448 名前:[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 22:07:54.91 ID:ObdVLsDe0
俺達は通り雨が降った後の人通りの少ない道を歩いていた。
これから街へ出かけるのではなく、帰宅するためである。
夜空は快晴ないし晴れといったところだろうか、夕方の雨雲を少し残したような感じだな。
それはそうと、昼頃の太陽はどっかの誰かさんみたいな、やかましくそれでいて落ち着くような日差だったんだがどうしたんだろうね。
雨が止んだと思ったら、既に日が落ちてしまう時間で今日は太陽をもう拝めないものかと考えるとちょっと憂鬱だ。
ま、そんな時は太陽の核融合反応よりも元気かもわからないヤツを知っているから、ソイツの笑顔でも拝ませてもうらおうかね。
「なぁ」
いきなり雨が降り出したときに慌てて駆け込んだコンビニで買った500円の傘は、グルングルンと振り回されてる。
何が不満なんだろうね。とりあえず、何かが起こってからでは遅いので、危ないから傘を普通に持つようにと伝える。
449 名前:[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 22:08:42.86 ID:ObdVLsDe0
「それやめてくれないか?」
繋いでいた手が離されてしまった。片方の手は傘をブンブン回したままだ。
そうじゃなくてだなぁ…。手を離した相手は俺より一歩先に進み、こちらに振り返った。
左手を遠慮がちに俺に差出し、同時に、かなり怒ったような視線を俺に投げてくる。ピッチャーが球を投げたらキャッチャーがすっ飛んでしまうくらいの豪速球だ。
その視線の内容は「な、何よ!アンタが手を繋いで欲しいからせっかく、つつ、繋いでやったのに、今度はやめて欲しい?いいからもっと繋いでなさいよ!こ、これは団長命令だk」
相手の投球の途中だったが、視線に耐え切れないという理由で離されてしまった手を再び繋いだ。本心としては怒っているのに躊躇している仕草をもっと見ていたかったんだが、俺も手を繋ぎたかったからな。
そんなことをしていたからだろうか、全く気付かなかったね。
俺はもうアイツしか視界に入らないくらいにアイツのことしか考えてないんだろうな。
最後の記憶は車のヘッドライトが歩道に突っ込んで来た。それだけだ。
アイツしか視界に入らないと思ったが違ったんだな。でもそのお陰でアイツは助けることができたのさ。
450 名前:[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 22:09:36.20 ID:ObdVLsDe0
後日談だが、車を運転しながらの携帯電話の操作は世界中で禁止されるようになり、違反したものはそれ以後、自動車免許の取得と携帯電話の購入が禁止になった。
ああ、俺は階段から落ちたときにお世話になった病院のベットで横になっているよ。どういう訳か幸いにも軽い怪我で済んだがしばらくは念のため入院生活だそうだ。
ベットを覗き込む太陽は俺の手を握りながらちょっと心配そうな日差しだが、窓の外の太陽に負けず劣らずだ。
これからもよろしくな俺の太陽さん。
>>396,432のような運転手が車の中での携帯電話の使用をやめますように。
駄文でした。