みくる「今だけは普通の女の子でいたいんです…」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 03:23:01.16 ID:fQ4tI43+O

彼は今日も微笑んでる。
どうしていつも笑顔でいられるのかなぁ。

そんなことを考えていると、いつもと変わらない表情のはずなのに無意識に視線を向けている。


「………。」

「ちょっとみくるちゃん。何ぼけーっとしてるのよ」

「…ふぇ!?え、えっと…すみませぇん…」

突然声をかけられたせいか大袈裟に驚いてしまった。
…彼を見つめてたこと、ばれてないよね?

「まぁいいわ。早くお茶のおかわりをちょうだい」

「はぁい」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 03:26:43.65 ID:fQ4tI43+O

さっき湯飲みに注いだばかりのお茶をもう飲み干してしまったらしい。
もう少し味わってくれてもいいのにな…。
相変わらずな飲みっぷりは見ていて気持ちいいときもあるけど。

心の中で少し悪態をつきながら皆の湯飲みにお茶を注ぎ直す。
もちろん涼宮さんから。

「ありがと、こんなに暑いとすぐに喉が渇くのよねー」

パソコンをいじりながらそう湯飲みを手に取り、いつものように一気に煽る。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 03:28:45.19 ID:fQ4tI43+O

「はい、キョン君。あの…お茶の葉を変えてみたんだけど、どうかなぁ?」

「今回のもかなり美味いですよ。朝比奈さんが煎れたお茶なら何杯でもいけます」

「ふふ、ありがとうございます」

少しくすぐったい言葉に思わず照れ笑いをしてしまう。

「長門さんもどうぞ」

「……」

いつも通りの無口無表情だけど、ちゃんと少しずつ飲んでくれてるみたい。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 03:37:49.63 ID:fQ4tI43+O

「あと……古泉君。どうぞ」

「ありがとうございます」

微笑を浮かべながら礼を述べる彼。
毎日変わらない。
どうしてだろう。
涼宮さんがそう望んだから?

そう考えるのが自然だけど、そしたら私も同じということになる。
…………ううん、私は私。
強制されて今の私になったわけじゃないもの。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 03:43:49.15 ID:fQ4tI43+O

じゃあ、どうして?
彼がますますわからなくなる。


「今日は将棋なんてどうです?頭の体操にもなりますよ」

いつもの調子でキョン君をゲームに誘っている。
…あ、断られちゃったみたい…。
やれやれ、といった様子で肩を竦める彼。
将棋、したかったのかな?


「あ、あのぅ……」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 03:55:49.46 ID:fQ4tI43+O

私が早くも後悔し始めていた数秒の沈黙の後に彼がゆっくりと口を開き、

「いいんですか?ではお願いします、朝比奈さん」


彼の性格からして断るはずがないと心のどこかで確信していたにも関わらず、上手く声が出せなくて返事が遅れてしまう。

「あ、う……は、はいっ!あ…でも、そのぅ…」

自分から言い出したのに今更重大なことに気がついた。


「ごめんなさい、私……将棋のルールがあまりわからないんですぅ…」

言葉が段々と尻窄まりになってしまい、お盆を強く抱きしめながら俯く。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 04:06:45.03 ID:fQ4tI43+O

あぁ、何て馬鹿んだろう!
目先のことしか考えずに発言してしまうなんて…。

「みくるちゃんってば相変わらずまぬけねぇ。いいわ、団長様直々に教えてあげる!」

「ふぇ…?」

「…と言いたいところなんだけど、今パソコンの作業で忙しいのよね。だから古泉君、みくるちゃんに教えてあげて?」

「え、え?えぇと…」

涼宮さんの突拍子もない提案にアホみたいな声を発する私。
そんな迷惑かけたくないのに…っ。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 04:13:52.86 ID:fQ4tI43+O

不安になりながら、こっそり彼に視線を向けた途端目が合ってしまい慌てて逸らす。
心なしか顔が熱い。

「ねっ、いいでしょ?古泉君」

「わかりました。朝比奈さん、こちらに来ていただけますか?」

「は、はい…すみませぇん」

怖ず怖ずと彼の正面の椅子に腰を降ろす。


「…そうですね、まずはわかりやすい所から説明しましょう」

そう言うと手慣れた様子で将棋の駒を並べていく。
どうやらこの配置も決められたものらしい。
うーん…私に覚えられるかなぁ…。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 04:25:50.12 ID:fQ4tI43+O

それから時間をかけて一つずつ丁寧に説明してくれるけど、なかなか頭がついていかなくて申し訳ない気持ちになってくる。

…でも、彼は誰かに教えたりするのが好きなのかな?
いつもと変わらない笑顔でも心なしか楽しそうにも見える。
私の自分勝手な解釈じゃないといいんだけど。


「ルールといいますか、説明することはこのくらいです。あとは実際にやってみるといいですよ」

「そうですかぁ…ありがとうございます」

あうぅ…混乱しちゃって半分も覚えられてるか怪しいのに…。


必死に頭の中で整理していると長門さんがパタン、と本を閉じる音がした。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 04:36:03.87 ID:fQ4tI43+O

=======

「さ、将棋の説明も終わったみたいだし今日は帰りましょ。キョン、私教室に忘れ物しちゃったから着いてきなさい!団長命令よ。」

「へいへい…」

「みくるちゃん、また明日ね」

「あ……はい、また明日…」


…あれ?いつの間にそんな時間になったんだろう。
首を傾げている間にみんな部室から出て行き、最後に残ったのは私だけになった。

複雑な気持ちのままメイド服から制服に着替えて部室から出ると、すでに帰ったはずの彼が廊下に立っていた。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 04:45:52.22 ID:fQ4tI43+O

「はぇ…古泉君、どうしたんですか?」

「いえ。たいした用事ではないんですが、今日の説明でわかっていただけたか気になって…」

どうしよう…。
ここは素直に答えるべき、だよね?

「ご、ごめんなさい…そのぅ、すごくわかりやすかったんだけど、私の記憶力じゃ追い付かなくて…」

申し訳なくてどうしても俯いてしまう。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 04:52:53.44 ID:fQ4tI43+O

呆れられないかと不安に思っていると小さく囁くような笑い声が聞こえた。
恐る恐る顔を上げて、そっと表情を窺ってみる。

「大丈夫ですよ、お気になさらず。また明日復習すればいいだけです」

普段と同じ柔らかい笑顔でそう告げてくれる彼。
ほっとして自然と私の表情も緩んでいく。

「ありがとう、古泉君…。じゃあお言葉に甘えて…明日も宜しくお願いします」

「畏まりました。では、また明日の放課後に」

軽く片手を上げて別れの挨拶をすると背を向けて昇降口へと歩いて行った。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 05:01:24.64 ID:fQ4tI43+O

家に帰ってから必死に思い出そうとするが細かい説明の部分がどうしても浮かんでこない。
こんな時間じゃ図書館も開いてないし、実際将棋の本を読んで私に理解出来るのかなぁ。

「あ、そうだ…」

本で思い出した。
長門さんに聞けばわかるかもしれない。
でも、こんなことで家を尋ねるのも恥ずかしいような気がする…。


……恥ずかしいことだなんて思っちゃ駄目だ。
自分から始めたことなんだからちゃんとしなきゃ!

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 12:12:55.66 ID:fQ4tI43+O

おはよう
保守感謝です

=======


少し過剰なほどの決意をして私は家から出た。
どうしてここまで一生懸命になっているのか自分でもよくわからない。

だけど、楽しそうに説明していた彼の表情を思い出すと何だか嬉しくって…期待に応えたいなって思うの。


時間をかけて家の前まできたけど、やっぱり緊張してしまう。
確認しなくても長門さんがいるのはわかっているから尚更緊張が高まる。


ピンポーン…

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 12:24:40.52 ID:fQ4tI43+O

無機質なインターホンの音を鳴らし反応を待つ。

「……」

数秒後にガタ、という音がしてスピーカーの向こうから僅かな気配を感じとることが出来た。

「あ…長門さん、こんばんは。朝比奈です」


インターホンを切る音が聞こえてすぐに玄関の扉が開く。

「…入って」

「えと、お邪魔しまぁす」

脱いだ靴を揃えて家に上がり、前に来た時と変わらない、中央にテーブルが置かれただけのリビングに通された。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 12:39:30.71 ID:fQ4tI43+O

「座って」

テーブルの側に置かれた座布団を指差しながら長門さんが呟き、

「…お茶を用意する」

くるりと踵を返し台所へと消えてしまった。

「はぁい。その、お気遣いなく…」

待っている間何をすればいいのかわからずそわそわと落ち着きなく姿勢を正す。

それから3分もしないうちに長門さんは急須と湯飲みを持って戻り、私の正面に正座するとお茶を注いでくれた。

「…飲んで」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 12:47:50.95 ID:fQ4tI43+O

「あ、はい…ありがとうございますぅ」

差し出された湯飲みを手に取り湯気が立っているお茶にそっと口をつける。

「わひゃぅう!あ、熱…っ」

あまりの熱さに驚いて思わず湯飲みを落としそうになったものの、何とかテーブルの上に戻す。
舌がヒリヒリするよぉ…。

「ごご…ごめんなさい、あの、お茶がすっごく熱くて…」

「そう」

「あうぅ…」

不思議そうに瞬きを数回繰り返して自らもお茶を飲んでみる長門さん。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 12:59:52.87 ID:fQ4tI43+O

「………確かに熱い」

すぐに湯飲みを置いてしまった様子から、無表情なまま我慢しているように見えてつい笑みが零れてしまう。
きょとんとした目がまたかわいらしい。

「ふふ、今日は長門さんに聞きたいことがあってここまで来たんです」

「……」

「えっと、将棋のことなんですけど…あの時間だけじゃ覚えられなくて、長門さんならわかるかなって…」

「…将棋」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 13:12:12.53 ID:fQ4tI43+O

私の言葉が途切れた数秒後にぽつりと呟き、小さく縦に頷いてくれた。

「どこがわからないのか教えてほしい」

「えぇと、それぞれの駒がどんな風に動くのか覚えきれなかったんですぅ」

「…そう」

コクリと頷いて通学鞄の中からノートとペンを取り出す。
そしてテーブルの上にノートを広げ、いくつもの四角を書いていく。

「大まかなルールとしてはこれを取られると負け。この駒は左右上下斜めにヒトマスずつ動ける」

長門さんは王将と書かれた四角を指差してそう呟いた。
私は同じ言葉を繰り返して何とか頭に叩き込もうとする。
王将は左右上下と斜めにヒトマスずつ…。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 13:21:51.98 ID:fQ4tI43+O

その後も淡々とした口調で説明を続け、一通り終わる頃には2時間近く経過していた。

私が間に質問したりしたから余計に時間かかっちゃったんだよね…。

「……私から説明できることはこれだけ」

「ありがとうございます、長門さん。おかげで沢山覚えられましたぁ」

「そう」

よかった。
これで明日には彼と将棋を出来るかもしれない。
喜んでくれる…かな?

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 13:36:53.68 ID:fQ4tI43+O

すっかり冷めたお茶を飲み干して立ち上がり、長門さんに向けて頭を下げる。

「今日は本当にありがとうございました。お茶も美味しかったですぅ」

「……」

「私、そろそろ帰りますね。お邪魔しました」

長門さんは無表情なまま私を見上げている。
いつも通りの反応だろうと思い、少し気まずいものの背を向けて玄関へと向かって歩き出す。


「待って」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 13:46:39.91 ID:fQ4tI43+O

「ひえぇ!?」

まさか呼び止められるとは思っていなかったため裏返った声を上げてしまった。
ぎこちない動作で振り向く。

「な、何ですかぁ?」

「貴女は自分がしていることを理解してるのか聞きたい」

「私が…していること…」


――わかってる。

本当はわかってるけど、わからないフリをしていたいだけ。
私は普通の人間じゃないから…だから……。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 13:57:12.61 ID:fQ4tI43+O

「…わかっているならいい」

「……」

「また、明日」

何も言い返す言葉が思い浮かばず、今度は私が無言になる。
そのまま前に向き直り玄関から外に出た。

「……っ」

一人になった途端に涙が込み上げて、目から溢れ出そうになる。
こんなことで泣くなんて馬鹿みたいだ。

やり切れない気持ちを何にぶつければいいのかわからず、走ってマンションから飛び出しそのまましばらく走り続けた。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 14:10:43.95 ID:fQ4tI43+O

「はぁ、はぁ…疲れたぁ」

帰路の途中で走ることに限界が来てしまい、俯きがちにとぼとぼと歩く。

こうして一人でいると、長門さんの言葉を嫌でも思い出す。
私がしていることはいけないことだって十分にわかってるつもりだ。
だけど……。

ぐるぐると考えてるうちに気分が悪くなり、無理矢理考えることをやめる。
お願い。今だけでいいの。
少しだけでいいから…!


家に着くとパジャマに着替えてすぐに布団に突っ伏して眠る体勢に入る。
シャワーは明日の朝にしよう。

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 14:24:04.37 ID:fQ4tI43+O

次の日の朝、予定通りにシャワーを浴びて未だ晴れない気持ちを引きずりながら登校した。

「みくる、おっはよー!」

「ふぁ、鶴屋さん…おはようございますぅ」

「んんー?何かあったにょろ?」

私が教室に入るなり笑顔で顔を覗き込まれ問い掛けられた。
鶴屋さんは勘がいいから、変化があればすぐに気付いちゃうんだろうなぁ…。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 14:37:04.70 ID:fQ4tI43+O

「ううん、ちょっと寝不足なだけ。大丈夫」

「そうかい?無理しすぎないように気をつけるんだよっ」

ぽんぽんと私の頭を軽く叩きつつ明るい声でそう言うと自分の席に歩いて行ってしまった。
…無理してるのかな、私。


放課後になって部室へと足を向ける。

「はぁ…」

意識せずとも溜息がもれてしまう。
足取りは重い。

憂鬱な気分のまま部室の扉を開けると、定位置に長門さんがいた。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 14:48:22.40 ID:fQ4tI43+O

「長門さん、こんにちはぁ。昨日はありがとう」

「…構わない」

本から顔を上げて一言だけ呟き、彼女は読書に戻る。
普段と変わりない様子に安心しながらすでに習慣となっているメイド服に着替え始めた。


ちょうど着替え終えたころ、控え目に扉をノックする音が聞こえた。

「はぁい」

「こんにちは」

返事をしてすぐに扉が開き、キョン君が室内に入る。
その後ろには彼の姿。
廊下で一緒になったのかな。

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 14:59:19.90 ID:fQ4tI43+O

「あ……キョン君、こ…古泉君、こんにちはぁ」

「こんにちは。朝比奈さん、長門さん」

彼もいつもと変わらない。
その笑顔を眺めていると少しだけ憂鬱な気分が和らぐような気がする。

「朝比奈さん、昨日のおさらいをしましょうか」

「…ふぇ?」

「将棋の復習ですよ。もう飽きてしまいましたか?」

そんなわけない!
慌てて左右に首を振り否定を示す。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 15:10:56.64 ID:fQ4tI43+O

「あの…私、すごく楽しみにしてたから…っ」

「それはよかった、では早速始めましょうか」

私がコクンと頷き彼が用意をしていると、突然乱暴に扉が開け放たれ反射的に肩を跳ねさせてしまった。
毎度のこととはいえそう簡単に慣れるものではない。

「みんな揃ってるわね!今日は明日のことについて連絡があるの」

「またか。休日ぐらいゆっくりさせてくれ…」

「うるさいわね、馬鹿キョン。休日だからこそ行動するんでしょ?」

明日は土曜日。
また不思議探しに行くのだろう。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 15:23:10.01 ID:fQ4tI43+O

「集合場所はいつもと同じ。時間は……そうね、昼だと暑いでしょうから午前中に集まることにするわ」

「げ、勘弁しろよ…」

キョン君が露骨に嫌そうな表情を浮かべながら不満を零す。
うふふ、二人のやり取りはとてもほほえましくて楽しい気持ちになれる。
少しうらやましいな…。

「9時に駅前集合。遅刻厳禁だからね。…以上!」

涼宮さんは満足気に説明を終えるとドカッと椅子に腰を降ろした。

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 15:31:14.09 ID:fQ4tI43+O

「あ…お茶いれますね。すみません古泉君、少し待っててください」

「ええ、構いませんよ」

役目を思い出して席を立ちお茶の用意をする。
今日も美味しくできますように。


みんなにお茶を配り終えてから彼の正面に座る。
いつの間にか駒の配置を終えていたようだ。

「今日のお茶も美味しいですね」

「あ、ありがとうございますぅ」

よかったぁ、私に出来ることなんてこのくらいしかないんだから…。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 15:42:58.54 ID:fQ4tI43+O

「駒の動かし方はどのくらい覚えてます?」

「えぇと…」

昨晩長門さんから教えてもらったおかげで大半は記憶することが出来ていた。
彼も素直に褒めてくれて私にも笑顔が浮かぶ。

長門さんには御礼をしなくちゃ。
何か本をプレゼントしようかな?


「そろそろ実戦に移りましょう。朝比奈さんもルールが理解できているようですし」

「ぅ、えと…がんばりまぁす」

彼の言葉で急に緊張が戻って来た。
ちゃんとした将棋になるといいんだけど…。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 15:54:41.69 ID:fQ4tI43+O

…結果は予想通り私の惨敗。
考える時間を十分に取ってくれたけどまだ難しかったかな。

彼は普段キョン君に負けてばかりなせいかとても嬉しそう。
負けちゃったのは少し残念だけど、貴方が嬉しいのなら私も嬉しい。

「あら、古泉君が勝つなんて珍しいわね。よっぽどみくるちゃんが弱かったのかしら」

「朝比奈さんは初めて将棋を知ったみたいですし…僕だって彼が相手だと勝てませんよ」

彼は苦笑を交えつつキョン君を一瞥してそう発言する。

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 16:21:03.01 ID:fQ4tI43+O

「おい、古泉。朝比奈さんはお前のために手加減してくれたんだろうよ」

「んっふ、そうかもしれません」

「…へ?そ、そんな…私は全然ですよぉ」

あわあわと否定していると、長門さんが本を閉じ解散の時刻となった。
今日もあっという間だった気がする。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 16:30:34.02 ID:fQ4tI43+O

帰宅してからは何をしていても彼のことが頭に浮かんでくる。
将棋で勝った時、すごく嬉しそうだったなぁ…。

明日も会えるんだよね。
…ふふっ、涼宮さんにも感謝しなきゃ。

明日は何着て行こう。
前に着たのはなるべく避けたいし…どれが可愛いかな?


結局夜中まで悩んでしまい、睡眠時間を削ってしまうことになった。
朝ちゃんと起きられるか不安が浮かぶ。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 16:43:15.93 ID:fQ4tI43+O

それからすぐに布団に入り眠りにつく。
明日の用意は完璧だし、少しぐらいなら寝坊しても大丈夫だよね…。


――次の日の朝、予想通り寝坊してしまった。
しかも集合時間まで1時間しかない。

「わわ……ね、寝癖…っ」

夕べのうちにお風呂を済ませておいて正解だった。

慌ただしく身支度を済ませて家を飛び出す。
午前中とはいえ夏の日差しは強く、その暑さに目眩すら感じた。

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 16:55:44.30 ID:fQ4tI43+O

集合場所に行くと長門さんと古泉君が到着していた。
時間は9時30分前。

「長門さんに古泉君、おはようございまぁす」

「やあ、朝比奈さん。おはようございます」

「……」

二人に挨拶をして集団として加わる。
蝉の鳴き声がうるさいぐらいに響き渡って、沈黙の空間を埋めていた。

そして5分と経たないうちに涼宮さんが合流。
私達一人一人の顔を確認する。

「またキョンが最後?あいつの頭には学習機能がついてないのかしら」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 17:13:19.94 ID:fQ4tI43+O

ぶつぶつと文句をいいながらも、キョン君が来るはずの方角を見つめて待ち遠しそうにしている涼宮さん。
何だか可愛いな。


集団時間の10分前。
キョン君が合流した。

「ちょっと、遅いわよ!キョン!」

「遅いって…まだ10分前だろ」

「団長よりも遅く来るなんて団員失格よ。罰としてお昼ご飯はあんたの奢り!」

キョン君は呆れと諦めが交じった面持ちで溜息をついていた。

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 17:21:43.45 ID:fQ4tI43+O

「まずは午前の部ね。11時まで行動して、またここに集合。一度結果を報告しあうの。その時にお昼ご飯も済ませることにするわ」

お昼までの予定を発表すると涼宮さんは長門さんとキョン君の腕を掴み、引き寄せる。
…あれ?今日はクジじゃないのかな。

「私と有希とキョン、みくるちゃんと古泉君に分かれましょ。クジで決めるのも飽きてきたしね」

「ふぇ?えーと…」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 17:55:04.81 ID:fQ4tI43+O

あまりに唐突な行動に理解が間に合わず疑問符を浮かべる。
私と、古泉君で…?

「おい、ハルヒ、お前は何でそこまで自分勝手…」

「いいから黙ってついてきなさい!」

キョン君が不満を言いかけたが涼宮さんは全く気にせずに二人を引きずって行ってしまった。
残された私と古泉君は呆然とその様子を見送るしかない。

「えっ、と…」

「やれやれ…涼宮さんも強引な方ですね」

くすくすと楽しげに笑う彼。
何が何だかわからずに首を傾げる私。
彼は涼宮さんの行動の意味を理解している…?


90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 17:32:44.48 ID:fQ4tI43+O

一人で思考を巡らせていると頭上から声が聞こえた。

「とりあえず行きましょうか」

「は、はい…っ」

慌てて隣に並んで歩き出す。
二人きりなんて滅多にないから緊張するよぅ…。

「……」

「……」

行く宛てもなくただ歩き続けているも沈黙の時間が勿体なく思える。
話したいことは沢山あるはずなのに、上手く言葉が出てこないのがもどかしくて仕方ない。

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 17:45:03.66 ID:fQ4tI43+O

お互いに言葉を発することなくただ足を動かすだけ。
随分と長く感じた沈黙を破ったのは彼の方だった。

「…朝比奈さんにお尋ねしたいことがあるのですが、よろしいですか?」

「えっ、あぅ、ど…どうぞ」


何だろう。
彼から何かを尋ねられることなんて殆どないから、ちょっと不安になる。

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 18:06:50.78 ID:fQ4tI43+O

そんな不安が顔に出てしまっていたのか、彼が笑いかけてくれる。

「すみません、たいした事じゃありませんからそんなに身構えないでください」

「…はい、大丈夫ですぅ」

小さく頷いて次の言葉を待つものの、どことなく意図的な沈黙が数秒続いた。
未だ不安を抑えきれずに隣にいる彼の顔を見上げる。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 18:15:52.05 ID:fQ4tI43+O

視線が合うと彼は笑顔のまま重々しく開口し、


「朝比奈さんには今、好きな人はいますか?」


―――好きな、人。


「ちなみにlikeではなくloveの意味で…ですね」


…好きな人。
好きな人は、いない。

ううん、そんなの嘘だ。
私には好きな人がいる。
いつも気が付いたら目で追ってる。
彼を見ていると幸せで少し切ない気持ちになる。
初めはわからなかったけど、多分…これは恋心なんだ。

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 18:37:35.66 ID:fQ4tI43+O

そのことを理解して言葉にしようとすると自然に涙が零れていた。

「好きな人は、います」

両目から溢れ出る涙を止めることが出来ず、両手で顔を覆いながら俯く。
その一言を伝えるだけで精一杯だった。

どうして泣いているのか自分でもわからない。
本当はこんな姿見せたくないのに…。


103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 18:36:03.33 ID:fQ4tI43+O

「少し…休憩しましょう」

そう言うと彼は私の背を軽く押して公園のベンチまで向かった。

あぁ、ここは前にキョン君ときた事がある。
私の正体を打ち明けた場所だ。

この場所には何か縁があるのかもしれない。

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 18:45:58.72 ID:fQ4tI43+O

「大丈夫ですか?」

「はうぅ…だ、大丈夫です。ごめんなさい…」

鞄からハンカチを取り出して涙を拭う。
ふと、視界の隅に彼の掌が映った。

「よろしければ水で濡らしてきますよ」

「い、いえ…そんな…平気です」

彼の申し出を断るのは申し訳なかったけど、それよりも気になることがある。

「えっと…私も古泉君に聞きたいことがある、から…」

「…何です?」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 18:50:41.08 ID:fQ4tI43+O

差し出していた手を膝に戻し、私の話を真剣に聞こうとしてくれてる。
だけど何から尋ねればいいのか上手く纏められない。

古泉君にも好きな人はいる?
私がいなくなったら悲しんでくれる?
もし、私が今ここで…。

どれも聞いたって仕方ないことばかり。
他に伝えたいことが、大切なことがあるはずなのに。

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 19:00:41.59 ID:fQ4tI43+O

「私…ね、わかってるの。自分がしてるのはいけないことだって。いつかは未来に帰らなきゃいけないんだから」

改めて口にしてみると息苦しくなる。
私はただの馬鹿なんだ。
わかっててこの時代の人間に恋をするなんて…。

「だから、今まで誤魔化してたんです。きっと気のせいだって、彼が不思議な人だから気になるだけだって。でも…やっぱり、彼のことが好きだってことは隠せなかった」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 19:09:34.48 ID:fQ4tI43+O

「……」

彼は、何も言わない。
黙って私の話に耳を傾けている。

ちらりとその表情を盗み見ればいつもの笑顔はなく、真剣な眼差しを私に向けていた。

「…こんなこと、古泉君に話しても仕方がないのに…すみません」

もう自分でもわけがわからない。
これじゃあただの変な子だよ…。


「だけど……」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 19:18:15.40 ID:fQ4tI43+O

「今だけでいいから普通の女の子でいたい……」


貴方と二人きりでいることが許される今だけ。
今だけでいい。
そしたら明日からはまた、未来人としての朝比奈みくるに戻るって約束する。
だからお願い。
ほんの少しでいいから…!


―不意に、じっと俯いていた私の頭に掌の感触を感じた。

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 19:30:16.71 ID:fQ4tI43+O

「それなら僕も今だけは普通の高校生です」

「…え?」

「普通の高校生の高校生として、普通のデートを楽しみたいと思います」

普段よりも一層優しげな笑みで、彼が私に笑いかける。

「で、デート…ですかぁ?」

「えぇ、朝比奈さんがよければ…」

かーっと顔が熱くなるのが自分でもわかった。
どうしよう、どうしよう…顔、赤くなってないよね?

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 19:39:47.86 ID:fQ4tI43+O

「えぇと、あのぅ、その……ふ、ふつつか者ですがよろしくお願いしまぁすっ」

「ふふ、畏まりました」

微笑を浮かべながら彼が私の片手を掴んだ瞬間、携帯が鳴った。
ビクリと大袈裟に反応してしまい少し恥ずかしい…。

「おや…涼宮さんからです。どうやら11時を2分ほど過ぎていたようですね」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 19:50:42.70 ID:fQ4tI43+O

困り顔で苦笑しながら通話ボタンを押す。

『あ、古泉君?もう11時過ぎてるんだけどどこにいるのよ』

「どうもすみません。少し道に迷いまして…すぐに戻ります」

『みくるちゃんも一緒?ちゃんと側にいる?』

「もちろんです。僕のすぐ隣に」

私を見下ろしながら、涼宮さんにそう告げる彼。

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 20:02:51.41 ID:fQ4tI43+O

「はうぅ…」

視線に耐え切れず、今度は恥ずかしさから俯いてしまう。
さっきからずっと顔が熱い。

『そう…それならいいのよ。私達はもう注文済ませちゃったからすぐに来ること!じゃあね』


それから私達はいつもの喫茶店へと向かった。
歩幅を合わせて歩いてくれるだけで照れる程に嬉しく思えるなんて重症かも…。

「……あ…」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 20:13:26.38 ID:fQ4tI43+O

店に入る前に手を繋いだままだということに気付き立ち止まる。

「どうしました?」

「あー……あの、えーっと…」

なかなか言い出せずに口ごもってしまう。
離したくないけど、離さなきゃいけないのって悲しいな…。

「きっと午後も一緒ですよ。その時にまた…」

ゆっくりと繋いだ手を解き、その手で私の頭を撫でる彼。
何だかすごくくすぐったくて…顔をみたらまた泣いちゃいそうだから、ただ頷くことしかできなかった。

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 20:27:45.21 ID:fQ4tI43+O

店内に入るとすぐに涼宮さん達を見つけることができた。
その卓まで歩き空いている席に腰を降ろす。

「遅かったじゃないの、二人とも。お陰でこっちは待ちくたびれて腹ぺこなんだからねっ」

「す…すみませぇん」

「申し訳ありません。ちょっと気になるボードゲームを見つけまして…朝比奈さんまで付き合わせてしまいました」

ふふ、彼らしい嘘につい笑みが零れる。

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 20:42:07.69 ID:fQ4tI43+O

「ま、いいわ。二人とも、今日はキョンの奢りだからじゃんじゃん頼みなさい!有希なんてサンドイッチ二人前注文したんだから」

「…今日”も”俺の奢りだろ。それに長門の勝手に注文を決めたのはお前だ」

「細かいこと気にしないの!ねぇみくるちゃん、このスパゲッティとかどう?」

「へ?あ、はい、美味しそうですぅ」

そういえば今日は朝ご飯食べてないんだったっけ…。
自分のお金も持ってきたし、何か食べようかな。

「そうそう。午後からのメンバーも変えるつもりないから、そこんとこよろしくね」

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 20:53:48.12 ID:fQ4tI43+O

「ほぇ…本当ですかぁ?」

「えぇ、キョンは二人掛かりで見張って置かないとすぐにサボるもの」

涼宮さんに気付かれないよう、彼に視線を向けてみる。

あ…気付いてくれたみたい…。
軽くウインクしてみせる彼。

「えへへ…」

勝手に声がもれてしまい、長門さんに話し掛けていた涼宮さんがこちらを向く。

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 21:00:52.68 ID:fQ4tI43+O

「なぁに、みくるちゃん。嬉しいことでもあったの?」

「ひ、ひゃう!?いえ、あのぉ…」

肯定するタイミングを逃してしまい目が泳ぐ。
な、何て答えればいいんだろ…。

「僕はありましたよ」

「あら、そうなの?古泉くんはモテるから逆ナンでもされたのかしらね」

「そのようなものとは少し違いますが…きっと、今日の出来事はいつまでも忘れません」

「つまり古泉君にとっての今日は素晴らしい一日ってことね。だったらお祝いしなくちゃいけないわ、このスペシャルパフェも頼みましょ!」

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 21:04:07.18 ID:fQ4tI43+O

涼宮さんはメニューに書かれている文字を指差して宣言するとすぐに店員を呼ぼうとする。
その行動を見て慌ててキョン君が立ち上がり、

「な…!ちょっと待て、俺はそんなに出せな…」

「…スペシャルパフェ、とても興味がある」

制止しようとしたものの長門の一言で口を噤んでしまったようだ。
いつもと変わらないにぎやかなみんな、いつもと変わらない彼の笑顔。


私は普通の女の子なんだから、今日も精一杯楽しもう。


…ふふ、午後の不思議探しも楽しみ!


End

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 21:09:29.37 ID:fQ4tI43+O

よくわからん終わり方ですまない
こういうの書くの初めてで纏めるのが難しい…ということに気がついた

とりあえず古みくは悲恋なイメージがあります

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 22:06:42.82 ID:fQ4tI43+O

「ハルヒ、お前も空気が読めるようになったじゃないか」

「はぁ?何よ急に。それにしても古泉君嬉しそうだったわね、よっぽどいいことがあったみたい」

「朝比奈みくるも同様に嬉しそうだった」

「そうだな」

「涼宮ハルヒは羨望の眼差しを向けていた」

「……そうなのか?」

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/03(日) 22:10:38.30 ID:fQ4tI43+O

「な、何言ってんのよ有希!別に羨ましいことなんてないわよ。二人が嬉しそうで…それが嬉しいだけ」

「嘘」

「……!!嘘なんかついてn…」

「まぁまぁ。ハルヒの成長を祝して明日は三人で飯でも食いに行こうぜ」

「私には外せない予定がある」

「そうか、だったら俺とハルヒの二人だ。明日も今日と同じ時間に待ち合わせな」

「え……ぅ、な、何よ勝手に!」

「じゃ、またな。長門も気をつけて帰れよ!」

「……」

「…相変わらず意味不明ね」

「涼宮ハルヒ…顔の筋肉が緩んでいる。むしろ緩みすぎ」

「うう、うるさいっ!さっさと帰るわよ!」


おしまい



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