920 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 02:41:57.56 ID:3tAUYgSJO
この変人のるつぼであるこの公園に、今日はハルヒとやって来た。
何でも団長命令で何とか言う生物の捜索らしい。
二人きりだと相手がハルヒでも緊張するもんだ。
「キョン、ベンチに座るわよっちょっと疲れたわ。っていうか、それ位察しなさいよ。男でしょ!」
あぁうるさいなぁこいつは。せっかく俺が桜の散る様をみて高尚なる無常感に浸っているというのに。
ん?マヌケめ。桜の花びらを頭に乗せたまま良く言うわ。
「ハルヒ、頭に花びら付いてるぞ」
930 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 02:50:59.05 ID:3tAUYgSJO
「と…取りなさいよ!」
俺がか?
「当たり前でしょ!私に見える訳無いじゃない!」
仕方ないな…俺は親指と人差し指で摘む様に花びらを取ってやった。ん?おいハルヒ、なんだその残念そうな顔は。せっかく人が親切をしてやったというのに。
「うるっさいわね、アンタは!黙ってよ!私は疲れてるの!」
そう言ったハルヒの頭には、また花びらが乗っていた。
それを見ていると
「何よ!さっきのちゃんと取ってないの?早く取りなさいよ!」
もう二回目で既に面倒臭かった俺は、振り払う様に花びらを落とした。すると我がSOS団団長は頬を赤らめながら
「もっと優しくしなさいよ…」
と言った。何なんだこいつは。おかしいぞ。いつもおかしいがいつも以上におかしい。つまり、晴れて世界一おかしい人の誕生だ。おめでとさん。
「アンタ!バカにしてんの?団長の私を!バカにしてんの?」
そう言ったハルヒの頭上には、また花びらが。
946 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 03:00:46.86 ID:3tAUYgSJO
やれやれ…
おっと、今度は勝手に落ちたようだぞ。
良かったな……………………
おい、なんだその寂しそうな顔は。言いたい事があるなら言えよ。
「別に無いわよ………。」
今にも泣き出しそうな顔だ。ヤバい。
くっ………これだから女は。卑怯だ。
しかしその時確かに俺は見た。世界一おかしいこの女が自分で花びらを乗せている所を。
はぁ〜あ。自分の勘の良さを呪うね。俺は。しかしまぁこの勘の良さのおかげで、改変された世界やら終わらない夏休みやらを乗り越えて来た訳だが。
………と、まぁあんまり焦らしてもなんだし、俺はシャイなんだ。こう見えて不器用なんだ。だから団長、これで許してくれ。
俺は黙ってハルヒを抱き寄せて、俺の胸の中でその頭を撫でてやった。そして見つめ合う…
しかし、一瞬見せた乙女の顔は直ぐに普段の怒り顔に変わった。かと思ったらこれまた直ぐに、見たこともないような官能的な顔で俺にこう言った。
「バカ!もっとよもっと!キョン!
…………頭撫でなさいよ……」
終