1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 20:27:04.30 ID:CGim2Ozk0
俺は今、自分の葬式に参加している。
厳密にいえば参加しているのではなく、上から見ているだけだが・・・
どうやら俺は死んでしまったようだ。
事の発端は5時間前のことだ。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 20:28:30.02 ID:CGim2Ozk0
学校から帰宅中、一台の暴走車が赤信号を無視して横断歩道につっこんできた。
タイミングの悪いことに、横断歩道には下校途中の我が妹がいたのだ。
俺は横断歩道にダイビングし、車から遠ざけるように妹を突き飛ばした。
その瞬間突っ込んできた車に弾き飛ばされ、俺はお陀仏となったわけだ。
「キョンくん、みくるちゃん泣いてるよ」
俺に突き飛ばされて歩道で頭を打った妹も死んでしまったことは計算外だった。
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 20:32:34.13 ID:CGim2Ozk0
「あ、みくるちゃんが外でてった」
妹は状況がよく把握できていないようだ。
無邪気に俺たちのお通夜を実況してやがる。
しかし、俺たちは本当に死んでしまったのか・・・・・・
お通夜にはクラスメイトや中学時代の友達、それにSOS団の面々が勢ぞろいしていた。
できればこれが誕生パーティーならよかったんだがな。
ハルヒはうつむいてじっとしているだけだ。古泉も神妙な顔つきで
座っている。
・・・さっきから長門に合図を送りまくっているんだがなんの返答もないな。
幽霊は見えないのだろうか。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 20:38:27.60 ID:CGim2Ozk0
・・・なにやら外が騒がしい。
妹と二人(?)で一端外へ出てみると、玄関先で朝比奈さんがぶっ倒れていた。
・・・・・・なんだ?後追い自殺か?
「その通りです」
「うお!びっくりした・・・って、朝比奈さんの幽霊じゃないですか!」
「キョンくんが死んでしまったことに絶望して、思わず舌を噛み切ってしまいました」
あ、本当だ。朝比奈さんの死体の口からは血がどくどく溢れている。
幽霊となった今でも見た目に気持ちいいものではない。
「後先考えずに死んでしまったんですけど、これからどうしましょう・・・
私この時代のお墓に埋葬されるのかな・・・・・・」
それはそうでしょうね。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 20:44:11.16 ID:CGim2Ozk0
お通夜中に後追い自殺者が出たことで我が家はパニックに陥っていた。
SOS団の面々は全員(といっても残り3人だが)信じられないといった顔つきで
朝比奈さんの死体を見つめている。
「あ、大変!TPDDを回収しなきゃ!」
それは無理というものです。後で大きいほうの朝比奈さんがやってくれるんじゃないですか?
・・・ってあれ?朝比奈さんはもう死んで・・・あれ?
「ああ、あれは私のクローンです。厳密にいえば私がクローンなんですけど。
こんなこともあろうかと、私と同タイプの朝比奈みくるが108体用意されているんです」
ああ、それなら安心ですね。
「みくるちゃん、未来からきたの?すっごーい!」
おまえは一巻から読み直してこい。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 20:50:36.54 ID:CGim2Ozk0
しかし、俺が死んだらSOS団は・・・いやハルヒはどうなるんだ?
俺はハルヒにとっての鍵なんじゃなかったのか?
「その点は心配ありません。未来ではキョンくんの体から採取したDNAから
キョンくんのクローンをすでに作っているはずです。そろそろこの時代に届くはずですよ
本当は事故直後に届いて入れ替わる予定だったんですけど・・・・・・」
なんだ、それなら安心ですね。
「みくるちゃん、私のくろーんは?」
「妹さんの分は用意してないの。ごめんね」
「・・・うー、キョンくんずるーい」
生意気いうな。この世界のためなんだ。
「じゃあそろそろ行きましょうか」
「へ?どこへ行くんですか?」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 20:57:14.30 ID:CGim2Ozk0
「異世界ですよ」
異世界だって!?一体どういう・・・
「こうなることは規定事項だったんですよ。たぶん違うと思うけどまあどっちでもいいです」
「わたしも連れてってー。みくるちゃんと一緒に異世界いくいくー!」
「うん、もちろん妹さんも一緒ですよ♪」
なにやら混乱している我が家を尻目に俺たちの体は上昇をはじめた。
・・・・・・グッバイ現世
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 21:06:53.53 ID:CGim2Ozk0
しばらく上昇を続けた後、上空から光が見えてきた。
「だいぶ上空にきましたね。成層圏越えてるんじゃないですか?」
「うーん、この辺から行けるはずなんですけど」
あれ、目の前に階段が見えてきた。
これに上ればいいのか?
「キョンくんチャンスです!その階段を駆け上がってください!」
「チャンスってなんですか?」
「天界に行けるんですよ私たち」
「て、天界?なんですかそれ?」
「いいから早く!」
朝比奈さんがせかすのでとりあえず階段をのぼりはじめた。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 21:11:33.11 ID:CGim2Ozk0
しばらく階段をのぼっていると、上から突然岩が落ちてきた。
「きゃあ!」
まずい、妹が岩に直撃して落ちたようだ。
「大丈夫です。試練に失敗した妹さんは新しい人間に生まれ変わったんです。
私たちは前に進みましょう」
なにが大丈夫なんだ?というか、これなんの試練なんですか?
「あぶない!キョンくん前みて!」
うお!危うく直撃くらうとこだった。危ない危ない。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 21:16:11.03 ID:CGim2Ozk0
しばらく階段をのぼるとやがて落石は収まった。
「ふう・・・なんとか第一の関門は突破できましたね」
「朝比奈さん、これなんの試練なんですか?」
俺の問いに、彼女は人差し指を唇に当ててこう言った。
「禁則事項です」
どうやら朝比奈さんは死んだ後も禁則事項に縛られているらしい。あわれな魂だ。
さらに階段をのぼると、突如断崖絶壁が目の前に現れた。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 21:19:40.54 ID:CGim2Ozk0
「あれ?今階段をのぼってたはずじゃ・・・・・」
いつのまにか、あたり一面は見渡す限りの荒野と化している。
「キョンくんあれ」
朝比奈さんが指を指す方向を見ると、幼い兄妹が
断崖絶壁を前にして立ち往生しているのが見えた。
「きっと渡れなくて困っているんですよ。助けてあげましょう」
「どうやってですか?」
「キョンくんが橋になって下さい」
わかりました。
俺は意を決して断崖絶壁にダイブすると、両手で対岸のへりにつかまった。
「さあ、今のうちに渡るんだ!」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 21:23:05.99 ID:CGim2Ozk0
幼い兄妹(軽かった)と朝比奈さん(重かった)が渡り終えると、
俺はなんとか対岸によじのぼった。
・・・するとあたり一面の荒野は突如として姿を消し、
またさっきと同じ階段が目の前に現れた。
「第二の関門も突破というわけですか・・・あれ、朝比奈さん?」
いつのまにか朝比奈さんがいなくなっていた。もしかして足をすべらせて
落ちちゃったんだろうか。
グッバイ朝比奈さん。よい来世を
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 21:30:47.76 ID:CGim2Ozk0
しかし、地表からだいぶ遠ざかったな。
あたりは真っ暗だ。はるか下に青い海が広がっているのが見える。
なんで俺、死んじゃったんだろうな・・・・・・
そもそも妹を助けるためだった。しかしその妹も
生まれ変わってもうここにはいない。
ハルヒ、今頃どうしてるのかな・・・・・・
あ、そうか。クローンの俺と朝比奈さんが新たにSOS団に入ったんだよな。
俺が死んだことさえ記憶からなくなっているんだろうな。
俺、なにやってんだろ・・・・・・
なんだか無性に目が熱くなってきた。しばらく嗚咽をおさえていたが、
やがてこらえきれずに大声をあげて泣き始めた。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 21:35:41.58 ID:CGim2Ozk0
「ふふふ、ふははははは!」
突如笑い声があたりにこだました。
「なんと女々しい小僧よ。母親のことでも思い出したのか?
まさかこんなガキが我が試練を突破してくるとはな」
階段の上を見上げると、予想どおりというかなんというか、そこにはシャイアン酋長の姿が!
「お兄ちゃん、助けて!」
「たしゅけてー!」
見ると酋長はさっきの兄妹を左腕に抱えている。
「あ、あんたは誰だ!その兄妹を離してやれよ!いやがってんじゃないか!」
「なに?兄妹?兄妹だと?お前にそんなことを言われる筋合いはないわ!」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 21:36:46.65 ID:CGim2Ozk0
↓酋長
____
/__.))ノヽ
.|ミ.l _ ._ i.)
(^'ミ/.´・ .〈・ リ
.しi r、_) | 兄妹はわしが育てた
| `ニニ' /
ノ `ー―i
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 21:43:39.73 ID:CGim2Ozk0
「それなら納得です」
「ようし小僧、こっちへ来い。この兄妹の血でお前の試練突破を祝福してやろう」
なんだと・・・いくら育ての親とはいえ、そんなことが許されるのか!?
「ん?なにをグズグズしておる。さっさとこっちへこんか。
貴様のグズはまだ治っちゃいないようだな。ん?」
「ま、まて!あんたに聞きたいことがある」
というか、わけがわからないことだらけだ。異世界ってなんだ?
妹と朝比奈さんはどこへ行った?試練ってなんなんだ?
「なにを考えているのかしらんが、さっきも言ったとおり」
____
/__.))ノヽ
.|ミ.l _ ._ i.)
(^'ミ/.´・ .〈・ リ
.しi r、_) | 兄妹はわしが育てた
| `ニニ' /
ノ `ー―i
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 21:49:10.89 ID:CGim2Ozk0
「それがどうした!」
俺はいつのまにか手にしていたトマホークでシャイアン酋長の頭を
叩き割っていた。
「許さんズラ!いくら育ての親のシャイアン酋長とはいえ、あんたに
幼い兄妹の命を奪う権利はないズラ!」
頭を叩き割られた酋長はゆっくりと倒れ・・・!?
なんと、叩き割った酋長の頭が二つに裂け、裂け目から光が放たれはじめた。
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 21:53:36.39 ID:CGim2Ozk0
ようやく光がおさまり、中から出てきたのは・・・
「朝比奈さん!」
「よくやってくれましたねキョンくん。人の頭をトマホークで叩き割るとは
外道にも劣る所業。生かして帰すわけにはいきませぇん!」
「なっ!そんな、そもそも俺は死んで」
「言い訳無用でぇす!」
そんな・・・俺はなんのためにここまで・・・・・・
「地獄に落ちてくださいキョンくん!」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 21:55:07.69 ID:CGim2Ozk0
_,-,ニ二ニ=、
//
/:/
ヾ`、
>+:‐: ´: ̄:  ̄: :`:' ̄:l.、___,/
/: : : : /: : : : : : : : :/ : : l: : : :く‐´´
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l: : : /: : : : : : : : :/: /l: : : : ∧ l: : : :ヽ: :ヽ
/: :/: :/: : : _,:_∠L、:::/ノ ̄ ̄`ヽ、―ニ 二
l: /://: : : : :/::/':::::/ ´`ヽ _ 三,:三ー二
l://://: : : イ ノヽ--/ ̄ , ` ̄ ̄ ̄
l/: :l l: : : イ:ll ミ } ...| /! キョンの手
l: : :l: l: :/.:l.:l 」_}`ー‐し'ゝL _
. l: : : W/: : N _,:ヘr--‐‐'´} ;ー------
. l: : : : :ハ: : : ト、 .、,,ノ`ヾ:::-‐'ーr‐'"==-
l: : : : : :、: : : 「フ`‐- ,、-┬:T´: :l l/
. l: : : : :,レ、: : :ヾ、 /、`Y/:l:l: : l
/: : :rニミミヽ: : ヾ、-─┤ `┤: : l
/: : / ̄\ヾヽ: : :ヾ、 l ll: : l
/: : / ヽヾヽ: : lヽ l /l: :
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 22:01:30.59 ID:CGim2Ozk0
ハルヒ「助けにきたわよ!」
古泉「僕もです」
長門「間に合ってよかった」
みくる「それは私のニセモノでぇす」
ytjrSuOO0「ふひッふひひひふひふひ」
SOS団のみんな!・・・と誰?
とりあえず俺はトマホークを投げた。
ytjrSuOO0「うぎゃあああ!」
「みんな・・・どうしてここに」
「アンタが心配だからみくるちゃんに案内してもらったのよ!」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 22:06:13.93 ID:CGim2Ozk0
「アンタとみくるちゃんの代わりにヘンなヤツが部室にくるようになったんだけど、
私はすぐニセモノだと気づいたわ」
「我々はいつのまにかあなたが死んだということを忘れてしまっていたんです」
「うかつだった」
みんな・・・でもどうしてここまで?
「アンタが死んだと知って、私たちはそれぞれ後追い自殺をしたのよ」
真性のアホだ。コイツら
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 22:13:40.34 ID:CGim2Ozk0
結集したSOS団は、とりあえず朝比奈さんのニセモノとytjrSuOO0にとどめを刺した。
どうやってか知らないがハルヒたちの自殺を知った朝比奈さんは
みんなをここまで案内してきてくれたらしい。
妹はどうやら本当に成仏してしまったようだ。
「しかし、不思議なものですね。死んだあともこうやってみんなと一緒にいられるとは」
「・・・私は死んでいない」
「どうでもいいのよそんなこと!死後の世界がこんなにすばらしいってわかったんだもの。
どうせならみんなをこっちの世界に呼んじゃいましょう!」
なんだってー!
こうして世界は滅亡した
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/20(金) 22:24:06.49 ID:CGim2Ozk0
ytjrSuOO0のその後
ytjrSuOO0「ふひひふひふひひ・・・ふひ?」
どうやらytjrSuOO0は畜生界に落とされてしまったようだ。
生前勉強も運動にもまじめに取り組まず、日々を怠惰に過ごしていたytjrSuOO0は
ケダモノにも劣る魂と判断されたのだろう。
ytjrSuOO0「ふひーふひー!」
彼の魂が浄化され、再び現世に戻ってこれるのはいつの日だろうか・・・
fin