29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 15:07:20.40 ID:u8M02XK70
「キョンって腹筋割れてるね、触ってもいい?」
俺が国木田に聞かれたのは、体育のために着替えているときだった。
このとき、俺は答えに戸惑った。
相手は男の国木田だ。どこなりとも触れと応えられたはずだ……以前までの俺なら。
国木田似の女優が出ているAVを借りてから数日で、俺の常識はとんでもない方向に捻じ曲げられてしまっていた。
「ねえ、いい?」
ああ、そんな風に首を傾げないでくれ。お前が男なのか疑ってしまうじゃないか。
……はぁ、どうやら俺の常識は、理性の届かないところまで逝ってしまったらしい。さらば、俺の常識。
内面の葛藤と諦観を漏らさぬよう、務めて冷静に声を出した。
「ああ、いいぞ」
「わあ、ありがとう。じゃあ触るね」
日焼けしていない子供っぽい手、さらに言うなら女性のような手が俺の腹筋を這う。
むぅ……これは。
否定しようがない。俺は同性である国木田のことを、性的な意味で気になりだしている。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 15:29:35.34 ID:u8M02XK70
いかん。落ち着け。
国木田を見ていると、どうしてもAVの内容が頭に浮かんでしまう。
く……っ、仕方がない。
俺は横で着替えている谷口の顔を見て、なんとか気を鎮めた。
「……ふぅ、国木田、もういいだろ」
「え、あ、うん。ありがとう」
没頭していたようで、国木田は声をかけると驚いたような声を出した。
……そんな夢中になってたのか。
そう考えると、何故か、妙に、心臓が高鳴った。
国木田に触られて、俺はドキドキしている。国木田は、俺の体に触って、どんな風に思ったんだろう。
「どうだった? 俺の体は」
「へ?」
口をついた質問に、言ってから露骨すぎたと後悔した。国木田も困ったように俯いている。
冗談でうやむやにするかと考えだしたとき、国木田が口を開いた。
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 15:47:13.82 ID:u8M02XK70
「えーと、逞しかった、よ。キョン」
「……! そ、そっか。ははっ」
「僕ってひ弱だから、男らしい筋肉って憧れるな」
少し頬に朱をさして、国木田がはにかむように笑っている。
……いかん、浮かれてる場合じゃない。気を鎮めなければ。谷口谷口っと。
しかし、周りを見ても谷口の姿はおろか、教室には誰もいなくなっていた。
どうやら、置いていかれたらしい。
「おい国木田、こんなことしてる場合じゃない。早く校庭に出るぞ」
俺は興奮を気取られぬよう、国木田に背を向けたまま教室から出ようとした。
しかし、後ろにいる気配は動こうとしなかった。
国木田?
「……ねえ、キョン。次はさ」
振り向くと、国木田は体操着姿のまま立っていた。
「僕をさ、触っていいよ」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 16:17:46.44 ID:u8M02XK70
なにを言ってるんだ、国木田。
早く行かないと遅刻で、こんな所で体を触りあってる場合じゃなく、
何より、俺たちは男だろ?
そんな俺の混乱を他所に、国木田はそっと体操着の裾を捲くり始めた。
ゆっくりと露わになっていく白い肌に、いやがおうにも俺の目は釘付けになった。
国木田のへそ、女性のようなくびれ、わき腹に浮かんだ肋骨の影、全てがスローモーションで目に焼きついていく。
体操着を捲っていた手が胸元で止まる、そのときになって、ようやく俺は我に返った。
「な、なにしてるんだ、国木田」
「だから、触っていいよ、キョン。ねえ」
そんなこと……言いながら、俺の目は国木田から目を離せなかった。
俺がもはや限界だということを、国木田も解ったのだろう。
子供っぽい顔に悪戯な笑みを浮かべると、胸元で止めていた手を、さらに首元まで上げた。
……!
国木田の、胸が、ついに。
「国木田!」
もう、止められなかった。
俺はまるで獣のように、国木田の体にむしゃぶりついた。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 16:36:26.88 ID:u8M02XK70
「国木田! 国木田ぁ!」
「あはっ、キョンったらがっついちゃって」
もう国木田の白い肌しか目に入らなかった。
華奢な体に吸い付き、舐め回し、爪を立てる。
「いいよぉ、キョン」
優しくねっとりと愛撫すると、国木田は切なそうに吐息を漏らした。
激しく、力を込めて抱くと、国木田は悦びに嬌声を上げた。
「国木田……」
「キョン、我慢できない? ……フフ」
ズボン越しに、国木田の足に愚息を擦りたてる。
みっともない姿だが、たまらない快感だった。
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 17:00:11.81 ID:u8M02XK70
「そこまで」
快感に酔いしれていた俺に耳に、冷たい呟きが聞こえた。
「これ以上、鍵である彼を誘惑するのは許さない。
これは情報統合思念体、そして私という固体からの警告」
その声は、まるで水でも被せたように沸騰していた俺の頭を、一瞬で平時に引き戻した。
「長門!?」
「長門さん……」
俺は慌てた顔で、そして国木田は忌々しそうに声の主の名を呼んだ。
「そう」
「な、なんでここに」
聞きつつ、俺は足場が無くなって高みから落ちる錯覚に陥った。
見られた。男同士での情事を。
失墜。失望。冷笑。そんな言葉で頭がいっぱいになった。前後不覚。足元がふらつく。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 17:09:42.00 ID:u8M02XK70
しかし、先の長門の言った言葉が俺を呼び覚ました。
「鍵……? それに思念体って、長門それは」
「そこにいる彼なら聞かれても問題ない。なぜなら、彼もまた私と同じインターフェースだから」
「なに!?」
国木田は俺の腕にしがみついたまま、突然現れた長門に無表情で視線を向けている。
感情の揺れないその横顔に、以前、俺を殺そうとした元クラスメイトのものが重なった。
「性格には、彼の意識だけがインターフェースによって乗っ取られている
今日の彼の行動は、彼自身の意識によるものではない」
「おい、そうなのか、国木田」
「涼宮ハルヒの能力を利用するため、鍵である彼を手駒にするのを
主流派は推奨していない。この行動は、処罰の対象」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 17:31:25.86 ID:u8M02XK70
処罰と聞いて、今まで黙っていた国木田が口を開いた。
「……ちぇっ、ばれちゃったか」
その声は、長門の言葉を裏付けるものだった。
「時間をかけて、ゆっくりと鍵の感情を操作すれば
ばれずにことが済むと思ってたのにな。
敗因は、長門さんが予想以上に鍵の心に機敏だったってところか」
長門は威嚇するように、伸ばした手を国木田に向けた。
「待って待って。投降するよ。この男子生徒の体も返すからさ」
途端に、国木田の体から力が抜けた。それを危なっかしくも支える。
ホッ……気を失っているだけのようだ。
長門は視線を宙に向けている。国木田の体から抜けた奴がまだいるのか。
「そうだ、最後に一つ」
笑みを含んだ声が教室に響く。
「国木田君とお幸せに」
それきり声は消えた。
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 17:46:20.72 ID:u8M02XK70
俺と長門、そして気を失った国木田だけの教室。
今更だが、俺は自分と国木田の乱れた着衣を元に戻した。
……俺と国木田は操作されていたのか。
インターフェース同士の話を統括するとそうなる。
その事実は、俺と国木田の関係を白昼夢のように曖昧なものにしてしまった。
「なあ、長門」
「なに」
「全部さ……嘘だったのかな」
「あなたと彼が操られていたのは事実。でも」
でも? ……そう、でもだ。俺はこの一件で、そこだけは信じたいと思ってる。
俺を誘惑するのに、国木田を使った理由。
俺は国木田のことを想っていた。
そしてもしかしたら、国木田も俺のことを想っていてくれた。
だから、そこをつけ入られた。
これは俺の都合のいい妄想なのか? 教えてくれ、国木田。
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 18:01:22.38 ID:u8M02XK70
その後、国木田は操られていたことによる後遺症もなく、
目を覚ました次の時間から授業に出ていた。
乗っ取られていたときの記憶はないのか、それとも長門が操作してくれたのか、
休憩時間には俺に対しても屈託ない笑顔で接してくれた。
逆に、こっちが気後れしてしまって、怪しまれないかとハラハラしたものだ。
ただ、一つ気がかりなのは、妙に国木田からの接触というか、
的確なニュアンスでいうなら『ボディータッチ』が増えた気がすることだが……
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 18:14:47.60 ID:u8M02XK70
「国木田、もう少し離れて歩くのを俺はオススメする」
「なんでさ、キョン」
「いや、さっきから周りの視線が」
「いいじゃんいいじゃん。キョンだって、僕と一緒で嬉しいでしょ?」
……なんですと?
「フフ、キョンは僕のこと好きなんだよねー?」
「国木田、お前まさか、記憶が」
問う間もなく、国木田に引っ張られて転びそうになる。
そして、確かに聞いた。悪戯っぽい笑みで。
「僕も、キョンのこと大好きだからさ!」
おしまい
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 19:19:09.13 ID:u8M02XK70
もう人はいないが 読んでくれた人たち ありがとう
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/06(日) 19:33:00.42 ID:u8M02XK70
ではアフター書くよ
ノーマルがいい? エロがいい? それともアブノーマルがいい?
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 19:51:51.52 ID:u8M02XK70
ではアフターを
……
…………
北高の非常階段の一角で、何かをすするような水音が響いた。
「はぁ……キョン、キョン」
「んぅ、気持ちいいぞ国木田」
俺は壁に寄りかかり、かしずいて奉仕している国木田の髪を撫でた。
あの一件以来、俺と国木田は秘密の関係で結ばれた。
そして、操られていたとはいえ、一度あそこまでいってしまった俺たちが、
また肉体関係を持つのは、あっという間だった。
嫌悪感はなかった。それが、俺たちの気持ちが本物だったという証だと思いたい。
「ねえ、僕もう」
トロンとした目で国木田が俺を見上げた。そんな目で見られると、俺もたまらなくなるじゃないか。
「ああ、わかった」
俺たちは互いの服を脱がし始めた。
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 20:21:48.21 ID:u8M02XK70
国木田のブレザーを脱がせ、ワイシャツのボタンを外していく。
男のものとは思えない白い肌と、そして胸元を覆う白い布――いわゆるブラジャーが露わになる。
国木田は学校外で俺に会ううちに、女装してくれるようになった。
理由を聞くと、そのほうがくっついていても怪しまれないからだと言われた。
確かに、スカートを履いた国木田は可愛らしい女の子にしか見えず、
しかも男の国木田が女性の格好をしているという背徳感で、俺は大変満足した。
当の国木田も女装にはまったようで、今ではこうして、学校に下着だけ女装して通うようになったのだ。
ベルトを緩めズボンを下ろさせると、不自然に膨らんだパンティが目に入った。
恥ずかしそうに俯く国木田を見て、俺はニヤリと笑った。少し虐めてやろう。
「舐めてただけで、もうこんなになってるのかよ」
下着越しにツメでかいてやる。
「うぅん……やめてよ、恥ずかしいよお」
「そうだよな、恥ずかしいよな。男なのにこんな下着つけて
……男のもの舐めて興奮してるんだもんな」
おっ? いまビクンと動いたぞ。
これは効果がありそうだ。
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 20:42:21.28 ID:u8M02XK70
喘ぎ声を噛み殺している唇を指先でつつく。すると先の口陰の時のように、一心不乱にしゃぶり始めた。
「言えよ。僕は男なのに、チンポ舐めるのが好きですって」
「いや、だよ……ん、いじわる」
その通り、意地悪だ。でもその意地悪を、国木田の体は悦んでいるようだぞ?
しゃぶらせていた指を遠ざける。物欲しそうに指に見入る国木田の耳に、そっと囁いてやる。
「国木田は俺のことが好きなんだよな。男の俺のことが」
「うん、うん。好きだよぉ……」
「じゃあ言えるよな。聞かせてくれよ国木田のいやらしい言葉」
少し気恥ずかしさが出てしまったか。今のセリフを録音して後で聞いたら、恥ずかしさで卒倒できるだろうな。
それでも功を奏したのか、国木田が震える唇を開いた。
「僕……僕は男なのに、キョンの……チン……ポを舐めるのが、好きですぅ……!」
国木田はおずおずと言われたとおりの言葉を口にした。しかも俺の限定というオマケつきだ。
可愛い奴じゃないか。よし、今日は俺もサービスしてやろう。
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 20:59:28.73 ID:u8M02XK70
だが、国木田に強要させておいてなんだが、今からすることをいざ口にするのは、やはり恥ずかしいな
結果、口から出たのは曖昧な言葉だった。
「国木田、今日は……その、お前がしてくれ」
「え、いいの?」
ああ、と応えながらそっぽを向いてしまった。我ながら情けないな。
だから気付かなかった。国木田が小悪魔のような笑みを浮かべたことを。
国木田が俺のベルトを緩め、ズボンとトランクスを脱がす。
「じゃあ、キョン、壁に両手をついて」
言われるままに壁に手をつき、尻を突き出す格好をとる。
「よーくほぐさないとね」
尻にヒヤリとした感触がした。国木田がアヌスにヨダレを垂らし、指で塗りこめ始めたのだ。
むず痒いが、決して不快ではない感覚と、これから起きる性交への期待で、
俺の愚息は大きく膨れ上がっていた。
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 21:10:27.81 ID:u8M02XK70
「いいこと思いついた」
国木田の言ったそれは、吉報という響きを微塵も含んでいなかった。
なんだ、国木田。俺をバキュームカーにする気でも起こしたか。
「キョン、少し右足上げて。あ、こっちは見ないでね」
……まあ、それぐらいお安い御用だが。
「次は左足ね」
へいへい、と。これでいいか?
「うん、オッケー。ありがとう」
どういたしまして。次は右手か? 左手か? なんなら両方上げちゃうぞ。
そんな軽口の最中に、俺の両足にやわらかい感触が走った。
その感触は足先から根元に上がり、俺の腰を覆って納まった。
慣れ親しんだような感覚。しかしどこかが違う。
まさか……
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 21:23:32.15 ID:u8M02XK70
……なんてこった。
覗き込んだ視線の先、俺の股間は、白い女性用下着で包まれていた。
見慣れたはずの俺の下半身が、ぴっちりとしたパンティを履かされ、
女性のそれに変わってしまった感覚に陥る。
その中で下着に似つかわしくない愚息だけが、さらに硬度を増していた。
「どう? 僕の脱ぎたてのパンティは」
その問いには俺の愚息が雄弁に答えていた。
とても恥ずかしい。だが不思議とそのミスマッチさに興奮していた。
「キョンって、もしかしたら素質があるのかもね」
そう言って、国木田は俺の愚息とアヌスを攻め立てる。
ぐぅ……っ なんでだ。さっきより気持ちいいっ。
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 21:39:18.50 ID:u8M02XK70
「アハハ、キョンって本当に素質あるよ、これは」
……さっきからなんだよ、素質って。
「受けのだよ。いや、女装のかな。だって」
国木田は、器用に俺の愚息に下着を被せると、そのまま扱きはじめた。
ああっ! そ、それ、パンティの感触がいいっ! 気持ちいいっ!
「僕のパンティ履かされて扱かれて、こんなによがっちゃうんだもん
今までずっと受けだったけど、今度からは僕がキョンを虐めてあげるよ」
そんな、俺が女みたいなお前にいいように攻められるなんて……!
「あ、いま想像してたでしょ。キョンのチンポがビクッてなったよ」
そんなバカな……でも、ブラジャーにワイシャツ姿の国木田に攻められてると、
悔しいが、確かに、興奮してしまう。
「お尻がモジモジしてるよ。じゃあそろそろ……」
国木田は俺に履かせた下着をずらすと、どこから出したのか、アヌスにローションを塗り込んだ。
お前、まさかずっと狙ってたのか……?
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 21:53:01.59 ID:u8M02XK70
「いくよ、力を抜いてね」
国木田が俺に囁く。そして俺が恐れ、同時に期待していた瞬間が来た。
「んっ……きつい。キョン、大丈夫?」
俺を気遣う優しい言葉は、そのときの俺には聞こえていなかった。
「あ……ぁ……ふとぃ」
痛みと、予想以上の圧迫感。まるで自分の中身を根こそぎ吹き飛ばされ、
そこに相手が押し入ってくる感覚。自分が自分でなくなるような……。
「ね、キョン大丈夫?」
「ああ、なんとか、な」
とは応えたものの、俺はほとんど上の空だった。
国木田が入ってきた分、自分が押し出され、俺は自分がなんなのか解らなくなる。
ショックだった。後悔した。とにかく、早く、この時間が過ぎればいいと願った。
痛みを忘れるため、俺はギュッと目を瞑った。
だが。
「はあ、キョン、気持ちいい」
背中の国木田の言葉で、俺の中の何かが変わった。
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 22:01:43.21 ID:u8M02XK70
「気持ちいいか? 国木田」
「うん、キョンの中、気持ちいいよぉ」
……俺はいま、国木田を受け入れてるんだな。
国木田に押し入られ、俺は自分を失ったと思っていた。
もしかしたら、これが処女の喪失感なのかもしれない。
でも、だからこそ俺はいま、全身で国木田を包み込んでいるんだ。
俺は……俺は、それが、嬉しかった。
「……国木田、もう動いていいぞ」
「い、いいよ、そんな無理しないで」
「いいんだ。大丈夫だから」
強く言うと。国木田は俺に気を使いつつ、ゆっくりと動き始めた。
「ぐっ……う」
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 22:13:50.21 ID:u8M02XK70
「もっと激しく動いていいから」
俺の中で変わったもの。それは献身の情だった。
痛みが消えた訳じゃない。
でも、自分はいいから、国木田に気持ちよくなってもらいたい。
その感情が、俺に歓喜を呼び起こした。
「キョン、キョン!」
「国木田ぁ、あん! もっと!」
圧迫感と被征服感は、被虐の快感に変わっていた。
気持ちいい。国木田が俺の中に入ってメチャクチャにしてくれている。
俺は、いま、国木田のモノにされている!
「ぁん、もう、俺っ」
「キョンっ! 好き! 大好き! んくぅ!」
「うん、うん、国木田ぁ、好き、好きあああ!」
国木田の迸りを内に感じ、俺は追うようにして果てた。
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 22:36:27.90 ID:u8M02XK70
数分後、俺たちは身を起こした。
「キョン、大丈夫? その……お尻は」
「大丈夫だ、と、思っていたが、終わってみると、とてつもなく、痛い」
ギクシャクと立ち上がる俺を見て、国木田は笑った。
「アハハ、そういうものだよ」
そうなのか? そうなると……なんだか今までのお前に申し訳なくなってきたぞ。
「いいよ、気にしないで。これからはキョンがずっと受けてくれるんだから」
……おい、待て。何故そうなる?
「さっき僕が言ったでしょ。それにキョンもまんざらじゃなかったし」
それは……確かにそうだが。でも毎回というわけには……。
答えあぐねていると、国木田はしめたという風に笑った。
「今度からは女装もしてよね。学校では下着だけでいいからさ」
ちょ、ちょっと待て! それは流石に勘弁してもらいたい。
俺にも男の沽券がと言いかけて、だが尻の痛みが言葉を飲み込ませた。
ぐ……なんて様だ。
「まあまあ、でも本当にさあ……」
不意に、国木田が人のよさそうな笑顔を引っ込めた。
「これからも、僕に虐められたいんだよね、キョンは」
口元に艶のある笑みを浮かべて、そう囁く。
ゾクリと、さっきの被虐感が背筋を走った。
返事は? と聞かれ、俺は思わず答えていた。
「……はい、よろこんで……」
おしまい
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/07/06(日) 22:51:55.49 ID:u8M02XK70
最後に。出番が少なかったから。
「あなた達は少し静かにするべき」
うおっ! 長門、いたのか。
「いた。初めから終わりまで、ずっと」
なに? そーいうのは関心しないな。人の情事を盗み見るなんて。
「理由がある。あなた達の声を外部に漏らさぬよう、遮断していたのは私」
そ、そんなに声が大きかったか?
「肯定。もし私が遮断しなかったときを仮想すると、あなた達の声は職員室まで聞こえていた」
ぞっとしない仮想結果だな。
「だから今後も、私があなた達に付き添うのを推奨する」
……いや、そうはならないだろ。
「大丈夫。私は性別を自由に変えられる。あなたが望めば、攻めることも可能。
むしろ、私という固体もそれを望んでいる」
あのー、長門さん? もしもし?
「臀部を出して。さあ、おとなしく……」
な、長門おうわああぁぁぁ……。
おしまい 読んでくれてありがとう