420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 17:40:58.55 ID:JRP1qtlm0
お百度参りから帰ってきた尼の様な目をしていたかと思うと、
くるりと表情を変え、
ハルヒはどんよりとした冬の空を一気に濃縮したような表情になった。
まずい、この顔になったハルヒはまずい。
「ちゃんと説明しなさいよ、キョン!」
だらしなく首からぶら下がった俺のネクタイをおもむろに掴み、
渾身の力を込めて自分に引き寄せてからハルヒは言った。
「SOS団団長としての命令よ。
今直ぐ釈明でも説明でも説法でも何でもいいから、
あたしを納得させなさい!」
こんなに間近で怒った顔を見るのも久しぶりだな。
それに、釈明もなにも、如何わしい事実なんぞこれっぽっちも無いんだ。
421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 17:41:31.67 ID:JRP1qtlm0
「ふん、しらを切り通そうと思っても無駄よ、
わたしにはあんたの黒くてオゾマしい魂胆が丸判りよ」
勝手に決めつけるな。勝手に。
「あたしが納得出来なかったら、即死刑よ!
チベット難民より酷い目にあわせるんだから!」
おまえ、チベットを出してくるのはマズくないか。
「もう授業が始まる時間だわね、いいわ、放課後に臨時総会よ。
それまでに考えておくのね。
有希、あなたも説明責任があるわ。絶対参加よ、いいわね」
「わかった」
何とも言えない表情で長門を一瞥したハルヒは、
それ以上は何も言わず足早に校門を抜け校舎に入って行った。
422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 17:41:59.41 ID:JRP1qtlm0
「やれやれ、どうやら今日の授業には出られそうにもありませんね」
中指と薬指で前髪をいじりながら、古泉がいつもの調子で登場なすった。
お前、いつからここに居たんだよ。気味の悪い奴だ。
「どうやら臨時のバイトが入ってしまったようです、
今日は得意の微分積分の小テストが有ったので、
張り切っていたのですが、受けられそうに有りませんね。」
物理法則をすっかり無視してるお前が微分だの積分だの口に出すなんてな、
ニュートンさんだって草葉の陰から興味津々だろうよ。
しかし、閉鎖空間が出来ちまったのか。今ので
「おそらく、今のやり取りが原因でしょうね。
先ほどから発生した閉鎖空間が、これまでに無い成長速度で広がっていると、
機関の方から連絡がありました。
何が有ったのかしりませんが、お手柔らかに頼みますよ。」
俺にどうしろというのだ。
423 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 17:42:39.93 ID:JRP1qtlm0
「時間がないので、僕はもう行きます
放課後の総会までには間に合うようにしますよ。きっと。」
「ふん、そういえば、お前のもってきたトイレカバーだけどな、
長門が消しちまったよ、すまんな。」
笑顔のまま、若干のタイムラグを見せてから古泉が口を開いた。
ショックだったのか?
「かまいませんよ。また僕とお揃いのをお持ちしますから。」
お前はいつもトイレカバーを作っているのか。
「レース編みは僕のささやかな趣味ですから。では」
そういうと、古泉の歩く先に、狙ったように黒いタクシーが止まり、
古泉が乗り込むと、そのまま坂の下へと走り去って行った。
424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 17:42:58.68 ID:JRP1qtlm0
「もういく」
ハルヒと出くわしてから今の今まで一切表情を変えずにいた長門が、
そう言い残すと、まるで足の着いていない古典的な幽霊のように、
するすると校門へ歩いて行った。
割れ関せずな様相で立ち去る長門の後ろ姿を見つめながら、
この先の釈明をどうした物かと思いながら立ち尽くしていると、
おもむろに長門が振り返り、じっと見つめてきた。
なんだ、どうした? いい言い訳でも思いついたのか?
「昼休みに、昨晩の続きを」
いったい何をしたいんだ。長門。
460 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 23:36:34.18 ID:JRP1qtlm0
「・・・・」
ふう、昨日の夜からの破廉恥な数々な出来事の成果、
変な妄想ばかりが頭を支配し、
全く授業に集中できないではないか。
後ろに座るハルヒは、終止機嫌が悪く、
意を決し、まさに清水の舞台から飛び降りんばかりの覚悟で話しかけても、
「べつに」としか反応してこない。たまに「あっそ」という隠し味を入れてくるが、
邪見にされている、いや、そもそも相手にされていない事が明白であり、
いつしか、俺からのチャレンジはあきらめてしまった。
こんなときだけ鼻の聞く馬鹿谷口が、
「おー、夫婦喧嘩か? めずらしーなー」
などと、火に油を注いだ挙げ句、
熱心にもその他感が売る可燃物を総動員させて来たような事をしやがり、
ハルヒの態度は、加速度を付けて固くなって行く。
本当に谷口は馬鹿だ。
「うるせーなー、まぁ何が有ったか知らんが、
お前らお似合いの夫婦だしな、仲良くやりな。」
461 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 23:37:53.66 ID:JRP1qtlm0
いいから黙れ谷口。馬鹿。
俺たちはいつもの屋上で弁当をつついている、
国木田も要らぬ心配をし始めてきており。
根掘り葉掘り聞いてこようとするが、
「長門が昨日、我が家にお泊まりしました。」
なんて口が裂けても言えるかってんだ。
「どうせ浮気でもしたのがバレたんでしょ、
キョンは以外に持てるみたいだし」
いいから静かにお手製弁当を楽しませてくれ、
俺の今日最後の楽しいイベントかもしれんのだ。
「人生最後の食事だったりしてな。かっかっか」
うるさい。黙れバカ谷口。
462 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 23:39:49.04 ID:JRP1qtlm0
「お昼は一緒の約束のはず・・・・」
「のおぁ!」
「のおぁ!」
「うあぁ!」
いきなり声をかけられた俺たち三人は、素っ頓狂な声を、
揃って上げ、三人揃ってアホ顔で振り返ると。
手に弁当を持った、長門が立ちすくんでいた。
「約束・・・・・」
約束って、あれ、おまえ、本気だったのか?
小さくうなずく長門。
「なんだよお前、やっぱり浮気じゃねーか」
うるさい谷口、そんな訳は無いと何回言わせるつもりだ。
しかし、すかさず冷静な国木田が指摘してきやがった、
「だって弁当箱の包み、同じハンカチじゃないか、
大きさも一緒だし、こりゃキョンに一杯食わされたね。」
畜生、こんなときだけ名探偵ですか、
国木田コナン君。
463 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 23:41:05.54 ID:JRP1qtlm0
そう、長門の手には、朝、三人分作られ、
それぞれに配られた弁当の一つが存在していた。
迂闊だった、俺だけでも弁当を辞めておくべきだったか。
しかし、こんなシチュエーションは想定不可能だ、
長門はいつだって電光石火の勢いで焼きそばパンをゲットし、
宇宙人のようなスピードで平らげたかと思うと、
一言も発せずに教室から姿を消してしまうという話を、
長門のクラスメートから、体育の合同授業の時に聞かされていた。
なんで、今日に限って俺を追うんだ。
「昼、一緒にと約束をしたはず。
あなたは拒否をしなかった、了解の意味と捉える。
わたしの勘違いでなければ、今日は一緒に部室で食べてほしい」
わ、わかった、とにかく、ここで朝の話の続きをするのはよそう。
「把握した、では、部室へ」
465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 23:43:29.15 ID:JRP1qtlm0
背後から聞こえる谷口の罵声と国木田の冷やかしを恨めしくも、
振り返る事も無く振り切った俺と長門は、
屋上の入り口から外にでようとしていた。
予定では、ドアノブに手をかけ、そのまま部室棟へうつり、
なだめすかしながらも、とにかく昼を食うだけ食って、
タイムアップを狙うつもりだった。
しかし、ドアノブを開けたときに、
そんな作戦は無駄だった事に気がつかされることになる。
「ちょっとあんた達! あたしに隠れてなにコソコソしてんのよ!
有希も有希だわ、何か隠してるなら、今ここで全部洗いざらい
吐き出すのよ。これは団長命令だわ、逆らう事は許されないわよ!」
俺と長門が手にしているお揃いの弁当箱に一瞥を入れるが、
それには一切触れる事無く、鋭い眼光で俺だけを見据えている。
ああ、なんということだ、どんどんと妙な方向へ行っちまう。
466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 23:44:20.32 ID:JRP1qtlm0
おい、谷口と国木田、何絶句してやがるんだ、
こんなときにこそ友情を見せてみろ、
入学以来の大親友が、こんなに困ってるじゃねーか、
っておい、逃げるな!
「あんたよそみしてんじゃないわよ!」
いたたた、ネクタイを引っ張るなネクタイを。
「怒る気持ちは十分に理解している
だが、この時間だけはまって欲しい、
あとで全部説明する。」
おい、長門、
「ふん、有希がそこまで言うならいいわ、
でも放課後の臨時総会では、洗いざらい全部話てもらうわよ、
有希! あなたも例外ないんだからね。」
468 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 23:48:34.55 ID:JRP1qtlm0
「ありがとう」
立ち止まった、長門が、
凍り付いたような液晶モニターのような瞳で俺を見つめ、
「では、部室まできてほしい」
とだけ言うと、長門はいつもの調子で歩き出した。
ハルヒは、納得が行かないのか、
憮然とした目を、俺からはなさない。
素直に歩き始めようとする俺に向かい、
少しくぐもった声で、「好きにしなさい」とだけ言い残し、
ハルヒは、先に歩き出した長門の横を、
長門に一瞥もくれることなく足早に立ち去って行った。
ああ、どうなっちまうんだ。おれ。
「どうやらバイトは残業になりそうです」
なんだこのショートメールは。
いっそこのまま妄想に浸り続けたいぜ、
午前中の授業のときのように。。。
502 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 01:47:49.86 ID:jNObdD46O
驚天動地の昼休みが終わり、教室に戻ると、
いつもの場所に、いつもの奴が居る。
ただし、いつものように、シリウス三連星のような瞳は、
かたくなに閉じた腕の中にある。
つまりうっぷしており、
前の席にすわる俺に対しては、
完全無視を決め込もうという取り組みだ。
だが俺は語りかける「なぁハルヒ」と。
「なによ」
お前、何か凄い勘違いをしているのかもしれんぞ。
返事はあれど、顔は見せない。
長門はな、ちょっとした悩みがあって、
俺の家に泊まらざるを得ない状況にあったんだよ、
「なによそれ、馬鹿みたいな言い訳聞きたくないわ」
少しばかりの興味反応があったようだが、
うっぷしたままの状態は変わらない。
503 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 01:48:49.12 ID:jNObdD46O
「やっぱり何かあるんじゃない、
不潔キョン、気味が悪いわ、
有希もこんなのの何処がいいのかしら、
不思議で仕方ないわ」
聞きたくないのは勝手だが、俺はしゃべるぞ。
「後で聞くからいいわ、寝かせてよ
疲れてるのよ。」
そうは行かない、今直ぐ閉鎖空間を閉じて、
古泉に戻ってきてもらう必要があるからな、
不機嫌の要因は全て取っておきたいところだ。
「まあ聞け。」俺はかまわず続ける。
しかし、どう話したらよいものか。
504 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 01:49:21.17 ID:jNObdD46O
昼休みに長門から聞かされた、
悲しき家なき子の物語をそのまま話してしまうと、
色々と禁則事項に絶賛引っかかるからな、
俺なりに色々と省略と脚色をして差し支えない内容にして、
うつぶせのまま顔を上げないハルヒに語りかけることにした。
言えない事も沢山あるんだけどな。
そこは長門と俺の秘密にしておく。
514 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 02:13:08.00 ID:jNObdD46O
「早く食べて」
なんだってそんなに食うのが早いんだお前は。
長門は、部室の長テーブルに着き直ぐに食べ始めていたが、
俺が、時間稼ぎにお茶なんぞを用意していると、
その隙に全て食べ終わってしまった。そんなに早飯でしたっけ?
「早く食べて。」
お前と違って、俺には人間的な限界がある。
そんなにせっつかないでくれ。
515 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 02:14:04.67 ID:jNObdD46O
俺が世界でもハイレベルに絶品だと評価している
お手製の卵焼きを口に運びながら、
ああこれが最後の晩餐なのかも、昼飯だけど。
なんて事を考えていると。
俺が食い終わるのが待てなかったのか、
長門が静かに語り始めた。
「あなたが食べている間、
事情を全て説明する。
この世界が置かれている実情、
わたしが置かれている実情、
そして・・・・
あなたがおかれている実情を。」
朝比奈印ではない、いまいちなお茶を、
特に不満げな表情も見せず啜ると、
長門は話を続けた。長くなるのか?
521 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 02:41:44.74 ID:jNObdD46O
話を聞くと、実際に長かった、
内容は相変わらず俺の理解を超えた所で展開しているのだが、
悲しいかな、こういった話題には、
おかげさまで、すっかり慣れている。
ようするにこういう事だ。
なぜか長門の元に、定期的に届けられていた現金が、
ここ半年届かなくなっていた。
これが全ての問題の根源であり、
現在進行形の困った状況の始まりだったらしい。
「あなたを巻き込んで悪いと思っている、
でも、あなただけが頼りだった。
・・・・・
わかって。」
522 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 02:42:25.19 ID:jNObdD46O
まぁ、それにも理由があり、
この後に語られるのだが、それは置いておき。
「統合思念体は、
現金や各種資材の調達のため、
専門的な動きをするヒューマノイドインターフェイスを多数配備している」
ということだそうで、その他の宇宙人仲間が、
それぞれ支え合って(たまに暴走して)やりくりをしているらしい。
最初は同じく統合なんたらのヒューマノイド仲間である朝倉が、
同じマンションのよしみということで、
毎日おでんを作って持ってきていたのだが、
ご存知の通り、長門自らがトドメを刺してしまった。
527 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 02:50:46.00 ID:jNObdD46O
「やむを得ないとはいえ、
正当な理由がある上での判断だった。
後悔はしていない。」
後悔をするロジックは持ち合わせているのだろうか、
この完全無欠のアンドロイド様は。
さて、また俺的に要約をすると、
こういう話の流れになっていた。
朝倉を葬ってからというもの、
長門は、腹を空かしては、残り少ない貯金からパンの耳などを買い求め、
糊口を凌ぐ毎日だったのだそうだ。
だが、当然のごとく、そんな状態では家賃が一切はらえない。
なんと家賃は23万という高額設定で、当然滞納が始まることになった。
得意の情報操作で、急場をしのぎ続けたが、
とうとうにっちもさっちもいかなくなっちまった。
という事である。
531 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 02:59:00.55 ID:jNObdD46O
だったら、その得意技で現金を手に入れれば良かったんじゃないのか?
「情報操作による物質の変化や、
物理的な相違の変化などは可能だが、
何も無いところから紙幣を生み出す等の行為は、
限られた条件が揃っている状況が必要」
錬金術は無理ってことね、自分の人体錬成はしてたじゃねーか。
「素材が有れば人体の復元は可能」
俺にはさっぱりわからないが、ともかく理由はわかった。
それにしたって、
なんでそんなゴージャスマンションを選んだのだろうね、
その統合思念体は。意味がわからんぞ。
どんな理由にせよ、金が無いなら、
それなりの部屋に引っ越せば良かったじゃないか?
「さっきも伝えた。様々な理由から、
多くの個室を持つ部屋が条件となっていた
あなたも3年間寝ていた部屋がある」
ああ、そうだった、朝比奈さんと時間が凍結された部屋で、
3年もよりそっていたんだっけな。何にも覚えちゃいないが。
532 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 03:04:38.99 ID:jNObdD46O
「これまで話をした理由から、
早急に現金を得る必要があった。」
「このインターフェイスの生体維持には、
不活性時間の増加や、一部機能の、
意図的な停止措置などで対応できる、
しかし、家賃の支払いという行為は、
現金の調達行為という、
わたしの制御範囲からはずれる外的要因が多すぎる、
だから、あなたに手伝ってほしかった」
俺も一緒にバイトすりゃいいのか?
それなら全然かまわないが、俺の家に居着く理由にはならんだろ、
それに、なんだ、俺と如何わしい行為に及ぶ必要も無いだろ?
そんな俺の疑問を吹き飛ばすかのように、
長門は、驚くべきことを口にしだした。
「あなたには、筆下しをしてほしい」
なぬお! お前、何訳のわからない事を言いだしてるんだ!
「許可を」
539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 03:19:17.04 ID:jNObdD46O
お、おちつけ、全然話しが繋がっていないぞ。
何故家賃を払う為に俺の筆下ろしが必要なんだ!?
俺はなにか? 常連の風俗店で幅を利かせるお大臣か?
「新しい子が入りましたぞ、処女でござる」
「なに、でかした膠屋、わしが筆下ろしと行くか」
なんてやりとりをする男だとでも言うのか?
違うぞ、断じて違う。
「おちついて、
既に必要な情報は概ね得ている、
ananという情報冊子から得た知識によると、
わたしの場合、まず、筆下ろしが必要」
それは概ね得ていると言えるのか?
って、相変わらず説明になっとらんし、
意味もさっぱりわからんぞ。
わたしが働くのはそれからになる、
それ以降のプロセスでは、
あなたの手伝いは必要ない。」
541 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 03:27:20.40 ID:jNObdD46O
まて、長門、一度情報を整理してだな。
俺が全てを丸っとわかるように説明してくれ、
昨日の夜から殆ど寝る事も出来ず、
ハルヒには嫌疑をかけられ、今は、まだ弁当すら完食できていない。
そんな俺にわかるように教えてくれないか。
「大丈夫、手伝いが必要なら用意できる
ただし、推奨はできない」
なな、何を言いだすんだ?
「局地的な環境情報の改変、
及び個人に対する外的要因の改変が行われるため、
長期的な地球環境への影響と、
短期的な、特にあなたに関わる周辺環境に、
微細とは言えない変化が発生する」
はい、何をおっしゃりたいのかよくわかりません。
長門は、音も立てずに椅子を引き、部室内を淡々と横切ると、
ロッカーを、これまた音も立てずに開け放った。
「ひぃー、、、あの、、、こんにちは」
543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 03:37:02.83 ID:jNObdD46O
あ、あ、朝比奈さん! 何をしてるんですか、
こんなところで。
ロッカーの中で、窮屈そうに、
そう実に窮屈そうに縮こまっていた朝比奈さんは、
まるで生まれたての子鹿のように小刻みに震えながら、
おそるおそるとロッカーから出てきた。
「あのー、、、お話は聞かせていただきました。。。
というか、知っていたんです、全部、、、
ごめんなさい。」
さっぱり訳がわかりません。
「朝比奈みくるもわたしと同様、、、」とまで長門が言いかけた時、
朝比奈さんが、生まれたての子鹿から、急に盛りのついた牡鹿のように
長門に突進し、口を塞いだ。
「だ、だ、ダメですーーー、
それだけは内緒にしていてくださいーーー」
朝比奈さん、自分から何か暴露をしてませんか?
そのあわってぷりは、もしや。。。
完熟なんですか? 朝比奈さん。
586 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15:15:37.39 ID:jNObdD46O
「現在の時空平面上の制約もあり、
わたしはあの部屋に住み続ける事がベストと判断した、
それは説明済、
そこで、手っ取り早く現金を手に入れることにした」
それと筆下しと、なんの関係があるんだ?
「もっとも効率的に現金収入をえるため、
風俗産業を選択することにした」
お前、今、何と言った。
「風俗産業
細分化されたカテゴリーから、
もっとも収入が高い特殊浴場を選択したいと思う。」
選択したいと思う、ってことは、まだ始めて無いんだな?
「そう」
深い安堵と同時に、
なんとも言えない不安とも違う感情に俺はつつまれる。
587 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15:16:07.47 ID:jNObdD46O
とにかく、一つ一つ片付けて行こう、
なぜ特殊浴場、つまりソープランドになるんだ、
おまえなら他にも色々と手段があっただろう、
武器の密売でもなんでもしてりゃいいじゃないか。
「それは犯罪」
未成年の風俗勤務も十分な犯罪ですよ
「でも、需要がとても多い、
細かい制約には目をつぶる事が出来るレベル。
その他の産業でも、大きく現金を得る方法があるが、
それでは、時間がたりない。」
手っ取り早く稼ごうだなんて、ビッチ女子高生の発想だ、
目的合理的なお前の発想はわかるが、もっと他に手は無かったのか?
「家賃の支払期限は来週・・・
それまでにこの国の通貨で少なくない額の現金が必要となる」
おまえ、どれだけ泡盛りになるつもりだよ。
588 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15:18:44.81 ID:jNObdD46O
納得はいかんが、とにかく、その理由に納得したとして、
筆下ろしは何だ? あと、朝比奈さんが登場する理由もわからない。
それに、朝比奈さん、なんでロッカーなんかに隠れていたんですか。
「あの、、、き」
禁則事項じゃないですよね?
「・・・はい、、ごめんなさい。」
「僭越ながら」
この声は古泉じゃないか。どこから声をだしてるんだ。
また防犯ボールみたいな格好でその辺ただよってるってのか?
「ちがいますよ、ここに居ます」朝比奈さんの居たロッカーから、
一つはさんだ別のロッカーの扉が優雅に開き、
相変わらずの笑顔で髪をかきあげる古泉がそこにた。
朝比奈さんはいいとして、なんでお前までここに居るんだ。
二人してロッカーで何をしているんですか?
589 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15:19:53.28 ID:jNObdD46O
「あまりにも断続的に閉鎖空間が出現するので、
これは異常事態だということになりましてね。
いつもの仕事は仲間にお任せして、
僕は根本原因を探る為にもどってきた。
という訳です」
「あ、あのー、やっぱり、今の状況はまずいのでしょうか?」
「非常に悪いと言わざるを得ませんね。
このままだと、僕の機関だけでは対処しきれないでしょう。
だから、ここであなたを手伝う事に専念します。」
だから、が繋がってないぞ、古泉よ。それに、何を手伝うというんだ。