涼宮ハルヒの達磨


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23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 00:32:56.37 ID:YqqmaT4y0

目の前の光景が理解できなかった。
吐き気がした。抵抗せずに吐いた。吐瀉物が辺りに飛び散った。
胃の中のモノ全部を吐き尽くして、次に出てきたのは涙だった。嗚咽は慟哭となり、慟哭は痛哭となった。
やがて、涙も枯れ果てた。瞼はすっかり腫れ上がっていた。
それでも、目の前のオブジェを見るだけの視力は残されていた。
俺は誰ともなしに語りかけた。喉が潰れたのだろう、声は老人のように嗄れていた。

「なんでだよ。なぁ、なんでハルヒがこんなことになっちまったんだよ。
 説明しろよ古泉。元に戻せねぇのかよ、長門。どこに隠れてるんだよ、朝比奈さん……」

答えはない。研ぎ澄まされた静謐の空間で、俺の呼吸だけがやけに大きく響いていた。
ふいに――目の前のオブジェが、月光に照らし出される。

「はは、ははは」

薄闇から露呈した――いや、露悪したと言うべきか――オブジェの全貌を見て。

「はは、あははは、あははははははははは」

俺は嗤った。嗤うことでしか、自我を保てなかった。いっそのこと壊れてしまいたかった。
現実を否定して、何もかも幻想に追いやって、普段通りの日常に回帰したかった。
それが叶わぬことだと知りながら。一頻り嗤ってから、俺は立ち上がった。
鉛のように重たかった躰は、今じゃすっかり軽くなっている。代償は感情の欠落だ。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 00:43:25.85 ID:YqqmaT4y0

俺は手近な花瓶を手に取った。使用回数が限られているが、鈍器としては十分な威力だろう。

「ごめんな。そしてありがとう。
 仇は俺がとるから、お前はゆっくり眠っててくれ。
 全て終わったらそっちに行くから」

目の前のオブジェの頭頂部に、思いっきり花瓶を振り下ろす。
肩が脱臼するほど強く叩きつけた。結果、花瓶は砕け散り、オブジェの頭頂部も同様に裂けた。
肉片が飛び散る。吹き出る鮮やかな紅が、溢血を証明する。こうして、オブジェは細々と継続していた生命活動を終えた。

「あ……ふぁ……」

断末魔の叫びは実にあっけない。
ただ、精々こんなものだろうという予測はあった。従って俺は大した感慨もなく最初の殺害行動を終えた。
踵を返す。もう二度とこの場所を訪れる機会はない。
一抹の寂獏感はあった。しかし、それは無感情の心によって限りなく稀釈化され、消えていった。
俺は文芸部室を後にした。

完全な五体不満足となったハルヒを置いて。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 00:57:50.17 ID:YqqmaT4y0

最初に俺が向かったのは長門のマンションだ。
先程の行為で躰は血濡れていたが、夜半であることと人気のない道を選んだこともあって、
誰かに咎められたりはしなかった。

マンション内への侵入は、ハルヒが最初に使った方法を模倣、改良した。
気取られないよう住人の背後をとって、死角になりやすいエレベーターの近くで後頭部を殴打。
気絶しているだけだ。命に別状はないだろう。眼を醒まされたら面倒なので物陰に隠しておく。
俺はエレベーターに乗った。
上昇する僅かな時間に、俺はコトの顛末を推測した。

犯人は誰だ。
動機は何だ。
あの凶行が可能な人間は限られている。
文芸部室内で行うとなるとさらに境界条件は狭まる。
が、現状で犯人を絞り込むことは不可能だ。不審な点がいくつもある。

エレベーターが到着し、俺は滑るように長門の部屋の前まで移動した。
チャイムを鳴らさずにドアを開く。鍵は掛かっていなかった。

「…………シャワーでも浴びてるのか?」

暗闇にうっすらと光条が差していた。あれはバスルームに通じるドアだ。
断続的に響く水音。漂ってくる甘い香り。
それに誘われるように、俺は土足で部屋に踏み込んだ。

やがて、水音が止まる。
それから間もなく、バスタオルを躰に巻き付けた長門が姿を現した。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 01:10:23.79 ID:YqqmaT4y0

長門は俺の風貌にさして驚いた風もなく、

「何故あなたがここにいる?」

とだけ訊いてきた。
それは俺の科白だよ。ハルヒがあんなことになっちまってるのに、
なに安穏とシャワー浴びてんだ、てめぇは。まさか知らないワケじゃないだろう?

「全て知っている。何故なら彼女の四肢を切断したのは、」

言い切る前に、俺は駆けだしていた。
数mの距離を一瞬にして詰めるのは、何も生身の人間にだって難しいことじゃない。
躊躇いも同情も捨てた俺にとっては、特にな。

「ぐっ……」

一気に押し倒して、馬乗りになる。
苦悶の声が漏れる。バスタオルがはだけて、白磁のように艶やかな肌が露出する。
だが、それに煽情されはしなかった。ただひたすらな殺意と悪意だけが、俺の心を支配していた。

「わたしはあなたに危害を加えることができない。だから――」

懺悔もナシか。まぁ、全て解ってやったことなら無慚であることは当たり前のことだし、
元より贖罪させる気はないけどな。俺は極めて無駄のない挙動で、腰のナイフを抜いた。

「――やめて――がぁッ」

胸の中心部に突き刺す。熔けたバターを切るように、ナイフは長門の肌を切り裂いていった。
すぐに柄の部分まで埋没する。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 01:23:37.64 ID:YqqmaT4y0

「がはっ……あぁ……」

激しく喀血する長門。情報操作によるプロテクトを施していないから、
人間並みの痛覚、ダメージを受けたことになるんだよな。はは、可哀想に。
でもこんなモンで死なれたら俺が困る。拷問はまだまだ始まったばかりだ。

「はぁ……お願い……正気に戻って……」

と、俺の願望が通じたのだろうか。
徐々に傷が塞がり始め、ナイフが押し戻される。それは実に愉快な光景だった。
あんまりユカイだったので、俺はもう一度、今度は二度と抜けないように柄の中腹までナイフを突き刺した。

「………!!!!」

俺の手で塞がれた唇から、悶絶の絶叫が静かに響く。
俺は空いた片手で、鞄のジッパーを開き、その中から長めのアイスピック4本を取り出した。

長門の琥珀色の瞳が、初めて恐怖に濁る。
それでも涙を流さないのは、やっぱこいつが人間でもなんでもない本質は無機物の人形だからか。
そんな哲学的な思考をしつつ、俺は四本のアイスピックを杭に見立てて長門の両肘と両肩に突き刺し、
床に磔にした。激痛と屈辱で自分を抑制できなくなったのか、長門が一層激しく抵抗する。
掌に伝わる長門の吐息と唾液の感覚がくすぐったい。同時に鬱陶しかったので、俺は長門の顔面を横殴りにした。

「黙れ。優しい俺が今からお前にすることを教えてやるよ。
 お前が"ハルヒにしたこと"……それで十全だろう?」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 01:39:04.14 ID:YqqmaT4y0

それからのことは、正直語るに値しない陳腐な叙述になので簡単に要約しようと思う。
俺は局部を覆うという意味を失っていたバスタオルを剥き、
長門に挿入を試みた。同意はない。強姦さ。当たり前の話だが、長門は大層厭がった。
拘束する四本の杭をギチギチと鳴らして、スプリンクラーのように血を流しながら俺に行為の中止を懇願してきた。

でも俺は無視した。

淡々と行為を続行した。ちなみに長門は処女だった。
TFEIに生殖能力があるのかどうかは今の今まで知らなかったが、これで証明された。良かった良かった。
長門に対する性欲はなかったが、人間の本能というのは実に巧く出来ており、
状況さえ整えば十分に勃起した。俺は無心で高速ピストン運動を繰り返した。
時間の経過にしたがって血塗れに、また怒張していく愚息はやがて絶頂を迎えた。膣内で果てた。

何の感慨も沸かなかった。

行為後、俺は解体処理を進めた。スムーズだった。
長門はもう啼かなかった。死んでいたのかもしれないし、気絶していたのかもしれない。
いや、フリーズというべきか。ま、俺にとってはなんだって良かったんだけど。

四肢の切断後、俺はアイスピックを抜いて、それぞれがもう一度くっつかないようにバラバラの場所に置くことにした。
右腕はトイレの中に。大で流したが当然の如く詰まった。
左腕は台所のゴミ箱に。入りきらずに手の部分が飛び出た。
右足はベランダの外に。自由落下したそれはやがてびちゃりと地面に墜落した。
左足は部屋の一角に。切断面で直立したそれは観葉植物に見えないこともない。

「………ふぅ。じゃあな。
 お前との二年間はそれなりに楽しめたよ。
 あ、躰ふくためのタオル借りたけど返さなくていいよな?」

無反応。俺は長門の部屋を後にした。残る目標はあと二人だ。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 01:51:25.47 ID:YqqmaT4y0

夜はどんどん更けていく。
朝がくる前に終わらせよう。時間は一刻も無駄にできない。
課題は完璧かつ円滑に終了させる、それが俺のモットーだ。

次に向かったのは古泉の家だ。あいつの家は今までにも何度か訪れたことがある。
普段はアルカイックスマイルと飄々とした雰囲気を纏っている古泉だが、
家庭内では学校での仮面を外しているようで、家族と普通に会話を交わしていた。
その光景はかなり新鮮だった。あいつは俺に普通の一面を見られて照れていたっけ。
ちなみに家族構成は両親と妹が二人の五人家族。面倒だから全員殺すか。騒がれても邪魔だしな。

自転車を目的地の前に留めて、俺はインターホンを鳴らした。
すぐに扉が開き、家人が出てきた。逆光で輪郭しか解らない。

「どなた?」

ああ、おばさんか。どうもご無沙汰してます。あと、

「こんな夜中に相手の確認もしないでドア開けたら危ないですよ」

真一文字に喉を掻き斬る。ざくっ、とした小気味よい感触が俺の手に伝わってきたのと同時に、
俺の顔面にびゅうびゅうと鮮血が降りかかってきた。温かくて気持ち悪い。
うぜぇよ、どけ。ミドルキックの要領でつい先刻まで人間だったそれを蹴り飛ばす。

「なにー、どうしたのー……」

騒ぎに気づいたのか、古泉の妹らしき女が玄関に顔を出した。自分の母親が殺害されたとは夢にも思っていなかっただろうな。

「ひっ――あっ」

上げた悲鳴が一瞬なら、漏らした断末魔の叫びも一瞬だった。つくづく思うね。脆いな、人間って。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 02:03:52.33 ID:YqqmaT4y0

長門の時同様に、土足で家に上がり込む。
靴の数を確認し、家主である父親が帰宅を果たしていない情報を得る。思ったよりも楽そうだ。
俺はさっきの女が出てきたドアに一直線に向かった。
ははあ、どうやら家族団欒の鍋パーティでもやっていたらしい。
ぐつぐつと煮え盛る鍋を中心に、古泉とさっきの女の成長後ver(多分もう一人の妹だ)が向かい合って座っていた。
空席はさっきバラした母親と妹の分か。

「あなたは――」

間抜け面の古泉が、亡霊でも目撃したみたいに大口開いて俺を指差した。
俺は両手を広げて言った。

「よう、古泉。楽しんでるか?
 なあ俺さ、今ものすっごくハイな気分なんだよ。
 さっきだって長門んちで遊んできたんだけどよ、あいつってば滅茶苦茶ノリがいいんだ。
 ハルヒを達磨にしたのお前らか?って冗談で訊いたらよ、マジでそうだって言いやがるんだ。
 爆笑も爆笑、抱腹絶倒だよ。笑い死ぬかと思ったね」
「ま、まさか彼女を……」
「ああ。気づいたら死んでたよ。今頃マンション住人の方々が騒いでるんじゃないかな。
 明日の朝にはきっと御用だぜ、俺。新聞に載るかもな。ははっ」
「何が可笑しいんです!」

古泉が叫ぶ。それは内なる恐怖と悔悟に堪えきれなくなったが故か。

「アホかてめぇ。その敬語口調うぜーんだよ。
 あー、なんかこうやって口論するのもつまんねーな。さっさと仕事するか」

俺は嗤うのをやめてテーブルに歩み寄った。女の髪を掴み上げる。へぇ、結構成長してるじゃん。

「お、お兄ちゃん!!!!」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 02:14:23.34 ID:YqqmaT4y0

「やめてください! 彼女は無関係だ!!!!」

古泉が叫喚する。五月蠅すぎて耳鳴りがした。
やっぱただ殺すのもつまらないな。ここはこいつがどう出るか様子を見てみるとするかな?

「ひぐっ、離してよぉ……やだぁ……」
「静かしてろ、屑が」

一、二発、頬を張る。それで雌は静かになった。
その間に古泉は縺れた足で台所に駆け寄って、包丁を掴んでいた。
閉鎖空間では無敵の超能力者くんが、なんとも哀れだね。3mほどの距離を挟んで対峙する。

「……妹を離してください。さもなければあなたを殺します」

そんな豪語しちまっていいのかよ、声が震えてるぜ?
人質は俺にあるんだぜ。対してお前のアドバンテージなんて、精々この家の構造を把握してるくらいだろ。
それともこういう状況で奇跡的な何かが起こって奇跡的にハッピーエンドを迎えられるなんて夢想を描いてるんじゃあるまいな。
あんまり俺を嗤わせないでくれ。

「冷静になってください」

いいぜ。俺は元々超冷静だからな。

「いいえ、あなたは酷く混乱している。感覚が麻痺しているんです。
 どうか落ち着いて、ナイフを床に落としてください」

やれやれ、失望を禁じ得ないな。何を始めるかとおもったら結局在り来たりな説得かよ。馬鹿にしやがって。

「そうだ、取引をしましょう――」
「は? んなもんに犯人が乗せられるのはドラマの中だけだぜ」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 02:26:18.40 ID:YqqmaT4y0

雌の背中をぶすりと一突き。

「ぐびぁ………」

ははは、最高にいい手応えだ。心臓にでも達したかな?
びゅくびゅくと活きの血肉が噴き出す。その様が面白くて、俺は何度も何度も刺突した。
やがてだらりと躰が弛緩し、雌は重力に従って地面に頽れた。
俺が掴んでいた毛髪は頭皮ごと千切れた。脆い、脆すぎる。
俺が同心円状に広がる血だまりに眼を奪われていると、

「うわぁぁああぁぁぁあぁぁ!!!!」

発狂した古泉が、ようやく妹を失ったことに気が付いたらしい、こっちに駆けだしてきた。
でも遅い。相手が接近に気づいたときには既に仕留めてるくらいの疾さじゃないとな。
刹那のタイムラグでも致命的なのさ。身を以て教えてやるよ。

「ほらよ、お前の妹だぜ」

オブジェを、思いっきり蹴り飛ばす。血を辺りに散布しながらごろごろと転がって仰向けになった屍は、
古泉の進路を妨害するには十分な障害物だった。古泉は派手に転んだ。

「やれやれ。実の妹を足蹴にするたぁ、酷い兄貴だな。てめぇは」
「くそっ、くそ、なんでなんでなんで!!!!!!」

狂ったように床をのたうち回る古泉。いや多分、もう既に狂人と化しているのだろう。
ご愁傷様。誰なんだろうね、こんな酷い仕打ちをした奴は………あ、俺か!
妹の亡骸を掻き抱いて、奇声を上げる古泉とそれを見下ろす俺。
この光景は実にシュールだった。だが、何かもう一つアクセントが欲しいな。そう、例えば―

「そういやお前ら、晩飯の途中だったんだよな。悪い悪い、邪魔しちまって。遠慮無く食えよ」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 02:39:31.36 ID:YqqmaT4y0

鍋の煮え湯を、倒れた古泉にぶちまける。
ぶちまけた後は一瞬で後ろに飛んだのだが、少し湯がかかってしまった。
あっちー。この分じゃあ、古泉の奴は相当苦しがってることだろう。おっと間違えた、喜んでる、だったな。
なんてったって愛しの妹と一緒に鍋料理が楽しめるんだから、まかり間違っても苦悶したりはしないだろう。

「………が……ぐぁ……」

ところが! なんと古泉は俺の予想を見事に外し、苦しみに悲鳴を上げていた。
といっても、叫び声の声量が喉の限界を超えているのか、ぐつぐつと喉を鳴らすだけで声にはなっていなかったけど。
俺はスリッパを借りて、湯気の立ちこめるスペースに足を運んだ。こうみえて俺は潔癖症なんだ。
足を鍋のお湯で汚すなんてまっぴらゴメンだぜ。

「おう、どんな気分だ古泉? 最高にハイってやつか?」
「あぁ……ああ………」
「なんだって? よく聞こえねーなぁ……あー?
 あーはいはい。自分じゃ箸も持てないから、食べさせてください、ってか。
 良い身分になったもんだな、お前も」

お仕置きだ、と火ぶくれだらけの額にデコピンして、
俺は辺りの鍋の具を掻き集めた。そいつを両手で掬って、古泉の口にねじ込む。旨いだろ?
お袋の味ってやつは家庭ごとの最高の味だもんな。ま、これが最後のお袋の味だから味わって喰え。

「がぁ、あああ、ああああ……ぐほぉっ、がふっ」

汚ねぇな、吐くなよ。これ以上受け付けてくれない古泉に愛想を尽かし、仕方なく俺はもう一つの亡骸に具材を詰めることにした。
鼻を摘んで、口に具材を放り込んでいく。許容量の限界が来たら、指で喉の奥に詰め込んだ。まだまだいけるな、こりゃ。
それから俺は10分近くをその遊びに費やした。ふと左を見ると、古泉は窒息死でもしたのか事切れていた。
あっちゃー、加減間違えたな。失敗失敗。だが、死んでしまったものは仕方ない。
それから俺は長門の時同様に四肢を切断して、それぞれをバラバラに捨てた。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 02:42:39.26 ID:YqqmaT4y0

「あばよ、古泉。お前とのテーブルゲームは結構楽しかったぜ。
 お前は全然上達しなかったけどな。そんじゃ、あばよ」

無反応。俺は凄惨な朱色の空間と化した家を出た。
玄関で、忘我しているおっさんに出くわしたが、ノータイムで喉を掻き斬って終わらせた。
古泉一族、絶滅。めでたしめでたし、ハッピーエンドってわけさ。

が、ここで諸手を挙げて快哉を叫ぶにはまだ早い。
俺にはあともう一つ、ハッピーエンドを迎えさせなきゃならないストーリーが残ってる。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 02:54:58.08 ID:YqqmaT4y0

pipipiとボタンを押すだけで、素敵な招待状は彼女の元に旅立っていった。

『至急、口頭で連絡したいことがある。駅前の公園に集合して』
『朝比奈さん、緊急事態です。すぐに駅前の公園に向かってください』

メールを送れば、この文明の利器も用なしだ。俺は長門と古泉両名の携帯をドブ川に捨てた。
ぽちゃん、ぽちゃん。はい、証拠隠滅完了。

足取りは軽く。スキップしそうなほど弾んだ気分で、俺は公園に向かった。

全身を紅に染めた俺の服装は、お世辞にもニューファッションとは呼べないだろう。
久々の朝比奈さんとのデートなのに。こんな汚い格好を見せるのはなんだか憚られる。
公園に到着すると、まだ朝比奈さんは着いていないようだった。
ま、今は深夜だしな。俺は待つ時間を利用して、公園の水場を利用して躰を洗った。少しはマシになっただろうか。

「この……獣……!!」

背後から小さな糾弾が響く。といっても、時間が時間だ。公園の静逸は崩れない。
俺は振り返った。いつかのセンセーショナルな女教師スタイルで、俺を睨め付ける朝比奈さんの姿があった。
まったくあなたって人は。そんなにレイプされたいんですか?
いいですよ、今夜は何の介在も障害もない。滅茶苦茶に犯してあげます。

「黙ってください。キョンくんがやったことは知っています。あなたは長門さんを、古泉くんを、殺した」

へぇ、知ってて姿を現したのか。殊勝なこった。でも不思議だな。
俺の知る朝比奈さんなら、猟奇殺人鬼を前にしたら足が竦んで腰が砕け、尻餅をついて慈悲を請うはずなんだが。

「そんなイメージはもう捨てて。
 わたしは未来から派遣されたエージェントです。単純な戦闘能力でも、あなたを凌駕している。
 キョンくんに勝ち目はありません。大人しく拘束されてください」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 03:08:37.83 ID:YqqmaT4y0

「いやだ、と言ったら?」
「多少の負傷は拘束基準から逸しません。抵抗するなら、それなりのリスクを覚悟をしてね?」

すっ、と拳銃らしきフォルムの何かを取り出す朝比奈さん。こえーこえー。
俺は銃には詳しくないが、一発でも掠めれば躰がバラバラになる超スリリングな予感がするぜ。
正攻法じゃ勝ち目はないな。ここは――

「解りました。降伏しますよ」
「ナイフを捨てて、両手を頭の後ろで組んで。少しでも不審な動きを見せたら行動不能にします」
「はいはい」

ゆっくりと、朝比奈さんが躙り寄ってくる。
相手が一般人の道を踏み外した殺人鬼とはいえ、未来人の彼女も一応は警戒しているようだ。光栄の至りだね。
朝比奈さんが俺の背後に回り込んだところで、俺は語りかけた。

「そういえば、何故朝比奈さんたちはハルヒをあんな風にしたんですか?」
「……答える義務はありません」
「いいじゃないですか。最後なんですし、俺だってこのままじゃ気分が悪いですよ」

朝比奈さんは、溜息と一緒に吐き捨てた。

「涼宮ハルヒの引き起こす環境情報操作能力が、彼女の生命活動の停止によって消滅することが判明したの。
 危険因子は排除。これは当然でしょう?
 しかもわたしたちSOS団の団員は、みな彼女に虐げられてきた。どれだけの時間を無為に過ごしたか、計測するのも苛々するわ。
 彼女の殺害方法について、上層部は自由権利を与えてくれた。それは長門さんや古泉くんの組織でも同じだったらしいわ。
 だからわたしたちは、然るべき方法で涼宮さんを殺したの」
「ははあ、なるほど」
「驚かないの? わたしたちの唯一の計算外は、キョンくんの反抗よ。
 キョンくんもわたしたちと同じ気持ちで彼女に付き従っているのだとばかり思っていた。
 だからわたしたちが手を汚して、あなたには彼女の屍を嘲弄する特等チケットを上げようと計画したのに……」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 03:19:52.62 ID:YqqmaT4y0

「ところがどっこい」

朝比奈さんが俺の背後に接近した気配があった。
この数時間の間に幾度となく修羅場を潜り抜けてきたからだろう、俺の第六感は異常なまでに鋭敏になっていた。

「一番の危険因子は俺だったというわけだ!」

身を屈めて反転、一気に朝比奈さんの足をすくい上げる。

「そんなっ!!」

会話によって緩んでいた朝比奈さんの陥落は早かった。
手当たり次第に服を引きちぎり、隠していた武器や暗器を取払っていく。
下着姿にしたところで、ひとまず身剥ぎは取りやめだ。叫ばれたら厄介だし後の行為が興奮しないので、

「助けを呼んだらその瞬間に殺す」

と釘を刺しておいた。喉を踏みつぶすのは野蛮人のすることである。
物理的な抵抗を未然防止するためにも、両腕を折っておく。
べきり。べきり。テコの原理を応用したら、信じられないくらい簡単にできた。

「…………・・!!!!!!!!」

さすがにここは絶叫ポイントだ。俺は憂慮して、片手で口をふさいでやった。
静かな苦悶の声が漏れた。いいね、興奮する。
俺は衝動に任せて朝比奈さんの胸を揉みしだいた。

「はぁ……ん……」

リビドーを鎮められない。長門とは大違いだ。やっぱり大人の豊満な肉体は違うな。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 03:32:33.92 ID:YqqmaT4y0

「噛むなよ。噛んだら……言わなくても解るな?」

俺の舌が、朝比奈さんのルージュを乱す。
這うように、撫でるように口腔内を蹂躙する。俺の唾液を流し込み、朝比奈さんの唾液を吸い尽くす。
朝比奈さんの唇が弛緩して垂涎し、俺が彼女の胸を揉み飽きた頃には、
俺のペニスはすっかり屹立怒張していた。朝比奈さんの秘肉も良い感じに濡れそぼっていた。

「まさか処女じゃないですよね。
 未来じゃ何人の男を食い物にしてきたんです?」

そんな世間話を振りつつ、俺は予備動作なしに挿入した。

「んんっ、はぁ……いた、い………」

心地よい肉壁の抵抗を突き抜けて、俺の愚息が完全に埋没する。あー、きもちいい。
それから俺は、正常位、後背位と体位を変えて朝比奈さんの躰を愉しんだ。

「やだっ、いやぁ、はんっ、はぁん、んっ、んんっ!!!」

噛めば噛むほど味が出るスルメのように、朝比奈さんの躰は犯せば犯すほど俺の肉欲を満たしてくれた。
正直、行為を開始してから2時間、何度中出ししたか解らない。
我に返ったとき、俺は朝比奈さんの股間から流れ出す白濁の量にびっくりしたくらいだ。
白濁には若干の朱色も混じっていた。ピストンのしすぎで擦り切れたのかもしれない。
まぁそんなこと、肉便器となった朝比奈さんにとってはどうでもいいことか。

「…………はぁっ……はぁっ」

頬を上気させて呼吸を整えようと必死な朝比奈さんの肢体は、妖艶や婀娜という言葉では表現できないくらいに美しかった。
殺すには惜しい逸材だ。が、しかし惜別の刻は万物に等しく訪れる。
俺は服装を整えて、肉便器の躰を担ぎ上げた。そして、疲弊しながらもそのままホームレスの溜まる区画に運んでいった。

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 03:42:03.30 ID:YqqmaT4y0

「筋金入りの売春婦ですよ。
 ドラッグキメすぎて使えなくなったらしくて、捨ててこいと言われました。
 どうしようとあんたたちの勝手です。ああ、性病はもってないんで安心してヤッてください」

ホームレスたちは感謝感激雨霰といった感じで俺に喝采を浴びせてくれた。
取り囲まれた朝比奈さんが、最後に視線で助けを求めたような気もしたが、気のせいだろう。
朝比奈さん、絶望に苛まれる浮浪者たちには最高のプレゼントだったろうな。
俺の使い捨てだけど、あいつらにとっちゃあ入れる穴さえありゃなんでもいいに決まってる。
いいことしたな、俺!

俺は最高の充実感とともにその場を去った。
そしてきっかり2時間後、夜明けの少し前に戻ってきた。

―――最早死姦だった。

さすがの俺も吐き気を催したので、そこにいた全員を殺した。
射精後の愚鈍な肉体だ。あいつら、俺の服を掴むことさえできなかった。
深い深い闇に、どっぷりと濃度の高い血液が融けていく。

「さようなら、朝比奈さん。
 最早俺があなたを懐古しても無意味なんですね。
 だって僕が真実だと思っていたあなたは、全て虚構だったんですから」

屍の頂に君臨する、四体不満足の女性の躰は、神々しくさえ見えた。
俺はその光景をしかと眼窩に焼き付けて、その場を後にした。良い冥土の土産ができた。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 03:50:45.58 ID:YqqmaT4y0

望楼に昇る。俺は腕時計に眼を遣った。
あと数分で夜明けだ。俺はぼんやりとしたまま、暁光が差すのを待った。

俺は、狂人だ。ネジがたくさんとんじまった。
精神科医が診察すれば、100人が100人、ユング派とフロイト派の垣根を越えて
俺を異常者扱いするだろう。裁判にかけられたら間違いなく極刑だ。
マスコミには至上最凶の犯罪者として祭り上げられるに違いない。

まあでも。
実際に、そうなることはないけれど。
だって俺は、その時もう、現世にいない。

はは、あ、そろそろ、色々と、限界 みたいだな、

朝陽が、稜線を赤く朱く染めるる。やがて、g街は、マッカな光条に 沈んでいき
オレは、ゆっkりっと、ナイフをのどに そえた

なあ  ハルヒ いまからそっちに


涼宮ハルヒの達磨
end 

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/04(金) 03:52:58.56 ID:YqqmaT4y0

初めての猟奇系SSどうだったかな
正直文章作ってて気が狂いそうだった
もうこういうジャンルには二度と手を出したくないね
でも、いつも書いてるノーマルなSSよりスイスイ書けて
楽しかったといえば楽しかったのかもしれない

どっちにしても酷く眠い
おやすみ



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