キョン「…すみません、お言葉に甘えます」
店長「はい、どうぞ。ありがとうございました!」
店員「ありがとうございましたぁ…」
店員「ねぇ、店長…あの人、ぶつぶつ文句言ってたけど、幸せそうでしたね」
店長「…そうかもなぁ…。でも、会計の時泣いてたよ…」
店員「そうだったんですか?気付かなかったですね…」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 07:41:04.04 ID:qOTLcqtdO
キョン「今日も図書館か?」
キョン「別に構わないさ。俺だってどこに行きたい訳じゃないからな」
キョン「ところで長門…お前、体調悪いのか?」
キョン「いや、最近ずっと食欲ないだろ?前みたいに誰かから攻撃されてんじゃないかと思ってな」
キョン「大丈夫なら良いんだ。ただ心配だっただけだからな」
佐々木「あれは…キョン?」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 07:46:03.39 ID:qOTLcqtdO
佐々木「やぁキョン、しばらくぶりだね」
キョン「おう佐々木。お前も図書館か」
佐々木「ううん、僕はたまたま通りかかっただけだよ。君こそ一人で図書館とは…珍しい事もあるものだ」
キョン「俺が図書館に来るのがそんなに珍しいか…。まぁそれはいい、今日は一人じゃないんだ」
佐々木「ほう?誰の付き添いかな」
キョン「長門だよ長門。一度会ったから知ってるだろ?」
佐々木「…え?」
キョン「あいつが読書好きなもんでな。実はハルヒの探索中なんだが、いわゆるサボタージュだ」
佐々木「長門さん…涼宮さん…?」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 07:53:34.05 ID:qOTLcqtdO
佐々木「おいキョン。何を言ってるんだ!」
キョン「ん?」
佐々木「つい先月じゃないか、一緒に告別式に行っただろう!?」
キョン「…誰のだ」
佐々木「キョン…覚えてないのか」
キョン「いや…覚えてる。でも…なんだ、誰の葬式だった?何か…大切な何かをなくしたような」
佐々木「…涼宮さんだろう」
キョン「…は?佐々木、何を言ってるんだよ。お前は」
佐々木「そして、涼宮さんが亡くなった直後に皆居なくなったんだろう?違ったかい」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 07:57:29.16 ID:qOTLcqtdO
キョン「佐々木。お前の話は昔から面白い。だけど、こんなたちの悪い冗談を言う奴じゃなかっただろ?」
佐々木「キョン…」
キョン「さぁ、さっさと行こう。行くか長門」
佐々木「キョン」
キョン「長門、そんなに慌てるなって。図書館は逃げないさ」
佐々木「キョン!」
キョン「なんだ、佐々木?お前も一緒に行くか?」
佐々木「キョン、ごめん」
キョン「…?」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 08:02:40.44 ID:qOTLcqtdO
trrrr
trrrr
ガチャ
佐々木「もしもし、佐々木と申します」
キョン妹「あぁ、佐々木ちゃん!キョン君出かけてるよ〜」
佐々木「そう…。ではお母さんと代わってもらえるかしら」
キョン妹「はぁーい。お母さーん、でんわー」
キョン母「もしもし、お電話代わりました」
佐々木「ご無沙汰しております、佐々木です」
キョン母「佐々木ちゃん?お久しぶりね」
佐々木「はい。あの…先程、キョン君に偶然お会いしました」
キョン母「…そう…」
佐々木「彼は…キョンは、どうしてしまったんですか…!」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 08:08:56.53 ID:qOTLcqtdO
キョン母「あの子もね…告別式の夜まではわんわん泣いて大変だったのよ」
佐々木「…はい」
キョン母「でも次の日起きて来たら…なんだかいつも通りの顔でね」
佐々木「いつも通りの…」
キョン母「それで開口1番『ハルヒたちと出掛けて来る』ってね」
佐々木「そう…だったんですか…」
キョン母「毎日お金をそれなりに持ち出してるから心配なのだけど…」
佐々木「悪い事には使っていないみたいですよ。それよりも…入院は、考えていないのですか」
キョン母「それも考えたけど…あの子がそれで幸せなら、自由にさせてやりたいのよ」
佐々木「…」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 08:12:09.44 ID:qOTLcqtdO
佐々木「ありがとうございました…」
キョン母「いいえ。わざわざありがとうね」
佐々木「とんでもないです…」
キョン母「佐々木さん。キョンをよろしくお願いします…」
佐々木「…はい」
ガチャ
ツーツーツー
佐々木「…図書館に行こう」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 10:26:39.36 ID:qOTLcqtdO
キョン「なぜ借りられないんですか?ほら、カードもここに」
係員「ですから…ご本人でないと…。カードの貸し借りは禁止ですので」
キョン「だから本人が居れば良いんでしょう?ここに!」
係員「はぁ…そうです」
キョン「じゃあ大丈夫じゃないですか?ここに長門有希本人が居るんだから。なぁ長門」グイ
係員「…」
キョン「…長門、お前からもなんとか言ってくれ」
佐々木「キョン!」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 10:31:17.55 ID:qOTLcqtdO
佐々木「すみません、少し事情がありまして…」ペコペコ
係員「いえ、その…申し訳ありません」ペコ
佐々木「…」ペコ
佐々木「さぁキョン、行こう」
キョン「佐々木?でも長門の本がまだ…」
佐々木「…今日は借りられないんだよ。また今度にしよう」
キョン「そうなのか?すまんな長門…聞いた通りだ」
キョン「ああ、今度また付き合ってやるさ」
佐々木「…」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 10:37:22.83 ID:qOTLcqtdO
キョン「ああ、そろそろ集合時間だな」
佐々木「キョン、少し話をしたいんだが」
キョン「じゃあ戻るぞ長門。遅れたらハルヒがうるさいしな」
佐々木「キョン!」
キョン「あれ、佐々木じゃないか。奇遇だな。お前も図書館か」
佐々木「キョン…話を聞いてくれないか」
キョン「ああ、別に良いんだが…ハルヒ達が待ってるんだよ」
キョン「俺が怒鳴られるのは良いんだが、長門までとばっちりを受けるのは気の毒だからな」
キョン「解散してからで良いか?」
佐々木「…わかった」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 10:42:26.01 ID:qOTLcqtdO
トテトテ
トテトテ
キョン「長門、今日は本借りられなくて残念だったな」
キョン「また来週にでも行くか?」
キョン「ハハハ、そうだな。ハルヒに見られたら厄介だ」
キョン「気にするなって。いつも世話になってるんだから、これくらい」
佐々木(…幸せそうだ…)
佐々木(キョンが幸せならば…これで良い、か)
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 10:54:39.26 ID:qOTLcqtdO
キョン「ブツブツ」
キョン「ブツブツ」
佐々木「キョン、もう探索は終わったのかい」
キョン「ん?あぁ、一応解散にはなったぞ」
佐々木「そうか。少し話をしたいのだが、良いだろうか」
キョン「良いけど、どうした?そんなに改まって」
佐々木「…改まる程の事はないか、ただの世間話さ」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 11:01:51.01 ID:qOTLcqtdO
佐々木「ずいぶんと楽しそうだね、涼宮さんの不思議探索は」
キョン「そうでもないさ。探索なんて名ばかりの暇潰しだ」
佐々木「くつくつ。割にキミは嫌々と言う訳でもなさそうだな」
キョン「嫌々って訳じゃあないがな…好きで来てる訳でもないさ。ハルヒに付き合ってるだけだ」
佐々木「素直じゃないね。じゃあ涼宮さんが居なくなったら探索もなくなる訳だ」
キョン「そうなるな。ま、あいつが失踪するなんて事は有り得ないだろうがな」
佐々木「…そうだね。僕もそう思うよ」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 11:09:27.59 ID:qOTLcqtdO
佐々木「今日はありがとう。時間を取らせてしまって済まなかったね」
キョン「ん、もう帰るのか」
佐々木「そうするよ。キミが楽しそうで安心したしね」
キョン「お前に心配されない程度には退屈しない生活を送ってるよ。お前も学校楽しめよ」
佐々木「くつくつ、そうさせてもらおう。友人も何人かできたからね」
キョン「そりゃ良い事だ。じゃあまたな」
佐々木「ああ、また」
キョン「…ブツブツ」トテトテ
キョン「ブツブツ…」トテトテ
佐々木(僕にできる事は何もないようだ…)
佐々木(本当に、SOS団が好きだったんだね)
佐々木(…少し悔しい、なんてね)
佐々木(キョンが幸せならば…)
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 11:18:40.41 ID:qOTLcqtdO
キーンコーンカーンコーン
生徒1「ねぇ知ってる?文芸部室の…」
生徒2「聞いた聞いた。一人だけ残った男の子でしょ?」
生徒1「…かわいそうにね。今でも一人で部室行ってるらしいよ」
生徒2「らしいね。ずぅっと一人で喋ってるんだってね…あ、あれじゃない?」
キョン「ブツブツ」
キョン「ブツブツ」
生徒1「何言ってるんだろう…?ちょっと近く行ってみる?」
生徒2「ええ?!ちょっとヤバイって…」
トテトテ
キョン「…って…朝っぱらから…」
キョン「袖を引っ張るな。伸びるだろ…やれやれ」
キョン「お前の元気はどこから湧いてくるんだ…お、長門。おはよう」
生徒1「…」
生徒2「…うわ…」
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 17:12:23.79 ID:qOTLcqtdO
キーンコーンカーンコーン
キョン「やっと昼休みか…ふぁ、よく寝た…」
谷口「キョン、弁当…食うか?」
キョン「おう谷口。食おうぜ」
国木田「…キョン、なんだか最近楽しそうだね」
谷口「国木田…!!」
キョン「そう見えるか?昨日も言われたが…自分ではそんなつもりはないんだがなぁ」
国木田「そっか。なんか良い事でもあったのかい?」
キョン「いーや、いつも通りさ。昨日もハルヒの道楽に付き合って、今日もこの後部活だ」
国木田「うん。うん…」
キョン「ん、どうした国木田?」
国木田「いや、なにも。部活頑張ってね」
キョン「何をしに行くわけでもないけどな、はは」
国木田「ははは…」
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 17:16:59.51 ID:qOTLcqtdO
キョン「じゃあ先に部室行ってるぞハルヒ」
キョン「わかってるって。今更勝手に帰る訳ないだろ」
キョン「うん、お前もしっかり掃除して来いよ」
国木田「キョン!」
キョン「ん?」
国木田「…いい加減目を覚ましてよ」
キョン「え?何言ってるんだ国木田」
国木田「涼宮さんは…」
谷口「やめとけ国木田。キョン、悪かったな、呼び止めちまってよ」
キョン「あ、ああ…」
ガラガラ
ピシャン
国木田「谷口、なんで…!!いつまでもキョンがあんなままで良いのかい?」
145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 17:21:41.60 ID:qOTLcqtdO
谷口「良い訳ないだろうが!」
国木田「ならなんで!」
谷口「…キョンが幸せそうなんだから、そっとしときゃ良いだろうが」
国木田「キョンはずっと幻覚を見てるんだよ?」
谷口「それでもだ。今キョンが絶望するか、幻覚でも幸せそうか…どっちが良いかなんて、言うまでもないだろ」
国木田「…」
谷口「…心配なら、見に行くか?部室に」
国木田「うん…キョンは親友だからね。できる事なら助けたい」
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 17:27:38.60 ID:qOTLcqtdO
さっき国木田の奴は何を言おうとしてたんだ…?
目を覚ませ?一体なんの事だよ…。
まぁ良いか。このドアの向こうで待ってるだろう朝比奈さんの姿さえ拝見すれば忘れるさ。
コンコン
…?珍しいな、一番乗りか。
ゆっくりとドアを開く。やはり誰も居ない。
古泉や朝比奈さんはともかく、長門まで来てないとは。
しかたない。誰か来るまで詰め将棋でもしとくか。
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 17:49:40.84 ID:qOTLcqtdO
国木田「…入って良いのかな」
谷口「一応ノックくらいはした方が良いんじゃないか」
国木田「だよね」
コンコン
キョン「はーい、開いてます」
ガチャ
キョン「谷口?国木田?どうしたんだ」
谷口「や、ちょっと遊びに来ただけだ」
キョン「…そうか。お前ら、ハルヒ達知らないか?」
国木田「え?」
キョン「まだ誰も部室に来ないんだよ…」
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 17:54:59.72 ID:qOTLcqtdO
谷口「キョン…今部室に誰も居ないのか」
キョン「何言ってんだ、見ればわかるだろう。長門まで来てないからちょっと気になってな」
国木田「…もう、誰も来ないよ」
キョン「は?」
谷口「国木田!!」
国木田「涼宮さんは死んで!他の団員は転校しただろ!思い出してよ…!」
キョン「…?」
国木田「一緒に葬式にも行って、キョンだって泣いてたじゃないか…」
キョン「…?」
キョン「…すまん、帰ってくれ」
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/06(土) 18:02:21.70 ID:qOTLcqtdO
キョン「ハルヒが…死んだ?」
ちょっと待てよ。あいつは何を言ってるんだ。
ハルヒが死ぬ訳ないだろ。この世で1番死なない確率が高いような人間だぞ…。
ほら、すぐにそのドアが開いて…やかましく騒ぎ出すに決まってる。
ガチャ
キョン「ほら!」
岡部「…お前か」
キョン「おか…いや、先生…」
岡部「部室の片付けだ。お前に手伝ってくれというのも無理だろう…今日は帰っていいぞ」
キョン「片付け?何を言ってるんですか」
岡部「だから…事実上文芸部員が居なくなったから。この部室は生徒会に引き渡しだ」
229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 00:32:02.40 ID:TlyNRN6oO
保守thx
キョン「なにを言ってるんですか。文芸部員なら長門がいるじゃないですか」
岡部「…あの生徒は転校したと、何度言ったらわかるんだ」
キョン「意味がわからん。じゃあハルヒの観察は?あいつの仕事はどうなるんだ」
岡部「…?なぁ。ショックなのはわかる。だけど受け入れるしかないんだよ」
キョン「ブツブツ」
岡部「おい…」
キョン「ブツブツ」
岡部「…今日は無理か。…下校時間には帰るんだぞ」
キョン「…ブツブツ」
234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 00:41:08.74 ID:TlyNRN6oO
あれ、いつの間にか寝ちまってたか?
ん…そういやハルヒたちが部室になかなか来なくて…
って、なんだ。皆いるじゃないか。
ハルヒ『なに間抜け面さらして寝てんのよ!』
ああ、すまんすまん。
お前があんまり遅いんでな…ついウトウトしちまったみたいだ。
あ、朝比奈さん今日もお茶入れてくれないんだな…。
まぁ朝比奈さんにだって休みたいときはあるだろう。たまには俺が入れるとするか。
コポコポ…
ほら、ハルヒ。朝比奈さんの淹れたお茶ほど美味しくないだろうが、ありがたく飲めよ。
古泉たちもどうだ?
古泉『ええ、いただきましょう。貴方の入れたお茶などなかなか飲む機会もないでしょうし』
もったいぶらずに素直に飲め。
長門、お前も飲むだろ?はは、そんな嬉しそうな顔するなよ。
237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 00:49:49.07 ID:TlyNRN6oO
長門『…』パタン
ん?もうこんな時間か…さて、今日の団活も終わったことだし、帰るとしよう。
朝比奈さん、着替えますよね?ええ、外で待ってます。
ガチャ
コンピ研部長「ん?君は…」
キョン「ブツブツ」
コンピ研部長「君。何言ってるんだ?大丈夫か」
キョン「ブツブツ」
コンピ研「部長、そっとしておきましょう…。彼の話は聞いた事あるでしょう?」
部長「ああ…未だに一人で部室に来てるって話か…。何を言ってるんだろう
な…」
コンピ研「きっと…あの暴走女と話してるつもりなんでしょう。さ、帰りましょう」
部長「……ああ」
キョン「あ、着替え終わりましたか。ハルヒ、戸締りしたな?」
キョン「よし、帰ろうか」
キョン「ブツブツ」
241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 00:58:05.23 ID:TlyNRN6oO
岡部「…もう少し、待ってもらえないでしょうか」
年配教師「駄目だ。いい加減に片付けてもらわないと。ただでさえ場所がないのに、
部員の居ない部室など置いておく意味がないだろう」
岡部「ですから何度も申し上げたとおり…」
年配教師「気の狂った生徒が入り浸っていると。そんな事は知ったことではない。
そもそも本当にそんな者が君のクラスにいるのならば入院させるべきではないのか」
岡部「日常生活には支障はないんです。ただ先日亡くなった涼宮の事で」
年配教師「あの問題児か…。ふん、自業自得だろう。良いか、明日には必ず片付けなさい。
授業中ならば問題ないだろう?そのなんとかいう生徒が来る前に終わらせればいい」
岡部「しかし…それではその子の居場所が…」
年配教師「しつこいぞ。それならば入院させればいいだろう。
ただでさえ死者が出て事後処理が大変なんだ。これ以上面倒なことを起こさないでくれ」
244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 01:03:44.43 ID:TlyNRN6oO
キーンコーンカーンコーン
谷口「なぁキョン。今日も部活行くのか?」
キョン「ん?当然だろう。行かなきゃハルヒに何言われるかわからんからな」
谷口「そっか…たまには俺たちとも遊んでくれよな?」
キョン「はは、なんだそれ」
谷口「…」
キョン「じゃあな。ま、そのうち遊びにでも行くか」
谷口「ああ。…またな」
国木田「キョンは今日も行くって?」
谷口「みたいだぜ。やっぱ、俺たちに出来ることは何もないって。
アイツは幸せなんだ。見守ってやろう」
国木田「…うん。そうだね」
249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 01:14:04.36 ID:TlyNRN6oO
コンコン
みくる『はぁーい』
ガチャ
ああ、麗しいお姿だ。今日もこの姿を見られただけで学校に来た価値があるというものだ。
いつもどおりの部室の風景。
ハルヒはパソコンにご熱心、長門は読書。
朝比奈さんはソファーで微笑み、古泉は一人オセロ。
今日もまた平凡ながらも退屈ではない放課後が始まる。
谷口「あれ、部室…ドアないじゃん」
国木田「ホントだ。あ…中も片付けられてる…」
谷口「教師共かよ。いらねぇ事しやがって…」
国木田「キョンは…?」
谷口「中で…床に座り込んでるよ」
キョン「ブツブツブツブツ」
256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 01:23:38.06 ID:TlyNRN6oO
女生徒「佐々木さん、聞いた?」
佐々木「え?何?」
女生徒「毎週、週末になると一人で街を徘徊してる北高生の話よ!
なんでも、まるで誰かと話してるかのように独り言呟いてるらしいわよ」
佐々木「へ、へぇ…そう」
女生徒「『こんな昼間っから宇宙人や異世界人なんて見つかるわけないだろう』とかね。
あと、喫茶店で食べもしないのにすごい量注文したり。
怖いと思わない?」
佐々木「怖いとは思わないな…」
女生徒「しかもね!なんと…佐々木さんと同じ中学出身らしいわよ!
もしかして知り合いだったりして」
佐々木「…まさか。知らないよそんな人」
女生徒「だよねぇー。あははっ」
佐々木「…はは、は」
262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 01:34:09.58 ID:TlyNRN6oO
キョン「ブツブツブツブツ」
ガチャ
妹「…あ」
キョン「ブツブツ…ぁぁ、ただいま」
妹「…」タッタッタ
キョン「ブツブツ」
妹「おかあさーん。帰ってきた…」
母「そう…自分の部屋に行ってなさい」
妹「はい…」
キョン「ブツブツ」
母「ああ、お帰りキョン」
キョン「ただいま。明日もまたハルヒ達と出かけるから。朝飯よろしく」
母「…うん…ねぇ、明日は休めないの?」
キョン「え?」
265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 01:41:11.91 ID:TlyNRN6oO
母「…あの、ね?明日…お友達と遊びに行くのはおやすみできないかしら」
キョン「いやぁ、休んだらハルヒにどやされるしなぁ…」
母「白い目で見られてるのはあなただけじゃないのよ」ボソ
キョン「え?」
母「ううん…なんでもないわ。さぁご飯にしましょう」
キョン「う、うん…妹は?」
母「あの子はもう食べたわ。私も。後はキョンだけよ」
キョン「そ、そっか。わかった。いただきます…」
270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 01:47:34.25 ID:TlyNRN6oO
キョン「あの…おかわりある?」
母「ないわ」
キョン「そっか…ごちそうさん。風呂はいるよ。沸いてる?」
母「…」カチャカチャ
キョン「なぁ…風呂…?」
母「…」カチャカチャ
キョン「…?」
母「………」カチャカチャ
キョン「…皿洗ってくれてるのに、話しかけてごめん」
母「…」
キョン「…ブツブツブツブツ」
276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 01:55:45.07 ID:TlyNRN6oO
妹「…もうリビングに居ない?」
母「ええ。いないわよ」
妹「…今日ね。キョン君のことで学校でいっぱい悪口言われたの…」
母「……ごめんなさいね」
妹「…ミヨキチも…」
母「…我慢してあげて。お母さんも我慢してるの」
妹「私、友達いなくなっちゃうよ…」
母「…」
キョン「ブツブツブツブツ」
282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 02:01:49.19 ID:TlyNRN6oO
ジリリリリリ
キョン「ん…もう朝か。探索に遅れちまうな」
キョン「そろそろ財布も厳しいしな…急ぐか」
キョン「今日は…これ着ていくか」
タッタッタ
キョン「おはよーさん」
妹「あ…」
キョン「…おはよう」
妹「…」タッタッタ
キョン「…ブツブツ」
キョン「あ、母さん。朝飯ある?」
母「…それ」
キョン「あ。食パン?ありがとう。いただきます」
296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 02:13:18.59 ID:TlyNRN6oO
やれやれ、今日もどうせまた俺が最後なんだろう。
朝比奈さんや長門に奢るのは全然構わないんだが、ハルヒや古泉に奢るのはごめんだ。
などと言いつつ、結局俺に反論する余地などないのだが。
ほら、今日もまた古泉は似非スマイル、ハルヒは満面スマイル、
朝比奈さんは花のような微笑、長門は無表情で俺を迎えてくれる。
しょうがない、朝飯くらいは持ってやるさ。
店長「申し訳ございませんが…入店を拒否させていただきます」
なんだって?いったい何故?
ハルヒの暴挙についに堪忍袋の緒が切れたか。
店長「他のお客様から苦情が相次ぎまして…申し訳ございません」
そう言われるとぐうの音も出ない。
ハルヒが今まで店にかけた迷惑を考えると、よく今まで我慢してくれたもんだ。
そういうわけだ、ハルヒ。今日は喫茶店はなしだな。
302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 02:22:57.16 ID:TlyNRN6oO
子供「ねぇお母さん。あの人さっきから一人でお話してるよー」
母親「シッ!見ちゃいけません!」
子供「えー…」
母親「帰るわよ。違う公園行きましょうね」
キョン「ブツブツブツブツブツ」
キョン「おいハルヒ、喫茶店は入れなかったからってそんなに怒るなよ」
キョン「またなんか別のところで奢ってやるさ」
国木田「谷口…あの公園で一人で座ってるの、キョンじゃないかい?」
谷口「…ああ、そうみたいだな」
国木田「…行く?」
谷口「いや、いいだろ…もう…」
376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 10:21:28.24 ID:TlyNRN6oO
妹「お母さん。遊びに行ってくるね」
母「…大丈夫?」
妹「うん、大丈夫ー。行ってきます」
母「…行ってらっしゃい…」
トテトテ
妹「公園行ったら誰かいるかなぁ」
妹「ミヨちゃん達が遊んでくれなくなったから暇だなぁ…」
トテトテ
妹「あれ…?今日は公園に人少ないな?」
キョン「ブツブツ」
妹「誰か座ってる…?」
キョン「ブツブツ」
妹「ああ…」
妹「…お菓子屋さんにでも行こうかな」
378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 10:27:43.46 ID:TlyNRN6oO
妹「こんにちはぁ」
駄菓子屋「…ああ。また来たのかい。いつもありがとうねぇ。
最近お友達はどうしたの」
妹「んっとねぇ…ミヨちゃんたち、あたしと仲良くしてくれないの」
駄菓子屋「…そうなのかい。良くないねぇ。早く仲直りしなくちゃね」
妹「…うん」
妹「おばちゃん、このお菓子とジュースちょうだい」
駄菓子屋「はいよ。もって帰るんだったら袋に入れるかい?」
妹「…んーん。ここで食べるぅ。おばちゃん、あたしとちょっとお話してようよ」
駄菓子屋「そうだねぇ。お話してようか」
駄菓子屋(こんなにいい子がどうして仲間はずれにされるのかねぇ…可哀想に)
382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 10:35:27.78 ID:TlyNRN6oO
キョン「ブツブツブツ…」
テクテク
妹「あっ!!」
駄菓子屋「ああ、あの人ねぇ。ここんとこ毎週この辺りをフラフラしてるんだよ。
独り言言いながらねぇ。皆気味悪がってるよ」
妹「そう…」
駄菓子屋「いい加減迷惑なんだけどねぇ…あれのせいで子供達が怖がって来ないんだよ」
妹「おばちゃん、ごめんね」シュン…
駄菓子屋「ん?」
妹「あの人、またここに戻ってくる…?」
駄菓子屋「10分くらいしたら通ると思うよ。この前なんか店に入ってきたからね。
『こんな年にもなって子供かお前は』とか言いながら…」
妹「…おばちゃん。あたしもう行くね。お話ししてくれてありがとう」
駄菓子屋「おや、そうかい。早く友達と仲直りするんだよ」
妹「うん!ばいばーい!」
386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 10:40:18.02 ID:TlyNRN6oO
ミヨキチ「あ…」
トテトテ
妹「あ、ミヨちゃん!」
ミヨキチ「…」スタスタ
妹「ねぇミヨちゃん!どこ行くの?」トテトテ
ミヨキチ「…」スタスタ
妹「ねぇねぇ、ミヨちゃん。あたしも行きたいなぁ…」トテトテ
ミヨキチ「…」スタスタ
妹「…遊んでよぉ」トテトテ
ミヨキチ「…ついてこないで」スタスタ
妹「…うん、ごめん…」
ミヨキチ「…」スタスタスタスタ…
妹「…かーえろ」
395 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 10:50:32.58 ID:TlyNRN6oO
妹「ただいまぁ」
母「はい…はい。申し訳ありません…学校に迷惑をおかけしていることは承知しています」
妹「あ、電話中かぁ」
母「はい…病院も考えてはいるんですが…はい。すみません…なかなか…」
妹(病院…)
母「では、失礼します…」
ガチャン
妹「キョン君、病院に入れるの…?」
母「…かもしれないわね」
妹「入れて欲しい…」
母「…」
妹「もう嫌だよ…キョン君もういやだ…」ポロポロ
母「でもね…精神病院って、とても辛いところなのよ。そんなところに入れられたら、可哀想じゃない…」
妹「だって!グシュ…キョ、くんのせいで…!ヒック、あたし…!!」ポロポロ
母「…」
405 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 11:03:23.84 ID:TlyNRN6oO
ガチャ
キョン「…」
妹「あ…!」タッタッタ
母「…」
キョン「ただいま」
母「…出かけるから着いてきてくれる?」
キョン「え?俺まだ帰ったばっかりで…」
母「…いいから来なさい…!!」
キョン「あ、ああ…」
キョン「ブツブツブツブツ」
410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 11:14:13.32 ID:TlyNRN6oO
キーンコーンカーンコーン
岡部「あー…HRの前に一つお知らせがある。知ってる奴もいると思うが…○○の事だ。
涼宮が亡くなってからのアイツは皆が知ってる通りだが…」
谷口「…キョン」
岡部「昨日付けで学校を辞めることになった」
国木田「…」
岡部「市内の精神病院に入院するそうだ。社会復帰は難しいかも知れん」
国木田「ねぇ谷口、知ってるかい?精神病院への入院なんて、入院じゃない。
内容は刑務所と変わらないんだってさ。
人間扱いされないらしいよ…」
谷口「…話には聞いたことあるけど…そんな酷いもんなのか」
国木田「僕も話に聞いただけ…。食事から衣服、入浴、トイレ…想像もしたくないね。
でも…かわいそうだとは思う」
谷口「……仕方なかったんだ」
国木田「うん、そうだね…」
岡部「…正式には、学校側から勧告を出したんだ。
俺から電話をかけて…入院を勧めた」
谷口「すまん、キョン…」
417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 11:20:54.72 ID:TlyNRN6oO
佐々木「え?キョンが入院?」
国木田「うん…精神病院にね」
佐々木「そうか…」
国木田「…」
佐々木「酷い人間だと思ってるだろう?自分可愛さに関わることを避けたんだ僕は。
自分でも驚いているよ。僕がこんなに冷酷な人間だったなんてね」
国木田「僕も同じだよ。キョン一人が狂ってしまったことで、周りはこんなにも変化するんだね」
佐々木「…変化したんじゃない。僕らはもともと醜い人間だったのさ。
親友や想い人がおかしくなっても、救おうともしない。
拒絶し、敬遠し、差別する。」
国木田「…きっと家族の人たちも大変だっただろうね。
そんな差別や偏見を受けながら…」
佐々木「そうだね。キョンが入院したところで、その差別は終わらないだろうが…」
国木田「一度『狂人の家族』として貼られたレッテルは、元には戻せないっていうことか…」
佐々木「…だろうと思う。実際僕たちもまだ、キョンに対する偏見を捨て切れていないんだから」
425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 11:31:33.27 ID:TlyNRN6oO
国木田「ねぇ、涼宮さんの最後の言葉、知ってるかい?」
佐々木「ううん。僕は死に目に立ち会っていないからね」
国木田「彼女、息を引き取る直前、キョンに向かってこう言ったんだ」
ハルヒ『キョン、私…ずっと一緒にいたい…。私の事、忘れないで…』
佐々木「!!!!」
国木田「キョンはもしかしたら、その遺言を守っていたのかもね」
佐々木「…そんな…」
国木田「?どうしたんだい」
佐々木「涼宮さんの望み…それが、最後の望みだったのか…。」
国木田「…?」
佐々木「残酷すぎるよ…。そう望んだ涼宮さんが死んだ今、
その願望は上書きされることはない…」
445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 11:41:49.09 ID:TlyNRN6oO
佐々木「彼女の願望は永遠に実現され続ける…」ポロポロ
佐々木「キョンはこれからの人生、幻覚と共に生きるしかない…」ポロポロ
佐々木「……悲しいな。涼宮さんがキョンを想う故に…」
佐々木「…」
佐々木「誰も悪くない…。誰を責めることもできない…」
佐々木「キョン、せめて…偽りの世界でも、幸せに生きてくれ…」
474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 11:54:48.95 ID:TlyNRN6oO
おいおい、ハルヒ。
そんなに走り回るな、転ぶぞ?
わかってるって、ちゃんとついていくから…こら、袖を引っ張るんじゃない。
ほら見ろ、そんなスピードで走るから朝比奈さんが転んじまったじゃないか!
よしよし、泣かないでください朝比奈さん。
よければ俺がおぶりましょうか?
っていたぁ!ハルヒ、いきなり人の頭を蹴るんじゃない!
古泉、お前も笑ってないでたまには反論しろ!
長門も…ユニークじゃない。ちょっとはハルヒにやりかえしてくれ。
やれやれ…まったく、こいつらと居ると騒がしい…。
ま、退屈してるよりはマシか。
さて、団長に遅れないように急ぐとするか。
医者「うるさいな……おい、あの病室の患者。隔離病棟に移動させるように」
479 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2008/09/07(日) 11:57:36.28 ID:TlyNRN6oO
終わり。
490 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 12:01:18.54 ID:TlyNRN6oO
なんか最後gdgdだったな…
ともかく保守してくれた方thxでした
あとAA怖かった。
書いてる途中で多分特定されてたけど、
有佳スレと病弱長門とアルツハイマーとかの中の人でした
507 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 12:11:12.23 ID:TlyNRN6oO
そうだ!宣伝ついでに今聞いとこう!!
みくる「私どうしてもアナルセックスが気持ち良いと思えないんです」
長門「うわああああああぁ!!!」
この作品で俺だと特定したの誰だww
なんでわかったwww
509 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 12:12:26.47 ID:TlyNRN6oO
俺空気読めなさすぎワロタww
569 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/07(日) 14:42:10.31 ID:TlyNRN6oO
おお、続いてるのか。頑張ってくれ
続き期待してくれた人はすまん、最初から鬱エンドにするつもりで書いたから
途中で軌道修正する気にはなれなかった…。
病弱長門の時は読み手の熱意に負けて初志貫徹しなかったけど