65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/07(月) 15:47:10.21 ID:TSUlr0Vz0
(1/3)
ハルヒ「キョン、みくるちゃん、有希、古泉君!今日も不思議を探しに・・・!」
いつものように振り向いて、人差し指を突き出して
不敵に微笑む・・・はずだった
でも、そこには誰もいない
ハルヒ「な、なんでよ・・・どうしてみんながいないのよ・・・!」
声が何故か掠れる
ふと自分の手を見れば、たくさんの皺が刻まれた白い手がそこにある
足はもう自由がきかず、移動には車椅子が必要になっている
ハルヒ(そうだ、もう・・・みんないないんだ・・・)
あの頃の自分は自由だった
あの頃の自分には恐いものなどなにもなかった
あの頃の自分は
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/07(月) 15:48:54.14 ID:TSUlr0Vz0
(2/3)
――――確かに、幸せだった
老いたハルヒの頬を涙が流れる
あの日々をつまらないと嘆いていた自分が愚かだったと
今更に気付いたのだ
あの日々を作り上げていた仲間たちには
感謝したくてももう会えない
皺だらけの手で、ハルヒは顔を覆う
ハルヒ「ごめん、ごめんね・・・みんな・・・」
みくる『いいんですよ、涼宮さん』
長門 『・・・問題ない』
ふわり、と置かれるみくるの手
まっすぐにハルヒを見つめる長門の目
ハルヒ「み、みんな・・・!どうして!?」
古泉 『実は我々にもよくわからないのですが』
あの頃と変わらない、古泉の困ったような笑顔
キョン『要するに、だ。SOS団はまだ終わっていないし』
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/07(月) 15:50:09.25 ID:TSUlr0Vz0
(3/3)
みんながあの頃の制服のままで、あの頃の姿のままで
キョン『ハルヒ、団長のお前がいなきゃなにもはじまらないって事だ』
みくる『ほら、涼宮さん 涙を拭いてください』
みくるが差し出すハンカチを取って、ハルヒは涙を拭く
ハルヒ「みんな、ありがとう・・・」
キョン『ほら、ハルヒ いつもの掛け声を頼む』
ハルヒ『うん! みんな!不思議を探しに行くわよーッ!』
全員 『おーっ!』
ハルヒの孫(以下孫)「・・・?」
ハルヒの娘(以下娘)「どうしたの? 孫ちゃん」
孫「ハルヒおばーちゃんが笑ってる」
娘「え?」
孫「すっごく嬉しそうに笑ってるの」
病院のベッドの上には、たくさんのチューブにつながれた涼宮ハルヒが静かに眠っている
その口元には、若かりし頃のような勝気な笑みがかすかに浮かんでいる
そして、ハルヒは口元に笑みをうかべたまま―――
涼宮ハルヒ、86歳
彼女はある春の、桜の花が散り始める頃に静かに息を引き取った