1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 22:01:12.12 ID:ucSqvLlk0 ID:
キョン「ああ、この前貸した本だな。面白いか?」
長門 「わりと」
キョン「そうか。誰か気に入ったキャラはいるか?」
長門 「…………」
キョン「……ん?」
長門 「……………………」
キョン(なんだ? 長門のやつ、さっきから挿絵のページで指が止まってるぞ)
長門 (…………雪風)
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 22:02:42.86 ID:ucSqvLlk0
当然の如くネタはない
目標84
>>5
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 22:05:38.11 ID:SMyy2/m60
タバサと長門
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 22:14:26.01 ID:ucSqvLlk0
長門はそのまま数分間、挿絵に描かれていたキャラとにらめっこしていた。
描かれていたキャラは、青い髪のショートヘア、眼鏡をかけたショートヘアの女の子「タバサ」というキャラだ。
長門と非常によく似ており、そのことでハルヒと口論になったことすらある。
口論の結果は、俺が「アンタ現実と虚構の区別がつかない中二病ね!」と罵られてジ・エンドだ。
ああ、そんなことはわかっているともさ。だがなハルヒ、お前はひとつ勘違いをしている。
眼鏡属性のない俺の目には、長門とタバサはよく似ていてもまったく別に映るんだよ。
現実と虚構の区別がつかない、なんて言葉を俺に向けるのは失礼にもほどがある。
とまあそんなことを思い出しているうちに、唐突に松崎しげるを催してきた。
「すまん長門、ちょっとお花を摘みに行ってくる」
そんな俺の言葉に返事すらしない長門であった。
おいおい、まだ雪風のメイジを睨んでいるのか? 何か気になることでもあったのだろうか。
部室のドアを閉めた俺は、いつのまにか目の前にいた人物に話しかけられた。
その人物とは>>10
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 22:15:28.02 ID:jqswS3cNO
岡部
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 22:21:35.10 ID:ucSqvLlk0
目の前にいた人物は、俺のクラスである一年五組の担任で、
ハンドボール部顧問でもある岡部先生その人であった。
体育系部活動顧問のこの人が部室棟に来るなんて珍しいこともあるもんだ。
さすがに担任を無視するわけにはいかないな。気は進まないが、話しかけることにした。
「あの、何か?」
「おお、お前か。丁度いい、涼宮のことで少し話があってな」
ハルヒのこと? やれやれ、あいつはまた何かやらかしたのか。
どうしていつも余計なことをするのかねえ。
しかし万が一、大事だったら俺の本日の平穏無事な生活が水泡に帰すことになる。
とりあえず話を聞いて、とっとと解決しておこう。
「はあ。いったいハルヒの奴が何を…?」
「実はな……>>12」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 22:23:14.67 ID:q1V4MVq+0
さっき告白された。
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[>>15 いかにも] 投稿日:2008/02/15(金) 22:32:09.32 ID:ucSqvLlk0
「さっき告白された」
「…………………………。はい?」
「だからな、さっき会ったときに告白された」
「誰がですか」
「俺がだ」
「誰にですか」
「涼宮ハルヒに、だよ」
いやいやいやいや待て待てちょっと待て。
今こいつはなんと言った? いくら担任でも言っていいことと悪いことがある。
ハルヒが岡部に告白? Why? なぜ? どうして?
わかる奴がいたらここに来い、そして俺に説明しろ!
……などと俺は混乱して、いつかどこかで考えたことのあるようなセリフを頭の中で再生した。
落ち着け俺、状況を整理するんだ。
ハルヒが岡部に告白した。
なんてことだ、整理したら一言になってしまったじゃないか。いったいどうなっているんだ。
そもそもハルヒのやつは付き合うときはいつも受け手のはずじゃなかったのか。
平々凡々を絵に描いたようなこの教師のどこにアイツが惚れる要素があったんだ。
わからない。まったくわけがわからない。
「いやもちろん、いち教師として断ったが…。あんな涼宮を見たのは初めてだ。
お前、涼宮が何か悩んでいるとか、そういったことに心当たりはないか?」
憂鬱になって異世界で巨人を暴れさせることならありますよ、と言いたいが言えるわけがない。
悩みができる前にあいつは自分で解決法を編み出すだろう。
ん、待てよ。そういえば数日前、あいつ変なことを言ってたな。聞き流してたが、確か「>>18」と言っていたはずだ。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/15(金) 22:38:55.53 ID:WPpg/ftb0
キョンが振り向いてくれない・・・
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 22:51:17.64 ID:ucSqvLlk0
確か言ってたな。ハルヒ朝比奈さんと小声で相談していたときだ。
「キョンが振り向いてくれない…」と。
本人たちは聞こえてないつもりだったのだろうが、俺の耳にはバッチリ入ってしまい、
なんとなく気まずくなった俺は見ざる聞かざる言わざるを貫いた。
まさかあれがネタ振りで、今回の謎の事態に繋がったのか?
となると、ありえないとは思うが、この岡部先生もハルヒの差し金の可能性がある。
少し鎌をかけてみるか…。
「先生、まさかハルヒに言われて俺にそう言ってる、ってことはないでしょうね?」
「あるわけがないだろう? 俺だって混乱しているんだよ、いきなり告白なんかされちゃってな。
ただ、お前らぐらいの年齢だったら、そんなふうに不安定になることもある。
生徒のフォローも大切な仕事なんだ。涼宮のことで何か知ってることがあったら教えてくれ、頼んだぞ」
そう言い残し、岡部先生はこの場を去っていった。
まあ、あの人ならこんなきっぱりと嘘はつくまい。それどころか、今の言葉は立派な教師そのものじゃないか。
さっきは心の中でコイツ呼ばわりしてすみません、と心の中で謝った。我ながら滑稽なことだ。
そうそう、忘れていたが花を摘みに行くんだったな。
いかんいかん、まずはスッキリしないと思考がまとまらないし話が進まない。
ハルヒの件については、踏ん張っているときの暇つぶしに考えることにしよう。
トイレへ向かう途中で、また知り合いに鉢合わせした。それは>>25
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 22:58:04.66 ID:q1V4MVq+0
>>5
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 23:09:13.60 ID:ucSqvLlk0
「あれ、長門? お前部室にいたん……じゃ……!?」
長門がいた。こいつの正体は宇宙人であり、部室にいたはずがいきなり
俺の目の前に現れたところで、いくら一般人たる俺でもここまでは驚かない。
問題は、長門の後ろに長門そっくりの、どこかで見たような青髪眼鏡の少女がいたことだ。
少女は長門に背を預け、本をぺらぺらとめくっている。
言うまでもなく俺が長門に貸したゼロの使い魔 第一巻である。
自分の出演作を見ているという、なかなか希少な光景で……いや待て、そんな状況じゃないだろう俺。
「……おい、長門」
「なに」
「これは一体どういうことだ」
「出てきた」
出てきた? ハハ、何を言ってるのですか長門有希さん。
まさかその異国の服を身に纏った女の子が、あなたが読んでいたゼロの使い魔から出てきた
雪風のタバサその人だと仰るのではないでしょうね?
「そう」
「…………」
この宇宙人は余計なことを言わない。すなわち、必要でない嘘はつかない。
後ろの少女がタバサそっくりの容姿なだけであれば、違うと一蹴するはずだ。
「マジかよ……おいおい、どうなってんだ」
松崎しげるなど、とっくに引っ込んだ。ハルヒが告白し、長門が分裂した(ように見える)となると、
残りの団員にも何らかの影響が出ていて不思議はない。急いでこの状況を打開する行動に移さねば。
俺はこの先どうすればいいかを長門に聞いた。>>27
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 23:11:35.71 ID:KMT2B3gSO
全裸
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 23:19:12.21 ID:ucSqvLlk0
「長門、すぐに全裸になったほうがいいか!?」
「パーソナルネーム××××の情報結合の解除を申せ「すまん長門、俺が悪かった」
ちょっとした場を和ませるジョークのつもりだったんだが…。
いつもの長門の目よりもさらに冷たくなった目が俺を見つめていた。
失敗だったか。俺もまだまだだな。
と思ったが、現在この場で慌てふためいているのは俺だけだ。成功してもなんの効力もない。
「とりあえず、朝比奈さんと古泉の現状を確認したい。長門、場所はわかるか?」
「近い位置に朝比奈みくるの存在を感知。部室」
「俺たちと入れ替わりか、長門、急ぐぞ」
俺も長門も(本を読んでいるタバサをずるずる引きずってはいたが)
急いでSOS団の部室に戻った。
ドアをノックする。返事がない。
「朝比奈さん、いますか? 入りますよ!」
部室のドアを開けたそこには、確かに朝比奈さんがいた。ただし>>31
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/15(金) 23:22:57.26 ID:WPpg/ftb0
大きいほうであった・・・・
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 23:33:34.95 ID:ucSqvLlk0
「あっ、キョンくん! な、何がどうなっているんですかぁ〜」
そこにいた朝比奈さんは朝比奈さん(大)であった。
その特盛りは一度見たら見紛うはずがない。
「あ、朝比奈さん!? どうしてあなたがここに……!」
「し、視点がいつもより高いなって気づいた時にはもうこの姿に…
あたし、どうすればいいんですか…? もしかして、ずっとこのままとか…」
ふえぇ、と泣き始める朝比奈さん(大)。……うーむ、どうもおかしい。
俺の知っている朝比奈さん(大)はここまで泣き虫だっただろうか?
これではまるで……朝比奈さんが朝比奈さん(大)に乗り移ったかのような感じではないか。
「長門、この朝比奈さんは?」
「朝比奈みくる本人。ただし異時間同位体ではない」
長門に問うと、正確な答えが返ってきた。
やはりそうか。この人は間違いなくこの時代に来た朝比奈みくるさんだ。
何らかが原因で――いやまあ、おそらくハルヒだろうが――身体だけが成長したんだ。
混乱が極まっている中、部室の扉が再び開く。
「遅れてすいません、少々問題が発生しまして……」
いい声が響く。団員の中にそんないい声を持つ奴は一人だ。
遅いぞ古泉、一体何をして……って、それはなんだ?
入ってきた古泉も、みんなと同様いつもと違っていた。その違いとは>>35
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 23:36:37.75 ID:7d4f7Le2O
小島よしお
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 23:45:52.31 ID:ucSqvLlk0
パンツ一丁。
人の容姿を表すのにこの言葉は一生使わないだろうと思っていたが、
いざ目の前にその姿が現れると、これほどまでに便利な言葉があったかという気持ちになる。
無駄にいい身体といい顔がその姿を一層際立てているから困ったものだ。
「……ボディビル大会なら受付はここじゃないぞ」
「先ほどからどうしても服を着れないんですよ。着たら拒否反応を起こしまして…
でもそんなの関係ありません。でもそんなの関係ありません」
不思議な踊りを踊る古泉を見ていると、MPを吸われるよりも先に混乱が付加されてしまいそうだ。
中途半端にネタを拝借するとお寒くなるというのがよくわかった例だな。
「お前も異変が起きたのか」
「はーい、まっがーれ↓」
だめだこいつ…早く何とかしないと…。
「キョ、キョンくん……長門さんが二人になって、古泉くんがおかしくなって、
これから先どうすればいいんですか……」
俺に聞かないでください朝比奈さん。唯一頼りになりそうな長門だって沈黙しているんですよ。
こういうときはあまり関係がなさそうな人に助言を乞うのが一番なんです。
というわけで俺は、長門の背に自分の背を預けて本を読む少女に問いかけてみた。
無駄な努力かもしれないが。
「えーと、そこの長門似の人」
「タバサ」
「ああ、やっぱりタバサさんなのか……。不躾で悪いが、何か解決策はないか?」
「ある。>>40をすればいい」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 23:48:21.13 ID:KMT2B3gSO
裸踊り
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/15(金) 23:58:27.72 ID:ucSqvLlk0
「裸踊りをすればいい」
「すまん、なんだって?」
「裸踊りをすればいい」
「よく聞こえなかったんだが」
「裸踊りを」
「いい年頃の女の子がハダカハダカと連呼するんじゃありません!」
いかん、つい大声を出してしまった。あまりにも理不尽な回答にうっかり……。
朝比奈さんなんか、俺が声をあげた瞬間に「ぴっ」って声出して小さくなってしまったじゃないか。
……まあ考えてみればそうだよな、そんなに簡単に正しい答えが出てくるなんて甘いにもほどがある。
「いえ、どうやら裸踊りが正しいとみたいですよ。僕としたことが、屈辱でしたね」
何を言ってるんだ古泉、そんなわけないじゃないか。お前ついに頭までおかしくなっちまったのか――
ってあれ! お前なんで制服着てるんだよ、さっきまで今年消えそうな芸人の真似事をしていたくせに
「その芸人の真似事をして裸踊りをしたからですよ。そこのお嬢さん回答が証明されましたね。
おそらく今回のコレは涼宮さんが引き起こした現象でしょうが、僕のキャラが完全に崩れてしまいました。
下着がOKだったのは、涼宮さんの良心なんでしょうか」
良心があるなら最初からこんなことを引き起こすな、と言いたいね。
ん? 待てよ、ということは長門も朝比奈さんも、元に戻るにはこうやって裸踊りを?
「わたしはこのままでも問題ない。わたし自身には何の変化も発生していない」
「あ、あたしも、まだ戻らなくていい……かな」
何を仰るお二人さん、ここはひとつ裸踊りをですね……
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/16(土) 00:03:57.61 ID:f+rdDngq0
「お二方の言うとおり、今は問題ないでしょう。それよりも――」
なんだ古泉、俺の野望を邪魔してからに。一刻も早く戻らないと問題じゃないか。
ていうかお前はいつも俺の顔に顔を近づけるのな。いい加減気色悪いからなんとかしてくれ。
「考えておきます。それよりも今は、情報を集めるほうが先決です。
長門さん、朝比奈さん、それと、変化が起きていないようですが……一応あなたも
何でも結構ですから気づいたことを教えていただけませんか」
そうだな、俺もこのまま欲望を晒し続けるわけにもいかない。
俺たちは情報を交換することにした。
数分後、少しだが概要が見えてきた。
長門が気づいたことは>>51
朝比奈さんが気づいたことは>>53
古泉が気づいたことは>>55
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/16(土) 00:04:00.46 ID:wIgRHjNc0
雪風つながりで深井中尉に助けを求めよ。性格にてないこともないし
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/16(土) 00:05:48.81 ID:lGn1gBIVO
つまらね…面白いwwwwとか期待wwwwとか言ってる奴頭大丈夫?
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/16(土) 00:06:33.72 ID:MuSn4F8F0
カップヌードルが値上げになるらしい
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/16(土) 00:18:28.10 ID:f+rdDngq0
長門いわく、こうだ。
「現時点において、わたしの分身といえるタバサの二つ名は雪風。
雪風つながりで性格が似てないこともない深井中尉に助けを求めるべき」
「深井中尉って誰だ? お前の知り合いの宇宙人か?」
「戦闘妖精・雪風」
「すまん、元ネタが把握できん」
ていうか長門よ、あまり本で見た知識を真に受けるな。それこそ現実と虚構の区別が云々だぞ。
朝比奈さんいわく、こうらしい。
「そういえば、この前とてもつまらない掲示板の記事を見てしまって……
どう考えても面白くないのに、『面白いwwww』とか『期待wwww』とか
書き込まれていたんです。もしかして、それを見たことで古泉くんの頭が大丈夫じゃなくなったんじゃ……」
朝比奈さん、見当違いだと思われるうえにちょっと黒いですよ。
俺の知っている朝比奈さんはもっとエンジェ〜ルみたいな人なんですから、自重してください。
古泉のヤロウいわく、こんな感じだ。
「カップヌードルがこの度値上がるらしいですね。我々高校生にとってはこれは大きな打撃。
その理不尽な値上げが涼宮さんの逆鱗に触れ、今回の騒動に至ったのではないかと……」
「無理やりハルヒにつなげようとするな。大体なんなんだその理由は」
と、三者とも取るに足らない情報であったことを一筆しておく。
もちろん古泉だってわかっているはずだ。そんな理由がありえないことぐらいは。
つまり、今回はまったく判断材料がないということだ。
一体何が原因でハルヒの機嫌が悪くなってしまったのか、見当もつかない。
俺も長門も朝比奈さんも古泉も、途方に暮れた。
その後、俺たちは持っているほかの情報を全て明かした。
ハルヒが岡部に告白をしたことや、そこでずっと本を読んでいるタバサの正体まで含めて。
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/16(土) 00:29:25.58 ID:f+rdDngq0
「……もしかすると、今回もあなたが原因なのかもしれませんね」
情報交換を終えると、突然古泉がため息を吐きつつ、俺に軽い非難の眼差しを向けた。
なんだ、いつぞやと違って今回俺は誤解を生むようなことなんかしていないぞ。
「朝比奈さん、そういえば先日、涼宮さんとなにやら内緒話をしていましたね?
あいにく僕は中身を聞いていませんが、今思えばあのときの涼宮さんの表情は少し変でしたからね」
「あ……! もしかして、あれが原因?」
朝比奈さんまで俺をジト目で見始めた。くそ、古泉め、余計なことを。
でもあんな表情は朝比奈さんは滅多にしないからな、見られて少々ラッキーかもしれない。
「うん、確かに涼宮さん、キョンくんがが振り向いてくれないって落ち込んでました。
あたしは相談に乗ったんですけど……もう、キョンくんが全然ハッキリしないから」
待ってください朝比奈さん、俺はまだそういったことは早いとですね……
というか、それ以前にだ。
「いや……もしそうだったとしても、それだけでハルヒがこんな騒動を起こすか?
ちょっと原因が軽すぎだろ、あいつも長い付き合いの中でだいぶ変わったじゃないか。
この程度で軽々と力を使われちゃ困る。そもそも鬱憤晴らしをするときは、妙な空間でじゃなかったのか」
「涼宮さん自身が変わったから…と考えられなくもないですが、確かに少し原因としては弱いですね。
現時点では閉鎖空間は発生していません。しかし、このヘンな現象は涼宮さんの能力にほかなりません」
「いったい、どういうことなんでしょう?」
うーん、と唸る三人。気にせず本をめくる二人。
微妙な空気がその場を支配したが、少し経ってから意外な声がSOS団の部室に響く。
「わかった」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/16(土) 00:37:13.15 ID:f+rdDngq0
声を発したのは異世界から来た少女、タバサである。
「わかった? 何がだ」
俺は思わず聞いていた。
「…ハルヒ、という人が何故起こしたか」
そんな馬鹿な、長門ですらわからなかった謎だぞ。
現に長門はタバサのほうをじっと見ているじゃないか。
「まず、あなた」
そう言って、タバサは朝比奈さんを指差した。
「え、ひゃい!?」
「あなたが『つまらない掲示板』を見たのはいつ?」
「え、えーと、確か相談の直後だったはずですけど」
「わかった……じゃあ次はあなた」
次に古泉に指を差したタバサ。
「なんでしょうか?」
「先ほど本で読んだけれど、この世界にはテレビというものがあって、
そこでカップヌードルの宣伝活動を行っている」
「仰るとおりです」
「さきほどの踊りは、大道芸人のような人の物真似?」
「……ええ、そのとおりですね」
「次に、あなた」
タバサは長門を指差…さなかった。なぜなら、長門はタバサと目を合わせているからだ。
「この本……『ゼロの使い魔』という、わたしが出ている本。
それと、さっきの『雪風』…ハルヒという人に見せたはず」
「見せた」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/16(土) 00:47:18.48 ID:f+rdDngq0
「最後に、あなた」
そう言って、俺を指差す。
「なんだ」
「あなたは、教師に『告白された』って聞いた」
「ああ、聞いたがそれがどうかしたのか」
「その時に感じたことを聞きたい」
……何を言ってるんだ、こいつは。
俺があの時に感じたこと? 言ってやろうじゃねぇか。
「『ハルヒのやつ、何を考えているんだ』……それだけだ」
「わかった。これで筋が通る」
そこまで聞いたタバサは説明を始める。
「ハルヒという人は、こう感じたはず。
アサヒナ、あなたが掲示板をハルヒに見せて、あなた自身はそのとき感想を呟いた。
"どう考えても面白くない"というようなことを。そのときハルヒは思った。
『アサヒナは思っていたよりも大人である』
コイズミ、あなたはカップヌードルの値上がりことをハルヒに話したはず。
そのとき、ハルヒは宣伝の大道芸人の姿を連想した。そのときハルヒは考えた。
『コイズミもあんな一面があるのだろうか』
ナガト、あなたがハルヒに又貸しした「ゼロの使い魔」と「戦闘妖精・雪風」
それを読んだあと、ハルヒは連想した。
『ナガトはわたし……もとい、雪風のタバサに似ている』
そしてキョン」
お前もその名前で呼ぶのか。どうもコイツは物覚えが半端じゃないようだ。
俺たちの会話から名前を把握して呼んでいる。で、俺に対してハルヒはどう考えていたんだ?
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/16(土) 00:55:00.37 ID:f+rdDngq0
「これから言うことは判断材料が少なくて、想像に過ぎないけれど」
「……言ってみろよ」
「『キョンは、私に嫉妬するのだろうか』」
…………。
「これらの考えが具現化した結果、わたしが呼び出されるような事態になったと思う」
タバサはその言葉を最後に、椅子に座って本を読む作業へと戻った。
こいつ、言ってくれるじゃないか。そもそもタバサは、こんな饒舌なキャラだったか?
どうかしてるぜハルヒ、本から出すんだったらもうちょっと原作に忠実なキャラに仕上げろ。
「……一理あるかもしれません。つまり、涼宮さんが溜まった鬱憤が今回爆発して、
珍妙な現象が発生したというわけですか。閉鎖空間を発生させなくなった点は大きな成長ですね」
「納得するな、こいつは本から出てきたキャラだぞ。信用するのか?」
「お忘れですか? このタバサさんは、『涼宮さんが現実に作り出した二次創作』ですよ」
「…………」
「あなたが自分の気持ちを認めたくないのはわかりますが、涼宮さんを落ち込ませた罰として事実を享受すべきですね」
くそ、古泉の屁理屈に反論ができん。自業自得とはいえ、忌々しい限りだ。
「あのぅ、じゃあ、今涼宮さんはどこでどうなっているんですか?
まだ私も元に戻っていないし、タバサさんもまだ存在しているんです…よね?」
朝比奈さんがおずおずとタバサに問いかける。タバサはこう返した。
「ハルヒという人は今、>>82」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/16(土) 00:57:23.70 ID:4PUwgbdYO
宮崎県知事になった
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/16(土) 01:08:37.59 ID:f+rdDngq0
「宮崎県の知事になっている」
「はい?」
「……」
「ふぇ?」
「え?」
「…夢を見ている」
ずっこける一同(長門を除く)。
おいおい、あそこまで引っ張っておいてそれかよ。ハルヒ、これが俺に対しての仕返しか?
「……つ、つまり、現在はあなたが涼宮さんの深層意識の代弁者のため、
それは信用できる情報とみて問題ないですね?」
「(コクリ)」
古泉、いつもの笑顔が引き攣ってるぞ。さすがに突発的なアクシデントには耐性がなかったか。
「長門、一応ハルヒの状況を調べられるか?」
「涼宮ハルヒの精神の安定を感知。自宅で睡眠中、宮崎県にてやりたい放題をしている夢を見ている」
「ええっと、つまり、明日になれば機嫌も治るってことですか?」
「この調子で悪夢を見なければいい。つまり、今はこのタバサを接待するのが最良。
五感から入力された情報が涼宮ハルヒにリンクして深層意識に繋がる仕組み」
「ややこしいことになっちまったな……」
頭を掻く俺の肩に、古泉の手がポンと置かれた。
「さて、それでは元凶たるあなたに責任をとってもらい、タバサさんの接待をしていただきましょう」
「…………わーったよ」
ここで断るとしつこい古泉だ、おとなしく従おう。さて、じっとこちらを見つめるタバサに何と言おうか?>>97
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/16(土) 01:20:47.83 ID:f+rdDngq0
「では失礼して……」
俺はタバサの服に手をかけた。
シュッ、ドスッ!!
その瞬間、俺の頬のすぐ真横を氷の刃が凄まじい勢いで通り抜け、
そのまま後ろにあった黒板に突き刺さった。
「い、今のはなんだ……」
「…………ウィンディ・アイシクル」
「俺が悪かったです」
作中でタバサが唱える魔法の名前だったか、確かにそれが俺の頬をかすったものらしい。
いや、ほんのジョークのつもりだったんだが、ハルヒ同様つまらないジョークを許してくれないらしい。
実は無抵抗で剥けるのをほんのちょっぴり期待していたが、殺される勢いで抵抗するなら仕方ない。
ハルヒ向けの接待を始めるとしよう。非常事態用にずっと暖めていたアイデアだ。
「すまないタバサ、眼鏡を取ってくれないか? 俺眼鏡属性ないし」
「……」
無言で眼鏡を取るタバサ。視界に少しだけ反応をする長門が見えた。
俺はおもむろにタバサの後ろ髪を手で束ね、正面から見据えた。
「……?」
しばらく見てから、俺は考える。いつぞやの記憶を辿る。目の前の光景と比較し、手を離した。
そして、タバサに思ったことを正直に告げた。
「うん、やっぱりハルヒの方が似合ってるな、ポニーテール」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/16(土) 01:26:40.06 ID:f+rdDngq0
その瞬間、タバサの姿が薄れた。どうやらハルヒの機嫌が治り、お別れの時が来たらしい。
俺はニヤリとしてタバサの目を見た。作中のタバサと比べ、どうもハルヒが作り出したタバサは
やはりハルヒ同様、感情が豊かだった。少しだが、膨れっ面をしている。
「俺の勝ちだな、ハルヒ」
消え行くタバサは、頬を紅く染め、小さな声でこう呟いた。
「…………バカキョン」
言葉が届く頃には、タバサの姿は既に跡形も残っていなかった。
残ったものがあったとすれば、先ほど机に置いたタバサの眼鏡。
「……終わりましたね、ご苦労様です」
タバサが消えた途端、古泉が話しかけてきた。
手っ取り早い対処法だったとはいえ、こいつに全部見られていたと思うと恥ずかしいな。
「罪滅ぼしにはなったか?」
「いい物が見れて光栄ですよ」
くそ、言い返せん。ハルヒめ、もう勘弁してくれよ。
「あ、キョンくん! 私の身体も元に戻りました!!」
喜びの声で俺に報告する朝比奈さん。
確かに戻っている。あのはちきれんばかりのナイスバディは少々惜しい気もしたが、
それは何年後かの未来に必ず訪れるものだから楽しみにしていよう。
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/16(土) 01:31:35.91 ID:f+rdDngq0
「長門、ハルヒの様子はどうなんだ?」
「…………レム睡眠からノンレム睡眠に移行した。精神は安定、夢は見ていない」
心なしか少々機嫌が悪い気もするが、すぐにいつもの長門に戻るだろう。
今度新しい本を持ってくることでこいつへの罪滅ぼしとしたいところだ。
「よし、んじゃ帰るか」
「ええ。もう外も暗いですからね。明日もまた部活を頑張りましょう」
「はふぅ、疲れました……」
「…………」
こうして俺たちは帰途についた。
先ほどあんな大騒動があったにもかかわらず、帰り道の会話は当たり障りのない雑談である。
慣れてしまう自分が悲しいが、まあこういうのもいいんじゃないのか。
雪風のタバサよ、作中ではお前の人生は荒波だらけだが
お前も書かれていないところで、こうやって仲間と語らっているといいな。
126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/16(土) 01:38:52.32 ID:f+rdDngq0
その後のことを少しだけ語ろう。
翌日教室に向かうと、いつも通りハルヒが俺の後ろの席にどっかりと座っていた。
ただひとつ違うのは、眼鏡をかけていることであった。
「昨日、気持ちのいい夢を見ていたと思ったら急に悪夢に変わったわ。
ムカついたから部室にあったコレでイメチェンしてみたの。似合ってるでしょ」
生憎だがハルヒ、俺に眼鏡属性はないとあれほど言っていただろう。
もしかしてまだ嫌がらせは延長中なのか、勘弁してくれ。
朝比奈さんはこう語る。
「実は昨日、苦しかったんですよ…。サイズが合わなくて、はちきれそうになって……」
朝比奈さん(大)の特盛りは武器だったというわけか。
古泉はいつもより厳重にベルトとネクタイを締めていたようだった。
「少し苦しいですが、これならそう簡単に脱衣はできないでしょう?」
トラウマを埋め込まれたようだな。少し同情する。だが帰ってからの着替えが大変じゃないのか。
今回大騒動を解決したタバサのそっくりさんである長門は、暇を見つけてはタバサの絵と睨めっこしている。
もはや雪風の魔法使いが出てくることはないのは少しさびしい気もするが、これが平凡な日常だから仕方がない。
しかし、自分そっくりな雪風の魔法使いを眺めて何が楽しいのだろうか。長門は何を思っているのだろうか。
時折、睨めっこ中の口からこんな声が聞こえる。
「……眼鏡のない私は、負けない」
何にですか、長門さん?
END