1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 22:57:57.69 ID:Irvw0sWV0
柊つかさは金曜日だった。
つかさ「……きれいなひと」
知的な美しさがある女性は、スクランブル交差点の向かいに立っている。
信号がかわる。女性はまっすぐ向かってきた。
女「あなたが金曜日?」
つかさ「は、はい」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 22:59:54.19 ID:Irvw0sWV0
女「私は日曜日」
女性はそう名乗って妖しく笑った。
日曜日「ついてきなさい」
つかさ「はい……」
つかさ(なんか……逆らえない)
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:01:34.65 ID:Irvw0sWV0
つかさ(デパートの屋上…誰もいない)
日曜日「…………」
つかさ(な、なんだろう…顔になんかついてるのかな)
日曜日「見なければダメ」
つかさ「え、あっ、はい」
日曜日「ルール1、商談中は相手を見ること」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:03:46.51 ID:Irvw0sWV0
つかさ「は、はい(商談……?)」
日曜日は鞄から写真をとりだす。写真には……。
つかさ「!!!」
必死に記憶から消した過去、誰にも言えなかったトラウマがうつっていた。
記憶がフラッシュバックする。あの時の感覚が一瞬でよみがえった。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:07:45.90 ID:Irvw0sWV0
写真は、夏コミの様子を写している。
中心には、つかさ。それを取り囲むような男性陣。
つかさはそれどころではない。
つかさ(うう……やだ……どうして……? なんで……こんな写真が……)
いやらしくなでるように全身を弄る手、手、手、
それらは服や下着の間を縫うように
日曜日「どう? よくとれてるわ」
日曜日の言葉で我に帰る。同時に、記憶を必死にデリートする。
つかさ「こ、これが何か……?」
日曜日「真中に移っている人、あなたね」
つかさ「うう……」
つかさの目に涙がたまる。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:10:01.38 ID:Irvw0sWV0
日曜日「顔、真っ赤じゃない。うぶなのね」
写真のつかさの顔は、真っ赤にほてっている。
つかさ「そ、その話はもうしないで……」
日曜日「ところで、お友達はいるわよね」
つかさ「…………」
日曜日「お友達が見たら、どう思うかしら」
つかさ「! い、いやっ! やめて!」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:13:50.74 ID:Irvw0sWV0
日曜日「困るわよね?」
つかさ「一体……なにが言いたいんですか?」
日曜日「わからないの?ゆすってるのよ」
日曜日「お友達にこんな写真見せたくないでしょう」
つかさ「うう……」
日曜日「ネットにさらしたら、すぐに出回るでしょうね」
つかさ「お願い! やめて……お願い」
日曜日「それなら、とりあえず300万円用意して」
つかさ「さ、300万…!!」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:15:54.02 ID:Irvw0sWV0
日曜日「用意できる?」
つかさ「そんな…無理です…」
日曜日「方法はいくらでもあるわ。
親に言うなり、サラ金で借りるなり、盗むなり。
あなたなら、体を売ればすぐじゃない?」
つかさ「ぜ、全部いやです…」
日曜日「でも、おかねは払わなきゃね?」
つかさ「…………」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:19:06.07 ID:Irvw0sWV0
日曜日「あなたに選べる道は3つよ。破滅か、払うか、もしくは……」
つかさ「も、もしくは…?」
日曜日「金曜日になるのよ」
つかさ「きんようび? それってただの合言葉…」
日曜日「さっきまではね。でもこれからは、別の意味。あなたの名前になるの」
つかさ「(金曜日がわたしのなまえ?)よ、よくわからないよ」
日曜日「フライデー」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:20:45.31 ID:Irvw0sWV0
つかさ「フライデー……(雑誌?)」
日曜日「私はロビンソンクルーソー、あなたはフライデー。わかるわよね?」
つかさ「全然わからないです」
日曜日「私の忠実なしもべになりなさい」
つかさ(しもべ……なんかいやらしいよ)
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:25:18.89 ID:Irvw0sWV0
二人は場所を喫茶店に変えた。
日曜日が紅茶を二つ頼む。
つかさ「ふー。ふー。」
つかさ「ごく……」
日曜日「決めた? 払う?……300万円」
つかさ「無理です……」
日曜日「破滅する?」
つかさ「それも無理です…」
日曜日「では金曜日になるのね」
つかさ「ま、まって、それも――
日曜日「じゃあ、写真は流出ね」
つかさ「…………」
日曜日「私の命令に従いなさい」
つかさ「ハイ」
つかさ(やっぱりさからえないよ…)
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:28:18.03 ID:Irvw0sWV0
日曜日「一万円にしてあげる」
つかさ(???)
日曜日「一万円、もってるでしょ?」
つかさ「あ、はい、え? えっと……?」
わけのわからないまま一万円を取り出す
日曜日はそれを手に取る。
日曜日「これであなたは金曜日よ」
つかさ(???)
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:30:30.91 ID:Irvw0sWV0
日曜日「ルール2、日曜日の命令には絶対服従」
つかさ「は……はい」
日曜日「繰り返して」
つかさ「に、日曜日さんの命令には、絶対服従です」
日曜日「さんはいらないわ…でもこれで関係は成立」
日曜日「では、最初の命令よ」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:32:59.90 ID:Irvw0sWV0
つかさ「ど、どんなことすればいいんですか」
日曜日「簡単なこと…脅迫よ」
つかさ(脅迫!)
日曜日「これを」
日曜日は写真を取り出す。
日曜日「この社長夫人がターゲットよ」
つかさ「この人を…お、脅すんですか?」
日曜日「でなきゃ、あなたは破滅よ」
つかさ「うう……」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:36:29.32 ID:Irvw0sWV0
二人はまた場所を移動する。
日曜日「来たわ」
ターゲットが現れ、あたりをうかがうとアンティークショップに入った。
日曜日「さあ、出番よ金曜日」
つかさ(うう……緊張してきた……)
MISSION 1
社長夫人 脅迫
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:41:03.94 ID:Irvw0sWV0
つかさ「え、っと……えへへ、こんにちわ」
夫人「…………」
つささ「(無視……)あなたが探してるのは、わたしです」
夫人「えっ」
つかさ「はじめまして、金曜日です」
つかさ(とりあえずカードに書いてあることを言っておけばいいんだよね…)
夫人「それじゃあなたが……」
つかさ「日曜日のえっと、身代わり、じゃなくて代理です。
写真のコピーはみましたか? 買ってください」
夫人「そうね…おいくらかしら」
つかさは人差し指をぴんと立てる。一万円の意味だ。
夫人「ずいぶん高いわ」
つかさ(どんだけー)
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:44:16.35 ID:Irvw0sWV0
夫人「でも、はらえないこともないわ。一千万くらいなら」
つかさ「い、一千万!」
夫人「……?」
つかさ「も、もっと安いです><」
夫人「あら、100万だったかしら。それならすぐ買うわ」
つかさ「も、もっと!」
店員「お客様、お静かに……」
夫人「……出ましょうか」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:47:27.83 ID:Irvw0sWV0
二人は並んであるく
夫人「10万円?」
つかさ「一万円です」
夫人「な ん で す っ て !」
夫人「からかってるの?ふざけてるの?それとも馬鹿なの?死ぬの?」
つかさ(うう……怖いよ…)
つかさ「か、からかってないです…一万円です」
夫人「どういうことなの? 何が目的?」
つかさ(そんなことカードに書いてないよ…)
夫人「ネガは? ネガはいつ届けるの?」
つかさ「そ、それは日曜日に聞いてみないと」
つかさ「それより一万円を……」
夫人「だめ、払えないわ」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:50:03.13 ID:Irvw0sWV0
つかさ「ど、どうしてですか」
夫人「決めたの。ネガをくれるまで払わない」
つかさ「払わないんですか」
夫人「払わないわ」
つかさ「この、この写真! これを…お友達にみせますよ」
夫人「どうぞご勝手に」
つかさ「えっ…えっと、ネットに流します!」
夫人「ご勝手に」
つかさ(なんで? どうして?)
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:52:29.57 ID:Irvw0sWV0
夫人「いったいどこまで付いてくるのよ」
つかさ「ど、どうして払わないんですか? だって…1万円ですよ?」
夫人「だって、払ったら認めたことになるでしょう。私に非があるって」
つかさ「え! 払わなかったらよかったんですか!?」
夫人「え?」
つかさ「え?」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:56:42.68 ID:Irvw0sWV0
夫人「とにかく、払わないわ」
つかさ「わ、私の足もとみてるんですね」
夫人「あら…足元より顔をみてるわよ、かわいいお嬢さん」
つかさ(えっ、な、な、な)
つかさ「こ、子供だと思って、な、なめてますね! これでも私は、組織の――」
夫人「なめてほしいならそうしてあげてもいいわよ」
つかさ(なに、なに、なんか気持ち悪い…)
つかさ「み、みくびらないで、く、ください!」
夫人「首よりも体が好きだわ」
夫人はつかさの腰に触れる。その手は滑るように胸元へ、
つかさ「やめてください!」
手を振りほどく。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 23:58:32.70 ID:Irvw0sWV0
夫人「顔が真っ赤よ」
つかさ(うう、恥ずかしい)
つかさ「じょ、冗談はやめてください……」
夫人「冗談なんかじゃないわ…」
夫人は鞄をあさる。そして、テレコを取り出した。
夫人「取れてるわ…私たちの会話」
つかさ(!!! ど、どうしよう…!)
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/22(金) 00:03:54.18 ID:8QygnsPD0
夫人「警察に突き出したらどうなるかしらね」
夫人「それともどうする?さっきの会話の…続きをする?」
つかさ「え……」
夫人「食べてもいいかしら…?」
つかさ(いやっ…怖い! お姉ちゃん…たすけて…!)
つかさ「嫌です…」
夫人「じゃあ警察ね」
つかさ「ま、まってください」
夫人「どうするの?警察に行く?それとも…」
夫人はくいと顎でホテルを指す。
つかさ(ううう……)
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/22(金) 00:06:22.07 ID:8QygnsPD0
つかさ「あいたっ」
日曜日「あら、ごめんなさい。―これ、落ちましたよ」
赤いカセットテープだった。それだけ渡して、日曜日は去る。
夫人「あら、何よそれ」
つかさ「さぁ……なんだろう?」
日曜日(馬鹿……)
つかさ(聞いてみよう…なんかヒント…!!!!!!!!!!!1111)
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/22(金) 00:11:04.63 ID:8QygnsPD0
つかさ(――――――!!!)
つかさ「こ、これ……これ、聞いて…ください」
変態、変態、このおばさんは変態で変態だ。変態!おばさん変態!変態!
夫人「……? !!!!!!」
夫人「まっ…下劣! 卑劣! ひきょう者!」
夫人「こ、こんな……」
夫人「一万円…!はらうからもう二度と現れないで! こ、こ、このドブネズミ!」
つかさの頭のなかには変態、の二文字が頭の中をぐるぐる回ってる。
そっと肩に手が置かれた。
日曜日「ひやひやしたわ…よくやったわね」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/22(金) 00:25:52.27 ID:JYsUwJO60
頭がなんだか軽い。ぽーっとする。あの時の感覚に似ている。
気がついたら、真っ暗な部屋にいた。
日曜日「これで、入会式はおわりよ」
つかさ「にゅうかいしき……」
なんのことだっけ、あ、そうか金曜日の日曜日は命令が絶対服従。
真っ暗な部屋に明かりがついた。
つかさ「うおっ」
目が痛い――、そこには、日曜日を含めた6人の人間が四角い机を囲むように座っていた。
つかさ「え……ど、ど、え? どういうこと?」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/22(金) 00:31:51.13 ID:JYsUwJO60
つかさ「な、なんでお姉ちゃんがいるの!?」
かがみ「チンチコール」
つかさ「え? ち……ちん?ちんち……? え?」
かがみ「チンチコールよ、金曜日」
つかさ「ち、ちんちこーる……」
「チンチコール!」「チンチコール!」
「チンチコール!」「チンチコール!」
他の人たちも一斉に声をあげる。
つかさ「チンチコール…」
日曜日「紹介するわ――
月曜日、火曜日、水曜日、木曜日、わたし、土曜日、日曜日が組織だった。
お姉ちゃんは、水曜日だった。
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/22(金) 00:36:49.84 ID:JYsUwJO60
かがみ「日曜日、チンチコーリ!」
日曜日「はい水曜日」
かがみ「金曜日はルールを犯しました」
日曜日「はい、それについては今説明するわ」
つかさ「お姉ちゃん、どういうこと? わたし怖いよ…」
かがみ「また」
つかさ「なんなの、もう…」
日曜日「ルール3、本名はださないこと」
つかさ「お姉ちゃんってよんじゃいけないの?」
日曜日「組織につながる人間同士は曜日で呼ばなくてはだめだわ」
つかさ(家族なのに……)
かがみ「自分の名前や身分がばれるようなことは言ってはいけないの、金曜日」
つかさ「そんなー…」
かがみ「日曜日、処分を!」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/22(金) 00:39:17.07 ID:JYsUwJO60
「チンチコーレ!」
周りが言う。
つかさ「ち、チンチコーレ!」
負けじと言った。
かがみ「チンチコーラ?」
つかさ「え? あ、あの…チンチコーラ」
バチン!
つかさ「痛いよ…おね、――水曜日」
「チンチコーレ」「チンチコーレ!」
かがみ「チンチコーレ」
つかさ「……チンチコーレ」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/22(金) 00:44:09.14 ID:JYsUwJO60
日曜日「これで今日の会は終了よ。以上、解散」
「チンチコール!」「チンチコール!」
全員が引きあげる。
つかさ「あ、あの…」
メンバーはあっさりと去って行った。
残ったのは、つかさとかがみだけ。
つかさ「えっと、お姉ちゃん……?だよね…」
かがみ「そうよ」
つかさ「お姉ちゃんは水曜日?」
かがみ「あんたは金曜日」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/22(金) 00:47:56.52 ID:JYsUwJO60
つかさ「これからどうすればいいの?」
かがみ「これ」
かがみはカードを取り出す。
かがみ「このカードの通りに行動すればいいのよ」
つかさ「また…脅し」
かがみ「そういうことになるわ」
つかさ「わたしもういやだよ……」
かがみ「…………」
かがみは今度は真っ赤なカードを取り出した。
つかさ「え? な、なに?」
かがみ「レッドカードよ」
つかさ「レッドカード?」
かがみ「めくるめくお仕置き。弱音は吐いちゃめ。チンチコール?」
つかさ「……チンチコール……」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/22(金) 00:52:44.63 ID:JYsUwJO60
かがみ「すべてがおわったら、レッドカードを施行するわ……チンチコーリ」
つかさ「…………」
それからつかさは、学生を脅し、公務員を脅し、美容師を脅し、銀行員を脅し、
元政治家を脅し、やくざを脅した。
すべてが終わった。
つかさは日曜日に昇格し、
そしてかがみのレッドカードが施行された。
渋谷の街に、つかさのちくしょうという叫び声がこだました。
終
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/22(金) 00:57:56.41 ID:JYsUwJO60
左手の指は私の手から離れ、好き勝手にキーボードをたたく。
私の意識は、紙一重で保たれている。
やつらは、一つ一つ意思を持っているかのように文章を書き連ねる。
夜中に限ってこの左手が、
好き勝手に動き、
そしてこうして
一つの駄スレを生み出すのだ。
夏休みの手 完
正直0時あたりから気がくるってた。