1 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 20:37:40.97 ID:q+EgjZ8SO
七年後
刑務官「いよいよ明日だな。最後に食べたいものはあるか」
みさお「…ミートボール。ミートボールが食べたいってヴぁ」
55 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 21:07:46.82 ID:q+EgjZ8SO
みさお(とっくの昔に執行への恐怖はなくなったけど)
みさお(いざ明日となると妙な心持ちだってヴぁ)
みさお(裁判に2年、執行まで7年)
みさお(あれからもう9年になるんだな…)
刑務官「330番、何を考えている?」
みさお(みんな、元気にしてっかな…)
60 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 21:16:06.51 ID:q+EgjZ8SO
みさお(週に一回は届くあやのからの手紙も…)
みさお(気がつけばこんなに溜まっちゃったってヴぁ)
みさお(私、手紙とか文章とか下手くそだから…うまく返せないんだってヴぁ)
みさお(ごめんなー…あやの…)
刑務官「そうだ。新しい手紙がきてるぞ」
61 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 21:19:12.54 ID:q+EgjZ8SO
みさお「えっ」
刑務官「いつもの人からだぞ」
みさお「よ、読ませてくれってヴぁ!」
刑務官「そんなにがっつかなくても渡す。…最後の手紙だ。きちんと読めよ」
62 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 21:22:56.96 ID:q+EgjZ8SO
みさお「ヴぁっ!ヴぁっ!」
ペリペリ
みさちゃんへ
元気にしていますか。私は元気です。
もちろん、みさちゃんのお兄さんも、子供も元気だよ。
みさお(いつもと変わらない出だしだってヴぁ…)
65 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 21:27:20.62 ID:q+EgjZ8SO
明日はついにみさちゃんとお別れをする日なんですね。
その場にいてやれないことが私にとって寂しいことなのか救いなのか
刑の確定から7年間考え続けましたが、結局わかりませんでした。
この数日間面会をお願いしましたが、許してもらえず
結局私がみさちゃんの顔を見ることはもうできません。
お兄さんやお義父さん、お義母さんもそれをとても残念に思っています。
みさお「みんな…私のこと許してくれたんだなあ」
67 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 21:31:22.87 ID:q+EgjZ8SO
みさちゃんが起こした事件から9年が経ちます。
あれから色々な変化があったことはみさちゃんに教えた通り
変わらないのは二人の姉妹を失った柊さんの家だけ。
あの日から時間がとまったようだと、柊さん達は言っています。
みさお「私があの人達の時計を壊しちゃったんだな」
71 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 21:40:15.00 ID:q+EgjZ8SO
みさちゃんが犯した二件の強姦殺人…あれからみさちゃん家、すごく荒れちゃって
結局糟日部にとどまっていられずに北へ北へと逃げました。
私は彼と離れられず、みさちゃんも見捨てられなくて
結局学校を辞めて彼について行っちゃって
そのまま結婚しちゃったんだけど
本当はみさちゃんも式に呼びたかったんだ。
みさお「写真見たってヴぁ…あやの綺麗だったなあ」
75 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 21:45:05.82 ID:q+EgjZ8SO
犯してしまった罪はどうにもなりません。
みさちゃんのした事は許される事じゃないし私も許しません。
でも、みさちゃんは私の一番の親友です。それはいつまでも変わりません。
みさお「ヴぁ…ヴぁ…」
刑務官(330番…泣いているのか)
83 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 21:50:05.76 ID:q+EgjZ8SO
私はみさちゃんの親友でいられて本当によかったです。
残念なこともありましたけれど
みさちゃんもきっと私の事を親友だと思ってくれているはずです。
だってみさちゃん、どんなに不器用でも
返事を欠かしたことは一度もないのですから。
みさお「ヴぁああああああああああああああ!!!!」
刑務官「330番…」
刑務官「うるせーぞ!」
86 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 21:55:04.23 ID:q+EgjZ8SO
私はいつかお嫁さんになりたいとみさちゃんに話しました。
そのためにたくさん努力しました。
みさちゃんのところはは兄妹揃ってミートボールが大好きで
似ちゃったようで私の息子もミートボールが大好物
だからお料理の中でもミートボールだけはいつでも上手に作れるよう頑張って修行しました。
みさお「あやのの料理はうめーからなー」
88 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 22:00:16.55 ID:q+EgjZ8SO
みさちゃんにもみさちゃんの夢を叶えてもらいたかったです。
だからみさちゃんに次の人生があったら
また私と親友になってください。
今度は二人で一緒に夢を叶えましょう。
寂しくて不安だろうけど、ほんの少しお別れです。
親愛なる親友へ、それではまた
日下部あやの
みさお「それではまた…か…」
89 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 22:05:04.00 ID:q+EgjZ8SO
みさお「私はまたあやのの親友になれるかなあ…そんな資格あるのかなあ」
刑務官「それは…お前の頑張り次第だ」
刑務官「しっかり反省して、最後まで自分の命をまっとうするんだ」
みさお「ヴぁ…」
92 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 22:12:20.17 ID:q+EgjZ8SO
その頃、刑務所の外
こなた「みさきち…」
こなた「いよいよ明日が執行の日なんだね…」
こなた「でも私はあんたのこと絶対許さない」
こなた「あれから私の人生は狂っちゃった…あんたを裁くのに法に頼ってたまるか」
こなた「あんたは私が裁く」
あやの「あら…あれは泉さん?」
98 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 22:18:11.76 ID:q+EgjZ8SO
執行当日の朝
みさお(この世で見る最後の太陽だってヴぁ)
刑務官「執行は今日の夜だ。つまり昼食が最後の食事となる」
刑務官「今から朝食を配膳する。味わって食べろ」
みさお「いただきます」
モソモソ…ピチャピチャ…
99 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 22:21:15.71 ID:q+EgjZ8SO
ピチャ…クチャクチャ…ピチャ…
モグモグ…ムグムグ…クチャ…
カッ…ハムッ…クチャクチャ…
ピチャッ…ズズ…ズ…ガチッ
ムギュムギュ…カッカッ…
ズズ…モグモグ…モグモグ…
クチャクチャ…モグモグ…
ハムッ…ズズ…ゴクン
112 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 22:41:39.63 ID:q+EgjZ8SO
執行当日の昼
刑務官「昼食の時間だ。身辺整理はできたか」
みさお「できたってヴぁ」
刑務官「最後の食事はお前の大好物のミートボールだ」
みさお「9年ぶりだってヴぁ」
刑務官「ただのミートボールじゃないぞ」
みさお「?」
刑務官「これは…お前の親友のあの子が作ったミートボールだ」
みさお「!」
114 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 22:46:05.62 ID:q+EgjZ8SO
みさお「あやのが…どうして…」
刑務官「あの子はお前が最後にミートボールを食べたいと考えるのをわかってたんだろうな」
刑務官「本来なら差し入れで持ってきた食べ物を受刑者に渡すのは厳禁なのだが」
刑務官「ミートボールを探す労力も省けるし、今回は特別だ」
みさお「ああ…あやのぉ〜…↑」
116 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 22:51:35.53 ID:q+EgjZ8SO
みさお「美味い…うめえよお…あやのぉ…」
みさお「ちょっと涙でしょっぱいけど、こんなに美味いミートボール食べたことねえってヴぁ…」
みさお「ちくしょー…フォークが震えてうまく掴めないってヴぁ…」
みさお「あっ、落とした…三秒ルールだよな、あやの…」
モソモソ…
118 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 22:54:09.33 ID:q+EgjZ8SO
ムギュムギュ…モグモグ…
パクパク…カッ…ズズ…
ズズ…ズズ…クチャクチャ…
ガツガツ…シャクシャク…
モグモグ…モグモグ…
ハムッ…クチャクチャ…ズズ…
ガツガツ…クチャクチャ…
モグモグ…シャクシャク…
121 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 22:57:19.56 ID:q+EgjZ8SO
ピチャ…クチャクチャ…ピチャ…
モグモグ…ムグムグ…クチャ…
カッ…ハムッ…クチャクチャ…
ピチャッ…ズズ…ズ…ガチッ
ムギュムギュ…カッカッ…
ズズ…モグモグ…モグモグ…
クチャクチャ…モグモグ…
ハムッ…ズズ…ゴクン
125 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 23:00:10.00 ID:q+EgjZ8SO
カツカツカツ…モグモグ…
ズズ…ズズ…ムグムグ…
カリカリ…パキッ…
ズルズル…クチャクチャ…
モソモソ…ムグムグ…
ムシャムシャ…チュルチュル…
ピチャピチャ…クチャクチャ…
ズズ…ズズ…ゴクン
131 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 23:05:32.21 ID:q+EgjZ8SO
みさお「ごちそうサマンサ」
すーじかんご
刑務官「時間だ、330番」
みさお「…」
みさお「ああ…」
みさお「いくってヴぁ…」
みさお(ばいばいみんな)
みさお(ばいばいあやの)
刑務官(ばいばいみさお)
137 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 23:10:44.33 ID:q+EgjZ8SO
みさお「うぐっ…!?」
刑務官「どうした、330番!」
みさお「苦しい…苦しいってヴぁ…!」
刑務官「大丈夫か!」
みさお「助けて…あやの…」
みさお「ヴぇ」
刑務官「…死んでる」
150 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 23:19:58.29 ID:q+EgjZ8SO
すーじかんご
検視官「330番の胃袋から未消化のミートボールと一緒にこんなものが」
刑事「これは…手紙?」
刑務官「ミートボールの中に入っていたみたいですが、330番は気付かずに飲み込んだようです」
刑事「どれどれ」
みさちゃんへ
157 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 23:25:22.76 ID:q+EgjZ8SO
みさちゃん、久しぶりのミートボールはおいしい?
一生懸命練習したミートボール、みさちゃんに食べてもらえて私、幸せだな。
高校生のときもみさちゃん、私の作った料理いつも美味しそうに食べてくれたよね。
だから今日も張り切って作っちゃった。
この7年間、毎週手紙と料理をもっていったのに、渡せるのは手紙だけ。
だから今日は思い切ってミートボールに手紙入れちゃった。
読んでもらうこと、できたらいいな。
168 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 23:33:24.11 ID:q+EgjZ8SO
みさちゃんが9年前に犯した罪
あれはみさちゃん家の全てを壊していった。
そう…みさちゃんのお兄さん、私の彼の心も。
みさちゃんには教えてなかったけど、あれから彼は廃人のようになったんだよ。それは今でも直ってない。
私はみさちゃんを憎みたかった。でもみさちゃんは大事な親友…。
本当に大切で大好きな、替えの効かない大親友…心から憎みきれなかった。
このままだと私の心まで壊れそう。
だから私は決めた…私の手でみさちゃんを殺すって。
せめてみさちゃんの罪は親友の私が終わらせてあげるのが、復讐であり友情の証だと思った。
179 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 23:41:14.51 ID:q+EgjZ8SO
そうと決めた日から私は毎週、みさちゃんへの料理に毒と手紙を仕込みました。
即効性じゃなくて遅効性の毒を…私が作ったみさちゃんの最後の食事は美味しく食べてもらいたかったから。
なかなか受け取ってはもらえなかったけど、この手紙がラストチャンス。きっと受け取ってもらえるはずです。
この手紙を読んだってことは、みさちゃんはもうすぐ死んでしまいます。
でも大丈夫、苦しいのは一瞬だから。
これでみさちゃんの罪は綺麗になって、私が罪を背負う番になります。
みさちゃんも私も少しは楽になれるでしょう。私の最後の友情です。
さようなら、みさちゃん。次は一緒に…必ず幸せになろうね。
あなたの大親友
日下部大あやの
186 名前:んん… ◆Miwikigs4M [age] 投稿日:2008/04/08(火) 23:49:06.03 ID:q+EgjZ8SO
あやの「うっ…」
こなた「み、峰岸さんが悪いんだからね…私の邪魔をするから!」
ダッ
あやの「みさちゃん、どうしよう…私、泉さんに刺されちゃった…」
あやの「私きっと死んじゃうよね…みさちゃんに毒ミート食べさせた罰なんだね…」
あやの「みさちゃんを殺そうとした私がみさちゃんを守って死ぬなんておかしいよね…」
あやの「でもよかった…あっちでみさちゃんに会えるね」
あやの「また前みたいに一緒にご飯食べよう?」
あやの「世間話で盛り上がったりしよう?」
あやの「そして…また次出会うときも…一番の親友でいようね…」
おわりぃ〜☆